| 里泊り刈上げ餅のお相伴 | 親の目を盗みし餅のうまさかな |
| 背戸に客指紋の残るよもぎ餅 | 切らせればいびつ揃へし孫の餅 |
| 柔かき餅の喉越し危ふかり | 孫曾孫間に合ふかしら餅十斗 |
| 餅を搗く妻を今年も相方に | 次々と餅搗く父の力こぶ |
| 餅を焼く焦がさぬやふにうらおもて | 餅搗きの響く大地に命あり |
| 搗きたての餅を呑み込むやふに食む |
口下手が上手に焼きし丸い餅 |
| ふるさとに戻る若者餅を搗 |
手のひらを転がし餅が丸くなる |
| ふるさとは餅搗く音に賑はへり |
顔を汚してまだ食べる黄粉餅 |
| 明日近し焼き餅囲み紅白戦 |
餅焼いて心の中も膨らます |
| 今様の餅や水の甕知らず |
原料の何かを知らず餅食ふ娘(こ) |
| 子等も出て二人で覗く餅搗き器 |
次々と餅焼けてきて独りかな |
| 子も寝入り餅搗くうさぎも絵本棚 |
菓子箱に立てて詰められ餅届く |
| 止められぬ赤児の餅肌摘む癖 |
手間要らぬ両面焼きの餅焼器 |
| 荒海や船出る民に力餅 |
つききりでこまめに反し餅を焼く |
| 母の手でのばした餅が丸くなる |
餅焼いて独りの夜を持て余す |
| 火鉢の火餅をはじかせ燃えている |
焼き餅の脇に並べし入歯かな |
| 鏡餅母さんみたいと子が笑う |
餅つきや兄の強さに驚きぬ |
| 餅腹でひとつ鼓を打ってみる |
搗役を忘れて食いし千切り餅 |
| 餅ふくれ醤油をつけて口はこぶ |
孫の問う餅と団子の違いかな |
| 全校で餅搗く課外授業かな |
千切り餅婆の手量り確かなリ |
| 餅食べて健やかだけを自慢とし |
餅丸め餡子はみ出し食いにけり |
| 餅焼くや母の寝顔を見ず育ち |
餅の音きのう高砂きょう井筒 |
| ぞうに餅あの頃みんな大家族 |
青空に餅の音する寛永寺 |
| 餅つきの杵音響く故山かな |
餅搗くや女系家族の婿となり |
| 豆餅や幸福念じ祖母丸め |
還暦や頑固一徹からみ餅 |
| この餅もうさぎつきけり望月に |
餅を搗く男衆にまじる異邦人 |
| 雑煮より懐かしき想い滲みけり |
しばらくはつきたて餅を手に遊ぶ |
| 神棚に紅白餅は鎮座せり |
杵掴む餅の強さに息上がり |
| 杵でつく餅は延びたる命かな |
風呂敷の真中に座る鏡餅 |
| 息の合うかけ声かろしお餅つき |
園児には昔話やお餅つき |
| 一升餅背負いし孫の一歩かな |
ふた臼の餅つき終えて腰曲がる |
| 一枚の伸し餅で足る老いふたり |
のし餅のしんと冷たきたたずまい |
| 餅搗きや板塀残る根岸かな |
餅ひとつ焼いて男の昼餉かな |
| のし餅の切り時をみる指の跡 |
草餅の香りが残る鍋洗う |
| 妻の留守夜食にひとり餅を焼く |
賞品はもち米二キロ草野球 |
| 餅だけでしのぎし青春神田川 |
不器用に生きて焼餅硬くなる |
| 下宿屋の三畳郷の餅を焼く |
ふるさとの訛り出てくる餅料理 |
| 餅を切る父は定規を子に持たせ |
テレビ点け洗濯廻し餅をチン |
| 餅数ふ昔はどこも子沢山 |
餅を搗く三和土のくぼみ臼の跡 |
| 餅焼くや履歴に賞罰なかりけり |
五平餅味噌芳しく格子窓 |
| 晩学は休み休みや餅を焼く |
餅花を抱え人混み抜けにけり |
| 餅の音どの家も聞こえし今はなく |
餅花の揺れて畳を掃くごとく |
| 伸し餅のごと延ぶ命であらまほし |
昼までの温かさかな腰の餅 |
| 餅を搗く「ヨイショアイヨ」の父母なりき |
搗きたての餡に黄粉に辛味餅 |
| 餅搗きて年のけじめとせし昔 |
早搗きの餅の捏ね取り神がかり |
| 尻餅をつきて倒るる雪の道 |
寿命ほど餅を伸ばして舌で喰う |
| 搗きたての千切り餅くれし母なりき |
伸ばしたら縮まぬ餅と鼻の下 |
| 氏子らが獅子の上より餅を撒く |
餅と縁早く切らぬと手に負えぬ |
| おぼつかぬ足でそろりと餅を踏む |
物置に餅を忘れた臼と杵 |
| 小正月火鉢の餅の番をして |
餅搗くや子の婚祝ふめでたさに |
| 新米の餅はどこまで伸びるやら |
餅つきや君と僕とは杵と臼 |
| おばちゃんの餅を丸めて冬温し |
鏡餅割れば笑顔の見へてきし |
| 菱餅の三色作る娘かな |
餅つきの筋肉痛の心地良し |
| 家長われ儀式の如く餅を切る |
棟上の餅大空へ投げにけり |
| 父と母阿吽ノ息で餅を搗く |
餅食べて大きくなりし喉ぼとけ |
| 餅を焼く静かな時の流れけり |
亡き父の好物餅を供えけり |
| 魂の相寄る如く餅二つ |
手の赤く五升のもち米とぐ夕べ |
| 草餅の色になるまで焼きにけり |
いが餅は千代の好物紅葉晴れ |
| 餅三日けふは茶漬としたりけり |
いが餅のありて茶会やもみじ晴れ |
| 拉麺にお餅を載せるとふレシピ |
なつかしきいが餅千代の生家かな |
| 初孫が差出人の手形餅 |
橡餅の山ふところの香りかな |
| 新婚へ豆たっぷりの餅届け |
ふるさとに知る人の減り餅を焼く |
| デパ地下や餅臼連ね夜連ね |
いくつまでいくつ食えるか磯辺餅 |
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