俳句庵

1月『粥柱』全応募作品

(敬称略)

めでたしや箸のよろこぶ粥柱
粥柱立てて今年の夢作り
粥柱いろり囲みし遠き日よ
朝寝の子待って蓋取る粥柱
子の年や鍋に浮き立つ粥柱
見た目より心は強いの粥柱
粥柱太くねばこく生きてやる
粥柱家庭的だが心強し
あらたまの多幸を祈り粥柱
箸の先吹いては冷ます粥柱
丸餅がわが家のならひ粥柱
患ふも床上げ近し粥柱
粥柱食べて我家の春とする
粥柱終えて芝居へ女正月
粥柱心に近いて奮い立つ
塗椀の黒こそ良けれ粥柱
会えずとも息災ならば粥柱
粥柱七草いれて厄払い
粥柱やさしい湯気に笑みこぼれ
粥柱湯気立つ方を恵方とす
ふうふうと吹かずに食す粥柱
新年の動き鋭く粥柱
息災や今年もこの日望の粥
母許の鍋もなつかし粥柱
大き餅平らぐ健啖粥柱
あきらね粘り強くと粥柱
椀重し餅の大なる粥柱
粥柱老いし義母にと餅を割る
熱熱の重き椀掌(て)に粥柱
100歳のまだ生きんとす粥柱
食ひ尽くし息災なるゆえ粥柱
一筋の湯気も吉兆粥柱
ちと焦げし餅の色ある粥柱
朗報が来るやも知れぬ粥柱
切り餅の煮立ち崩れぬ粥柱
凧上げて悴むだ手に粥柱
正座せし銘銘膳に望の粥
アリゾナの男やもめや粥柱
盛り出され餅の立ちいる粥柱
娘婿招いて今朝の粥柱
望の粥銘銘膳に正座して
二度三度予行演習粥柱
煮え立つも傾がぬ力粥柱
授業前縁起担いで粥柱
椀よそふ餅の多くと粥柱
今日もまた元気の源粥柱
餅伸びて長寿のあかし粥柱
注連取って香り新たな粥柱
床柱背にし主は粥柱
粥柱海苔を浮かべて白と黒
新築の柱も頑丈粥柱
母が居り祖母も居りけり粥柱
粥柱ほのかに染まる泣き黒子
粥柱梅干おいて日の丸に
成人も祝って立てる粥柱
粥柱つぶやく音も口に入れ
粥柱誓いも高く空をみる
彩りは心に任せ粥柱
粥柱縁談破談子沢山
餅入れば命固まる粥柱
さみどりのほのかに香る粥柱
マンションに妊婦のふえて粥柱
三世代揃って祝う粥柱
奥能登はランプの宿よ粥柱
身の丈に過ぎ行く日々の粥柱
新家族加え寿ぐ粥柱
世知辛き歳を噛みしむ粥柱
色の無き色を尊ぶ粥柱
子供らの健やかなりし粥柱
艶やかな白の目出度き粥柱
今年また食べる幸せ粥柱
粥柱季語で味わい深くする
眠そうな顔も混じって粥柱
支えられ生きる幸せ粥柱
くつくつと湯気からもれる話し声
粥柱藻塩を少し振りかけて
祝い箸探し当てたる粥柱
帰省子も加わり祝ふ粥柱
一椀にあふるる白さ粥柱
灯台に命預けし粥柱
粥柱今や新しき食べ物に
年男父は一家の粥柱
天地の恵み含むや粥柱
粥柱歯医者通ひが今日終る
流れたる大和魂粥柱
しみじみと妻と向き合ふ粥柱
先祖居て子孫生れたり粥柱
義姉の家あいさつの後粥柱
箸先も慶祝掴む粥柱
初春に韮粥柱胃にやさし
早起きの母丹精の粥柱
九十まで生きるつもりの粥柱
神棚に湯気も供えて粥柱
いそいそと仕立ててをりぬ粥柱
団欒に明るき知らせ粥柱
白々と椀に透けゆく粥柱
朱の椀に青みの映えて粥柱
あらたまの一家揃って粥柱
粥柱ゆらめく湯気の淑気かな
粥柱さめないうちが幸せよ