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- 俳句庵 2015年05月 作品一覧
俳句庵
5月『麦秋』全応募作品
(敬称略)
- 愛知県 岩田 勇
- 参拝のバス延々と麦の秋
- 行軍は三日三晩と麦の秋
- 懐かしき名優あまた麦の秋
- 聞こえ来る般若心経麦の秋
- 疎開せし麦秋の村訪ねけり
- 埼玉県 長澤 千鶴子
- 野良猫のとほりみちかな麦の秋
- 遠山の茜に染まり麦の秋
- 麦秋や風はやさしくなでてゆく
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 凍餒の大地に陽の染む麦の秋
- 埼玉県 哲庵
- おふくろの手打ちうどんや麦の秋
- 麦の秋円空仏を訪ね行く
- ランナーの列が過ぎゆく麦の秋
- 麦秋や卑弥呼の墓の調査隊
- 麦秋の風に吹かれて杖試し
- 千葉県 隼人
- 麦秋や風吹き抜ける八合目
- 諸手寄せ掬ふ湧き水麦の秋
- 水風呂に馴染ませ躰麦の秋
- 麦秋やあじのいりこのうどん汁
- 神奈川県 相模太郎
- 若者の脚みな長し麦の秋
- 麦秋や花舗の外まで花並べ
- 馬の脚膝に抱へる麦の秋
- 生みたての卵いただく麦の秋
- 物置に使はぬ農具麦の秋
- 東京都 安西 信之
- 病歴は勲章のごと麦の秋
- 麦秋の午後の体操広場かな
- 麦秋や橋を渡るに手を借りて
- 笹舟のくぐる木の橋麦の秋
- 麦秋や旧家梳かれて石ごろごろ
- 埼玉県 小玉拙郎
- 山並みは青の濃淡麦の秋
- 麦の秋矩形重ねて岬まで
- 草野球ネットの裏は麦の秋
- 干拓に今も異議あり麦の秋
- 麦秋に人を配るや田舎バス
- 千葉県 犬槇庵 光晴
- 茫茫の塩狩峠麦の秋
- 千葉県 響
- 麦秋や水飴片手に風の中
- ブラジル 林 とみ代
- 麦秋のふるさと後に半世紀
- 富士山の裾野に熟す麦の秋
- 戦禍跡覆ひ隠して麦の秋
- 麦秋の風になびくや選挙旗
- ふるさとは懐かしきかな麦の秋
- 埼玉県 岸 保宏
- 麦秋やより密やかな無人駅
- 麦秋に新ネタ聞ける高座かな
- 麦秋や羽織増やしてデイに行く
- 東京都 岩川 容子
- 麦の秋したたかに人生きており
- ていねいに種馬洗う麦の秋
- 暮れなずむ空をも焦がす麦の秋
- 遠き日の祖母のおむすび麦の秋
- 東京都 丸山清子
- 彼方より鈴近づくごとし麦の秋
- 口笛の上手くなりけり麦の秋
- 山里のパン屋繁盛麦の秋
- 東京都 村上 ヤチ代
- 麦秋に影を落とせり熱気球
- 愛媛県 宮下 靖弘
- 麦秋に描かれし色となりて我
- 麦秋に開くページの白さかな
- 麦秋の金は電車も洗うごと
- 麦秋の無人駅次は日没後
- 東京都 鈴木 眞由美
- 麦秋の向かうの声は母に似て
- 燈明の煽ぎて消せり麦の秋
- 麦秋や繋ぐ手堅き園児どち
- 埼玉県 守田 修治
- 十二才少女羽化する麦の秋
- 居酒屋のメニューも替わる麦の秋
- 銭湯の昭和談義や麦の秋
- クラークの指さす大地麦の秋
- 野球部の選手急募や麦の秋
- 北海道 飯沼 勇一
- 風ごくり呑み込む美味さ麦の秋
- 山下りてくればいきなり麦の秋
- ローカル線窓いっぱいに麦の秋
- 麦秋や画布にも風を描き込みぬ
- 麦の秋十勝平野は空碧し
- 東京都 石見 光夫
- 農業の体験ツアー麦の秋
- 黄帽子の園児一列麦の秋
- 東京都 坂本 牧子
- 麦秋やモーツアルトでぶっ飛ばす
- 麦の秋洗車を終えし宮大工
- 住職のバイク消えゆく麦の秋
- 麦秋や寿限無寿限無を諳んじる
- 千葉県 横井 隆和
- なびく穂の風にたたずみ麦の秋
- 静岡県 柳谷 益弘
- 風の音も心地良きかな麦の秋
- 岐阜県 ときめき人
- 麦秋や「はだしのゲン」の足の跡
- 東京都 右田 俊郎
- 麦の秋一年生も馴れるころ
- 麦秋や国境を守る歩哨兵
- ひたすらに地平線まで麦の秋
- 一島を一色に染め麦の秋
- 麦秋や子らの隠れ家秘密基地
- 大阪府 太田 紀子
- 麦秋や川の右にも左にも
- 麦秋や介護ホームの小さき窓
- 麦秋や客が一人の路線バス
- 静岡県 柳沢 浩
- 麦秋の生きると死との線を引く
- 田んぼと田んぼの微笑み麦の秋
- 麦秋や追われ拾いて笊のなか
- 麦秋の時の歩みを掻き交ぜて
- 麦の秋時計を外す黄金色
- 東京都 蘭丸
- 麦の秋大方のこと飲み込みぬ
- 麦秋や手紙の如き立ち話
- カナダ 花里真希
- 麦秋の海のハイウェイ走り行く
- 麦秋の波に飛び込む雀かな
- 風吹けば輝き増せり麦の秋
- 神奈川県 塚本 治彦
- 麦秋のパールバックの大地かな
- 麦秋や聖フランシス無一物
- 畑通る家庭訪問麦の秋
- 麦秋や留守番の婆惚けてをり
- 麦秋や田舎のバスの土埃
- 千葉県 二階堂 脩一朗
- 延命を母は望まず麦の秋
- 方言のとびかう茶会麦の秋
- 神奈川県 長瀬 正之
- 道草の友の増えたる麦の秋
- ランドセル馴染む姿に麦の秋
- 麦秋や田舎の節句月遅れ
- 麦の秋蔵の片付け爺と婆
- 富山県 岡野 満
- 吹く風の色変わりたる麦の秋
- 麦秋に日射しゆるりと吸われけり
- 麦秋や風がお客の無人駅
- 福岡県 河瀬 周治
- それぞれが地軸でありぬ麦の秋
- 一本道の軽トラックの麦の秋
- 麦秋の筑紫次郎のたひらけし
- 麦秋のあらたな風の風を追ひ
- 神奈川県 秋山 直子
- 麦秋や陶器のジョッキ交わす夜
- 山麓を黄金に染める麦の秋
- 麦秋や夫つまびくビートルズ
- 幼稚園せまき畑の麦の秋
- 麦秋やミレーの絵の人微笑めり
- 大阪府 山下 みゆき
- 麦秋の原野に透明バス走る
- 麦秋にオープンサンドウィッチ携えて
- 麦秋は雲眩しくて影白し
- 異星へと迷い来しかや黄の麦秋
- バス停の錆まで眩し麦秋は
- 福岡県 西山 勝男
- 幸若の里をまほろに麦の秋
- 麦秋や鍛冶場遺跡をただなかに
- 麦秋やまつただなかの落城趾
- 麦秋の真っ只中を婚の舟
- 麦秋や大和三山遥かげに
- 北海道 伊藤 哲
- 麦秋や美瑛の空の果てしなき
- 麦秋や青春時代の空遠く
- 栃木県 長浜 良
- 終点へ一両電車麦の秋
- 後ろ手の弔問多き麦の秋
- 農耕機妻と相乗り麦の秋
- 麦秋の一番星や農耕機
- 大阪府 永田
- 何となく後ろ手になり麦の秋
- 麦秋や予定なき日の軽きこと
- 深呼吸ふたつみつよつ麦の秋
- 神奈川県 矢神 輝昭
- 畦道にやかんの転げ麦の秋
- 放課後やザリガニ釣りへ麦の秋
- 教室に居眠りする子麦の秋
- 黒潮にさばの大漁麦の秋
- 石狩の平野一面麦の秋
- 埼玉県 櫻井 玄次郎
- 麦秋に赤髭伸びて刈り込めり
- 神奈川県 猪狩 千次郎
- 麦の秋孤独の好きなピエロかな
- 牛の尻両手に押すや麦の秋
- 麦秋や天を哀しむ犬の声
- 麦秋の岬すとんと切れて空
- 砂浜を馬疾走す麦の秋
- 大阪府 津田 明美
- 麦秋の日暮一望遠岬
- 麦秋や海に溶けゆく単線車
- 麦秋の終いの空や遠岬
- ハミングの少年過ぎて麦の秋
- 暮れなずむ風の大地や麦の秋
- 広島県 永野 昌人
- 滔々と筑紫次郎や麦の秋
- 麦秋のゆつくり曲がる大河かな
- 麦秋や昔日本は飢えたると
- 麦秋の野末に落つる夕日かな
- 麦秋の北の大地と言ふところ
- 兵庫県 山地 美智子
- 麦秋や客の少なき昼のバス
- 大樹あるところ社寺あり麦の秋
- 麦秋や近づいてくる浅間山
- 麦秋や知人少なくなりし故郷
- 大声で孫に呼ばるる麦の秋
- 福岡県 桑田 勲
- 麦の秋城の名残の野面積
- 麦の秋錆の極みの捨碇
- 潮焼けの浦の捨舟麦の秋
- 墓所守る屈強な松麦の秋
- 石積めば山神となる麦の秋
- 山口県 山縣 敏夫
- 麦秋や小津の世界に浸りきる
- 三丁目夕日が丘に麦の秋
- 麦秋や農家を急かす二毛作
- 麦秋を眺めて走るこころ旅
- バス停がポツンと立つや麦の秋
- 群馬県 クズウ ジュンイチ
- 麦秋へ村に残りし子のバイク
- 大阪府 森村ふうみ
- 街道に風誘うや麦の秋
- 麦秋の風に寄り添い石仏
- 雨あがる穂先輝き麦の秋
- 埼玉県 米田 哲
- 麦秋や普き日射し風そよと
- 風そよと彩なす故山や麦の秋
- 麦秋や琥珀のグラス指二本
- 麦秋や風の足跡ゆっくりと
- 麦の秋亭午の下のさんざめき
- 東京都 芒紫
- 麦秋や 風に刹那を 求め過ぎ
- 麦秋の 囁き何故か 芳しく
- 東京都 紫藁
- 黄み帯びし 風麦秋の 澱なる
- 麦秋や 乾いた地声で 独り言
- 東京都 紫麦
- 麦秋や 就活生は 颯爽と
- 突然の 雨に麦秋 鈍る午後
- 岡山県 渡辺牛二
- 麦秋や婚の荷の入る里の家
- 滑走路走る両側麦の秋
- 静岡県 池ヶ谷 しょうご
- 若き日の思いを宿し麦の秋
- トンネルの向こうはぽっかり麦の秋
- 滋賀県 村田 紀子
- 麦秋の風に誘われ旅に出る
- 五年ぶり友と出会った麦の秋
- 猫二匹隠れんぼする麦の秋
- 麦秋に兄と歩いた道を行く
- 麦秋の里を駆け来る赤い傘
- 福井県 岡本 紅
- マラソンのゴールテープや麦の秋
- 大阪府 弗椿
- ネクタイをしない麦秋早五度
- 麦秋や爆買いの声去り虚空
- 東京都 新保 徳泰
- 麦秋の水車まだある村の景
- 愛知県 斉藤 浩美
- 日本人なれどパン好き麦の秋
- なつかしきものにコッペパン麦の秋
- 抑留の記憶は消えず麦の秋
- 給食の脱脂粉乳麦の秋
- 食糧自給率低き日本や麦の秋
- 岡山県 岸野 洋介
- 山門を出て眼前の麦の秋
- 麦秋や産着の揺れる甥の家
- 微笑も介護のひとつ麦の秋
- 誰にでも笑うみどりご麦の秋
- 麦秋や昼餉伝えに来し少女
- 東京都 北川 京子
- 麦秋や沈む太陽ゆったりと
- 麦秋の海に漂ふ鳥の群れ
- 北海道 みなと
- 英語教師口笛吹ゐて麦の秋
- 散骨の大海原や麦の秋
- 麦秋や傍ら寂し鳶の笛
- 麦の秋古刹に後架在りにけり
- 淋しらに彷徨ふ二人麦の秋
- 東京都 水野 二三夫
- 真つ盛りなる麦秋やうどん打つ
- 麦秋の果筑波嶺を望みけり
- 麦秋の栃木路をゆく軽四輪
- 埼玉県 沼崎 和子
- 大阿蘇に赤牛育つ麦の秋
- 麦秋や柱に母の文字みつけ
- 石橋の多きふる里麦の秋
- 手を振れば手を振り返す麦の秋
- 道端の地蔵や麦の秋に染む
- 東京都 笹木 弘
- 手をつなぎ木の橋渡る麦の秋
- 麦秋や特急通過の無人駅
- 全身で深呼吸する麦の秋
- 麦秋や天を見上げる天の邪鬼
- 産土に風の乾きし麦の秋
- 千葉県 伊藤 和幸
- 麦秋の匂ひ誘(いざなう)ふ旅心
- 麦秋の続く限りや風の景
- 岡山県 純子
- 麦秋へ入りてよりの旅心
- 麦秋へ心開いてをりにけり
- 神奈川県 井手浩堂
- バイエルンは黄の明るさに麦の秋
- 村々に教会一つ麦の秋
- 刈取り機整備の音や麦の秋
- 送電線張りし鉄塔麦の秋
- 見合ひせる女ほがらか麦の秋
- 東京都 三浦 靖男
- 麦秋無性に見たくロ-カル線
- 発車し直ぐに一面麦の秋
- 麦秋を観たオリオン座今は無く
- 雨上がるきらめく穂先麦秋
- また一人訃報に揺れる麦の秋
- 神奈川県 佐藤 博一
- 麦秋や老いては過去を振り向かず
- いつよりか予習復習麦の秋
- 泣かされて泣かせて少年麦の秋
- 麦秋や水平線までゴッホの黄
- 麦秋や麦の熟せる日の匂い
- 石川県 香美
- 麦秋や村へと続く野の轍
- 麦秋をかき分けゆるりローカル線
- 君の町バスを降りれば麦の秋
- ゴッホより金深くして麦の秋
- 村地蔵花たむければ麦の秋
- 山口県 ―
- 麦秋やマッサンの愛揺れている
- 麦秋の季語に馴染めず詠みにけり
- 兵庫県 岸下 庄二
- 麦秋や穂擦れの音のなつかしく
- 時刻表繰って旅する麦の秋
- 吹き渡る風に色あり麦の秋
- 麦秋や単線駅に降り立ちぬ
- 麦秋や風に色あり匂ひあり
- 神奈川県 守安 雄介
- 麦秋やドミノ倒しに穂の戦ぐ
- 麦秋やTPPは如何ならむ
- 麦秋や二期も二毛も廃れけり
- 麦秋や午後から父の腰をもむ
- 麦秋や楽になりたる農作業
- 茨城県 たいようたろう
- 麦秋の夕日せせらぐ遠筑波
- 麦秋の風に乗りたき一輪車
- 筑波山麓麦秋のとんびの輪
- 麦秋を渡る潮鳴り縞模様
- 麦秋の匂ひ分けゆく一輌車
- 福岡県 紙田幻草
- 踏み入るや古稀なる世界麦の秋
- 麦秋や白蝶どこにでも湧ける
- 白蝶も黄蝶もどつと麦の秋
- 麦秋や乾ききつたる蝶の翅
- 麦秋のむつと重たき曇り空
- 北海道 江田三峰
- 麦秋や少年少女裸馬
- アイヌ村観光客や麦の秋
- 麦秋や十勝平野の地平線
- 富良野線左右に映える麦の秋
- 麦秋や美瑛の丘の夕陽映ゆ
- 埼玉県 柏木 晃
- 潤いは人の声かけ麦の秋
- 異次元の色の広がる麦の秋
- 麦秋に父と母との過去の色
- 麦秋の中にミレーが立っている
- 麦秋や柩を花で埋め尽くす
- 香川県 いわし
- 桃色の春の訪れ知らす花
- 花冷えの雨にうたれて床の中
- 千葉県 田中 洋子
- 里は今空の青さと麦の秋
- 麦秋や実りの色に染められて
- 麦の秋幟はためく蕎麦どころ
- 麦秋や村のはずれのベーカーリー
- 麦の秋鍬をかつぎて家路へと
- 埼玉県 今野 徹
- 麦秋やビール片手に夜半の月
- 麦秋やすすきが実り赤とんぼ
- 麦秋や奈良の紅葉も赤くなり
- 麦秋や奈良の庵のこたつかな
- 麦秋やおでんの恋し夜半の月
- 千葉県 柊二
- 地を焦がし蒼き懐中麦の秋
- 太陽を飲干してゆく麦の秋
- 風の穂に雲ぶつかって麦の秋
- 単線の空想好きな麦の秋
- 麦秋や穂先に雨の煙りたる
- 岐阜県 金子加行
- 麦秋や道草らしきランドセル
- 麦秋に新幹線の新型車
- 麦秋や区画整理のなされぬ地
- 麦秋に迷ひ込みたる独り旅
- 麦秋の駅の列車は二時間後
- 大阪府 金成 愛
- 麦の風ヨモツヒラサカよりの風
- きみは前にわたしはうしろに麦秋
- 新潟県 近藤 博
- 麦秋や刈り入れ待つがに黄金色
- 産土への道の狭しと麦の秋
- 麦秋や夕暉に映ゆる黄金色
- 空青く黄金敷き詰む麦の秋
- 麦秋や刈るに足るると黄の熟す
- 奈良県 和田 康
- 麦秋や庭下駄ふたつありにけり
- 麦秋の若草山に登らうか
- 麦秋や声の嗄れたる村夫子
- 麦秋やくづし字読める人あらば
- 麦秋の農事メモなど読んでみる
- 熊本県 貝田 ひでを
- スキップの下校のこども麦の秋
- 麦秋やバイク飛ばして往診医
- 麦秋や基地局と言う塔の建つ
- 麦の秋一人降り立つ無人駅
- 黒髪を風に梳かせて麦の秋
- 東京都 飯塚 佳代
- 幼には風見えるらし麦の秋
- 麦秋や月見張ってる猫のをり
- あれもこれも忘れてしまえ麦の秋
- 強風の中の告白麦の秋
- 麦秋や昔心を寄せし人
- 神奈川県 川島 欣也
- 下校時の道草ランド麦の秋
- 麦の秋のこぎり鎌の歯をめたて
- 麦の秋鳥もち作る子供かな
- 麦の秋分断をする高速道
- 麦秋や働き者の父と母
- 兵庫県 岸野 孝彦
- 麦秋や黄金の海の赤城山
- 麦秋や徐州居よいか住みよいか
- 麦秋や黒きスーツの影軽し
- 麦秋やゴッホの農夫天仰ぐ
- 麦秋や関帝廟に茜さす
- 埼玉県 ふみ
- 麦秋や 雁が戻りて 燕来る
- 麦秋や 猫も出て来る 野良弁当
- 麦秋や 空は雲雀の さえずりて
- 東京都 岩崎 美範
- 麦秋や窓全開の小海線
- 待ちわびし産声響く麦の秋
- 二人目を妊る妻や麦の秋
- 兄追ひて妹転ぶ麦の秋
- 麦秋や褌を干すケアハウス
- 東京都 直木 葉子
- 麦の秋千歯唐箕のむかしはも
- 秋田県 ―
- 麦秋やふるさとのにおい思い出す
- 麦秋の中を素足で駆ける飛ぶ
- 長野県 木原 登
- 麦秋の小径たどれば少年期
- ナターシャもソーニャもむかし麦の秋
- 旋毛なす産毛かがやく麦の秋
- 麦秋の坂に会釈を交はしけり
- この村の一畑のみの麦の秋
- 東京都 かつこ
- 七十や記憶の中の麦の秋
- 潮風と空の青さや麦の秋
- 三重県 平谷 富之
- 麦秋の色が目を引く帰り道
- 行く道の話題となりし麦の秋
- 京都府 中村 万年青
- 朝ドラの「マッサン」終えて麦の秋
- 日本では今や昔の麦の秋
- 麦秋や遠い記憶の目裏に
- 「麦秋」や映画の中の物語り
- 文明の稔りチグリス川の水