俳句庵
季題 5月「薄暑」

- 根津谷中昭和長屋の薄暑かな
- 埼玉県 守田 修治 様

- 戌の日の水天宮の薄暑かな
- 東京都 岩崎 美範 様
- 関取の髷の匂へる薄暑かな
- 神奈川県 佐藤 博一 様
- 入る上がる下がる京都の町薄暑
- 兵庫県 岸下 庄二 様
佳句鑑賞
- 三文安いとう夏生まれ薄暑かな
- 鈴木榮子
- 夏猫に頒ける牛乳ギヤマン皿
- 鈴木榮子
鈴木榮子先生コメント
優秀句にある根津谷中は東京の地名です。町がどんどん様変わりしてゆく中で、根津谷中も少しずつは変わっていますが、大正昭和の下町の風情や面影を今に残しています。横町へ入ると一葉の頃の井戸がもう使えませんが残っています。この句を得て一つの思い出を掘り出したことでしょう。もう残存ぎりぎりの時になってしまいました。どうぞ皆様ぶらりとお出かけください。
水天宮も人形町にある東京の名所です。私も祖母や母と参りました。あの先のホテルで句会をしたこともありました。
佐藤さん、今に残るお相撲さんの日本油の香りは古き日本の香りです。なお、「匂える」は「匂へる」がよいでしょう。
岸下さん土地が変われば言葉も変わります。京都はこの句がぴったりの町でした。
今月は東京下町の趣きを彷彿とさせる作品を沢山拝見しました。皆様の思いが充分にこもった作品でした。さあ、次は夏です。日本に四季があることを感謝して心躍らせて詠まれてください。お待ちしております。
◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。