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- 俳句庵 2013年09月 優秀賞発表
- 俳句庵 2013年09月 作品一覧
俳句庵
9月『月』全応募作品
(敬称略)
- 埼玉県 ―
- 今生の舞台を照らす月明り
- 背泳ぎや真上にありし昼の月
- 月面に空気なかりし星条旗
- 岡山県 名木田 純子
- 湯中りをするも野風呂に月を待つ
- 月影を乱して船の通り過ぐ
- 月明りたよりに辿る鄙の宿
- 埼玉県 小玉 節郎
- 名月の貼り付いたまま赤城山
- ゴロリ寝て中窓障子に月を見る
- 記憶から月を掻き消す酩と酊
- 月ひとつ月の名所は数知れず
- 東京都 蘭丸
- 名月や借家の床の傷目立ち
- 裏木戸にリア王が立つ月見かな
- 上戸さえ幾多呑まるる月見舟
- 東京都 安西 信之
- 月光や怨み辛みは人の常
- 外遊の豪華客船月天心
- ほろ酔へば月の潮路を行く如し
- もう一つ月がほしいと泣く子かな
- 漁火に魚群閃光月天心
- 愛知県 野村 修三
- 月明や一家で窯に火入れ式
- 月明やゆるりと廻る観覧車
- 月明や一音に賭く調律師
- 中天の月や水郷句碑の群れ
- 月明や河の流木岸に着く
- 千葉県 横井 隆和
- 靴跡の 残れど今宵も 月は月
- 欠け行くも 満ち来る月も 楽しけれ
- 銀ブラに ネオンが灯る 夕月夜
- 満月に 魅せられ登る スカイツリー
- 大阪府 永田 蓮葉
- 月さして社はさらに清らなり
- 長野県 秀山
- 日中の 酷暑忘れる 月あかり
- 埼玉県 哲庵
- 湯上がりの君待つ刻や月涼し
- 月天心銀座服部時計店
- 月の海携帯電話群れ泳ぐ
- 月光を浴びて変身磨崖仏
- 仮設窓開けて月光差し入れぬ
- 島根県 清水すず
- 中天に半月赤き終戦日
- 月を待つ湖上にゆるる船の影
- 踊り果て櫓に傾ぐ赤い月
- 大阪府 太田 紀子
- 名月や千戸の団地照らしをり
- 名月や終バス去りし停留所
- 名月や山門固く閉ざされり
- 名月をともに見し子の便りなし
- 愛知県 山歩
- 佐久と諏訪結ぶ峠や月明り
- 名月や峠の宿の外厠
- 満月や山の露天湯独り占め
- 夕月や村のはずれの常夜燈
- 名月を映す貯水池満々と
- 北海道 飯沼 勇一
- 島立ちの児の見おさめの島の月
- 観覧車月の高さに登りけり
- 車窓より月のうさぎを見てをりぬ
- 叔母の通夜月の滲んでをりにけり
- 見あぐれば鉄骨に月堂々と
- 栃木県 長浜 良
- 満月の天空にきて動かざる
- 天心の月へ背なの子反り返る
- 三方に不揃い団子望の月
- 三重県 平谷 富之
- どうしても月より君に行く視線
- 大阪府 文香
- 山嶺のみな真新し今夜の月
- 月の浜波をまくらに出でる船
- さよならの言葉は言えず月仰ぐ
- 塀の上に寝そべる猫の月見かな
- 月天の忌日の娘に語らひぬ
- 東京都 岩川 容子
- 名月や茶室に飾るまるき壷
- 子規庵の路地裏暗き月明り
- いくたびの転生なるか満の月
- 広島県 安冨 正則
- 名月やほのかに白し州浜かな
- 東京都 いづみ
- 大雨の過ぎたるあとの月白よ
- 待宵の母はちひさくなりにけり
- 雲の峰同じ色して昼の月
- 無造作に別れて悔やむ十三夜
- 月の雨灯りほどけてエアポート
- 富山県 岡野 満
- 名刹の伽藍の闇へ月明かり
- 昇りつつ小さくなって青い月
- 熊本県 貝田 ひでを
- 月観つつ残業の父門に待つ
- 佳き人を駅まで送る月の道
- 月今宵赴任の父にメール打つ
- 神奈川県 長瀬 正之
- 妻の手に残る潤い望の月
- 月光を溢すことなく飛騨盆地
- 残業の目途つく窓の外は無月
- 登り来て姥捨山の望の月
- 月天心7人の敵大手町
- 兵庫県 山地 美智子
- ひとところぼやけしままに月渡る
- 黒雲に遮られつつ月渡る
- コンビニへ出かけ月夜と知りにけり
- 月の出や棚引く雲の夜も白し
- アルバイト疲れて帰る月夜かな
- 山口県 ひろ子
- 窓開けて月光あびる静けさよ
- 大阪府 瀬戸 順治
- 月ひとつ浮かべて海の揺らぎけり
- 東京都 村上 ヤチ代
- 外つ国も程無く同じ月出でぬ
- 東京都 岩崎 美範
- 名月や午前一時の隠れ宿
- 埼玉県 冨野 泰啓
- いつしかに寝息の妻や閨の月
- 月の夜の訃報書取る手暗がり
- 静脈をナースの探る月明り
- 先客の月のこぼるるひとりの湯
- 寒月へ離陸許可待つブロペラ機
- 東京都 笹木 弘
- 月天心真下に歩く影法師
- 九十九里の波を包みし月の夜
- 月の底手に届きそう観覧車
- 気仙沼の海を鎮めて月渡る
- 波の無き硯の海に丸き月
- 埼玉県 守田 修治
- 銀ぶらや絵の具にはなき月の色
- 月光に濡れるにまかせ少女ゆく
- 月高く終い湯となる桶の音
- 神奈川県 佐藤 博一
- てのひらに乗せて見たきや今日の月
- 大阪府 横山 泰典
- 単身の夫を見送る月の駅
- 満月やちよつと立ちよるたこ焼屋
- 雲ひとつなくて不満の月の客
- 山口県 山縣 敏夫
- 愛犬に家路を急かす夕月夜
- 妻は旅今宵手酌の月見酒
- 千年の君を想うて星月夜
- 縁側に月見団子がおわします
- 四十年夫婦の見遣る月見かな
- 千葉県 伊藤 和幸
- 澄むこころ月のしずくに濡れるごと
- 月天心息をひそめて吸ふ空気
- 黒猫の舞台が似合ふ月の夜
- 弓張月火の見櫓は古びたり
- 東京都 ―
- 名月や 雨戸一枚 閉め忘れ
- 望乱す 鯉の背鰭の もどかしく
- 東京都 紫泉
- 消し忘れ ラヂオが望を 吹き替える
- 名月や 読み止(さ)し頁へ 栞さす
- 東京都 本田 しおん
- 居待月 アルルの女 聴き浮かれ
- 窓吹くと 望なお更に 真ん丸く
- 大阪府 三木 由紀子
- 救急車はたと止まりて無月かな
- 神奈川県 村上 芳子
- 黒雲よどけと現る梅雨の月
- 出てみれば道いっぱいの盆の月
- 月の下夜間飛行機灯が流る
- 明朝の酷暑思わす赤き月
- 熱り残る瓦の上に月赤く
- 大阪府 津田 明美
- 大沢の池を手酌で月掬う
- 十五夜と二人三脚影法師
- 雲散らし荒磯の岩に夜夜の月
- 全て世はこともなきかな月明かり
- 二人して影絵となりし良夜かな
- 長野県 木原 登
- 愛犬の墓にも供華を盆の月
- 白樺に降る月光の無尽蔵
- 北アルプス雲の平の今日の月
- みちのくの旅は一人の月の秋
- 徒労てふ言葉つぶやく十三夜
- 埼玉県 大野 美波
- 名月やみんなこぞってもぎにけり
- 月光と愛がしずしず降ってくる
- 名月や変わらず想ってくれる母
- 名月や名を残したる偉人達
- 少年のランプの灯秋の月
- 兵庫県 紫水
- 月蒼しテントを揺らす風の音
- 高遠の月と流れし絵島かな
- 月の夢幽かに残す朝茜
- 岩峰や兜のごとく月凛と
- 三日月や山山山の信州路
- 島根県 よし
- 満月のかぐや姫かな月下美人
- 神奈川県 守安 雄介
- 月夜道終の住処へ二十分
- 三日月やテロ無く過ぎしニューヨーク
- 見えずとも手と手で深む星月夜
- 百億年前の火も見ゆ星月夜
- 地球の出宇宙時代の月景色
- 神奈川県 佐藤 博一
- 灯を消して月の光を食卓に
- 東京都 岩崎 美範
- 故郷の母は達者か夜半の月
- 神奈川県 川島 欣也
- 山峡の月天心へぬーつと出で
- 地震の痕物陰失せし月明かり
- 灯りけし月の明かりを招き入
- 黒猫の横切る甍月天心
- 上弦の犬の遠吠え月赤し
- 神奈川県 佐藤 博一
- これよりは月の名美しき夜夜となる
- 千葉県 飯島 史朗
- 月明かりマーラ―聞きつつ歩幅伸び
- 北の大地で見た月の大きさよ
- 銭湯の帰りはいつも父と月
- 新潟県 近藤 博
- 寝,(い)ねがてや飽きざるほどに今日の月
- たたなづく峰にあまねし月昇り
- 月影や湯面にただよふ露天の湯
- 月渡り光の帯や信濃川
- 可惜夜(あたらよ)やいくたび床離(か)る月今宵
- 山口県 ひろ子
- 尺八のながれし境内月を待つ
- 満月を知らせて母と長電話
- 埼玉県 岸 保宏
- 月の出や牛食む草もまだ温し
- 稜線の一瘤あたり月出ずる
- 月満ちてラジオの寄せも落ちとなり
- 月と山持ちつ持たれつ酒談義
- 神奈川県 佐藤 博一
- 名月を天上桟敷の客として
- 岐阜県 金子加行
- 全開の一晩とする月のドア
- 残業に月を友とし耐へてゐる
- 留守番を月に守られ独り寝る
- 終電で帰れば月が出迎える
- ふるさとにさらに大きな月が待つ
- 東京都 杉本 とらを
- 満月の下にジョギング二三人
- ふるさとの旨酒あふる盆の月
- 名月を取りて届くる得意先
- 神奈川県 佐藤 博一
- 月満ちて銀河鉄道発車せよ
- 熊本県 貝田 ひでを
- 妻と手をつなぐも久し月今宵
- 背の児に月の真実説き聞かせ
- 埼玉県 柏木 晃
- 戦無き空に母似のお月様
- 路地裏の四角い空に望の月
- 中天の刻印として今日の月
- 背なの子が指さし歌う望の月
- 屋台酒コップに浮かす小望月
- 千葉県 高橋 三恵
- ゆったりと月に語らむ至福時
- 岐阜県 ときめき人
- 満月に原爆ドーム照らされて
- 北海道 江田三峰
- 知床の五湖に映しぬ今日の月
- 摩周湖の霧も遠慮や月今宵
- フルムーン寝台列車月今宵
- 玉砂利の声聞く伊勢の観月会
- 龍笛や俄かに曇る今日の月
- 愛知県 石川 順一
- 一日に仮眠三回月のごと
- 月を見て全てを韜晦したくなる
- 月に居る動物新たに選びたし
- 自らが月であるなり昼間から
- 月に石投げる気も無く歩き行く
- 宮城県 石川 長二
- 縁側の水桶覗き月見かな
- 自転車で月を追いかけ家路かな
- 年老いて妻と歩きし月夜かな
- 宮城県 石川 初子
- 残業や月のあかりと帰りけり
- 愛知県 鈴木哲也
- 朧月アンソロジーで作ります
- 食後にはコーラ一本夏の月
- 月灯り文字を調べて四苦八苦し
- 朧月おくび出る出るつまらない
- 夏の月コツコツ励む実用書