| 盆の月工事途中の新タワー | 盆用意母の背中の淋しけり |
| 差す手より哀愁放す風の盆 | 排球のこぼさぬように盆の月 |
| 盆踊り高齢なれど指の反り | 盆の月テールランプの続き居り |
| 盆踊り子供が入り輪の歪 | 荷を降ろし帰る峠や盆の月 |
| 昭和の輪開いて閉じて盆踊り | 卓球のラリーの続く盆休み |
| 携帯で写す今風盆踊り | 新盆や 四日三泊の 早きこと |
| 流灯の別れ惜しむや岸離(か)れず | 二代目の ほうろくの上 苧殻焚く |
| 盆魂の鎮まり給ふ奥座敷 | 洋花も 添へてみるなり 盆支度 |
| 盆用意父母の遺影の額清む | ほおずきの香を漂わす盆の棚 |
| 送り舟供物重きや傾げゆく | 若僧侶麦茶も飲まず南無阿弥陀仏 |
| 読経終へお茶を断わる盆の僧 | ヒグラシと共に焚き初む迎えの火 |
| 盆棚に考(ちち)の好みし酒供ふ | 新盆の祖母が手書きの「盆用品」 |
| 孫迎う用意が先や盆用意 | 仏膳に供えし昼餉の茗荷蕎麦 |
| 孫たちと過ごすお盆や後幾度 | 灯を替えて省エネ型の盆提灯 |
| 農道を疾駆す法衣盆供養 | 二世代のこの家育ちの盆の客 |
| 口蹄疫涙で飾る盆の牛 | 掃苔を頼める吾子となりにけり |
| 地蔵盆千の灯供う念仏寺 | 生きて来る客は賑やか盂蘭盆会 |
| 盆休み小間の父母見る孫曾孫 | はらからのまた一人欠け生御魂 |
| 思い出のめぐる灯りや盆提灯 | 流燈を追うてしばらく歩きけり |
| 吾が畑の野菜の牛馬盆用意 | 盆踊派手な浴衣は老人会 |
| 忙しさを言ひ盆僧の茶も飲まず | 盆近し五木の子守唄謡ふ |
| 外国車乗りつけ若き盆の僧 | 七草の灯かり訪ねる盆の虫 |
| 先代に似て盆僧の袈裟姿 | 盆ごとに仏間に座る長さかな |
| 盆支度妻に似て来し子の仕草 | 曙の古利根に牛歩の精霊馬 |
| 盆踊り今は昔の夜の灯よ | 磨くほど浮世を映す盆の墓 |
| 縁側に盆提灯の遠き日よ | 稽古太鼓鳴りては止まる盆近し |
| 盆過ぎて皺またひとつ増えしかな | 盆踊り東京音頭待ちて入る |
| 盆の月太鼓の音のいさぎよし | 手をひとつ打ちて輪に入る盆踊 |
| 新しき花緒が急ぐ盆の夜 | 踊れさうなれど見てをり盆踊 |
| 盆提灯神妙に持つ幼の手 | 盆おどり空気に祖霊あまた充つ |
| 爆竹の精霊祭り夜は更けて | 義経の流せし弓の盆の唄 |
| 提灯の無数の灯り浜送り | 三回の待った許すと生身魂 |
| 生前の写真満載精霊舟 | 一役を空けて待ってる盆芝居 |
| 草取りに夕までかかる墓参り | 好物の芋蛸南瓜盆用意 |
| 幼子も飾り手伝う盆供養 | 念入りに赤い信女の墓洗う |
| 古希が背の喜々たる母や大文字 | 教え子の説教を聞く盂蘭盆会 |
| 裏口の迎火ひとり亡妻を待つ | 夭折の子の年数ふ地蔵盆 |
| 二歳児のまつげ伏せにし魂祭 | 盂蘭盆や母に似てきし三姉妹 |
| 棚経が流るる裏の邦人街 | 盆の僧あの世この世の架け橋に |
| 初盆や形見の小紋掛け待てり | 新盆や母にもあった隠しごと |
| 後添の妻かひがひし盂蘭盆会 | 大柄の父の乗りたる茄子の馬 |
| 幼名で呼ばれ振り向く盆参り | 遠路きて盆の仏間に子を寝かす |
| 身の内の風となりゆく風の盆 | 送り火の炎の果ての赤き月 |
| しばらくは一人佇む門火かな | つきをみて おぼんのひやし そうめんか |
| 流燈や幼き子らの名が滲む | 盆供養 坊さん車で ホイサッサ |
| 夜の風心して吹け精霊舟 | ぼんちかく おはかのくさ きにかかる |
| 茄子の牛日向に向けて並べけり | うら盆え こぞを偲びて 集いける |
| 燈篭もそれぞれの生燃やしけり | ぼんがきて るすにほとけの あのなみだ |
| 盆の月老母と二人縁で見る | ぼんのそら いちばんぼしは むすめぼし |
| 盂蘭盆や会いたい人があまたあり | 迎え火や軍服の父直立す |
| 繋がりし未生に戻る盆の夜 | 迎え火や父に似た人見失う |
| 誰彼も今は笑いて生身魂 | 十八歳戦死の兄に門火焚く |
| 賑やかに過ぎて今宵の盆踊り | 盂蘭盆や悲しいまでに空青き |
| また会える人たちがいるお盆かな | 迎え火や勲章なんかいらんのに |
| 送り火の戻らぬ人を帰しけり | サハリンの沖にゆっくり盆の月 |
| 思い出は思い出を呼び走馬燈 | を偲ぶ初盆供花かおる |
| ふるさとは過疎にちかづく盆の月 | 父母恋し五山の送り火夜を焦がす |
| 大草履 玄関にある 初の盆 | 子の来ずにひとり出かける迎へ盆 |
| 新盆や 墓石にかける コップ酒 | 盆休みバイクで向かふ実家かな |
| 盆の客 去ってニ階に 風抜ける | 聞けばみな六月生まれ盆踊り |
| 盆休み カラスだけいる 丸の内 | 胡弓の音染み込む柱風の盆 |
| 盆踊り アニメソングに 沸く子供 | 祖母ならひ小さき手合わす盆送り |
| 流灯や遠き想いのさざ波に | 新盆や呼ばれるままに地へ降る |
| 一人焚く門火に風の生まれけり | 門火焚く毬栗あたまと三つ編みと |
| 門火吹く風こそ亡母であらまほし | 子の切符買い足してゐる盆帰り |
| 初盆や笑顔の母の写真拭く | 渋滞も年中行事や盆休み |
| 両隣同じ僧なり盆の経 | 盆過ぎて常の二人に戻りけり |
| 箒目は玄関に向く盆の家 | 真鍮も磨けば光る盆の家 |
| 飲むほどに昔々へ盆の夜 | 南無南無と児は居眠りの盂蘭盆会 |
| 兄妹親に似てきたしずかに盆 | ふるさとに大きく出でし盆の月 |
| 手土産は母の墓前に盆帰り | 早く死にたいが口ぐせ生身魂 |
| 耳遠きだけが病よ生身魂 | 門火して祖霊を迎う三世代 |
| 幼名で呼ばれ振り向く盆の径 | 褒章を胸に矜恃の生御魂 |
| 座ること下手な西瓜を供へけり | 背を流すごとくに父母の墓洗う |
| 盆支度疎みし姑の指図欲し | 盆の墓背を流すごと拭き清む |
| 手慣れたる姑を頼りに盆用意 | 本流に入る流燈の早さかな |
| 新盆や 四日三泊の 早さかな | 盆の月悲しきまでに透明に |
| ドラッカー書店にならぶ盆の月 | |
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