| 新蕎麦のするりと箸の進みけり |
新蕎麦の旗翩翻と道の駅 |
| 新蕎麦の待つ故郷へ走り出す |
新蕎麦や平均寿命で父が逝く |
| 新蕎麦や五風十雨の時を知る |
新蕎麦や見知らぬ相席気にもせず |
| 新蕎麦やローカル線の夫婦旅 |
古暖簾くぐれば新蕎麦ありにけり |
| 新蕎麦と墨鮮やかに書かれけり |
目と鼻で味わっている走り蕎麦 |
| 江戸っ子の見得を切ったる走り蕎麦 |
新蕎麦の香りも高く秋の風 |
| 新蕎麦を啜りし音のはやきかな |
新蕎麦や今年も妻と山の宿 |
| やはらかき新蕎麦の香や谷の風 |
月山の風入れて打つ走り蕎麦 |
| 小体なる店丹精の走り蕎麦 |
日を浴びて美味しさを増す新蕎麦よ |
| 新蕎麦やつゆに微かに浸したり |
新蕎麦やまだ日の高い酒となる |
| 新蕎麦を食べて寿命を延ばしけり |
新蕎麦や皿も小鉢も織部焼き |
| 風香る霧の匂いや走り蕎麦 |
新蕎麦や古き暖簾の奥飛騨路 |
| 爽やかに一つ新蕎麦中に置き |
新蕎麦を食ふて新宿行に乗る |
| 新蕎麦や良き粉良き水良き力 |
薀蓄を聞いていただく走り蕎麦 |
| 新蕎麦や古き暖簾の奥飛騨路 |
品書は太き墨字や走り蕎麦 |
| 方言の 飛び交ふ酒場 走り蕎麦 |
三たての新蕎麦すする至福かな |
| 新蕎麦に老舗の味の受け継がれ |
新蕎麦や遠山は雲剥がしけり |
| 新蕎麦をそつと差し出すお持て成し |
新蕎麦を噛まずに食らうやせがまん |
| 新蕎麦や喪服の女通りけり |
店頭に打つ手を見せて走り蕎麦 |
| つゆなしの新蕎麦含み鼻呼吸 |
音立てて一気にすする走り蕎麦 |
| 退院やまず新蕎麦に誘われり |
新蕎麦や人それぞれに一家言 |
| 新蕎麦を食いたしアレルギー |
新蕎麦や藁屋根つづく大内宿 |
| 新蕎麦の香りに思ふ故郷かな |
小諸なる古城の茶屋の走り蕎麦 |
| 新蕎麦の香りのなかに棲む人よ |
虫の音と黙して競う蕎麦の音 |
| 新蕎麦の玲瓏として出されけり |
新蕎麦を打って休日終わりけり |
| 新蕎麦を食べアルプスを仰ぎけり |
新蕎麦の張り紙曲る銀座裏 |
| 戸隠の山の匂える走り蕎麦 |
新蕎麦を打つ腕太き山の里 |
| 新蕎麦を喰ろふて雨をやり過ごす |
新蕎麦や祖父のにほいがする季節 |
| 新蕎麦や多士済々の同好会 |
新蕎麦をお変わりする孫三代目 |
| 新蕎麦や今年の出来の長談義 |
夏ばてをしんそば食べて解除かな |
| 新蕎麦や息子の嫁か児を背負い |
相席の夫婦もつられ走り蕎麦 |
| 新蕎麦や無骨な父の癖字かな |
新蕎麦や額を拭う若主人 |
| 新蕎麦を啜る男の背の陰り |
新蕎麦やすばやく啜る通の人 |
| 新蕎麦や打つ人もまたすがすがし |
新蕎麦や街道行くも味のうち |
| 新蕎麦やふるさとの山なつかしき |
新そばのあるらし此処は饂飩の地 |
| 新蕎麦を打つ手自然と力込め |
新蕎麦や添へし太葱かじりつつ |
| 打ち水の三和土を楚々と走り蕎麦 |
新蕎麦を食べて冷やかす古本屋 |
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