| 大根に味しみている鍋帽子 | 大根煮る強火弱火や母の味 |
| 炊き出しや祖父の定番鰤大根 | 通人はまず大根を食ふおでんかな |
| 妻が抜き子らの手伝ふ大根引き | 土つけて大地ノ匂ふ大根かな |
| じっくりと煮込む大根飴の色 | 大根の煮られおろされ漬けられし |
| 一村の軒端を占めて干し大根 | 大根を赤児のやうに胸に抱き |
| 海風に染め上げらるる干し大根 | さつきから大根煮る音眠気さし |
| 半島は大根畑に覆わるる | 大根煮る音不連続ふすま越し |
| 大根の果て無き畝や地平線 | 大根をポンポン投げる漬物屋 |
| 大根を食ふ青春の懐かしき | 粥の具に大根好む老い二人 |
| 大根を煮て息災を祈るかな | 大根を掲げて踊る豊年祭 |
| 大釜で大根煮らる冬の京 | この一品夫や自慢の鰤大根 |
| 大根のあめ色の湯気帰省かな | 漬樽の大根さみし老いの家 |
| 大根を嫌いといった人がいた | 懸垂の意欲は失せし干し大根 |
| 大根を火に掛けジャズを聴いており | 大根の首も刎ねけりレジ係 |
| 主婦の目で選ぶ大根やハイヒール | 無造作に大根の頸きる八百屋 |
| 半分の大根で足りる核家族 | 下ばかり残る大根の切り売り場 |
| 大根の真白き肌をかかへ買ふ | 飴色の鰤大根や舌に融け |
| 土のままおすそわけする大根かな | 切干大根蓄え玉手箱 |
| 道の駅葉付き大根の良く売れて | ふろふきの色も香りも味も良し |
| 潮風のさわぐ三崎の大根畑 | 大根を脚に見たてる白き艶 |
| 色白の大根の肩の丸さかな | 大根の花に初恋色の浮く |
| 大根に黄昏しみてハーモニカ | 大根を干してラインダンスのやう |
| 大根や白く長きメビウスの輪 | カイワレカイワレダイコン八千本 |
| 君言えり大根は体に良しと | 網棚に匂ふ故郷の大根漬け |
| 大根や軒と吊るせしあの夕陽 | 大根引く岬や鳶の輪いくつ |
| 大根を刻めし母の音重く | 葉大根ごろごろ無人販売所 |
| 大根や葉の悲しみを貧者知る | 丸大根四つに切って大銀杏 |
| 大根を洗い上げたる眩しさよ | 大根葉細かく切ってお漬物 |
| 大根の位置の定まる厨かな | 繊細に大根のつま華添える |
| 大根や日本の母のここにあり | よかおごじょ薩摩大根自慢品 |
| ヤンママの先ず大根を買いにけり | ふろふきを食べて心の傷癒す |
| これほどに捨てるとこなき大根かな | 孫が来て大根よいしょ引っこ抜く |
| 一杯の肴に風呂吹あればよい | 大根を抜けば尻餅空を指す |
| 抜きん出づ太き方より大根引く | 大根のお尻並べて朝の市 |
| 大根の煮加減箸突き妻の笑み | 大根の水を濁して真っ白く |
| 子に孫に継がで捨つるか大根畑 | 捨てられし大根畑にガソリン高 |
| 大根引くしばし腰伸べ穴見遣る | 大根畑風とおしゃべりざわざわと |
| 煮大根湯気も芳し夕餉かな | 海青し三浦大根抱えをり |
| いづく家も昔見慣れし干大根 | 白子の目大根おろし白きこと |
| 大根の花少女らの息のごと | 赤土の大根畑でありにけり |
| 風呂吹きのなんと美人な大根よ | 間引菜に大根の辛味ありにけり |
| 料亭の味には負けぬ大根煮 | 黒土を畝高く積む大根畑 |
| 帰り道大根抜いて手土産に | ゆっくりと輪切りの大根煮ゆるまで |
| 大根のようにかわいい足の女 | 地震なくば高原大根買ふ旅に |
| 大根葉炒めてかける白ご飯 | 味噌汁の具の大根の甘味かな |
| 大根買ふお国訛りの老婆より | 大根干す電車の見ゆる農具小屋 |
| 大根干すアンデス颪といふ風に | はふほふと口福ほおばる秋の夜 |
| 昨夜の雨溜りし大根抜きし跡 | 大根の白さを抱きて妻帰る |
| 土匂ふ大根すっぽり抜けし時 | 洗い大根山と積みたる農の庭 |
| 大根干す日語教師として老いぬ | 大根の箱山積みに出荷前 |
| 老いてより似てきし夫婦大根食ぶ | 店頭の尾張大根白競う |
| 畑にもこなべっぴんはんいてはったん | おでん鍋大根好きよという彼と |
| 脇役者主役盛り立て演じはる | 大根や舞妓ほどなる肩をだす |
| 世間では色んな足に例えられ | 妖艶な肩をのぞかすだいこかな |
| 北風に干され干されて旨味増す | 風ふいて吹いて大根売れ尽す |
| 料理にはひと手間入れて角おとす | 挨拶の代り大根掲げけり |
| 純白も貴方好みの味となり | 大根や精一杯に背伸びする |
| 大根を仇の如くおろしけり | |
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