- 山本海苔店トップ
- 俳句庵
- 俳句庵 2010年03月 優秀賞発表
- 俳句庵 2010年03月 作品一覧
俳句庵
3月『雛一切』全応募作品
(敬称略)
- 遠き日のお国振りなる雛談義
- 雛まずは虫干しをとて空向けて
- 古雛や偲ぶ人あり被爆川
- 薄明かり雛も児もまだ寝ておりぬ
- いにしえを語る雛の笑顔かな
- 産院の前より沖へ流し雛
- 雛の歌浅草橋の日が暮れる
- 貴種流離譚一刀彫りの吉野雛
- 雛遊び優しくなりし男の子
- 問診の女医の机の雛かな
- 平安の顔して母は雛飾る
- 女系四代一間を占むる享保雛
- 宅配の箱どっさりと雛届く
- 言い訳のために遅らす雛納め
- 古雛に追憶の傷孫眠る
- 遠き日を呼び戻すかに雛飾る
- 箱を出て畳冷たき内裏雛
- 雛祭り仏頂面の婆三人
- 譲り雛母に似たるは肌のしろ
- ほどほどの馳走と白酒老い二人
- 乱れいし女雛の髪を梳きにけり
- 余生とは云えど夢あり流し雛
- 先づ屏風埃払いて雛納む
- 心根をすべて見透す雛飾る
- 相伴に男児も見ゆる雛の客
- 雛壇に紛れてをりし縫いぐるみ
- 雛飾る嫁せし娘の幸祈り
- 雛かざり 赤いもうせん 春招く
- 書き止めを幾度も見つつ雛納め
- 雛だして 春を先取り 我が家かな
- その中に男児はしゃぐ雛の客
- 甥ばかり 妹の雛 飾る親
- ゆとりなき時代を偲ぶ古雛
- 雛あられ 口ではじけて 春が来た
- 雛の間に雛のやうに三世代
- 箱出して 一年ぶりね 雛人形
- 古雛の由緒去年も聞かされし
- 雛人形 出していないよ 何年も
- 雛あられ老女拾つてまたこぼす
- 彩りで 春を感じた 雛あられ
- 餓鬼大将けふ神妙に雛ノ客
- ずるいよと 弟泣いた 雛祭り
- 今もなほ早く雛をしまふ癖
- 後れ毛を許さぬ気品内裏雛
- あいさつもおしゃまな所作の雛の客
- 首抜けば首棒長し使丁雛
- 初ひひな母を受け継ぐ富士額
- 雛祭りもうしなくていいわ五年生
- 末の子が波を怖がる流し雛
- 灯を消して王朝の闇に置く雛
- 飾られて眠ることなきひひなかな
- 泣き虫の少女とははの雛納め
- 雛あられ手よりこぼれて家具の裏
- きぬぎぬの朝に相寄る立雛
- 温暖化一重が良いとお雛様
- 立雛や夜は休ませて白き布
- マニキュアの爪にかかりしお雛様
- 吊し雛風がひかりを運びくる
- お雛様壁越しに聞く狂詩曲
- 幼な手に色取り分けて雛あられ
- 雛飾り育てし娘アッパッパ
- 桃の日や耳が痒くてならぬ夜
- お雛様あらまし事を聞いとくれ
- 立雛の御寝すがたや夜の売り場
- 重ね着の雛様お肩揉みましょか
- 折りは足崩されよ夫婦雛
- 囲まれて母系家族の雛の夜
- 燃さずとも手立ては無いか雛供養
- 流し雛それぞれの生(せい)海へ行く
- 襖開け雛に会わせる雪景色
- 雛なりし孫が七人記念写真
- 居間の闇犯行見ていた雛人形
- 雛たちはぼんぼり灯し宴かな
- ぼんぼりに願う心の温かさ
- 来年も再会約す雛納め
- 早く来よ来れば寂しき雛供養
- 雛節句大試験日の夢見たり
- 少年の短き正座雛の客
- 雛のよな美男夢見る少女かな
- 雛あられこぼれてをりぬランドセル
- 雛遊び裾踏み歩くおっとっと
- 戦中も戦後も隠れ古雛
- こうこうと夜間保育や雛祭
- 燈を入れてよりの華やぎ雛の店
- 四万十の河口たゆたふ流し雛
- 詠みはずし 雛も黙らぬ 選句者ね
- 知床の岸辺に迷ふ流し雛
- 雛段に せめて並べや わが投句
- 分校の子らも輪に入る雛祭
- 当選句 詠む暇あれば 雛育つ
- 仲良しの子山羊もはしゃぐ雛遊び
- 雛までも 望み持てない 俳句庵
- 思い出も雛と流さんふるさとに
- これ以上 書いても無駄と 雛も知る
- 胸に棲む母若かりしお白酒
- 古庇くぐりて出逢ふ享保雛
- 四代が男家系に雛の菓子
- 在りし日の匂い遺りし雛かな
- 決めている我の雌雛は君一人
- ひなまつり主役の赤児寝ておりぬ
- 揚げたてのあられ盛りたる雛祭り
- 下戸ばかり寄りて今宵は雛の宴
- 雛飾り孫はどの子も男なり
- 皺すこし出てきた娘雛かざる
- 雛飾る毛氈のしみ覚えあり
- 花活けて花より美しき女雛かな
- 一段は吾の文机の雛飾り
- 嫁さぬ娘に手伝わせたる雛納め
- 縁側に茶飲み友達雛飾り
- 小児科の診察室に紙の雛
- 部屋譲り子に添い寝乞う雛飾り
- どの家も物語持つ雛人形
- 雛祭り うらやましいな 娘なし
- お神籤は小吉なりし雛の日
- 息子でも 飾ってみたい お雛様
- 雛あられ退院まぢかの少女かな
- お雛様 息子の嫁と 飾りたい
- 雛飾るモノクロームの写真帳
- ひなあられ 食してせめて ひなまつり
- しばらくはお雛どころの御一行
- 娘なし お雛祭りは ひままつり
- 陸奥の雛いにしえの京の顔
- ちりめんの細工多彩やつるし雛
- 雛まつりロゼシャンパンの時代なり
- 謂れある一つひとつやつるし雛
- 雛あられ粒の揃わぬおもしろさ
- ちりめんに願ひ込めたるつるし雛
- マンションのロビーを飾る雛人形
- 蔵町の玄関ごとの古雛
- 雛飾る団地の狭き部屋なれど
- 段飾り下段は祖母の雛道具
- 雛祭り神妙に座す男の子
- 潮騒の囃子にそろふ磴の雛
- 子らはみな都会へ去りて雛祭り
- 立ち雛を飾りて遺影笑みが増し
- 雛の乗る小舟を曳いて雛流し
- 変わり雛こぞの話題に頬緩み
- ためらへる慣わし哀し流し雛
- 検針に見てけと孫が雛自慢
- 雛飾る今年限りと思ひつつ
- 亡妻の部屋明るみて雛飾り
- 内裏雛だけにするかと妻の言ふ
- 雛祭 弟すねて 泣き寝入り
- 待合室に医聖壁画や雛飾る
- 雛あられ 無邪気に選ぶ 色違い
- 真夜の雛己が出自を語りだす
- 雛市の 店前並ぶ 発送品
- 竹刀胼胝のこる指もて雛納む
- 雪洞のスイッチ入れる雛祭
- あな畏ピアノのうへに雛飾る
- 寝かされて空を見てゐる流し雛
- うぶすなを離れ難くに流し雛
- まだ何も分からぬ嬰に雛飾る
- 蔵開けて豪商しのぶ享保雛
- 行儀良く座る娘や雛の前
- 雛の間の夜は大奥の世界かな
- 雛の如子を着飾らせ雛祭
- 紙雛の胸軽く触れ押し流す
- まだ壇に並ばぬ五人囃子かな
- ひとつずつ声かけ包む雛の和紙
- 雛あられ小さき手より大き掌に
- 四畳半に秘密の多き雛人形
- 雛祭りひとりは女優になると言う
- マンションの自動扉や雛飾
- 土雛を洗いていのち吹き込みぬ
- ひなまつり就職活動終りけり
- 雛納めまた来年と呟きつ