俳句庵

3月『朧月』全応募作品

(敬称略)

大阪府     三木 由紀子
犬の眼に菩薩のみへる朧月
父母の声を聞きたし朧月
傷つきし子にやすらぎを朧月
ハーブ園生命あふるる朧月
埼玉県     まと衣
汽車の窓 水面にゆらり 朧月
香る花 山に顔出す 朧月
兵庫県     石田 幸紀
鴟尾はねて波紋ひろがる朧月
摩天楼のすきまに満ちておぼろ月
朧夜のボレロのテンポ白い靴
神奈川県     溝口 努
朧月 秘めたる恋路 照らしけり
さかずきに 掬ひて愛でし 朧月
遠吠えの 声集めをる 朧月
さざ波に 散りし夜の花 朧月
水面ゆれ 鯉ひと呑みや 朧月
千葉県     圓哉
朧月生きてく怖さを教えられ
東京都     安西 信之
鎌倉や長谷の露座佛朧月
合掌の指しなやかにおぼろ月
カーテンで仕切る大部屋おぼろ月
交番の赤き門燈おぼろ月
朧夜の二代で終はる雲母かな
神奈川県     佐々木 僥祉
菓子職の手つき柔らか朧月
東京都     内山雪童
湯上がりや梳る背に月朧
山寺の鐘も哀しき月朧
おぼろ月揺れて壊れし池の鯉
夢まくら現か恩師月おぼろ
おぼろ月別離の泪か最終便
埼玉県     小玉拙郎
窓の湯気ぬぐってもなお月おぼろ
夜更かしを朧月夜のせいにして
おぼろ月右に左にはしご酒
絵手紙や墨のにじみの朧月
蒸したてのように出ている朧月
愛知県     山歩
朧夜や甲斐駒の影かすかにて
床のべて玻璃越しに見る朧月
手をつなぐ若き男女や月朧
相寄りて動かぬ二人朧月
朧夜や若き二人の寄り添ひて
北海道     高橋 まりえ
すれ違ふ軽き会釈や朧月
兵庫県     北前 恵嗣
波音の聞えし帰路や朧月
朧夜や子供ら集う秘密基地
すれ違う眉目秀麗月朧
神奈川県     相模太郎
目の覚むる激辛カレー月おぼろ
宴より分かれて一人おぼろ月
長距離のトラック仮眠おぼろ月
よぎりしは確か黒猫月おぼろ
漁火の重なり合うておぼろ月
東京都     仁蔵
落涙を こらえ見上げた 朧月
三味の音も 緩んで弾む 朧月
朧月 風向き変わる 兆しかな
憧憬は 砂漠のラクダ 朧月
侘び寂びを 教えておくれ 朧月
神奈川県     原川 篤子
朧月手をひく母の背(せな)まろき
オペラ果て上野の森の月おぼろ
バス停に橋の名多き月朧
埼玉県     岸 保宏
榛名湖に富士写したるおぼろ月
朧月足を止めたる太鼓橋
朧月悲しみ一人星数へ
東京都     右田 俊郎
おぼろ月子にせがまれて肩車
叱られて帰りそびれておぼろ月
おぼろ月畑にいまだ人の影
ラガーらの練習続く朧月
風呂帰り下駄をからころ朧月
北海道     飯沼 勇一
酔漢の右へ左へ朧月
大仏の輪郭おぼろ朧月
娘の名忘れてゐたり月おぼろ
義母見舞ふ山の施設におぼろ月
おぼろ月梟の眼は爛々と
東京都     安達 健治
おぼろ月わずかに浮かぶ渡月橋
おぼろ月二人を優しく抱きかかえ
薄墨で古都描きたるおぼろ月
おぼろ月秘密のベール池之端
天と地を溶かし込んだり朧月
千葉県     大隅隼人
朧夜や眠れぬままに夜の明ける
竹取の儚く去ぬる朧月
目覚めれば騒めく光朧かな
東京都     蘭丸
朧夜の昭和のビルは武骨なり
朧夜の木遣が響く見合いかな
パドックの牝馬のあくび朧月
転々と戦話や朧月
千葉県     藤原 純夫
誰ぞゐる 湯気にかくるる 朧月
おぼろづき 湖上の龍尾 波紋うつ
妖を 障子にうつす 朧月
一人ゆく 背中に映る 朧月
欄干に 腰をかけるや 朧月
東京都     きょうやん
母送る帰りの道の朧月
猫何処へいったきりかな朧月
おもいきり笑ってみたい日朧月
岐阜県     ときめき人
能面に神の影あり朧月
千葉県     横井 隆和
モネの眼の 描くを見たき 朧月
臥す廃炉 出口も見えず 朧月
寒月に 朧月夜を 重ね待ち
東京都     石見 光夫
日本橋寄り添ふふたり朧月
朧月メモしたメモを忘れけり
地震後の計画停電朧月
朧月薪をくべ足す焼藷屋
駅よりの父との会話朧月
埼玉県     守田 修治
歌舞伎座をひとりで帰る朧月
夭逝の歌舞伎役者やおぼろ月
墨堤に河東節聴く朧月
東京都     朧道
朧月 焼き海苔当てに 二合酒
愛国心 異国の五輪や 朧月
東京都     朧泉
どの角を 曲がれど仄か 朧月
朧月 てるてる坊主 嘲笑う
東京都     紫朧
公魚の 瞳で光る 朧月
終電が 過ぎ朧月(ろうげつ)の 夜戻る
東京都     岩川 容子
真実は身のうちにあり朧月
朧月浮き灯台の灯が走る
朧月神渡るてふ紅き橋
朧月けむり絶えなき義士の墓
埼玉県     大野 美波
赤ちゃんが手まりにしていた朧月
あかちゃんがとってあそびし朧月
亡き祖母を見し夢かすか朧月
朧月ひかりがまっすぐ届かない
雲間から赤子のような朧月
東京都     鶴巻 貴代美
ほろ酔いてそつと手をとる朧月
朧月十七音に迷ひ入る
待ち合わせ違えて会えぬ朧月
朧月紅だけさして改札まで
躓きてそつと寄り添ふ朧月
東京都     村上 ヤチ代
朧月ふと口遊む名台詞
長野県     ―
朧月 夜空に投げた 魚の目
岡山県     純子
こんな夜は外湯めぐらむ朧月
格子戸をもるる三味の音朧月
吾の心吾の身も包む朧月
波音にかぶさる汽笛朧月
埼玉県     哲庵
朧月スカイツリーの先っぽに
朧夜や見返り柳七代目
ざぶざぶと洗い立てたし朧月
ぶらぶらり銀座八丁朧月
予選落ち選手の胸に朧月
大阪府     津田 明美
朧月抱かれて友の逝きにけり
母と子の銭湯帰り朧月
朧月銀河列車を乗り継いで
朧月地球等しく平らかに
山口県     ― 
かぐや姫別れの宵や朧月
朧月唄う恩師の別れかな
山口県     山縣 敏夫
朧月背にして犬と家路急く
路地裏に昭和の色が月朧
平成の都大路に朧月
初孫の笑顔弾ける朧月
月朧故国に向かう夜行便
大阪府     きのと
駅裏の屋台の灯し朧月
朧月廻り道して帰りませう。
渡月橋渡りて駅に朧月
東京都     鈴木 眞由美
あと一本燗を付けよか朧月
淡月やテールライトを見送りぬ
月朧面会時間過ぎてをり
朧月いつもの席のあの背中
はね太鼓並んで淡き月の下
神奈川県     長瀬 遊頭
三日月に添いし星々朧かな
朧月人事考課の結果なり
化粧水変へてみました朧月
妻の手をポッケにさそう朧月
東京都     岩崎 美範
スコーンには紅茶がよろし朧月
この子にはこの子の夢が朧月
反戦の誓ひ何処へ朧月
兵庫県     山地 美智子
朧月密会めきし屋形舟
やがて来る老々介護月朧
杉垣の向こうに人や朧月
古希にして朧月夜に思う事
老いてまた朧月夜を独りかな
新潟県     近藤 博
諍うて塞ぐ家路や朧月
たたなはる山々けぶる朧月
朧月酔歩に霞むわが家の灯
神奈川県     パラレル
朧抜け月に帰りしかぐや姫
朧月横切るジェットの音包み
朧月誘えば彼女部屋に来る
山口県     保田 尚子
朧月のっぺらぼうに立つポスト
朧夜の髪のにおいや露天の湯
なぞなぞの解けないままや朧月
ローソンの青滲みだす朧月
深海の魚を探す朧月
愛知県     新美 達夫
朧月塒に帰るごん狐
先を行く君の撫で肩月おぼろ
タクシーを手前で捨てて朧月
岬の湯いま佐久島に朧月
目配せをして外に出づ朧月
栃木県     長浜 良
盗人の如く荷を負ひ朧月
房総の内の潮鳴り朧月
家継ぎて農事あまねき朧月
山麓の灯まばらにおぼろ月
何処より電話の声や朧月
神奈川県     佐藤 博一
朧月ニライカナイの海照らす
神奈川県     村上 芳子
亡き母と話したよな朧月
恋人となりて散歩す朧月
朧月悩み多き子訪ねて来
夕食後の散歩いざなう朧月
どこまでもどこまでもなほ朧月
神奈川県     井手浩堂
くろぐろと故郷の記念樹おぼろ月
この村に酒場一つや朧月
縁談のまとまり帰る朧月
桟橋に父を見送る朧月
金婚の旅の斑鳩おぼろ月
広島県     安冨 正則
戸袋に背比べの跡朧月
千葉県     永井 隆
朧月 かすかに染まる つぼみ花
東京都     新保 徳泰
渡月橋おぼろ月夜に一文字
月朧切るに切れない長電話
名刺なき朧月夜の身のかろし
信濃路を突つ切る列車月おぼろ
駅舎より朧月夜を五六人
埼玉県     ちあん
路地裏に残る明治や朧月
申告を終えて見上げる朧月
校了の文字くっきりと朧の夜
朧夜の涙の先に笑む遺影
縄のれん横目に過ぎる朧の夜
大阪府     のひろ
溜息や夢の続きは朧月
天国のあなたとみてる朧月
朧月雲の座椅子に座り居り
朧月滲む涙の隠れ場所
朧月連れて古都行く尼ひとり
神奈川県     佐藤 博一
月朧スカイツリーの見え隠れ
愛知県     石川 順一
朧月母と散歩は思ひ出と
校庭を一周走り朧月
足付かぬ鉄棒上に朧月
鐘朧音が融け出す様な四囲
家朧家全体が影となり
長野県     木原 登
海坂へ舟の出でゆく朧月
マドンナを真中に朧月夜かな
湯手を頭に伊豆は朧の月の宿
おぼろ夜のおぼろおぼろに母の貌
法隆寺五重塔の朧月
岡山県     八木五十三
訊けぬこと言えぬことあり月おぼろ
戯言を有耶無耶にせし朧月
月おぼろ前後を歩き曰へぬこと
朧月ままならぬ句を脇に置き
朧月庭の小屋伐つ父の背な
茨城県     あゆむ
朧月芝居帰りの町角に
窓を洩る津軽三味線朧月
古寺古塔影絵とも見し朧月
潮満つる気配岬の朧月
朧月高層ビル群薄く濃く
神奈川県     佐藤 博一
ローランサン潤む眼や朧月
岐阜県     金子加行
紛失の鍵を探すや朧月
酔ふことも仕事のうちや朧月
終電を待つ残業や朧月
建売のまだ地になじめずや朧月
ネオンすぐ消える街なり朧月
愛知県     柵木 充義
四つ橋と言へど橋なく朧月
銭湯の捨湯の匂ふ朧月
衰へし眼にそれと朧月
まぼろしの魚棲むといふ朧月
朧月聖母の像のすがりたき
神奈川県     川島  欣也
ビルの街朧の奥へ沈みけり
線香の煙朧や浅草寺
朧夜や犬の遠吠え救急車
灯台の明かり遮る海朧
月朧銀座ネオンへ取り込まれ
熊本県     貝田 ひでを
朧月草の匂いが吾包む
あえかなる肩抱き寄せる朧月
掌に取りて搾りたくなる朧月
月おぼろ里のどこかに牛の声
朧月枝の蕾もふふみけり
神奈川県     佐藤 博一
触れさふで届かぬ月の朧かな
福岡県     幻草
月おぼろ客が庭からやって来る
憂きことも楽しきことも月おぼろ
山頂に残る石組朧月
純白のパゴダの潤む朧月
人生の旅の途中の月おぼろ
佐賀県     桐野みずえ
朧月アンリルソーの千鳥足
夢のキスとろんと寄こす朧月
朧月恋人たちの甘い影
ガラス窓流れゆく文字月おぼろ
朧月花の香りにむせかえる
兵庫県     岸野 孝彦
丘越えて母もおぼろや朧月
朧月中島美嘉の歌響く
朧月能は終われり浅き夢
ふるさとの縁の肴や朧月
茫漠と初恋にじむ朧月
北海道     江田三峰
朧月仰ぐ札幌時計台
五十鈴川橋で佇む朧月
摩周湖水面に映る朧月
摩周湖眠るが如くおぼろ月
赤ん坊虫笑ひしぬおぼろ月
千葉県     伊藤 和幸
信号の眠きまたたき朧月
谷根千をすっぽり包む朧月
コンビニの灯り遠かり朧の夜
人生もこんなものかな朧月
愛知県     高橋 信治
ぼんやりと主張無きや朧月
幼い思いで遠く朧月
水鏡浮かぶ夜船に朧月
地平線見上げてゆけば朧月
朧月まっすぐ見つめて餅焦がす
神奈川県     佐藤 博一
捨て印のやうに軒端に朧月
佐賀県     平吉 俊郁
児と犬の寝息包みし朧かな
神奈川県     守安 雄介
綿菓子を舐めあう姉妹朧月
岩鼻の二人肩寄す朧月
叱られて宿題聞きに朧月
朧月お前のせいで振られけり
庭下駄の切れた鼻緒や朧月
大阪府     山田 明子
お雛見て 衣纏いし 朧月
誰思ふ 涙滲ませ 朧月
朧月 空に浮かべし 雪洞かな
三重県     平谷 富之
見ゆるのは 別れた女と 朧月
兵庫県     岸下 庄二
朧月三々五々に通夜の客
朧月外湯を巡る下駄の音
湯上りの火照りそのまま朧月
リバイバル映画の果てて月朧
朧月出船の汽笛二度三度
東京都     笹木 弘
月おぼろ今宵はだれと歩こうか
猫の目が突然光る朧月
露天湯にゆっくり浸かる朧月
塔入れて朧月夜のシャッター音
無雑作に裸婦像があり朧月
広島県     釜山 齊治
ふるさとの港は遠し朧月
山なみの低うなりけり朧月
灯台の何やらうるむ朧月
山元の音ばかりして朧月
馬の子の瞳微笑む朧月
石川県     塩村 啓二
朧月江戸川渡る電車の灯
柴又や帝釈天に朧月
地下鉄を出れば銀座に朧月
埼玉県     相沢 京佑
風なびく木の葉をうつすおぼろ月
埼玉県     小野 佑介
朧月夜空欠さし日の光
埼玉県     サルハン マイケル
朧月かくれあらわれいとおかし
埼玉県     千住 和也
朧月漂う空にうかびをり
埼玉県     土金 大起
悪人の心うるわす朧月
埼玉県     福井 夕也
朧月となりいる人母さんか
埼玉県     増山 英
暗闇をかき分け覗く朧月
埼玉県     本田 崇真
おぼろ月夢にまどろみ空を舞う
埼玉県     森田 陽彦
世の中光り輝くおぼろ月
埼玉県     相沢 海友
おぼろ月今か今かと待ち続け
埼玉県     市川 佳那
海岸の静けさ落ちる朧月
埼玉県     大竹 蘭
夜の道一人立たずむおぼろ月
埼玉県     落合 里穂
夢に見る星のかなたにおぼろ月
埼玉県     遠藤 有咲
おぼろ月汚れた靴で散歩かな
埼玉県     加藤 美音
おぼろ月足音の数数えては
埼玉県     川嶋 菜々
ひと一息に水面ゆれるおぼろ月
埼玉県     岸上 千沙都
暗闇に待ち人照らす朧月
埼玉県     貞松 菜々子
一粒の涙をこぼすおぼろ月
埼玉県     髙木 菜緒
風の中池をのぞいておぼろ月
埼玉県     立花 咲良
夜の空眺めた先におぼろ月
埼玉県     永田 萌
朧月かすむ二人の両手かな
埼玉県     細田 沙希
夏の空雲を見た今日進む足
埼玉県     細野 馨生那
おぼろ月愛しい人の声をきき
埼玉県     松田 夏子
おぼろ月風に吹かれて酔いつぶれ
埼玉県     山口 紗弥加
夜の道上で見守るおぼろ月
埼玉県     宮澤 歩華
朧月涙の中に照らされて
埼玉県     吉澤 春奈
朧月空を見つめる少女かな
埼玉県     相川 浩輝
鉛筆で書きくわえたし朧月
埼玉県     相沢 健斗
おぼろ月森の面影目にうかぶ
埼玉県     内海 咲哉
上と言う壁に転じて朧月
埼玉県     大槻 英寿
夜になり自分と語る朧月
埼玉県     神田 元樹
おぼろ月夜空と雲のすきま風
埼玉県     坂本 雅仁
朧月明るく光る空暗し
埼玉県     清水 輝矩
静かな夜朧の月と池の月
埼玉県     下川 隼平
朧月見て草原の唄う夜
埼玉県     長尾 拓哉
部屋の色一色染まりおぼろ月
埼玉県     西川 幸宏
おぼろ月夢からさめて街を見る
埼玉県     南 健太郎
夜の道親子を照らす朧月
埼玉県     山 優介
朧月の親子と共に背伸びかな
埼玉県     安藤 奈々
猫たちは夜に影落とす朧月
埼玉県     井上 希美
ひらひらと心うたれるおぼろ月
埼玉県     木間 黎
朧月かけあう犬の笑い声
埼玉県     清野 桃花
暈かぶり夜道に映る朧月
埼玉県     桑山 紗也香
地の果ても深す光や朧月
埼玉県     佐々木 玲緒
おぼろ月ぽかんと浮かぶ空の旅
埼玉県     笹平 桃花
縁側に朧月夜の猫が来る
埼玉県     佐藤 天音
おぼろ月川にうかんだ白い花
埼玉県     重田 実絵子
泪目の少女を照らす朧月
埼玉県     杉本 友菜
さよならと涙うかべる朧月
埼玉県     鈴木 伊織
あい色にぽつんと泣いたおぼろ月
埼玉県     中子 華
口笛やかすかに届く朧月
埼玉県     永見 未来
ふと光滲んだ影に朧月
埼玉県     蛭川 巴絵
おぼろ月祖母の香りがこだまする
埼玉県     藤川 更紗
新な地ひとつひとつか朧月
埼玉県     飯田 裕也
しくしくと泣いているのかおぼろ月
埼玉県     大竹 龍
朧月みえすいた日に嘘はなく
埼玉県     尾嵜 進治
おぼろ月えん側ゆずらぬじいとばあ
埼玉県     落合 和哉
てつ夜をしふと見上げたらおぼろ月
埼玉県     小ノ沢 光貴
おぼろ月あの子にうつるライトかな
埼玉県     金子 将大
朧月雲間に見える飛行船
埼玉県     川上 優大
朧月霞はかない美人かな
埼玉県     坂本 飛湧雅
朧月きりにかくれた影一つ
埼玉県     島田 海都
おぼろ月明日へ導く暗き夜
埼玉県     須永 智弥
君が代の渡りし頃や朧月
埼玉県     平山 怜
おぼろ月いつもと違う空の色
埼玉県     三橋 洸人
さよならと別れを告げる朧月
埼玉県     青木 玲奈
朧月手をさしのべたあなたかな
埼玉県     石井 純玲
はく息の風でめくれる朧月
埼玉県     伊藤 彩乃
かざす手にそつとささやく朧月
埼玉県     加藤 美穂
おぼろ月少しかすめた君の影
埼玉県     川口 ユウカ
犬歩き先を見上げる朧月
埼玉県     木村 朱果
手の中に隠した涙朧月
埼玉県     斉木 梨央加
道歩く暗い夜空のおぼろ月
埼玉県     佐藤 明穂
朧月胸にしまつた橋の上
埼玉県     清水 亜美
赤ちゃんの手をのばす先おぼろ月
埼玉県     志村 萌華
朝の日に船に昇りしおぼろ月
埼玉県     中村 実恵
叱られてノートのにじむ朧月
埼玉県     西澤 希子
おぼろ月一人で歩く影の道
埼玉県     増田 亜美
くもり空心をはらすおぼろ月
埼玉県     松本 美憂
おぼろ月宙にゆれてる光かな
埼玉県     三好 優果
おぼろ月手をのばす君おいかける
埼玉県     森田 悠花
弾ね返る音に微笑むおぼろ月
埼玉県     矢部 莉紗子
朧月心を照らす鏡かな
埼玉県     渡辺 萌恵
草々や想いが揺れるおぼろ月