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- 俳句庵 2010年08月 優秀賞発表
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俳句庵
8月『盆一切』全応募作品
(敬称略)
- 盆の月工事途中の新タワー
- 盆用意母の背中の淋しけり
- 差す手より哀愁放す風の盆
- 排球のこぼさぬように盆の月
- 盆踊り高齢なれど指の反り
- 盆の月テールランプの続き居り
- 盆踊り子供が入り輪の歪
- 荷を降ろし帰る峠や盆の月
- 昭和の輪開いて閉じて盆踊り
- 卓球のラリーの続く盆休み
- 携帯で写す今風盆踊り
- 新盆や 四日三泊の 早きこと
- 流灯の別れ惜しむや岸離(か)れず
- 二代目の ほうろくの上 苧殻焚く
- 盆魂の鎮まり給ふ奥座敷
- 洋花も 添へてみるなり 盆支度
- 盆用意父母の遺影の額清む
- ほおずきの香を漂わす盆の棚
- 送り舟供物重きや傾げゆく
- 若僧侶麦茶も飲まず南無阿弥陀仏
- 読経終へお茶を断わる盆の僧
- ヒグラシと共に焚き初む迎えの火
- 盆棚に考(ちち)の好みし酒供ふ
- 新盆の祖母が手書きの「盆用品」
- 孫迎う用意が先や盆用意
- 仏膳に供えし昼餉の茗荷蕎麦
- 孫たちと過ごすお盆や後幾度
- 灯を替えて省エネ型の盆提灯
- 農道を疾駆す法衣盆供養
- 二世代のこの家育ちの盆の客
- 口蹄疫涙で飾る盆の牛
- 掃苔を頼める吾子となりにけり
- 地蔵盆千の灯供う念仏寺
- 生きて来る客は賑やか盂蘭盆会
- 盆休み小間の父母見る孫曾孫
- はらからのまた一人欠け生御魂
- 思い出のめぐる灯りや盆提灯
- 流燈を追うてしばらく歩きけり
- 吾が畑の野菜の牛馬盆用意
- 盆踊派手な浴衣は老人会
- 忙しさを言ひ盆僧の茶も飲まず
- 盆近し五木の子守唄謡ふ
- 外国車乗りつけ若き盆の僧
- 七草の灯かり訪ねる盆の虫
- 先代に似て盆僧の袈裟姿
- 盆ごとに仏間に座る長さかな
- 盆支度妻に似て来し子の仕草
- 曙の古利根に牛歩の精霊馬
- 盆踊り今は昔の夜の灯よ
- 磨くほど浮世を映す盆の墓
- 縁側に盆提灯の遠き日よ
- 稽古太鼓鳴りては止まる盆近し
- 盆過ぎて皺またひとつ増えしかな
- 盆踊り東京音頭待ちて入る
- 盆の月太鼓の音のいさぎよし
- 手をひとつ打ちて輪に入る盆踊
- 新しき花緒が急ぐ盆の夜
- 踊れさうなれど見てをり盆踊
- 盆提灯神妙に持つ幼の手
- 盆おどり空気に祖霊あまた充つ
- 爆竹の精霊祭り夜は更けて
- 義経の流せし弓の盆の唄
- 提灯の無数の灯り浜送り
- 三回の待った許すと生身魂
- 生前の写真満載精霊舟
- 一役を空けて待ってる盆芝居
- 草取りに夕までかかる墓参り
- 好物の芋蛸南瓜盆用意
- 幼子も飾り手伝う盆供養
- 念入りに赤い信女の墓洗う
- 古希が背の喜々たる母や大文字
- 教え子の説教を聞く盂蘭盆会
- 裏口の迎火ひとり亡妻を待つ
- 夭折の子の年数ふ地蔵盆
- 二歳児のまつげ伏せにし魂祭
- 盂蘭盆や母に似てきし三姉妹
- 棚経が流るる裏の邦人街
- 盆の僧あの世この世の架け橋に
- 初盆や形見の小紋掛け待てり
- 新盆や母にもあった隠しごと
- 後添の妻かひがひし盂蘭盆会
- 大柄の父の乗りたる茄子の馬
- 幼名で呼ばれ振り向く盆参り
- 遠路きて盆の仏間に子を寝かす
- 身の内の風となりゆく風の盆
- 送り火の炎の果ての赤き月
- しばらくは一人佇む門火かな
- つきをみて おぼんのひやし そうめんか
- 流燈や幼き子らの名が滲む
- 盆供養 坊さん車で ホイサッサ
- 夜の風心して吹け精霊舟
- ぼんちかく おはかのくさ きにかかる
- 茄子の牛日向に向けて並べけり
- うら盆え こぞを偲びて 集いける
- 燈篭もそれぞれの生燃やしけり
- ぼんがきて るすにほとけの あのなみだ
- 盆の月老母と二人縁で見る
- ぼんのそら いちばんぼしは むすめぼし
- 盂蘭盆や会いたい人があまたあり
- 迎え火や軍服の父直立す
- 繋がりし未生に戻る盆の夜
- 迎え火や父に似た人見失う
- 誰彼も今は笑いて生身魂
- 十八歳戦死の兄に門火焚く
- 賑やかに過ぎて今宵の盆踊り
- 盂蘭盆や悲しいまでに空青き
- また会える人たちがいるお盆かな
- 迎え火や勲章なんかいらんのに
- 送り火の戻らぬ人を帰しけり
- サハリンの沖にゆっくり盆の月
- 思い出は思い出を呼び走馬燈
- を偲ぶ初盆供花かおる
- ふるさとは過疎にちかづく盆の月
- 父母恋し五山の送り火夜を焦がす
- 大草履 玄関にある 初の盆
- 子の来ずにひとり出かける迎へ盆
- 新盆や 墓石にかける コップ酒
- 盆休みバイクで向かふ実家かな
- 盆の客 去ってニ階に 風抜ける
- 聞けばみな六月生まれ盆踊り
- 盆休み カラスだけいる 丸の内
- 胡弓の音染み込む柱風の盆
- 盆踊り アニメソングに 沸く子供
- 祖母ならひ小さき手合わす盆送り
- 流灯や遠き想いのさざ波に
- 新盆や呼ばれるままに地へ降る
- 一人焚く門火に風の生まれけり
- 門火焚く毬栗あたまと三つ編みと
- 門火吹く風こそ亡母であらまほし
- 子の切符買い足してゐる盆帰り
- 初盆や笑顔の母の写真拭く
- 渋滞も年中行事や盆休み
- 両隣同じ僧なり盆の経
- 盆過ぎて常の二人に戻りけり
- 箒目は玄関に向く盆の家
- 真鍮も磨けば光る盆の家
- 飲むほどに昔々へ盆の夜
- 南無南無と児は居眠りの盂蘭盆会
- 兄妹親に似てきたしずかに盆
- ふるさとに大きく出でし盆の月
- 手土産は母の墓前に盆帰り
- 早く死にたいが口ぐせ生身魂
- 耳遠きだけが病よ生身魂
- 門火して祖霊を迎う三世代
- 幼名で呼ばれ振り向く盆の径
- 褒章を胸に矜恃の生御魂
- 座ること下手な西瓜を供へけり
- 背を流すごとくに父母の墓洗う
- 盆支度疎みし姑の指図欲し
- 盆の墓背を流すごと拭き清む
- 手慣れたる姑を頼りに盆用意
- 本流に入る流燈の早さかな
- 新盆や 四日三泊の 早さかな
- 盆の月悲しきまでに透明に
- ドラッカー書店にならぶ盆の月