| 金時の武者震ひなり生姜噛む |
鯖を煮る味噌に紛れて生姜の香 |
| 酔ひざめの髭に残りし生姜かな |
生涯をひとりに尽くす紅生姜 |
| 長考の谷中生姜を齧りけり |
手に染まる生姜の色こそ母の色 |
| 葉生姜を漬けるコップの甘酢かな |
葉生姜の香を放つ厨かな |
| 新生姜少女の細きうなじかな |
はじかみは乙女のはにかみ紅薄く |
| 擦られても未だ筋残る生姜食む |
駅弁の隅を彩る生姜かな |
| 我に似て厨に古りし生姜かな |
たくましき父の指先生姜摺る |
| 結はへられ一蓮託生新生姜 |
眼裏にいつも母在り生姜摺る |
| 新生姜恥じらふ乙女の頬の色 |
手をにぎり一巡りする生姜市 |
| 新生姜夕餉の仕度早いめに |
風邪に臥し母手作りの生姜酒 |
| 生麦の香り豊かに奮い立つ |
土落とす生姜の瘤と指の節 |
| ひとつまみモズクに生姜香り立つ |
稲荷寿司ほのかに紅き生姜かな |
| 高級な材のごとくに生姜擂る |
蝉時雨祖母の差し出す生姜糖 |
| 草取りで切った小指に生姜沁む |
遠き日や学生街の生姜焼 |
| 隠し味隠されている生姜かな |
生姜摺る厨に満つる香りかな |
| 職退きて夫が下ろす古生姜 |
生姜汁素早く混ぜて汁粉汁 |
| 土付けて葉生姜届く厨口 |
ステーキも生姜なくては威張られず |
| 地の恵み逃さじ生姜使ひ切る |
食欲を誘ふ香りの生姜かな |
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生姜焼学食ランチの頃の事 |
包丁の当て場に戸惑ふ生姜かな |
| ゾリゲンてふ髭剃りありし新生姜 |
薬味とておろし生姜に目鼻崩ゆ |
| 愛らしき稚児睦み合ふ生姜かな |
辛党も鼻はぴくぴく生姜かな |
| 葉生姜の京懐石の甘酢かな |
新生姜味噌添へられて縁側へ |
| 食細り葉つき生姜の梅酢漬 |
新生姜昔漬け方教えた娘 |
| 葉生姜の余りて埋めし庭の隅 |
新しょうが食欲湧けリ甘酢漬け |
| はじかみやコリコリコリと箸やすむ |
新生姜いつしか慣れし独りの餉 |
| 故郷の土の匂いや生姜着く |
片意地の後の失意や紅生姜 |
| 葉生姜の香りを売って朝市女 |
生姜する昼餉を母とふたりきり |
| 新生姜握り締めたる赤子の手 |
新生姜弾ける辛さありにけり |
| 生姜摺る母の背中の小さくて |
新生姜刺身の脇につつましく |
| 焼きたての魚におろす新生姜 |
新生姜黒子の如き過去なりし |
| 葉生姜の畑に雨の小籠かな |
三世代揃う食卓新生姜 |
| 脇役に徹して辛き生姜かな |
荷解きの香りのあふれ新生姜 |
| 生姜酒夜風の中に歳を見る |
人型の生姜や卓を賑わしし |
| 母在らば生姜を漬ける日和かな |
薑や磨られて味の丸くなる |
| スパゲティーに一味足して新生姜 |
古生姜厨の端に捨て置かれ |
| 生姜の香麺を引立て麺に添い |
曖昧な彼を刺してよ針生姜 |
| 葉生姜の茎の紅きや手塩皿 |
新生姜四畳半から見る公園 |
| 冷奴おろし生姜に夏惜しむ |
新生姜手打の技は父ゆずり |
| 土つけて生姜売らるる輪島かな |
晴れの日に赤いべべ着て生姜かな |
| 葱生姜海苔取り合わす薬味かな |
葉生姜を遠路の客が好みけり |
| 洗われて黄身赤心の生姜かな |
食卓に生姜醤油は母の味 |
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