俳句庵
季題 1月「正月」

- 神橋の朱の鮮やかにお正月
- 東京都 岩川 容子 様

- 軒下に遊ぶ雀やお正月
- 愛知県 古賀 敦子 様
- 俎板の音心地よきお正月
- 山梨県 天野 昭正 様
- お正月てふ一日の始りぬ
- 東京都 村上 ヤチ代 様
選者詠
- 正月や神にちかづく磴上る
- 安立 公彦
安立公先生コメント
山本海苔店俳句庵に出句されている皆さん、明けましてお目出とうございます。今年も皆さんの秀作佳句を期待しています。今回の題「正月」は、歳時記の分類を見てもお分りのように、「新年」の部の一項目です。新年全般に及ぶ季語ではありません。
優秀賞の岩川さんの句。「神橋」は、神社の境内などにかけた橋です。「正月」をその神橋の欄干の朱色で象徴した作品です。いかにも正月らしい気分が出ています。原句は中七が「紅鮮やかに」でしたが、「朱の鮮やかに」の方がよろしいでしょう。
古賀さんの句。「初雀」は、「初鴉」、「初鶏」とともに、新年を代表する動物です。いつも軒下に来ている雀も、正月の気分で見ると、初雀と受けとれます。「軒下に遊ぶ雀」が、「お正月」とよく調和しています。
天野さんの句。いつもは余り気にしない「俎板の音」、奥さんの包丁の音でしょう。それを「心地よき」と表現されたのが見事です。
村上さんの句。「てふ(という)一日の」がいいですね。長い年月の間には、こういう思いの正月もあることでしょう。同感です。
「正月」は総ての人が決意を新たに過ごす月ですが、俳句にまとめるとなるとむつかしい題です。そういう中で今月も、〈正月や真白き母の割烹着 隼人〉、〈南国の正月に慣れ齢重ね 林 とみ代〉、〈わが浦の百戸の灯りお正月 みなと〉など佳句が多いでした。
◎ 優秀賞、入賞に選ばれた方には、山本海苔店より粗品を進呈いたします。