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- 俳句庵 2015年07月 作品一覧
俳句庵
7月『夏草』全応募作品
(敬称略)
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 夏草や白球ゆるり隠しけり
- 東京都 鈴木 眞由美
- 夏草や寝息ばかりの続き部屋
- 線香に移らぬほのお夏の草
- 青草のそれほどまでに強き香や
- 千葉県 藤鷹 圓哉
- 夏の草吾子の行方を目の隅に
- 埼玉県 小玉 拙郎
- 分け入れば夏草甘き日の匂い
- 川に沿い夏草遠く蛇行して
- 夏草を倦まず刈り込む長き午後
- 夏草を越えれば線路そして海
- 廃校の庭の夏草意のままに
- 東京都 蘭丸
- 夏草の中に息合ふ膝小僧
- 夏草や栄ゆる宿の鎧櫃
- 東京都 安西 信之
- 夏草を薙ぎて離るる戦闘機
- 正座してラヂオ聴き入る夏の草
- 夏草の中に隠るるけもの道
- 東京都 水野 二三夫
- 夏草の闇にまぎるる吉次墓
- 東京都 鈴木 綾子
- 夏草を踏みわけ進む一人かな
- ニュータウンに廃校二校夏の草
- 夏草や少女に戻り駆けださむ
- 夏草のグランドに朝練の声
- 夏草の匂ひて戦後七十年
- 埼玉県 哲庵
- 夏草に埋れし津波到達碑
- 石仏の裳裾となりぬ夏の草
- 夏草引く単身赴任三年目
- 夏草を蹴散らし神旗争奪戦
- 夏草の伸び放題や廃炉跡
- 東京都 笹木 弘
- 夏草を引き抜き力自慢かな
- 夏草や背丈の伸びし悪戯っ子
- 夏草を踏んで鍛へる膨ら脛
- 夏草や心ある風逆らはず
- 夏草の矢鱈に増えし無人駅
- 埼玉県 守田 修治
- 夏草や放哉さんの奥座敷
- 夏草に色深めゆく俄雨
- 夏草の語りつぎおり敗戦史
- 夏草にジョン万次郎漂流す
- 夏草やたどりつけない甲子園
- 千葉県 一季
- 夏草や 街の音消え 谷伝う
- 千葉県 藤原 純夫
- 息詰まる夏草の香に家消ゆる
- 夏草や人なき村に覇を競う
- 北海道 伊藤 哲
- 夏草や少年時代の扉開く
- 夏草の中に埋もれし記憶かな
- 千葉県 犬槇庵 光晴
- 夏草ややんちや通せし故郷(くに)遠し
- 東京都 石見 光夫
- 夏草や母娘の帽子見え隠れ
- 夏草や弁慶のごと立ち向かふ
- 東京都 岩川 容子
- 夏草のざわめきたちぬ軍用機
- 夏草の匂ひ纏いて猫帰る
- 夏草に埋もるる空き家猫の棲み
- 夏草や路傍の石を動かしぬ
- 夏草の名もなき花の美しきかな
- 東京都 近田 吉幸
- 夏草やとろりと眠い地蔵尊
- 夏草の蔓延る空地空まさお
- 夏草や大河浪浪渡し舟
- 夏草や諸行無情の風立ちぬ
- 夏草や億年前の光る星
- 神奈川県 河津 信三
- 定年の 旅に妻あり 夏草の寺
- 妻と往く 定年の旅 夏草の寺
- 埼玉県 長澤 千鶴子
- 連山もかすかに見えて夏の草
- 夏草やアカペラの団長の声
- 広島県 安冨 正則
- 夏草や永良部は遠く出漁船
- 夏草や口永良部へ帰りたし
- 神奈川県 相模太郎
- 夏草に反芻の牛寝そべをり
- 夏草に崩れかけたる土塀かな
- 夏草の斜面一気に駆け下る
- 夏草や若者の声弾みけり
- 夏草に転がり遊ぶ猫直る
- 千葉県 隼人
- 夏草や旧ぶる友の飛球かな
- 広島県 有馬 未知
- 夏草や遠くの風が吾を呼ぶ
- 夏草に閉じ込められし午後三時
- むせ返り蝗となろう夏の草
- 千葉県 二階堂 脩一朗
- 夏草や津軽訛りの五能線
- 夏草や牧場の牛のゆったりと
- 石川県 藤谷 幸恵
- 夏草の茂る湖カヌ―漕ぐ
- 川縁の夏草払い犬散歩
- 夏草や外人墓地の静もれり
- ブラジル 林 とみ代
- 夏草や廃れ果たる校舎跡
- 夏草に転がり遊ぶ子らの声
- 夏草の牧場巡る牛の群
- 夏草を蹴飛ばし走る競馬かな
- 夏草を指にからめて遠思ふ
- 岐阜県 ときめき人
- 廃屋の銭湯の跡夏草踏む
- 大阪府 津田 明美
- 夏草や打たれ強さは親ゆずり
- 夏草や夢千年のまほろばに
- 地の軋み踏んばっている夏の草
- 夏草や弔うための石一つ
- 夏草や墓標に生きた証しあり
- 岡山県 土屋 徹三
- 夏草や星露枕に夢に入る
- 戦さ場や俄かに濡るる夏の草
- 帆船を眼下に望む夏の草
- 見渡せば放棄地埋めし夏の草
- 夏草や生まれし土地は荒ぶまま
- 福岡県 潤 正彦
- 夏草へ腓の白さ滑りゆき
- 犬も吾も駆ける夏草鵐なす
- 夏草を結び悪戯追こくら
- 夏草も田も越え墓へ子は眠し
- 夏草や三脚照らす夜の銀
- 大阪府 山下 みゆき
- 夏草の丈の限界見たくなり
- 夏草の放置実験開始せり
- 鋭いのも平たいのも皆夏草
- 夏草や花さえつけば別の名か
- 夏草の穂先を抜きて空を斬る
- 東京都 上田 智子
- 夏草で 暑さをしのぐ 小鳥かな
- 夏草を 刈られて飛び立つ 夏の虫
- 風吹いて 緑が映える 夏の草
- 朝露で 大地を潤す 夏の草
- 汗流し 夏草かげに 休むアリ
- 岡山県 渡辺 牛二
- 夏草も人も我が物顔の街
- 夏草や三鬼生家の裏に土手
- 夏草の犇きあへば寄りがたく
- 福岡県 河瀬 周治
- 夏草や蒸せる畑の土固く
- 夏草や砲台山の瀬戸眼下
- 夏草を来れば奥城大いなる
- 夏草や碧天の鳥岬を越え
- 夏草や潮路はるけき名護屋城
- 東京都 豊 宣光
- 夏草の刈りても伸びる強さかな
- 夏草や転がるボール見失ひ
- ブルドーザー夏草荒らし過ぎにけり
- 夏草をかき分け不意に人の出づ
- 夏草茂るフクシマの跡地にも
- 大阪府 永田
- 夏草や油滴天目静まれり
- 夏草をかき分け探すファウル球
- 夏草に勝てず我が家の緑とす
- 東京都 中田 地溝
- 夏草の丘を跣で仁王立ち
- 福井県 岡本 紅
- 夏草や貨物列車の数珠つなぎ
- 神奈川県 矢神 輝昭
- 夏草や鉄臭残る廃線路
- 夏草や穂先の照りて相模湾
- 夏草を手折りて口に山の峰
- 夏草のうねりかき分け子らや戯る
- 夏草や行きとし生ける息溜まり
- 神奈川県 秋山 直子
- 御嶽を夏草覆う日の遠く
- 夏草や紙ひこうきを青に染め
- 惟る口永良部島夏の草
- 夏草の匂いまといて犬散歩
- 外来種ばかりとなりて夏の草
- 福岡県 平山 なな子
- 夏草やつわもの共は夢の夢
- 夏草をかき分け走りゆくチワワ
- 夏草は香りたちて尚揺れる
- 埼玉県 米田 哲
- 夏草や風が足跡残しをり
- 夏草や思いのたけをまなかひに
- 夏草や件の如しわが人生
- 夏草や狭庭に残るプラショベル
- 夏草に負けずに一花凛と立つ
- 東京都 三浦 靖男
- 友が庭茂る夏草三回忌
- 被災地に夏草茂る星月夜
- 夏草よ安保法案埋め尽くせ
- 夏草にどっかりあぐら握り飯
- この先は夏草深く影も濃く
- 埼玉県 櫻井 玄次郎
- 夏草に畑奪われ老いにけり
- 兵庫県 吉祥寺 友子
- 全員で探したボール夏の草
- 夏草に埋もる古道の標石
- 夏草という我が庭に要らぬもの
- 夏草や境界知れぬ藪と畑
- 街中の尺寸の地に夏の草
- 神奈川県 佐野 利典
- 夏草や昭和ぎらぎら照り返す
- 夏草や少年の日がふと匂ひ
- 夕日落ち夏草少しそよぎだし
- 夏草や村を唸らせ消防車
- 夏草に城址の空を絡めらる
- 栃木県 長浜 良
- 夏草の野球中断玉探し
- 夏草や鎌の音して人に会わず
- 夏草を出て夏草へ渡し舟
- 大鎌を天地夏草刈り倒す
- 岡山県 純子
- 夏草の影おく余地のなく生ふる
- 夏草の礎石をかくし大野原
- 水音に添ふ夏草の道続く
- 福岡県 幻草
- 夏草やゆつくり進む高齢化
- 夏草や遠くに新興住宅地
- 夏草におのずと風の道生まれ
- 夏草やひねもす風の吹きどほし
- 千葉県 飯島 史朗
- 夏草や検針員も隠れけり
- 夏草に痛し腰曲げ指伸ばし
- 夏草を抜きて辺りに草の生
- 夏草の朱い息吹やゴルフ場
- 東京都 村上 ヤチ代
- 夏草を踏む靴底に付く香り
- 大阪府 太田 紀子
- 夏草にもう踏み込めぬ妣の家
- 夏草や引き込み線の錆びてをり
- 夏草を踏みつつ守るライトかな
- 神奈川県 川島 欣也
- 生き場所の選り分けをせぬ夏の草
- 夏の草小川の水面隠しけり
- 老いの手に扱いきれぬ夏の草
- 鎌の刃へまとわり解かぬ夏の草
- 夏草やゴルフボールを誘い込む
- 神奈川県 塚本 治彦
- 夏草の谷や掘られし火焔土器
- 夏草や空堀深き山の城
- 夏草や鉄条網の厚木基地
- 夏草や有刺鉄線潜る子ら
- 夏草に溺れたるごと石仏
- 東京都 岩崎 美範
- 夏草や耳を澄ませば死者の声
- 夏草や時間の止る生家跡
- 夏草や軍靴の響き耳奥に
- 夏草や静まり返る古戦場
- 夏草や耳に武田の鬨の声
- 東京都 石井まゆみ
- 夏草に犬も隠れて子も隠れ
- 夏草と程よく揺るる小鬢かな
- 夏草や軍手一双父の後
- 廃駅や踏み込む脚に夏の草
- 夏草や休耕田も腰の丈
- 兵庫県 岸野 孝彦
- 夏草や蓼科の棒道一人
- 夏草やガラスの靴のシンデレラ
- 夏草やみどりご泣けば父母の風
- 夏草や父を見送る母子の影
- 夏草や仮の夜の雨奥の院
- 兵庫県 ミュージック
- 夏草や 失くしたものが 多すぎる
- 大鎌で 夏草刈った 父と僕
- 夏草や シュプール描く 段ボール
- 夏草が かすかに残す 草いきれ
- 夏草や 我知らぬ間に 育つ孫
- 千葉県 柊二
- 歓声の落ちて夏草ホームラン
- 夏草に錆音うごく無人駅
- 夏草や縄文人の貝の塚
- 夏草や母の見ている忘れもの
- 夏草や藁屋にウサギ放ちたる
- 兵庫県 但馬のおっさん
- 夏草や 損得言わず 風に揺れ
- 夏草や 刈りそろえたる 放棄人
- 夏草や 孫の瞳に 乱舞する
- 玄関に 夏草食べる 牛がいた
- 花のそば 夏草を取る 母がいた
- 長野県 木原 登
- 夏草に母の匂ひのありにけり
- 夏草のたちまち領す廃線路
- 夏草の碓氷峠を越えにけり
- 牧牛の一日にれかむ夏の草
- 夏草の蔓延る三・一一地
- 神奈川県 井手浩堂
- 夏草や礎石のみなる城の跡
- 夏草の岬や馬の嘶ける
- 武士の駈けしあたりか夏の草
- ホームランのボール消えたり夏の草
- 飛び石を島に海めく夏の草
- 岡山県 岸野 洋介
- 畦道の夏草刈って嫁御まつ
- 夏草を踏みわけ礎石巡りけり
- 夏草を刈って棚田の水落とす
- 夏草に空き家覆われ風青し
- 夏草や連れ添う犬も風を読み
- 奈良県 ―
- 清澄の青滴りて蘆の碧
- いとけなき空事恋し夏の原
- 水田やわが世と笑う夏水鶏
- たゆたえば水髪放つ姫女菀
- 青嵐小鬼はいずこシェイクスピアの夜
- 神奈川県 佐藤 博一
- 臥して見るいのち眩しき夏の草
- 夏草を抜くに抜けないたくましさ
- 夏草を引けばいつしか無心なる
- 夏草を引き始めれば終わり無し
- 夏草の三日見ぬ間にはびこれる
- 山口県 山縣 敏夫
- 夏草を抜けた途端に青い海
- 夏草や市街を見遣る坂の上
- 夏草の土手を走るか柔道着
- 夏草や牛の寝そべる昼下がり
- 夏草や昭和の子等の登下校
- 東京都 直木 葉子
- 夏草を縫ひて水音高まりぬ
- 長崎県 内野 悠
- 夏草や手荷物多し妻の道
- 夏草を分け入り進む捜索隊
- 人こばむ風車や夏の草千里
- 夏草の余熱をわたる夜風かな
- 夏草やローマにもある古戦場
- 兵庫県 岸下 庄二
- 使われぬ引き込み線に夏の草
- 震災の傷痕隠す夏の草
- 夏草や城址につづく道険し
- 夏草や跡形残す登り窯
- 夏草の中に一筋獣道
- 神奈川県 荻原 季美子
- 夏草や叱られし子の背丈ほど
- ゆふまぐれ夏草揺るる雨意のあり
- 去る猫の尾は夏草に触れて和ぐ
- 夏草や錆びた牛舎の薄埃
- 夏草や墓群は異国兵士の眼
- 山口県 ひろ子
- 夏草の猛けて過疎地となりにけり
- 福岡県 桑田 勲
- 夏草の直立不動暮れ泥む
- 夏草の閻魔と競ふ背比べ
- 夏草と言へど紅さす廓跡
- 夏草の川一文字の浜鉄路
- 夏草の伸び放題に無住寺
- 大阪府 弗椿
- 星滲みただ夏草の風の音
- 夏草を枕せば甦る君
- 東京都 淵田芥門
- 夏草に畦の跡あり牛の声
- 夏草や大家滅びて売られけり
- 水切りや夏草だけの向う岸
- 岐阜県 金子加行
- 夏草の行く手遮る一揆の地
- 夏草の深きの底の本籍地
- 案内図夏草隠し役立たず
- 夏草に刈る人雇ひ母の老ひ
- 夏草の隠す故郷の秘密基地
- 熊本県 貝田 ひでを
- 夏草に噎せつつ父母の墓を訪ふ
- ひねもすを牛の反芻夏の草
- 近道を来て夏草に難渋す
- 神奈川県 守安 雄介
- 夏草の車窓流るる速さかな
- 夏草や早やも忘るる地の怒り
- 夏草や千年の計嘲笑う
- 夏草や緑眼の黒毛牛
- 夏草に奮い立ちたるコンバイン
- 静岡県 池ヶ谷 しょうご
- 夏草を刈り新しき風生まる
- 夏草の二進も三進も空き地かな
- 夏草や踏んで精気の立ち上る
- 夏草の地球を掴む根張りかな
- 夏草を踏んで精気の立ち上る
- 神奈川県 猪狩千次郎
- 夏草や大仏裏の伽藍石
- 夏草を分け入れば風の産屋かな
- 夏草や誰が置き捨てし箸二膳
- 夏草と袖振り合ふや行脚僧
- 夏草や同窓会の明け初むる
- 愛知県 岩田 勇
- 夏草や大演習の石碑立つ
- 夏草の深きしとねに昔かな
- 里山の池夏草に隠れをり
- 夏草や一両電車現れぬ
- 夏草にむせて青春よみがえる
- 石川県 香美
- 藍色の花器に添えたり夏の草
- 夏草や石碑刻まる辞世の句
- 終点の先は音なき夏の草
- 夏草の栞や本に馴染みをり
- 使われぬ子供の学書や夏の草
- 群馬県 ―
- 夏草や 悲恋語りし うつむけり
- 夏草や 瓦礫の下に 棲む平和
- 夏草や 二杯目の飯 ほおばりぬ
- 夏草や 恋の身支度 ととのへん
- 夏草や 黒髪あげし べにをひく
- 福岡県 西山 勝男
- 夏草や空濠ふかき落城址
- 夏草や石垣遺す坊の跡
- 夏草の馬脚匂はし草千里
- 分けいりて夏草匂ふ草千里
- 夏草や遠見番所の烽火あと
- 新潟県 近藤 博
- 夏草や引き抜く根にも生満つる
- 夏草や在りし鉄路に茫茫と
- 老ゆる身の生気賜る夏の草
- 夏草や学びし母校は夢の跡
- 身丈越し迷路となりぬ夏の草
- 北海道 藤林 正則
- 夏草へ真つ赤なポルシェ一直線
- 夏草の野を折り畳む山背風
- 美しき夏草の野へ魂放つ
- 夏草に紛れ込みたるホームラン
- 夏草の野を駆け抜けてゆく兵士
- 京都府 中村 万年青
- 夏草や池を鏡に半夏生
- 夏草や緑に染まる吾も虫
- 夏草や青葉燃え立つ嵯峨野かな
- 夏草や叢の蛇畔に這ふ
- 夏草や藪から聴ゆ雉子の声