| 味噌汁の土用蜆に目覚めけり | 酒漬けし土用しじみや寒山寺 |
| 土用蜆の一汁三菜一人の餉 | 大椀に土用しじみの六拾年 |
| 遠い日の土用蜆や病み上り | 二歳児の土用しじみは殻ほじり |
| 来る人に土用蜆の小鍋立 | 朱の椀に土用蜆の砂光る |
| 風邪の児に土用蜆の朝餉かな | たらちねの母へ土用の蜆汁 |
| 湯気立てし土用蜆のつやを食ふ | 土用蜆砂金の如き砂吐けり |
| 宍道湖の靄より土用蜆舟 | 口あけて土用蜆の苦笑ひ |
| 靄の中土用蜆をとる小舟 | 土用蜆真水に浸し砂吐かす |
| 寝たきりの祖母に土用蜆買ふ | ゆっくりと喉元を過ぐ蜆汁 |
| 路地裏に土用蜆を売る声来 | 土用蜆掻くや入江の黒土に |
| 朝市に土用蜆を売る少年 | 椀の中土用蜆の沈みをり |
| 出雲にて土用蜆の朝餉かな | 土用蜆幼馴染へ手土産に |
| 土用蜆涸沼の里や黒集り | 土用蜆残業の子に温める |
| 一粒も身逃すまいぞ土用蜆 | ウォーキング勧めて土用蜆かな |
| 貝塚や幾重の宴土用蜆 | 土用蜆買ふや無聊の夫のため |
| 椀に盛る暑き日熱き土用蜆 | 万葉の四時美の一つ土用かな |
| 朝餉かな酔い醒め土用の蜆汁 | 土用蜆年寄りの暇つぶしけり |
| 殻皿に恵みの丈や土用蜆 | 土用蜆青田刈りの物交じり |
| ため息の主人に今夜土用蜆 | 土用蜆汁のみ啜る昼休み |
| じりじりと焼ける日にこそ土用蜆 | 貝の風呂浴びていただく土用蜆 |
| 活力が土用蜆に詰まってる | 窓開けりゃ隣の飯も土用蜆 |
| 毎年の決まり事です土用蜆 | そりゃあるさ土用蜆の神通力 |
| 蝉に負け土用蜆に助けられ | 口開けぬ土用蜆の強情さ |
| 宍道湖と琵琶湖が出会う土用蜆 | 母の忌に土用蜆の炊込み飯 |
| 鹿之助土用蜆を噛みしめる | 土用蜆あの日還らぬ特攻機 |
| 母が溶く土用蜆に田舎味噌 | 土用蜆われに老後の踏ん張りを |
| 土用蜆月明浴びて眠りこけ | 寄席のあと根岸は土用の蜆汁 |
| トーストに土用蜆の漁師かな | 丹念に土用蜆の身を箸に |
| 幼子に土用蜆は乳のよう | 味噌汁を掻いて土用の蜆取り |
| 落日の湖土用蜆育てけり | 威勢よく土用蜆を大盛に |
| 暑に耐ふる土用蜆が舌を出す | 肝吸ひの処を土用蜆汁 |
| 土用蜆更けてことりと寝返りぬ | 蜆取り土用の朝日拝しつつ |
| 滋養ぞと土用蜆を病む兄に | 体調を託して土用蜆汁 |
| 味噌汁の土用蜆の波の音 | 受け継ぎし土用蜆の妻の味 |
| 土用蜆つぶやくごとく泡を吹く | 職さがす土用の疲れ蜆汁 |
| てらてらと土用蜆の洗ひ桶 | 見舞とて土用の蜆給わりぬ |
| 朝餉卓土用蜆の椀並ぶ | 退院の土用蜆という滋養 |
| 額拭き土用蜆の汁熱く | 旧友と土用蜆で語らんや |
| 椀小さし土用蜆の犇けり | 艶やかな土用蜆の粒揃い |
| 殻すべて土用蜆のせせらるる | 競い合ふ土用蜆を椀の中 |
| 薬とて土用蜆の汁五杯 | 精つける土用蜆や父百歳 |
| 休肝日土用蜆の「飲め」と言ふ | 葱散らし土用蜆の汁薫る |
| 土用蜆夫の愚痴を聞いており | 乗り切れと土用蜆を朝夕餉 |
| 朝市に土用蜆の跳ねており | 止めには土用蜆と言い訳す |
| 土用蜆妊婦と赤子活気づけ | 母もまた土用蜆を薬とす |
| 味噌鍋に土用蜆の踊りけり | 医者嫌い土用蜆を日に三度 |
| 土用蜆食べて明日も生き延びる | 一升の土用蜆の大家族 |
| 土用蜆掬い取るには指がつり | 地球掻く土用蜆の笹葉舟 |
| 大海にかくも小さき土用蜆かな | 根の国の土用蜆は夜に泣く |
| 病む母ヘ一椀土用蜆かな | 土用蜆殻から外す舌の先 |
| 土用の日せめて蜆を山積みに | 此の季節土用蜆でのりきろう |
| 土用蜆触れ合ふ音も艶めけり | 呑み過ぎに土用蜆の琥珀酸 |
| 夏痩せの父に添ヘたる土用蜆かな | まどろみて土用のしじみ泥の中 |
| 後悔の砂吐く土用蜆かな | 寡黙なり土用蜆に老夫の手 |
| 裏返す土用蜆の殻の照り | 行平に土用の蜆べろ白く |
| 嫁姑和み土用の蜆汁 | がしがしと貝もて洗ふ土用しじみ |
| 定食に蜆汁つき土用かな | 熱き味噌酒が抜けてく土用蜆 |
| ふんばりを助ける土用の蜆汁 | 土用蜆在りし日母の掌 |
| 行商の土用の蜆の声を待つ | 休肝日土用蜆を酒びたし |
| 苦学生土用蜆を売る昔 | 冷や飯に土用蜆の汁をかけ |
| 御品書き土用蜆の丸き文字 | 父の忌や土用蜆の量り売り |
| アロハオエ土用蜆の邦人会 | 飲みすぎて土用蜆の朝の膳 |
| 刺し結ぶ土用しじみの朝陽かな | 一椀の土用蜆の残り砂 |
| 鍋のまま土用蜆や出雲宿 | 母の背中土用蜆の香りよし |
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