俳句庵

8月『七夕』全応募作品

(敬称略)

東京都     安西 信之
七夕竹子等の背丈を越へてをり
背伸びして七夕竹に願い札
乾坤の間笹掃く星祭
神奈川県     佐々木 僥祉
七夕や逢ひ見るための暗き夜
岡山県     純子
七夕や去年と同じ願ひ事
星の夜は七夕竹の華やげる
埼玉県     小玉拙郎
長短の七夕竹に伐って待つ
七夕の仕舞いさびしき陸奥の旅
笹の葉と軒端の上を宇宙船
東京都     鈴木 眞由美
もう一本空いてしまふか星今宵
星まつり夜の主任は菊之丞
七夕や妹背なるとは知らなんだ
北海道     高橋千草
七夕や路地に満ちるる子らの声
頬ゆるむ子らの夢あり笹飾り
大阪府     永田
母卒寿湯上りの笑み星の秋
初バーディスキップ鼻歌星の秋
愛知県     野村 修三
七夕や赤き鼻緒の下駄の音
少年の夢は宇宙へ星祀る
少年の願いそれぞれ笹に結ひ
七夕の短冊揺れる雨意の風
七夕やツインタワーは七色に
埼玉県     一斗
七夕や動画の届く家族かな
星祭耳を澄ませし波の音
短冊に四文字の願い星祭
七夕の願いを鳴らす海の風
食堂の七夕セット大盛に
大阪府     太田 紀子
スーパーも改札口も笹飾り
乾びゆく七夕笹や消防署
頂きし七夕笹の飾り買ふ
掲示板に七夕笹の括られり
東京都     岩川 容子
復興の望み託して星祭
七夕や秘史を明かさぬコケシかな
七夕や川向うより友来る
七夕やプラネタリュ―ムの椅子に居り
宮城県     藤野 尚之
七夕や折鶴重く吊るさるる
終電や七夕幾重にも潜り
短冊に原発中止星祭
瓦礫にも小さき七夕竹挿しぬ
仮設には仮設の願ひ星迎
千葉県     横井 隆和
子を護り 離島の果ての 星祭り 
笹飾り 祈りは一つ 卒原発
核放棄 願いを星に かけ給ふ
兵庫県     紫水
七夕や赤きネイルの願い事
帰りたい短冊に書く七夕かな
七夕や笹はさらさら母に舞う
七夕や初恋続く星二つ
さよならと七夕に書く別れかな
大阪府     瀬戸 順治
七夕の斯くも身近にをりしかな
七夕の生れて人恋ふ一夜かな
東京都     一日千秋
七夕や 朝顔市の 団十郎
七夕竹 七十五度で 設える
東京都     ベガ
驟雨来て 願い事なお 凛凛と
七夕や 子の短冊の 誤字脱字
東京都     紫星
子燕も 七夕竹を 俯瞰でき
七夕の 短冊如し ハムサンド
大阪府     田中 如
七夕の願い妹より高く
七夕や夫婦揃つて同じ夢
七夕や子には子の夢ひとり住む
祖父の役七夕竹を伐りに行く
七夕を流した海は広かつた
北海道     飯沼 勇一
七夕やひらひらと舞ふ願い事
六地蔵見上ぐ彦星織女星
七夕後願ひ叶ふ子叶わぬ子
七夕の短冊真白相撲部屋
埼玉県     大野 美波
夕風のたどりつくとこ七夕よ
七夕や風のおわりをかんじけり
いつまでも一緒にいたい七夕よ
七夕やもっと自由に振る舞って
七夕の悲しき願いが揺れにけり
山口県     山縣 敏夫
まだ二星我等夫婦は四十年
星今宵我等夫婦は酒交わす
今の世は豪雨となりぬ酒涙雨
洗車雨や年に一度の晴れ姿
七夕や夕日が丘の三丁目
千葉県     坂本 徹
七夕やラストコールの最終便
栃木県     長浜 良
七夕の今宵一夜は牽牛に
笹竹を引き摺ってきて星祭
健やかと書きし短冊星祭
埼玉県     守田 修治
七夕や下駄をひびかせ行く句会
終電はとうに出てゆき星祭
七夕や小風呂敷手に古書店へ
神奈川県     長瀬 正之
七夕や給食当番好きな子と
子の丈に七夕竹を合わせをり
七夕や逆単身の妻へ文
七夕や単身先へ立つ朝
七夕やカレーライスに子の歓声
神奈川県     相模太郎
ロンドンへ手紙書く七夕の筆
七夕の女竹を縁に寝かせ置き
七夕や妻に意外な願ひごと
千葉県     平井 覚
七夕に心通わせ一夜妻
神奈川県     佐藤 博一
天の川渡る二星の水の音
東京都     村上 ヤチ代
七夕や万の神に願い事
兵庫県     山地 美智子
アーケード街に夕風星まつり
たわいなき願いなりけり星まつり
神奈川県     川島 欣也
七夕の竹をひこずる野良土産
七夕の恋の架橋なかりけり
ひと目避け七夕願い笹裏へ
七夕の黒雲逢瀬隠しけり
昊天のロマンを語る星祭
兵庫県     本田 美代子
風吹きて鳥のさえずり七夕夜
ねがいなき白のたんざく笹の葉に
夕映えに笹をかかげて父と子が
七夕や今宵名残の空見上げ
千葉県     飯島 史朗
七夕や女児の願いか犬欲しい
七夕や金紙銀紙の咲き乱れ
七夕や曇天見上げ笹立てる
東京都     岩崎 美範
妻ひとり子供ふたりの星祭
神奈川県     村上 芳子
七夕の短冊ばかり飾り目立つ竹
どの竹も一つお願い星祭
笹飾り昨日の夢の続きをと
賑やかもありシンプルも竹飾り
星の恋遠距離の恋吾は今
神奈川県     佐藤 博一
七夕や生涯に逢ふ人の数
東京都     岩崎 美範
七夕のこの夜の雨の憎らしき
神奈川県     守安 雄介
商魂の見落としている星祭
星合を覗き見してる河原かな
追っかけを気にして逢へぬ二星
病院の七夕笹やぼてとなる
神奈川県     佐藤 博一
七夕や離れ住む子ら思いつつ
大阪府     津田 明美
七夕や宇宙を翔ける子らの夢
大望に七夕竹のしなりかな
七夕の夢千年の生活かな
幸せがこぼれ落ちくる七夕夜
七夕や吾にも逢いたき人のいて
東京都     岩崎 美範
七夕や妻に秘密の願ひ吊る
三重県     平谷 富之
星合やいつも思ふは君のこと
埼玉県     岸 保宏
孫と書く七夕紙は赤ばかり
七夕のメールに並ぶ星模様
七夕の垂れて揺られるけだるさよ
園庭にそびえ七夕飾りかな
富山県     岡野 満
短冊に夢が煌めく星祭り
七夕の飾りの街や風通る
千葉県     平井 覚
七夕の織姫と会いほろ酔いか
神奈川県     佐藤 博一
いつしかに似た者夫婦星祭る
千葉県     高橋 三恵
七夕やみんなの願い空に満つ
長野県     木原 登
病棟の吾子に七夕過ぎにけり
札幌の空あをあをと星祀る
七夕の港出でゆく巡視船
星今宵子にも恋人出来にけり
七夕やシラノの恋はとこしなへ
山口県     有田 ひろ子
園児らの七夕まつり逆さ文字
福岡県     ありあけ
七月の夕焼け空に星ひとつ
牽牛の心と重ね姫(きみ)想う
短冊の娘(こ)の願いごと叶いたし
宮城県     石川 長二
みちのくの七夕祭り賑やかに
七夕や明日への希望願いたり
七夕や孫が喜ぶ顔になり
岐阜県     金子加行
七夕の笹伐る鉈を父持たす
七夕に叶ふ小さな願いごと
七夕や逢ひたき人は終電車
七夕の笹の軽トラ孫に来る
地下街の七夕竹は夜を知らず
岐阜県     ときめき人
七夕や未来予想図描きけり
神奈川県     佐藤 博一
七夕や遠距離恋愛実らせて
兵庫県     村山 祥江
短冊に書かれた願い無理ばかり
一年に一度の逢瀬晴れ願う
夜空指し七夕語りし父の星
困難な七夕飾りの笹入手
アルタイルとベガで七夕天文家
埼玉県     柏木 晃
子供等の笹を引きずる星祭り
短冊にはみ出る願い星祭り
七夕の昼間の顔で飾り付け
愛知県     西谷 寿
七夕に かけた短冊 夢とどけ
七夕に 君と過ごした 家で待つ
七夕に 買ったお揃いが 寂しそう
七夕に 告った彼女が 今いない
過ぎ去りし 七夕記念 リセットする
新潟県     近藤 博
指折りて五七五ひねる七夕の夜
七夕や相聞詠みて短冊に
七夕の願ひはひとつ老いの身は
栃木県     久保田 晋一
七夕に彦星織姫巡り合ふ
七夕や恥らふ恋を認める
仙台や七夕飾りを潜りたり
愛知県     石川 順一
七夕やコンビニトイレが脱衣場(ば)に
母と行く七夕コンビニ脱衣場(ば)に
長渕や七夕コンビニ脱衣場(ば)に
星祭帰りのコンビニ脱衣場(ば)に
バルサンを二回焚くのは七夕の為
北海道     江田三峰
小児科のナース代筆星祭
小児科の願ひの糸をそつと見ゆ
看護師に抱かれ七夕飾りかな
七夕の願ひ俳句のことばかり
七夕の一句吊して星祭
千葉県     柳 蛙
星祭スカイツリーは空に在り
七夕の笹と行き合ふ通園路
七夕や老いの短冊遺書めきて
文豪の住みし谷根千星まつり
熊本県     貝田ひでを
七夕や父の確かな筆使ひ
七夕や星の噺をきりもなく
ほんとうの願ひは秘めて星祭
七夕や毎年変わる願ひごと
短冊を髙きに吊るし星祭
東京都     杉本 とらを
雨雲の上の逢瀬や星祭
七夕竹担ぎて渡る太鼓橋
愛知県     鈴木哲也
七夕も七つ道具の二WAY
七夕の夜好物なサラダ食べ
職員さんも七夕出皆熱心
日々使う消毒石けん七夕日
七夕や身だしなみも身軽くし