| 冬りんご厚く剥いて科がめられ |
真二つに小鳥呼ぶ餌の冬林檎 |
| 善光寺津軽りんごに手を合せ |
炬燵には蜜柑の山と冬林檎 |
| しばし待て触れねば落ちむ冬りんご |
寒晴れの信濃を染めて冬林檎 |
| 早生リンゴいつの間にやら冬リンゴ |
たくらみを秘めし丸さや冬林檎 |
| 今もなお木箱に積めし冬リンゴ |
独り居の部屋のはなやぎ冬林檎 |
| ポテサラに一役買はむ冬りんご |
帰京の荷真っ先に解く冬林檎 |
| 桃よりも扱つかい易すし冬りんご |
母剥けば兎となれり冬林檎 |
| 冷メンの台座となりぬ冬リンゴ |
風邪の子におろして搾る冬林檎 |
| 虫眼鏡片手に探がすりんごの句 |
冬林檎園児が渡る青信号 |
| 冬リンゴ吊るして待つわ青い鳥 |
冬林檎小さき皿は妻のもの |
| 籾殻の衣をまとう冬林檎 |
実家より少し傷持つ冬林檎 |
| 籾の中赤い顔出す冬林檎 |
籾殻の中から掘り出す冬林檎 |
| 東北の友のもてなし冬林檎 |
冬林檎勤しむ朝の金メダル |
| 陸奥の友は髭面冬林檎 |
掃除機をかけし夫への冬林檎 |
| 木箱よりこぼれる笑みや冬林檎 |
亡き母の好物なりし冬林檎 |
| 冬林檎戦後は遠くなりにけり |
熟年の癒しの香り冬林檎 |
| 冬林檎火照りし頬に当てにけり |
幼児の両手に余る冬林檎 |
| 青春を噛みしめている冬林檎 |
移住者の努力実るや冬林檎 |
| 母のやまい心配なり冬リンゴ |
皮剥いて長さを競ふ冬林檎 |
| 紅顔と言われし昔冬林檎 |
冬林檎ハチローの詩も遠のけり |
| 今日の愚痴聞く耳持たず冬林檎 |
傷口に津軽のにほひ冬林檎 |
| 青春を昨日のやうに冬林檎 |
冬林檎母の得意なパイ菓子かな |
| 冬林檎話の弾む地図の旅 |
産土に留めて六十路冬林檎 |
| 生れしまま紅失せぬ冬林檎 |
籠りゐてひとひ波音冬林檎 |
| 冬林檎ドーハの辺り剥きにくし |
陽の香り土の恵みや冬林檎 |
| 幼子の掌に余りたる冬林檎 |
籠詰めのはちきれそうな冬林檎 |
| 風邪の吾に子の剥きくれし冬林檎 |
老い足ればこその青春冬林檎 |
| 冬林檎罪あるやうに刃を入れる |
ふるさとや鼻を近付け冬林檎 |
| 雪帽子被って重き冬林檎 |
冬林檎秘めし陽だまり芯の蜜 |
| 冬林檎恋の痛手を思い出し |
冬林檎うさぎとなりて卓跳ねる |
| 冬林檎剥いて二人の夜であり |
冬林檎行儀良く入る桐の箱 |
| 冬林檎二人で居れば温かく |
冬林檎ずしりと重し太陽果 |
| 林檎一つ渡して冬の片思い |
冬林檎皆に分けてと箱届く |
| お駄賃に貰って走る冬林檎 |
冬林檎落ちるなと皆声をかけ |
| 故郷の香りを添えて冬林檎 |
冬林檎綺麗に磨きお供えす |
| 冬林檎細かく切りて食ぶ齢 |
冬林檎突風吹いてごっつんこ |
| 冬林檎籾殻つけしまま売られ |
冬林檎細長く剥き赤い糸 |
| 燈の下冬林檎かなあかあかと |
手にとればしみじみ丸き冬林檎 |
| かぶりつき頬赤き子や冬林檎 |
病床に北の便りの冬林檎 |
| 荷を解けば香を解き放つ冬林檎 |
冬林檎食ぶ若き等の歯音かな |
|