| 枇杷の種食べた分だけ残りたる |
遠き日や母に抱かれし枇杷葉湯 |
| 枇杷の実のひとつひとつの灯りけり |
初物と言われて枇杷の香もう一度 |
| 鳥どものかしまし枇杷の熟れ頃か |
枇杷の実の心を癒す縮図なり |
| 枇杷熟るる旧家の門の閉じしまま |
お隣の枇杷いただくも垣根越し |
| ガブリ噛んでポロリ吐き出す枇杷の種 |
枇杷食へば人巡り来る半世紀 |
| 夕陽色染めて枇杷の実売られたる |
枇杷を剥くつるりと種の滴くかな |
| 枇杷の実の熟れて赤子の臍並ぶ |
うめ取りの 手が橙に のびる昼 |
| 実の程を知らぬ大きさ枇杷の種 |
爪立てて律儀に枇杷を剥く子かな |
| 生り年の落ちるに任すこつぶ枇杷 |
枇杷食べて子育て論をひとくさり |
| うす紙の褥に枇杷の生毛かな |
月斜め枇杷の実だけがぽつねんと |
| 目にやさし枕辺におく枇杷の籠 |
滝壺に白き風吹き枇杷甘し |
| 薄様をまとひて枇杷の到来す |
枇杷の葉に波打つ重さありにけり |
| 熟れし枇杷の小包出るは出るは |
酔い覚めの山の湯宿や皿に枇杷 |
| 賜りし枇杷良き種をやどしけり |
枇杷の実の産毛が包む甘さかな |
| 枇杷熟れて忘れられたる昼の月 |
枇杷熟れて天に届ける香りかな |
| 残照の空引き寄せて枇杷の花 |
柔毛にも逆毛のありし枇杷を剥く |
| 路地の鴉鳴き交ふ枇杷のたわわかな |
枇杷の実やご近所みんな核家族 |
| 甘い枇杷心うちとけ友の顔 |
枇杷の木琵琶鳴りやまず二重奏 |
| 気がつけば垣根の上の琵琶の花 |
枇杷の木の琵琶鳴りやまず二重奏 |
| 廃屋と知るまで枇杷の色づいて |
枇杷熟れる木いっぱいの祭りかな |
| ふるさとの 枇杷を想いて 涙かや |
枇杷熟れて雨に匂える一日かな |
| 琵琶の皮剥いて滴る甘さかな |
枇杷食へば疎開の頃や老ひ易く |
| 枇杷の種圧倒的な存在感 |
枇杷たわわ連絡船の銅鑼の音 |
| 枇杷の実の日照雨やみたる雫かな |
枇杷の実のひかり放つや雨上がり |
| 二階からふと見下ろせば琵琶熟るる |
枇杷甘し物は試しと種を埋め |
| 枇杷食べて種を飛ばすは子供なり |
母在るは昨日の如く枇杷熟るる |
| 雨上がりの琵琶は食むなと母教え |
十二歳枇杷の甘さのあまくなり |
| 婚約の指輪光らせ枇杷むく娘 |
枇杷の葉で病治ると煎じ飲む |
| 大いなる種ありてこその枇杷であり |
枇杷の実がたわわに実り山静か |
| どの家も枇杷の実うるる老の街 |
枇杷の実の甘さに偲ぶ故郷かな |
| 誰一人土手の枇杷の実採らで往く |
わが背丈いつしか超えて枇杷実る |
| ポンプ井戸残る佃や枇杷熟るる |
神さまの通り道なり枇杷熟れる |
| 見上げれど姿は見えず枇杷熟るる |
母在るは昨日の如く枇杷熟るる |
| 喜んで、枇杷を食べてる、妻の顔 |
路地裏のチリ紙交換枇杷熟るる |
| 主亡き庭に枇杷の木実を結び |
初夏をすするが如く枇杷を食む |
| 枇杷干して母の手製の暑気払い |
瑠璃皿に枇杷の黄うつし故郷かな |
| 母の日や好物の枇杷仏前に |
十字架に夕日浴びいて枇杷熟るる |
| 枇杷ならぶ潮の香近き道の駅 |
もどかしく皮ごと食べる枇杷の美味 |
| 枇杷の花母は生涯木綿着て |
初夏をすするが如く枇杷を食む |
| 縁側にびわの葉の風夕涼み |
枇杷の黄を確かめているたなごころ |
| いつの日か種無し枇杷の夢実る |
父母のいてこそ故郷枇杷甘し
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| 枇杷むくも慣れし手つきで地元の子 |
宝石と紛ふ輝き枇杷の種 |
| 腹割れば本心分かる枇杷の種 |
塀越えの隣家の枇杷のたわわなる |
| 丸齧りまさか大きな枇杷の種 |
枇杷の実を父母の墓石に一つづつ |
| 枇杷の種黒くごろごろ皿にあり |
病む人へ丸さと色の枇杷選ぶ |
| 吐き出せば大きに驚く枇杷の種 |
眼裏に母の猫背や枇杷干して |
| 枇杷をもぐ指の向かうは安房の海 |
初ものの枇杷を亡父に供へけり |
| 宮参り孫を抱く手も枇杷の色 |
雨に濡れ埋めゐし宝枇杷の種 |
| 枇杷の実の葉に隠れたる子沢山 |
遠き日の出て来るやうに枇杷を剥く |
| 腹黒の奴は好かぬが枇杷好む |
枇杷の実の熟れし頃合い手を伸ばす |
| 震災を耐えて残りし枇杷たわわ |
枇杷かじる吾子が振り向き手に隠す |
| 食べ残す枇杷黒々と種光る |
枇杷実るわれ三界に家ありや |
| 枇杷の芽に心待ちする夏の味 |
古里の父母亡き狭庭枇杷熟るる |
| 幼子の残念そうな枇杷の種 |
孫の来る知らせに枇杷を採らず置く |
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