- 山本海苔店トップ
- 俳句庵
- 俳句庵 2009年11月 優秀賞発表
- 俳句庵 2009年11月 作品一覧
俳句庵
11月『蜜柑(みかん)』全応募作品
(敬称略)
- 色づける蜜柑や海の見える丘
- はじかれて小粒みかんの甘しこと
- お願いね!母のメモ書きみかんのる
- さあおいで蜜柑ころがし餌付台
- みかんむく袋の数を競ひつつ
- 潮の香を引き寄せ甘くなる蜜柑
- 鳥がきて啄ばむみかん熟す順
- 鈴生りの蜜柑気になる無人駅
- テーブルに笊山盛りのみかん置く
- 思春期の口は重たく蜜柑剥く
- 酸っぱいと片目を瞑る子の蜜柑
- 葉の付きし蜜柑が売れる道の駅
- 木枠入る暮れの金無垢玉蜜柑
- 蜜柑の皮上手に剥きて美味しそう
- 味忘る昭和の遠き蜜柑水
- 蜜柑狩海見えるまで登りけり
- 蜜柑剥く手に湯上りの温かさ
- 潮風に甘み増すてふ島蜜柑
- 胃袋に落ちて微熱の蜜柑玉
- 地下街で合ふ故郷の伊予蜜柑
- 湯煙やジッチャと孫と蜜柑玉
- 海光をひねもす浴びて蜜柑熟る
- 夕日射す網棚に揺れ蜜柑籠
- 海峡の入日見下ろす蜜柑山
- みかん色クレヨンにぎり空をぬる
- 回覧板届けて蜜柑呼ばれけり
- 風邪をひきホットみかんに母の愛
- マジックで大書してあり蜜柑の値
- みかんの木乗って実をもぎ夕日見る
- エアコンや蜜柑文化を変えにけり
- 皮干して湯ぶねに浮かべみかん色
- 剥き捨ての皮に滑りし蜜柑狩
- 虹の先ミカン畑と海の藍
- 針穴に果汁浸み出す蜜柑釣り
- 黒潮を浴びて色増す蜜柑かな
- 外からは甘さ分らぬ蜜柑かな
- 記念樹の数ふるほどの蜜柑かな
- 蜜柑箱洗濯物が届きけり
- 蜜柑吸ふベツトの母のおちよぼ口
- 摘み食い匂いでばれる蜜柑かな
- 蜜柑二個小さき頬あてはいチーズ
- 初孫の名前思案や蜜柑むく
- 棟上やエプロン広げ蜜柑受く
- 鬼平の頁繰る指みかんむく
- 蜜柑むく太き指先父の膝
- 蜜柑剥く薬缶の息のやわらかし
- 皮一つ君は優しく蜜柑脱ぐ
- 英単語暗記カードや蜜柑剥く
- 蜜柑山橙滲む麓の灯
- 一人聴くヘレン・メリルや蜜柑剥く
- 群青の空を夢見る蜜柑畑
- みかんむくなんでもない夜の句読点
- 蜜柑投げ機関車は行く舞踏会
- みかん山木のある限り清々し
- 蜜柑積みポアンカレ予想想いけり
- 旧藩の名もある八百屋の蜜柑箱
- 蜜柑箱蛍雪節時代夢の中
- ていねいに筋取る蜜柑の生ぬるき
- 伊予からの孫の知らせと蜜柑来る
- 手にすればまず揉んでみる蜜柑なり
- じゃんけんでみかん取り合う幼き日
- 蜜柑剥く乳臭きものに溺れつつ
- あまそうに見せる蜜柑の赤ネット
- 母が剥く冷たき蜜柑温かく
- 縁日の賑わう参道みかん飴
- 蜜柑狩りまだまだ軽い孫を抱く
- 子の行事欠かさず持たす蜜柑かな
- お日さまの色閉じこめて蜜柑山
- 食卓の真ん中にあるみかん山
- 手の爪を黄色くさせて蜜柑剥く
- 読みかけのページに蜜柑を載せて置く
- 半分に分けた蜜柑まず愛でる
- 活断層隆起の走る蜜柑畑
- まだ青き蜜柑が熟す仏前で
- 額縁の車窓の富士や蜜柑剥く
- 群青の海を見下ろす蜜柑山
- 岬には岬のひかり蜜柑熟る
- 選りあひて蜜柑は固きもの残る
- 日とひかりここに集めて蜜柑山
- 真ん中にみかん団欒卓となる
- 蜜柑は膝駅弁の箸口で割り
- 団欒の果ての夜中の蜜柑かな
- 濃みどりの葉むらに照るや熟れ蜜柑
- 5年経ちやっと二つの庭蜜柑
- 瀬戸内の島々蜜柑の山の見ゆ
- 海側と山側のあり蜜柑山
- 蜜柑狩葉むら向ふも嬉々の声
- 朝市の詰め放題の蜜柑かな
- かの島は吾が古さとの蜜柑畑
- 海沿ひの道に蜜柑の袋売り
- 蜜柑狩まづは試食と一つもぐ
- 山盛りの籠の蜜柑やテレビ見ゆ
- 残照にいよよ色映ゆ熟れ蜜柑
- 蜜柑剥く指を黄色に染めにけり
- 旅人に冷凍蜜柑もらいけり
- みかん箱千代紙ちらしおもちゃ箱
- 降り立った駅に蜜柑の花薫る
- 海はるかゴンドラ渡る蜜柑山
- 雪だるま夫婦のように蜜柑乗せ
- 木製の昭和は遠きみかん箱
- 美しい女の手の平みかん色
- 硝子戸の日差しを膝に蜜柑剥く
- 窓際に蜜柑並べてインテリア
- 給食のみかんポッケの仲間かな
- しあわせは篭いっぱいの蜜柑かな
- 新聞紙広げみかんの皮干しぬ
- わが妻と出会いし頃や青蜜柑
- 君と食む蜜柑の味は炬燵色
- 蜜柑出て炬燵の姿定まれり
- 青かりし蜜柑の皮の生意気や
- 遠き日の爪を染めたる蜜柑かな
- 蜜柑むく母の手にしわなかり頃
- 一房に一言交わす蜜柑かな
- 駄菓子屋に昭和の瓶にみかん水
- 丁寧に蜜柑の筋とる父の癖
- 眠る子の頬に涙と掌にみかん
- 蜜柑ある限りは続く会話かな
- 蜜柑落ち転がる先は瀬戸の海
- 寂しさに海光の中蜜柑剥く
- 密柑山みかんの色の陽が沈む
- しずけさや老いばかりゐて蜜柑島
- 告白に蜜柑一個を宙に投げ
- 鍵つ子の「ただいま」を待つみかんかな
- クレヨンでみかんお日様同じ色
- テーブルのメモを押さえるみかんかな
- 遍路道みかんの花の風だより
- お駄賃のポッケ膨らむみかんかな
- みかん山まもりし従姉旅立ちぬ
- 弁当の隙間を埋めるみかんかな
- 店頭のみかんの色のいろづきぬ
- おすそわけ戻る容器にみかんかな
- みかん山色づき元気な過疎のひと
- 北国の訛飛び交ふ蜜柑島
- 蜜柑むく父母祖父祖母のゐるやうで
- つらし夜や少しぬるめの蜜柑風呂
- 人柄を見抜かれそつと剥く蜜柑
- お手玉の蜜柑るんるん弾む祖母
- 友の指みかんに染まり旬を告ぐ
- 結願の朝の蜜柑のたわわかな