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- 俳句庵 2017年10月 優秀賞発表
- 俳句庵 2017年10月 作品一覧
俳句庵
10月『紅葉』全応募作品
(敬称略)
- 千葉県 柊二
- 紅葉一本龍神の水の風
- 東京都 石川昇
- 高からぬ山も紅葉の盛りかな
- 上質の風が道連れ紅葉狩
- 新潟県 近藤博
- 山紅葉空中散歩やロープウェー
- 露天の湯屋根をなすがに夕紅葉
- 日を重ね濃き彩なせる山紅葉
- 一瀑の飛沫(しぶき)ひたひた谿紅葉
- 谿紅葉一瀑奥にどどと落つ
- 神奈川県 白銀
- 紅葉が 実る三五の 季節なり
- 我が思い 心の紅葉 ジェラード
- いろは坂 くねくね走る 紅葉の木々
- 紅葉で どきどき鳴るに 心の臓
- 紅葉が まぶしくてある ひ孫の手
- 京都府 田端敏弘
- 三山の今日の紅葉を見る二人
- 紅葉葉の少し色濃き処まで
- 紅葉葉や一期一会の躙り口
- 御神体逃し血染の紅葉かな
- いろは紅葉同窓の時巻き戻す
- 愛知県 岩田勇
- 何時の日か思い出せねど紅葉川
- 紅葉山出でて暫く空ろなる
- 一服のおうすに浸る紅葉かな
- 禅寺の紅葉かつ散る作務最中
- 紅葉照る暗闘の碑や名古屋城
- 埼玉県 飯塚璋
- 静かなる紅葉映れり山上湖
- 大阪府 金成愛
- 寓居ゆゑ押し入る紅葉明かりかな
- 大分県 小野山 道山
- 廃城と 廃寺の小径 初紅葉
- もみぢ葉や 康成縁(ゆか)る 酒を酌む (久住高
- 前撮りの 白無垢匂ふ 薄紅葉
- 紅葉狩 赫きを栞り 山路行く
- 座右(ざう)の書の 栞にしたき 薄紅葉
- 神奈川県 森山茂
- 渋滞の高速道で紅葉狩り
- 紅葉を栞替わりに配る店
- 紅葉の流れる水面空映る
- 続き読む紅葉挟んだ頁開け
- 東京都 坂田誠太郎
- 太陽に透けて紅葉の大樹かな
- 吊り橋を渡りここより紅葉山
- 紅葉を描く子供らそれぞれに
- 紅葉の底にダム湖の光けり
- 紅葉照る水辺にモデル微笑みぬ
- 神奈川県 守安雄介
- 千年のドボ影囲う紅葉かな
- 今年また紅葉に負ける飲み比べ
- 洋風の邸宅飾る大紅葉
- 草木にも血栓ありと紅葉山
- 溶岩の流るる如き紅葉谷
- 宮城県 福田良光
- 水を飲むニホンカモシカ紅葉山
- 紅葉の色まだ薄き「いろは坂」
- 湧き水の辺り色濃きもみぢかな
- 紅葉に継ぎはぎしたる針葉樹
- 拾い上げもみぢ一葉の灯りけり
- 愛媛県 渡邊國夫
- 銀杏黄葉限界集落坂多し
- 紅葉燃ゆ試歩の時間の長くなり
- 山路来て紅葉の中に瀬音聞く
- 茅葺の反りのゆるやか紅葉寺
- 雲去りて紅葉の湖となりにけり
- 千葉県 伊藤博康
- 食膳に庭の紅葉を借りにけり
- 蒼天が紅葉の奥に見へ隠れ
- 今朝見れば山の紅葉の下りをり
- 言葉無く紅葉の中に浸りゐる
- 考へるでもなく歩き散る紅葉
- 宮城県 林田正光
- 湖や小島小島に照紅葉
- ゴンドラの紅葉の樹海下山かな
- 誰一人観ることもなく渓紅葉
- 宿坊に紅葉のための窓三つ
- 戦国の時代も知るや蔦紅葉
- 岐阜県 金子加行
- 未だ誰も踏まぬ山道紅葉色
- 紅葉に映へる緑や古街道
- 山ガール数を増したる紅葉山
- 吊り橋に紅葉眺める余裕なく
- 風強き標高なるや紅葉酒
- 神奈川県 佐藤博一
- 鎌倉や紅葉且つ散る切通し
- 曲がるたび紅葉濃くなるいろは坂
- 山山のその谷谷の紅葉かな
- かき混ぜてサラダにしたき紅葉山
- 吊り橋を渡って来る紅葉かな
- 東京都 内藤羊皐
- 夕紅葉北野の杜に鬼ありく
- 翔ぶ天狗紅葉の裾を高尾山
- 澪尽きて湖を紅葉は燃ゆるがに
- まなうらを紅葉の川の映ゆるなり
- 義仲寺の静寂を紅葉匂ひをり
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 箱根路の軋む鉄路の紅葉かな
- 街路樹の坊主にされて紅葉せず
- 川の音紅葉半ばの湯宿かな
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 京都行く 山村紅葉 サスペンス
- 七輪で 真っ赤に焼けた 紅葉かな
- 木枯らしが 紅葉紅く 染めてゆく
- 帰り道 紅葉色の カーペット
- 雨降って 紅葉彩る 嵐山
- アメリカ 鈴木良子
- シエラー嶺に映ゆる鉄塔紅葉晴
- パサデナで母の産声街もみじ
- ロッキーの山岳リゾート夕紅葉
- スマホ撮る指先染める照り紅葉
- ミサイルの飛ばぬ世界や天高し
- 埼玉県 岸保宏
- 塾帰り紅葉の灯り照らされて
- 奥秩父紅葉の波に櫛を入れ
- 夕日にも負けぬ紅葉の棚田かな
- 神奈川県 石鎚 優
- 怒りといふ美しきもの紅葉せる
- 胃カメラの臓腑に見ゆる紅葉かな
- 救急車夜の紅葉を照らしけり
- アルバムは破り捨てたり山紅葉
- 徘徊の母はゐませり薄紅葉
- 岐阜県 ときめき人
- 燦々と山門包む紅葉ぞ
- 東京都 坂本美恵子
- もみじ葉は水面に移り色さえて
- 白杖で山道ぶらり紅葉狩り
- 滋賀県 東野了
- 吊橋のロープに触るる薄紅葉
- 赤色のちびたクレヨン照紅葉
- ハイカーは老人ばかり紅葉晴
- 紅葉かつ散るブロンズの裸婦像に
- 湖に映る逆さの紅葉山
- 宮城県 石川初子
- 「坊ちゃん」に紅葉をはさみ渡しけり
- 東京都 岩崎美範
- はかなきは夏の花火と夕紅葉
- 杖を手に巡る秩父や紅葉晴
- 火の鳥と化せり日暮の紅葉山
- 読みさしの句集に挟む紅葉かな
- 全山を赤きマントに夕紅葉
- 三重県 平谷富之
- 紅葉色わけへだてなく街を染め
- 心まで燃え尽きさうな紅葉かな
- 兵庫県 岸野孝彦
- 石苔の翠重なる紅葉かな
- 旭岳涸沢吉野の紅葉かな
- 天ぷらの紅葉は甘き箕面かな
- 一人行く始発電車の紅葉かな
- 山ガール想い巡らす紅葉かな
- 神奈川県 井手浩堂
- 外国語とび交つてをり紅葉下
- 回廊は紅葉明りに建長寺
- 切通し抜けて眩しき照紅葉
- 笛の音に牛の集まる草紅葉
- 水音の時に変はりて紅葉谷
- 千葉県 秋山滋
- 温泉と酒が本線紅葉狩
- 紅葉狩駅で配りし名所マップ
- 崖崩れ見て見ぬ振りの紅葉狩
- 山姥の戸惑いてあり散紅葉
- 兵庫県 山地美智子
- 新しき紅葉一枚苔の上
- 山紅葉日暮れて彩を失へり
- トンネルに入るや瞼に照紅葉
- 草紅葉踏まねば車避けられず
- 清水の舞台紅葉の上にあり
- 東京都 佐藤博重
- 紅葉狩列車の座席向き合はす
- 朝紅葉ことことこつとん水ぐるま
- 奈良県 平松 洋子
- 紅葉の栞ぽろりと文庫本
- 初紅葉突いてみたり透かしたり
- 名水も紅葉の一枚から成りて
- 山口県 ひろ子
- 読みふける桜紅葉のしおりかな
- 草紅葉ゴルフボールのかくれんぼ
- 静岡県 城内幸江
- 母の手をやさしく握り初紅葉
- 暖色のクレヨン縮む紅葉狩
- 通学路もみぢと歩くランドセル
- 湖を覗き込みたる紅葉かな
- 愛媛県 向井桐華
- 草紅葉母の背まるくなりにけり
- 櫨紅葉京都ことばのはんなりと
- 山紅葉裾野はあかくあかく燃ゆ
- 神奈川県 川島欣也
- 吹き曝す紅葉且つ散る五百羅漢
- 歳時記の栞に紅葉はさみけり
- 白帯を洗う紅葉の大谷川
- イロハ坂湯の湖へこえる紅葉がり
- ライトアップ沈む紅葉を浮かべけり
- 山口県 山縣敏夫
- トンネルを抜けて左右に紅葉山
- もみづるや世界遺産の安芸の島
- 妻と犬 連れて散策紅葉川
- 反り橋の上から見遣る紅葉山
- 大鳥居抜けた途端に紅葉茶屋
- 神奈川県 塚本治彦
- 紅葉川かつて獺をりし里
- 吊橋を猿渡けり紅葉谷
- 登りつめ紅葉の宿に泊まりけり
- 宿坊に汲む般若湯夕紅葉
- 紅葉寺吉祥天の頬染めて
- 大阪府 藤田康子
- 夕紅葉さらに夕日の重なりて
- 足庇ふ姉と訪ねし紅葉かな
- 東京都 かつこ
- 枝々に色を重ねし紅葉かな
- 住む町の紅葉楽しむ老夫婦
- 長野県 木原登
- 就中雲場ノ池の紅葉かな
- 三段紅葉見せてかがやく穂高岳
- 戸隠の紅葉を映す鏡池
- 奥入瀬は瀬音入りなる紅葉かな
- 石投げて紅葉散らせし日のはるか
- 大阪府 津田明美
- 石庭に赦す紅葉の一葉かな
- それからをはるかに君と紅葉坂
- 九十九折れみたび振り向く紅葉坂
- 人生の過客も染めて紅葉坂
- 躍動は絵になり鎮む紅葉晴
- 神奈川県 シュリ
- もみぢ葉よ干菓子が並ぶ黒き盆
- もみぢ葉よお握り冷ます皿二枚
- もみぢ葉よ影も朱になる鏡池
- もみぢ葉よ幼き口に紅を指す
- もみぢ葉よ一筆箋に朱文印
- 神奈川県 矢神輝昭
- 涸沢の紅葉追ひ立て山颪
- 鐘撞堂紅葉はらはら日が沈む
- 山の茶屋客と店主に降る紅葉
- 二人連れ手折る紅葉や照れ隠し
- 老ゆらくの恋を彩る紅葉かな
- 岡山県 岸野洋介
- 吊り橋の大きく揺れて谷紅葉
- 考える人の像前紅葉散る
- 廃業の湯屋の煙突つた紅葉
- 谷紅葉名水もとめ人絶えず
- ゴンドラに迫る紅葉に息をのみ
- 三重県 後藤允孝
- 吟詠は紅葉明かりの寺苑かな
- 緑なす森に一筆薄紅葉
- 山肌は火炎に巻かる紅葉かな
- 紅葉の苑に野点の人集ふ
- 紅葉は自然織りなす芸術美
- 東京都 中田ちこう
- 訪問医待つ窓あふる庭紅葉
- ブラジル 林とみ代
- 遠ざかる鎮守の杜の紅葉かな
- 手作りの弁当美味し紅葉狩
- 高野山の紅葉並木に頬染めて
- 銀杏紅葉目当に訪ふ里の家
- ふるさとに名残惜しみて紅葉狩
- 山梨県 天野昭正
- 吊橋に来て眺めるや渓紅葉
- 夢に見し京の紅葉の中にをり
- 夕暮れや灯をともしたる紅葉茶屋
- 両岸の紅葉映して神田川
- 紅葉に遅速のありて国境
- 神奈川県 松風子
- 神木の銀杏紅葉の誉れかな
- 連山に火の手のやうな紅葉かな
- てにをはの千変万化紅葉山
- 奥行きの知れぬ大寺夕紅葉
- 碑の華やぎにけり紅葉して
- 奈良県 一人坊
- かしわ手と 孫と過ごせる 紅葉狩り
- いざ雨後の 夕陽と紅葉 へんろみち
- 渓流を 見せ隠すして 紅葉路
- ブラジル 西山ひろ子
- 庭の木の紅く黄色く紅葉づりて
- 絡み合ふ蔓の先より紅葉して
- 庭隅に家守る南天紅葉かな
- 紅葉濃く連ねし山の日に映ゆる
- 立子句碑あるブラジルの寺紅葉
- ブラジル 玉田千代美
- 悪筆を隠すごとくに紅葉入れ
- 船足をゆるめて眺む紅葉島
- 機の旅に紅葉手振つて孫可愛い
- 東京都 伊藤はな
- 一軒をまるごと覆ふ蔦紅葉
- 野を渡る風のかたちに草紅葉
- 新調の釣竿持つて渓若葉
- 弁当や庭の紅葉に文添へて
- 夕映にかがやくあかり薄紅葉
- 福岡県 西山勝男
- 紅葉晴六郷満山ふところに
- 言問はば湖東三山紅葉晴
- 嵐峽の奥より初むる紅葉かなあ
- 一山の浄土と化する照紅葉
- 紅葉照る通天橋を影と添ひ
- 神奈川県 海野優
- 九十九坂紅葉景色のひとあまり
- 櫨紅葉裏へ廻れどただ紅葉
- 紅葉をひとり占めして露天の湯
- 龍田姫化粧を急ぐ瀬音かな
- 紅葉狩り言い訳めいて酒の席
- 埼玉県 よしこ
- 川縁の紅葉も似合ふ隅田川
- 一葉を手帳に挟む紅葉かな
- 灯を点す浮き立つ色の紅葉かな
- 足止めばいろは紅葉や山の路
- けもの道奥の奥まで紅葉かな
- 神奈川県 龍野ひろし
- 露天湯や紅葉彩る屏風岩
- ゴンドラの一気に迫る谷紅葉
- 神奈川県 原川泉水
- 陽を受けて黄葉一枚地に還る
- 紅葉のきらめき池に照り返し
- 酒酌みて広葉樹下の談賑し
- 燗の香を含む黄葉樹林風
- 山里の容姿変えゆく広葉樹
- 愛媛県 加島一善
- 神護寺の一段毎の紅葉かな
- 青空に血脈透ける紅葉かな
- 大原の尼僧見守る紅葉かな
- ライト点け阿弥陀見返る紅葉かな
- 門跡に姿映すや床もみじ
- 神奈川県 皆空眞而
- 眩(まばゆ)くて少し哀しき紅葉かな
- 紅葉が崩れて鯉は翻り
- 紅葉して蒼穹更にあを深し
- 大阪府 太田紀子
- 裏山の日影の紅葉色深し
- 初紅葉団地と道路の境にて
- 夕紅葉遠ざかりゆく新幹線
- 東京都 住澤義英
- 掃く音に鐘音遠く夕紅葉
- 今日よりも明日見る紅葉負けはせず
- 紅さすと鏡のなかも紅葉色
- 二人旅紅葉の先に今日の宿
- 観世音積もる手のひら山紅葉
- 神奈川県 月野木 若菜
- 生き死にを彷徨へる人薄紅葉
- 八寸を引き立ててをり櫨紅葉
- 紅葉一葉挿み入れ封閉ぢぬ
- 薄紅葉けふ新しき命生れ
- 密やかに尼寺覆ふ紅葉かな
- 北海道 飯沼勇一
- 紅葉に色づく雨滴帰路急ぐ
- かざす手の裏まで透かす紅葉かな
- 初紅葉報道陣の五・六十
- 一村の紅葉桜紅葉より
- 窓開ける紅葉山どっと雪崩れこむ
- 千葉県 入部和夫
- 足下に見下ろす下界谷落葉
- 湯の宿に草履を脱いで紅葉山
- 岡山県 岡村正美
- 氏神の手水に映る紅葉かな
- 氏神の手水に紅葉五六枚
- 夕紅葉ダウンベストの老夫婦
- 朱の橋を掻き消すほどの紅葉かな
- 仏間越し枝を縁取る照紅葉
- 京都府 新井ゆかり
- いっぱいの幸せ願う紅葉の手
- 前を行くあなたの肩に舞う紅葉
- 神奈川県 成田あつ子
- 紅葉から紅葉へ渡る橋朱き
- 色づけばそこに紅葉のありしかと
- 百号の紅葉の絵なるバスの窓
- 山裾のもみじ葉纏ふ日の匂ひ
- 小流れに友禅のごと紅葉かな
- 東京都 岩川容子
- 女人堂ひときわ赤き夕紅葉
- 紅葉燃ゆ不戦の国を誇りたる
- 昨夜の雨紅葉の紅を深くして
- 旅したき紅葉の赫の褪せぬまに
- 東京都 右田俊郎
- 雨上がり夕日の染める紅葉山
- 語り部に耳傾けて眼は紅葉
- 目の見えぬ人に紅葉を語りをり
- 湯に浸かり紅葉を愛でる至福かな
- 夕紅葉五重塔の長き影
- 愛知県 ―
- 頼るものひとつとてなし草紅葉
- 山紅葉羽音大きな荷揚げヘリ
- 山紅葉ものおじもせず下りてくる
- 名刹の木々にあらねど初紅葉
- 蔦紅葉礼拝堂を絡めとる
- 東京都 遠山比々き
- 鼓動をきく懐紙のなかの紅葉かな
- 千葉県 横井隆和
- ・流るるや琴の音裾の紅葉川
- ・小漆の紅葉燃え立つ丸一山
- ・峰白く一夜に湯屋の紅葉晴れ
- ・銀ママの裾に着流す夕紅葉
- 滋賀県 村田紀子
- 読経する水面に浮かぶ紅葉かな
- 早朝に紅葉掃く音雉の声
- 猫と子の遊ぶ姿や蔓紅葉
- 大阪府 椋本望生
- 紅葉着てノックしてみる濁世かな
- ポーズ取る雑木紅葉の顔をして
- 一拍の長き弔辞や散紅葉
- 朝な朝な紅葉且つ散る野良着かな
- 亡き父の柞もみぢを担げくる
- 愛知県 新美達夫
- 三尺に満たぬ若木も紅葉れる
- 巌より出でし小枝も紅葉れる
- 門前の名代蒟蒻紅葉寺
- 林道の閉鎖も近し山紅葉
- 神奈川県 重兵衛
- 癌といふ友と連れ行く夕紅葉
- 訪ね来て先ず紅葉を褒めにけり
- 連山は紅葉の赤と黒き陰
- 埼玉県 守田修治
- 紅葉見に今日も出かける車椅子
- 喜寿となり一人で祝う紅葉宿
- 正面に紅葉を据えて上棟式
- 窓開けて一山紅葉茶碗酒
- 兵庫県 山崎衣玖
- ワイパーに紅葉車は里を発つ
- 紅葉入れ袋掲げる園児かな
- 川面行く紅葉小人の舟のごと
- 名所とは知らず紅葉に教へられ
- 紅葉一片大人へとなりにけり
- 千葉県 下総真里
- ニッカポッカの人が紅葉の目の高さ
- 紅葉の激しきうちに泣いておけ
- ふくよかに白き人骨紅葉山
- 大田区 飯田哲司
- 紅葉や日ノ本かざる大アート
- 有終の色そえ競う紅葉樹
- 幼子の手のひらしのぶ紅葉かな
- 神奈川県 髙梨裕
- 無住寺に居付く紅葉の真っ赤なり
- これからも夫婦の湯飲み庭紅葉
- 農の手の晩酌二合赤紅葉
- 外灯に照らされ今日の紅葉かな
- 絵手紙や紅葉一葉をあの人に
- 京都府 中村 万年青
- 里山は山の上から黄ばみけり
- 松の木に一もと赤き蔦紅葉
- もみじばの柿の葉寿司の旨かりき