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おいしい海苔のひみつ

海苔のおいしさの秘密や栄養のお話など、
ここでは様々な角度から海苔についてご紹介。

  • 「仕訳技術員」による厳選された一枚「仕訳技術員」による厳選された一枚
  • 天然では唯一の三大うま味成分天然では唯一の三大うま味成分
  • 実はスゴイ!!栄養素たっぷり実はスゴイ!!栄養素たっぷり
  • 湿気ったらどうする?海苔の便利な豆知識湿気ったらどうする?海苔の便利な豆知識

「仕訳技術員」による厳選された一枚

海苔は水温や潮の流れの変化により、同じ産地でもがらりと品質が変わってしまいます。
山本海苔店では、収穫期になると仕入れ担当者が生産地を巡り、弊社にふさわしい良質な海苔を仕入れています。この海苔は各産地であらかじめ等級付けされていますが、あらためて仕入れた海苔全てを、専門の「仕訳技術員」が口どけ、味、色などを判定し、山本海苔店独自の格付けを行っています。

海苔の等級は、海苔業界一般では、色やツヤで判別されていますが、弊社では色やツヤに加え、さらに、海苔の口どけや柔らかさを基準に判別しています。
また、採苗してから摘採まで30日位しか経っていない若い海苔「一番摘み」をほとんどの商品に使用しています。一番摘みは柔らかく、口どけが良いのが特長です。

品質評価項目

等級付けの優先品質評価項目順位

優先順位 海苔業界一般 弊社
1 色調・焼き色 口どけ
2 つや
3 色調・焼き色
4
5 つや

山本海苔店の海苔を口に入れると、海苔のうま味成分がすぐに溶け出します。口いっぱいにうま味が広がり、甘い香りが鼻に抜けてゆきます。初めて味わう方は、「えっ、これが海苔」と思わず声を上げてしまうかもしれません。

天然では唯一の三大うま味成分

うま味成分のベストマッチ!

海苔には、昆布のうま味成分である「グルタミン酸」、鰹節のうま味成分である「イノシン酸」、しいたけのうま味成分である「グアニル酸」などがたくさん含まれていますが、これらの「うま味成分」は、ひとつひとつよりも一緒になった時、更においしくなります。うま味は、1+1が2にはならず、3になったり、5になったりするのです(これを味覚の相乗効果といいます)。おいしい海苔はこれらの成分量が多いばかりでなく、それぞれのバランスが良いため、うま味成分が助け合って何倍ものおいしさを作り上げているのです。

グルタミン酸・グアニル酸・イノシン酸 など

焼きたてが一番おいしい、海苔

焼く前の海苔は黒紫色や黒褐色をしています。この色は、海苔に含まれている緑色の葉緑素、橙色のカロテノイド、紅色の紅藻素(コウソウソ)、藍色の藍藻素(ランソウソ)の4つの色素の色が混ざり合って生まれたものです。
焼いた後は、これらの色素のうち比較的熱に弱い紅藻素と藍藻素が減少します。そして、ほとんど変化しない葉緑素の緑色と元々含量の多い藍藻素の藍色によって、あの美しい“焼き色”が生まれます。また、焼く効果は色素が変化するばかりではありません。熱によって、細胞を包んでいる膜の性質も変化し、昆布に含まれている「グルタミン酸」や鰹節に含まれている「イノシン酸」などの旨味成分や香り成分が自由に通れるようになり、海苔独自の美味しさや風味が楽しめるようになるのです。

海苔の色

焼く前と焼いた後の色素組成の違い

  焼く前(乾海苔) 焼いた後(焼海苔)
葉緑素(緑) 0.55%(100) 0.52%(96)
カロテノイド(橙) 0.16%(100) 0.15%(99)
紅藻素(紅) 3.78%(100) 0.34%(9)
藍藻素(藍) 2.60%(100) 0.48%(18)
数字は海苔100g当たりの%
弊社研究所データより(平均値)
( )内は乾海苔の含量を100としたときの
焼海苔における各色素の残存率

焼く前と焼いた後の旨味成分の溶出の違い

  焼く前(乾海苔) 焼いた後(焼海苔)
グルタミン酸 324 1177
イノシン酸 58 159
アスパラギン酸 55 258
タウリン 309 1220
アラニン 267 1026
温水中に溶出した量
単位:mg/100g重量
弊社研究所データより(平均値)

上級の海苔と安価な海苔の違い

海苔の色が濃いほど栄養がありうま味たっぷりじゃ!

良い海苔は、一般的には、濃く深みのある色をしており、ツヤの良い海苔であると言われています。色が濃い海苔には、色素(葉緑素・カロテノイド・紅藻素・藍藻素)がたくさん含まれており、味を良くするグルタミン酸(昆布のうま味成分)やイノシン酸(鰹節のうま味成分)などの量も多くなります。ですから、これらの中に含まれているタンパク質は上級の海苔ほど多くなります。また、ミネラルのリンやビタミンA・B・Cも上級品の方が多く含まれます。海苔の細胞間にはさまっている多糖類は、海苔を形づくる大きな要素ですが、これは食物繊維としての機能を持っており、これには海苔の上級、下級による変化はあまりありません。

  葉緑素 カロテノイド 紅藻素 藍藻素
上級品 0.80 0.21 3.2 3.1
中級品 0.51 0.20 3.0 2.0
下級品 0.28 0.12 1.5 1.3
弊社研究所データより(平均値)
  弊社Aランク
(上級)
弊社Bランク
(中級)
グルタミン酸 1548 1470
イノシン酸 155 148
アスパラギン酸 1402 1385
タウリン 1468 1378
弊社研究所データより(平均値)

実はスゴイ!! 栄養素たっぷり

赤血球をつくるうえで重要な栄養素、「葉酸」

葉酸を最も多く含む食べ物は、実は焼海苔で、日本人の食事摂取推定必要量は200μgと言われています。これは焼海苔でいうと板のり3.5枚分にあたります。ほうれん草やアスパラガスなど緑黄色野菜にも多く含まれていますが、茹でると葉酸が水に溶けだし、半分ほど減ってしまいます。葉酸が不足すると貧血を起こしやすくなったり、動脈硬化の危険因子であるホモシステインが血液中に増加するリスクもあります。また、葉酸は女性に多い貧血を予防するとともに、胎児の正常な発達にとって大事な成分なので、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性は、葉酸の摂取をおすすめしています。

また、葉酸は女性に多い貧血を予防するとともに、胎児の正常な発達にとって大事な成分なので、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性は、葉酸の摂取をおすすめしています。

朝食に海苔を食べることは、葉酸を効率よく取り込むとても良い習慣で、海苔にはミネラル、食物繊維も豊富に含まれていますので、野菜などとうまく組み合わせて、上手に葉酸を毎日摂っていただきたいですね

香川 靖雄 さん
女子栄養大学 副学長
香川 靖雄 さん
1932年東京都生まれ。東京大学医学部卒業。女子栄養大学副学長、自治医科大学
名誉教授。医学博士。「科学が証明する新・朝食のすすめ」、「時間栄養学」(編著)など著書多数。
EPAEPA

動脈硬化、脳梗塞の予防にも。
「EPA(エイコサペンタエン酸)」

EPAは植物性食材にはほとんど含まれていません。しかし、海苔には100g中に1.2gのEPAが含まれています。海苔の脂質は100g中3.7gですので、含有割合としても非常に高いです。本来、マイワシ、サバなど青背魚の脂質部分に含まれている成分で、人の体内ではほとんど合成できません。血液中の中性脂肪を低下させ、動脈硬化や高脂血症を予防する効果があります。魚やアザラシを主食としていたエスキモー人が白人に比べ、血栓症が大変少なかったため、ある研究者が食生活を調べたところ、血液中に多くのEPAが含まれているのが発見されました。

魚を1日1回食べるのが理想ですが、魚離れが進んで いる現在の食生活の中では、海苔をプラス食材として活用すると良いと思います。海苔には、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど大切な栄養素が豊富に含まれていますので、ピザ、サラダ、ちょっとしたおつまみなどにすることで、非常にバランスのとれた食生活ができると思います。

川端 輝江 さん
女子栄養大学 教授
川端 輝江 さん
女子栄養大学大学院卒業。女子栄養大学において博士(栄養学)取得。専門は脂質栄養。主な著書に、「しっかり学べる!栄養学」、「女子栄養大学のダイエットレシピ」(共著)など。

1枚に、「3つのうま味」が含まれているのは海苔だけ

海苔には、うま味成分である「グルタミン酸」、「イノシン酸」、「グアニル酸」が含まれており、自然食品の中では、唯一の食品と言われています。海苔特有のおいしさはここから来ています。昆布の「グルタミン酸」は、料理にまろやかでコクのあるおいしさをつくりだします。鰹節や煮干しの「イノシン酸」、干し椎茸の「グアニル酸」も大切なうま味成分で、三大うま味成分とも言われています。昆布だしと鰹だしを組み合わせると、飛躍的においしさが増します。これは、「うま味の相乗効果」と呼ばれ、日本料理の基本とされています。

人が舌で感じる味として、「甘味・塩味・苦味・酸味・うま味」があります。 「うま味」は約100年前に日本人が第5の味として、発見されました。しかし当時海外では、日本人だけが感じる味と言われてましたが、2000年にうま味を感じる舌の受容体が発見され、ようやく科学的に認められました。

三浦 理代 さん
女子栄養大学 教授
三浦 理代 さん
東京大学で博士号を取得(農学博士)。
著書には、「日本の食材帖 乾物レシピ」、「食物・栄養科学」、「水産食品栄養学」(共著)など多数。

湿気ったらどうする? 海苔の便利な豆知識

海苔をおいしく保存するコツは?

●一度容器から出した海苔はなるべく戻さないこと。

一度容器から出した海苔を戻すと他の全部の海苔を湿らせてしまい、味を落とす原因となります。普段は、海苔を小分けして、手早く必要な枚数だけを出せるように、小出し用の缶を手元に用意しておく事をお薦めします。

海苔が嫌うもの
●乾燥した状態を保つこと。

密封容器に乾燥剤を入れたうえ、湿度のあまり上がらない冷暗所や冷蔵庫に保存することをお薦めします。(長期保存の場合は、冷凍保存がのぞましい)

●冷蔵・冷凍保管した海苔は、
 
容器が外気に馴染んでから開封すること。

冷蔵 ・冷凍庫に入れておいた海苔を急に外気にさらすと、あっという間に空気中の水分を吸って湿ってしまいます。そのため、容器は室温に戻してから開封する事をお薦めします。

湿気った海苔はどうしたら良いの?

湿気った海苔は再び元の状態へは戻りません。程度にもよりますが、傷んでいないようでしたら、簡単でシンプルな、海苔の佃煮や韓国風味付海苔を作ってみられてはいかがでしょうか。

自家製佃煮
〈材料〉
海苔 全型10枚
醤油 1/2カップ
みりん 1/2カップ
しょうが汁 少々
砂糖 適量
適量
〈作り方〉
  1. 湿気った焼海苔を一度火であぶり、できるだけ細かく揉みほぐします。
  2. 鍋に醤油、みりん、しょうが汁を入れてひと煮立ちさせてから、1の海苔を加えて、弱火でコトコト煮汁がなくなるまで煮込みます。 砂糖、塩は、お好みに調整し、仕上げてください。
韓国風味付海苔

フライパンに油を引き、食べやすい大きさに切った海苔をサッと炒り、塩をふります。

「一番摘み」「初摘み」とは?

各産地において、その年で一番最初に摘まれた海苔を「一番摘み」「初摘み」といいます(摘み取り時期は11月~12月頃)。タネ付けをしてから採摘まで30日位しか経っていない若い海苔で、柔らかく香りが良いのが特徴です。

また、一度海苔網上で伸びた大きな海苔の葉体を摘み採りますと、下についている小さな海苔芽が伸び始めて、10~15日後には再び摘める大きさにまで成長します。この海苔が「二番摘み」となります。この海苔は一般に、一番摘みの海苔よりも硬く、採取回数を重ねるごとにその硬さが増します。

弊社の進物商品の海苔は、ほとんどが一番摘みの柔らかい海苔を使用しています。

海苔の語源は?

ヌルヌルするという意味の「ヌラ」がなまって「海苔」になったと考えられています。 平安時代は「紫菜(むらさきのり)」「甘のり」と呼ばれていましたが、地方により呼び名が変わり、江戸時代には「海苔」と呼ばれるようになりました。ちなみに、韓国で海苔は「海衣(ハイホ)」、中国では「紫菜(シーツアイ)」と呼ばれています。

海苔は日本古来の食べ物

670年頃に書かれた風土記には「常陸(ひたち)の国、浜で紫菜(むらさきのり)を干していた」という記述が見られます。また、大宝元年(西暦701年)に施行された大宝律令の中では、朝廷への調(みつぎ:現在の税金)として海産物29種の1つに指定されていました。
そして、海苔が日本古来の食べ物であることを証明するものとして、神社で神様に捧げる供物“神饌”があります。例えば、伊勢神宮で神嘗祭(かんなめさい)を行う際にお供えする品物の中にも、海苔が入っています。

海苔を作っているのは日本だけ?

本格的な海苔養殖をしている国は日本・韓国・中国の3ヵ国です。韓国の家庭では、塩味を付けたゴマ油をごく少量塗ってから、熱したフライパンに押し付けて焼き、4つに切って、食卓の上に盛上げます。この海苔で出されている料理を包んで食べるのです。中国では、お誕生日やお祝いの日には、海苔を入れたスープを作っています。

海苔の日

2月6日は『海苔の日』です

『海苔の日』は、海苔をたくさんの人に紹介し、生産者の皆さんが日頃の生活の糧である海苔に感謝の気持ちを表すために、昭和42年に設けられました。この由来となったのは、大宝2年(西暦702年)に施行された大宝律令の中で、海苔が産地諸国の物産に指定され、租税として徴収されたという記録にもとづいたもので、施行開始日である2月6日を『海苔の日』としたものです。

海苔を数える単位“帖”“枚”

紙や海苔のような薄いものを数える単位が“帖”です。紙の場合には、美濃紙で48枚、半紙ならば20枚、西洋紙ならば12枚が一帖。海苔の場合は、10枚が一帖となっています。今ではほとんどの海苔が焼いたり、焼いてから味を付けたりして加工されていますが、昭和20~30年頃までは加工された海苔は少なく、
ほとんどが焼かないで売られていました。そのときの販売単位が“帖”であり、10枚だったのです。ちなみに、生産者と流通業者の間では、10帖をひとまとめにして紙の帯を付けた束を単位とし、それを“一把(わ)”と呼んでいました。

全判海苔の大きさは?

全判の大きさは、縦21cm×横19cmと決められています。半端なサイズとなっているのは、昔から使っていた木枠や簀(す)のサイズの名残りなのです。

「浅草海苔」とは?

海苔の養殖が始まった江戸時代、東京の浅草近辺の海で採れた海苔を「浅草海苔」と呼んでいました。
また一説によると、浅草紙の漉き方に習ったため、あるいは、浅草観音の門前で売られていたため、という説もあります。
「浅草海苔」の品種名は「アサクサノリPorphyra tenera」といい、昭30年頃までは全国各地で養殖されていました。しかし、海況の変化や病害に弱いという難点があったため、アサクサノリよりも成長が早く、収穫量も多い「スサビノリPorphyra yezoensis」が養殖されるようになりました。現在、アサクサノリは、環境省のレッドデータブックにおいて、「絶滅危惧I類(CR+EN)」(絶滅の危機に瀕している種)に分類されており、非常に貴重な品種となっています。

参考文献:
のりおもしろ雑学辞典(秀版社文庫)
大房 剛(農学博士、元弊社研究所所長)
図説 海苔産業の現状と将来
大房 剛(農学博士、元弊社研究所所長)