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- 俳句庵 2015年03月 優秀賞発表
- 俳句庵 2015年03月 作品一覧
俳句庵
3月『春の灯』全応募作品
(敬称略)
- 東京都 新保 徳泰
- 春の灯や夜釣の船の二三艘
- 東京都 右田 俊郎
- 春の灯や繋留中の貨物船
- 春の灯のぽつりぽつりとともる里
- 春の灯や弥勒の指のしなやかさ
- 春灯先斗町をばそぞろゆく
- 春灯夜行列車に身を委ぬ
- 愛知県 石川 順一
- 木を照らす春の灯周囲を白にして
- 春の灯や声一つ聞こへぬ静寂かな
- 自動車が動く春の灯不動なり
- 春の灯や二人は喋る他は無し
- 春の灯の効用書きを夢に見る
- 埼玉県 小玉拙郎
- 春の灯やいずれ角なき影ばかり
- 春の灯の中で祭りの煮〆食い
- 春の灯や温泉饅頭おすそ分け
- 春の灯と職員室の時間割り
- 春の灯や一つあまった茶碗蒸し
- 千葉県 隼人
- 春灯の嫁ぐ娘に注ぐ酒杯
- 埼玉県 哲庵
- みちのくの仏の笑みや春燈下
- 春燈美し敦真砂女の銀座裏
- 春燈や膝抜きのある文机
- 春の灯や一弦琴のすすり泣き
- 春の灯や下駄音響く石畳
- 広島県 石川 和治
- ありがとう ほろり春の灯 日和山(ひよりやま)
- 千鳥足 なつかし春の灯 おぼろ月
- さらう波 失くせぬ想い 春の灯に
- 群馬県 クズウ ジュンイチ
- 春の灯を研究室のとびとびに
- 北海道 澤野まひる
- 昨日より遅い夕餉や春灯下
- 春の灯やロビーに憩う女ありて
- 東京都 笹木 弘
- 春の灯に君を抱きてプロポーズ
- 春の灯に揺れて酔いたる銀座かな
- 盛り塩や春の灯淡き神楽坂
- 春の灯のひとつに温き家路かな
- 春の灯に夜の更けゆく浅草寺
- カナダ 花里真希
- 春の灯や 障子に映る 朧猫
- 春の灯は 爪の先まで 照らしけり
- 細指が 春の灯ともす 四畳半
- 春の灯や きつねうどんの 湯気立ちぬ
- 大阪府 永田
- 春灯少し深めの紅を引く
- 春灯敵はピンクの似合ふとふ
- 東京都 雨不埒
- 春の灯や汽車待つ母の目は彼方
- 春の灯や行き交う人も軽やかに
- 春の灯にうっかり歩く家路かな
- 春の灯や視界良好那覇空港
- 春の灯や波間に揺れる旅心
- 広島県 石川 結
- 春の灯や 宇宙飛行士の 故郷にも
- 春の灯や 朱の盃に 金細工
- 口笛が 遠く春の灯 ぽつんぽつん
- 千葉県 犬槇庵 光晴
- 春燈下受胎告知のグレコの絵
- 千葉県 横井 隆和
- 竹林に春の灯透けて合否待つ
- 東京都 安西 信之
- 倹しくも絶えぬ家系や春灯
- センサーの人去れば消ゆ春灯
- 春の灯や塾には塾の良き仲間
- 晩学のゴールそれどれ春灯
- 花柄のレースの傘の春灯
- 東京都 石見 光夫
- LEDは平和の明り春灯
- 日本橋水面に映る春灯
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 春灯や孕める妹の帰りをり
- 春灯下美学講ずる師淡々
- 春灯やこけら落としの立見席
- 春灯を水面に散らす氷川丸
- 菓子職の工夫を凝らす春灯下
- 埼玉県 一斗
- 春灯しかつて銀座に真砂女をり
- 千葉県 冨田 柊二
- 春燈や湯船に聞こゆ拾の数
- 春の灯にザグザグとゆく来訪者
- ひと房の飴に孕みて春灯し
- 春灯しチタン瓦の浅草寺
- 春の灯や巣立の間取貫けり
- 東京都 内山雪童
- 春の燈や小雨に匂う島田髷
- 番傘や春燈にじむ渡し舟
- 春燈や欠伸殺して文庫本
- 春の燈や人形少し微笑んで
- 春燈や髪梳く母の腕白く
- 群馬県 茂木 好夫
- 艶やかな大黒柱春灯
- 春灯や眠りの深き樽ワイン
- 東京都 紫曙
- 春灯や 妻の嚏の 透き通る
- 春燈の 導火線なり 栞紐
- 東京都 紫霧
- 春燈に 夫婦の阿吽 試される
- 春灯や 独り言にも 艶が出る
- 東京都 紫朧
- 春の灯や 栞を引くと 点るかと
- 満天に 三日月ほほえみ 春灯(はるともし)
- 岐阜県 ときめき人
- せつなさの揺れる祈りや春の灯ぞ
- 東京都 岩川 容子
- 母となる娘といる厨春灯
- 春灯下まだ見ぬ国の地図ひろげ
- 春灯花麩のひらく椀の中
- 他愛なき嘘もよきもの春灯
- 北海道 北浜 哲
- 春の灯は苦労話を包み込み
- 春の灯や叔母の見舞いの帰り道
- 春の灯や漆黒の闇に吸い込まれ
- 寒村の一人暮らしに春灯り
- 千葉県 藤鷹圓哉
- 春ともし位牌もりんももの静か
- 春灯や菓子もて騒ぎ子ら帰る
- 愛知県 高木 薫
- 春の灯や 髪引く背子の 影うつす
- 春の灯や 娘嫁がせ 義父思う
- 春の灯に 心ほっこり 遠回り
- エコー画面 我に宿りし 春の灯や
- 愛知県 米倉 徹
- 独りでは非ず一人の春燈
- 江ノ電の窓ことごとく春燈
- ながながと春灯の尾を連絡船
- 春の灯をしづかに消してゆくナース
- 親の顔知らずに生きて春燈
- 山口県 弘中 典子
- 春の灯や振袖揺れる武家屋敷
- 埼玉県 守田 修治
- 春の灯や一番乗りの屋形船
- 春の灯や雲の切れ間に筑波山
- 春の灯や銀座に出る人帰る人
- 野良猫の丸い背があり春灯
- 春灯森の重たい声を聴く
- 北海道 飯沼 勇一
- ぼんぼりに春の灯入れて旅の宿
- 春燈を消せば燦然星の夜
- 春の灯を点けて待つなり下校の子
- バスを待つ老婆の髪に春灯し
- 廃業の医院の門の春灯し
- 山口県 ―
- 春の灯や旅情にひたるレトロ館
- 東京都 鈴木 眞由美
- 春の灯や同窓会に来ぬ人の
- 春燈の和紙に地紋の流れけり
- 衣紋抜く夜は静かに春の燭
- 目をつむる春灯やわに光りけり
- 東京都 蘭丸
- 春の灯の忍び返しの苛めきぬ
- 春の灯や一礼添へし警備員
- 神奈川県 守安 雄介
- 春灯に恥じらいて散る椿かな
- 春の灯の闇から闇へ小雨降る
- 春雲に円描きまわる探照灯
- 復興の春灯灯す二鉄塔
- 東京都 ―
- 幼子の 行く先照らせ 春の灯や
- 愛知県 ナッキーぼんさい
- 春の灯へ誘い集う金曜日
- 春の灯よ山降り里へ余生かな
- 術後経て春の灯光増し
- 岡山県 純子
- 春灯のひとつ増えたる過疎の村
- 春灯の滲める雨の石畳
- 笑ひ声聞こえ春灯膨らめる
- 東京都 上田 みの
- 春の灯やLEDをあかくして
- 春の灯のそこらじゅうにLED
- 川沿ひの団地の道や春ともし
- 人去りて人恋しくて春ともし
- 春灯や逢魔が時の鐘の音
- 東京都 村上 ヤチ代
- 春の灯に影絵の指を羽ばたかせ
- 東京都 渕田 隆道
- 春の灯に季寄せを捲る夜毎かな
- 春の灯や乳やる嫁のたのもしき
- 古るゝ家に妻の影見ゆ春の灯に
- 岡山県 岸野 洋介
- 湯の宿の傘は蛇の目や春灯す
- コンビニの袋と帰り春灯す
- 春の灯に透く乾杯の白ワイン
- 春灯をめざし海苔船足はやめ
- 春の灯の点りりて間なき縄のれん
- 東京都 丸山清子
- 鉛筆の丸くなりけり春灯下
- 東京都 石井 真由美
- 春の灯に 添い寝も深し 育児パパ
- 春の灯に 育メンパパの 缶麦酒
- 春の灯に 臨場あふる サスペンス
- 春の灯に たばこ吹かして 夜の色
- 春の灯の 煮ゆる匂いに ひとり飯
- 北海道 北山 尚
- 春の灯を 寿ぐ 谷の山桜
- 春の灯に 願いを託す 蒼い月
- 春の灯を 喜び跳ねた 幼き日
- 閉塞の 世を照り溶かす 春の灯よ
- 日の本に 春の灯包み 夢溢れ
- 大阪府 津田 明美
- 春の灯や顔優し千手仏
- 夜学子に母の眼差し春灯し
- 春灯や太梁の影淡く揺れ
- 春の灯やいよよ華やぐ中華街
- 春の灯の闇は静かに中華街
- 香川県 慎太郎
- 庭に立ちあおぐわが家の春燈
- 春の灯やいまし宴の終えし部屋
- 春灯や古布で縫ひをる小座布団
- 春燈や祖父の遺愛の煙草盆
- マンションの赤青橙春灯
- 埼玉県 酔月
- 春の灯の漏れて窓辺のレモン色
- 春の灯にそっと爪立てる黒猫
- 春の灯や産声聞こゆ白き壁
- ふたり来ていつやら春の灯ともりけり
- 春の灯や隣はふたり声漏れて
- 静岡県 柳谷 益弘
- 春灯に揺れたる影の香り立つ
- 春の灯やたれを待つやら手酌酒
- 埼玉県 長澤 千鶴子
- 春灯や木にのぼる猫爪を研ぐ
- 春の灯や考える人たくましく
- 受験の子ピカリかがやき春灯かな
- ベランダの干し物ゆれて春ともし
- 東京都 三浦 靖男
- 妻が留守春の灯ともしひとり酒
- 街角や春の日遊ぶ名残り雪
- 春の灯にわが名誇らし掲示板
- 君が胸春の灯のぞく露天風呂
- 春の灯やいい日いいひと旨い酒
- 大阪府 太田 紀子
- マンションの百の春灯乱れなし
- 御仏の裳裾に金箔春灯
- 文机に映る春灯にじみをり
- 神奈川県 佐藤 博一
- 春灯や父の手擦れの和綴本
- 絵本読む母転た寝の春灯
- 春灯や光源氏は御簾上げて
- 春灯や古筆に学ぶ相聞歌
- 春灯や絵本片手に寝入りたる
- ブラジル 林 とみ代
- 春灯下指輪交はして婚約す
- 春灯下孫とおはじき遊びして
- ゴヤの裸像なまめかしきや春の灯に
- 旅帰り夫の遺影に春ともす
- 春灯下グルメツアーの試食会
- 兵庫県 山地 美智子
- 大勢の中の孤独や春灯下
- 春灯やちょっとたじろぐクラス会
- 春灯やほどほどに飲む難しさ
- 春灯や荒れる予感の座談会
- 春灯や気になる母の独り言
- 岡山県 渡辺牛二
- 格子戸の内なる仏春ともし
- 山梨県 岡部 正行
- 蕗の薹 緑を纏い 春の灯
- 広島県 原田 久雄
- 機首下がり第二の故郷春灯
- 機窓には第二の故郷春灯
- 福島県 末永会津子
- 春の灯や嬰の手にあるえくぼかな
- 春の灯や畳に零すこんぺいとう
- 古希といふ曖昧なもの春燈下
- 東京都 水野 二三夫
- 春灯やゼームス坂に影ふたつ
- ラファエロの聖母子春の灯のもとに
- そぞろ酔ふ神楽坂裏春ともし
- 埼玉県 櫻井 玄次郎
- 春燈に読経澄めるや御影堂
- 兵庫県 岸野 孝彦
- 春の灯や君が名づけし港坂
- 春の灯や大学寮の若き声
- 春の灯や深川に揺れる思い出
- 春の灯の心細しき銀座かな
- 春の灯や流れ流れて夢の底
- 東京都 直木 葉子
- 米粒のごとき歯の生え春灯し
- 春ともし万葉仮名の妣の軸
- 神奈川県 矢神 輝昭
- 回廊を廻るは春灯東大寺
- 縁日の鎮守の露店春ともし
- 瀬戸内や春の灯ともし連絡船
- 春の灯をケーキに灯す誕生日
- 春の灯やミラーボールから溢れ出て
- 大阪府 山野 大輔
- 春の灯(ひ)に 透かした海苔の 美しさ
- 春の灯(ひ)も われもぼんやり ぼんやりと
- 草花が 春の灯(ともし)で 薄化粧
- 春の灯(ひ)の 如き恩師の 絵葉書よ
- 春の灯(ひ)の 前で可憐な 塵の舞
- 神奈川県 井上 靖
- 春の灯に 江の島まわる 老夫婦
- 春の灯や 夫残して フラダンス
- ありありと 日に日に長く 春の灯や
- 春の灯の 照らし照らされ わが夫婦
- 春の灯に 鏡に映る わが姿
- 静岡県 池ヶ谷 章吾
- 春の灯や猫の道草ひっそりと
- 春の灯や獣は帰る穴倉へ
- 春灯し三途の河原遊山かな
- 春の灯や家出の少女草を噛む
- 春灯の優柔不断彼がいる
- 秋田県 ―
- 舞い落ちる 花びら揺らす 春の灯よ
- 月光と 春の灯の下 ぬぐだまる
- 岡山県 岩中 幹夫
- 春の灯や夜風を纏ひ過去へ跳び
- 長崎県 西 史紀
- 春の灯や鑿音響く一軒家
- 春の灯に大きく笑まふ福の面
- 春の灯を微かにともし点字読む
- 春の灯の小さき闇に湯をつかふ
- 春の灯や和食の膳に銀の匙
- 北海道 江田三峰
- 春燈蝋燭点す般若経
- 春灯の明り札幌時計台
- 豊漁の鰊番屋の春灯火下
- 春燈や小樽運河の硝子館
- 春灯や車窓の明リ寝台車
- 京都府 北谷 匠
- カーポート きしむ声には 春の音
- 福岡県 河瀬 周治
- 春の灯や貫之の筆淀みなく
- 春の灯に想ひをはせし娘二人
- 春の灯の厨に紅き魚あり
- オーブンの馳走を焼くも春ともし
- 春の灯のLEDとなりし道
- 埼玉県 米田 哲
- 春の灯や影を置きたる草の彩
- 春の灯や明日香の里の寂として
- 春の灯や漫ろ踏みたる草の彩
- 春の灯や漫ろ佇む法隆寺
- 春の灯や川の向こうの舟溜り
- 神奈川県 塚本 治彦
- 春の燈や籠の僧の影法師
- 艶めきて並ぶ塗下駄春燈
- 春燈やほほゑみゆらぐ朱唇仏
- ぐい飲みのぐいと呑まれぬ春燈
- 弁天の笑みに春燈さゆらぎす
- 大阪府 弗椿
- 小春燈眠れぬ枕の傍らに
- 空襲に春の灯を消し逃げたとか
- 街の灯に春見せ哀し喜劇王
- 栃木県 長浜 良
- 里人の野辺より消えて春灯
- 山の辺の春の灯に弔ふ灯
- 人里の春の灯や九十九折り
- 埼玉県 ―
- 夜桜に ぼんぼりひとつ 灯りけり
- 熊本県 貝田 ひでを
- 趣味異に階下と二階春灯
- 乙女らのスイーツ談義春灯下
- 女子会のいよよ華やぐ春灯
- 春ともし仲人口の褒め上手
- 神奈川県 井手浩堂
- 春の灯の下に子が待ち妻が待つ
- 春の灯の一つ灯台またたけり
- 客船の窓にうるみて春灯
- こぼれ来て神田の路地の春灯
- 酒の香の神田の路地や春灯
- 愛知県 古賀 敦子
- 春の灯や手に未だ慣れぬ電子辞書
- 春の灯や振子時計の打ち響く
- 子に送る言葉認め春灯
- 春の灯や庫裏の呼び鈴ひとつ鳴る
- 春の灯や鏡の中にある愁ひ
- 愛媛県 中川 正子
- 人生は春の灯ほどの重荷なれ
- 春の灯紙面に貯めつページに手
- 春の灯に瞳は闇と改めて
- 春の灯を繰るごと孫の五指遊ぶ
- 東京都 岩切 義治
- 十八度という絶妙春の灯や
- 春灯や神の技あり十八度
- 春灯のニッポン国の極楽や
- 春の灯やニッポン国の道標
- 春燈やニッポン国の道標
- 山口県 山縣 敏夫
- 春の灯や連れ添うてより四十年
- 春燈や留守居の我に犬が添う
- 連れ合いの白髪眺めて春ともし
- 愛犬に家路を急かす春燈下
- 春の灯に何かが弾む旅の宿
- 三重県 平谷 富之
- 春の灯が お帰りなさいと 我向ひ
- 東京都 かつこ
- 駅前の2DKの春の灯
- 色ありて春灯映す明けの川
- 福岡県 西山 勝男
- 仰ぎ見る跪座の菩薩や春ともし
- 推敲の一句に執す春灯下
- 春燈下叙勲の友と祝ぎの酒
- 春燈や且つて炭都に思い馳す
- 白秋の遺愛の机春ともし
- 山梨県 天野 昭正
- 春の灯を消し廃校の門を閉づ
- 春灯す停泊中の異国船
- 産土の社に春の灯を点す
- 春の灯の華やぐ街へ帰りけり
- 春の灯を点せど暗き世相かな
- 愛知県 佐藤 絹子
- 春なれば灯ともし頃にゆとりあり
- 幸来る予感よ当たれ春灯す
- 東京都 岩崎 美範
- 母ひとり子ひとりの家春灯
- 誰もみな家路を急ぐ春灯
- 春灯や影絵の狐コンと鳴く
- 煮え切らぬ男の未練春灯下
- 結納の余韻色濃き春灯下
- 東京都 のりごん
- 蝋梅の 香り誘われ けもの道
- 朧げな 鶯の声 いとおかし
- 散歩道 春の灯火 一輪の花
- 白銀の 小さき山に フキノトウ
- 彩雲に 雫照らされ ユキノシタ
- 福岡県 平山 なな子
- 二人連れ追う春の灯のあたたかさ
- 春の灯(ひ)に 付かず離れず 二人連れ
- 夜半過ぎ 春の灯(ともしび) 温かい
- 群馬県 服部かがり
- 春灯や 還暦の膳 子等と祝ぐ
- 春灯や 恋人気分 夢気分
- 春の灯に 恋人になる 老夫婦
- 兵庫県 季凛
- 春の灯や早足で買い物して帰る
- 春の灯の下でうつらの本めくる
- 春の灯にいつもの夫も良く見えて
- 春の灯にゆうげのけむり立ち込めて
- 春の灯をぬって家路を急ぐ道
- 長野県 木原 登
- 春の灯を真闇の囲む妻籠宿
- 鉛筆は4Bがよし春灯
- 万太郎の句を恋ふ春の灯かな
- 春の灯に濡るる瞼のありにけり
- 水飲み鳥倦まず水飲む春ともし
- 神奈川県 川島 欣也
- 春灯下一刀彫の刃かな
- 春灯の鏡見てをり己が所作
- 面接を終え春の灯のともりけり
- 春灯す裸電球山家の温泉
- 春ともる内視鏡検査終えにけり
- 愛知県 岩田 勇
- 春の灯のやがて寂しきビルの街
- 春の灯の少しにじむや路地の宵
- 春灯や上七軒に三味の音
- どこまでも春灯遠き岬かな
- 春の灯に少しほころぶ不動尊
- 埼玉県 玉置 道子
- 春の灯に集う娘らの花やかさ
- 春の灯や座して待つ芽吹きの音
- 春の灯に出会い恋めくケアホーム
- 春の灯や老いの陰影くっきりと
- 埼玉県 柏木 晃
- 家族愛滲む春の灯外に漏れ
- 春の灯にハートの浮いたカプチーノ
- 春の灯の寡黙を映す池の水
- 春の灯の等間隔のハイウエィー
- しあわせを映す春の灯窓にもれ
- 埼玉県 岸 保宏
- 春の灯に胡坐の孫と舟をこぐ
- 春灯や陸奥こけし笑みの顔
- 縄を綯う祖父の背揺れる春灯下
- 愛媛県 宮下 靖弘
- 春の灯とは還れぬ故郷のひとかけら
- 哀しみの光に飽和し春の灯に
- 我を春の灯で除算し何ほどの残れる
- 系図清書す春の灯の金纏ひつつ
- 春の灯や来週旅程を時刻表
- 茨城県 たいようたろう
- 左手をつつむ右の手は春灯
- 鬼女棲むといふ山春の灯をゆらし
- 笑ひころげて涙ぐむ春灯下
- やはらかき時間ひとりの春灯
- 影と影かさねとゆたふ春灯
- 千葉県 江里口 泰一
- 春の灯や交番前の人だかり
- 春の灯や巡査ただいま巡回中
- 春の灯や俯いたまま長電話
- 春の灯や予備校生の踏むペダル
- 春の灯に華やぐ東京駅百年
- 兵庫県 岸下 庄二
- 芝居はね帰る夜道の春灯
- 露天湯の湯気にぼんやり春灯
- 前略で近況綴る春灯下
- 機音の洩るる家並みの春灯
- 停泊の船に春灯汽笛鳴る
- 岐阜県 金子加行
- 春の灯や若き案出る村おこし
- 春の灯に独り暮らしの荷を解く
- 春の灯の古書肆に並ぶ明治本
- 春の灯の商店街の百年余
- 春の灯に許される嘘転がるや
- 北海道 みなと
- 春の灯の奥より子らの声溢れ
- 春灯下別れの前のハグ強く
- 一塊の百戸の浦や春ともし
- 春灯やまなぶた太き犬とをり
- 春ともし子等を遠くに生きてゐる
- 東京都 福井 よしみ
- 思い出す 祖母の笑顔と 願いがけ
- 奈良県 和田 康
- 春の灯や祖父の形見の俳句帳
- 春燈下一筆箋を二三枚
- 春灯に妻の前髪美しく
- 春燈や良寛坊の俳句集
- 春の灯に昔の写真取り出して
- 新潟県 近藤 博
- 酔ひしれて春の灯うるむ家路かな
- 春の灯や句座の面々ほのぼのと
- 商店街そぞろ歩くに春ともし
- 春灯やうるむ明りのしつとりと
- 春の灯やうるむ明りの肌撫づる
- 群馬県 北城椿貴
- 春の灯にゆれる桜が髪に落つ
- 京都府 中村 万年青
- 闇焦がし松明馳せて二月堂
- 見上ぐれば火の粉かかりて二月堂
- 修二会や石段登る火龍かな
- ぼんぼりの灯りほのかに雛の笑み
- 夜桜や春の灯闇に浮き
- 兵庫県 松本 恵子
- 近づいてきし春の灯に背を押され
- 春の灯や弟二人もう居ない
- 新幹線みにきて春灯二歳の子
- 文豪の痰みたる咳春灯下
- 春の灯を浴びて心のゆらゆらす
- 北海道 藤林 正則
- 春灯の中のひとつは畜舎の灯
- 実験の続く理科室春灯
- 推敲の句の起ち上がる春灯
- 引っ越しの荷造り進む春灯下
- 一人住む母へ文書く春灯下