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- 俳句庵 2017年05月 優秀賞発表
- 俳句庵 2017年05月 作品一覧
俳句庵
5月『風鈴』全応募作品
(敬称略)
- 宮城県 石川初子
- 風鈴や猫にまず触らせてから
- 新潟県 近藤博
- 風鈴の音色やさしく寝に就けり
- ひそやかな風にもチリリン風鈴は
- チリンチリン風鈴売りの懐かしく
- 風鈴や舌(ぜつ)のひらひら風に揺れ
- 風鈴の何と涼やかその音色
- 千葉県 柊二
- 風鈴や南東の風ゆるり鳴り
- 神奈川県 白銀
- 里帰り 天井釣り 風鈴よ
- 風鈴の 季節に1つ ざるそばを
- 白日夢 風鈴揺られ 夢ごこち
- 影日和 雲行き怪し 風鈴で
- 風鈴に 揺らり揺られて リラックス
- 兵庫県 紫 桔梗
- 古釘に風鈴吊るす母の家
- 風鈴の音色に偲ぶ父と母
- 風鈴を外し始める通夜支度
- 風鈴の鳴る路地裏に五十年
- 風鈴を振って音色を確かむる
- 千葉県 山田隆士
- あばら屋にせめて風鈴ああ日本
- 風鈴や異国の民がお茶すする
- 風鈴や立ち呑み酒屋の乾き物
- 風鈴を指で弾いて寅さん忌
- 愛媛県 加島一善
- 強き風受けて仕舞す江戸風鈴
- ぎざぎざに削り風鈴澄んだ音に
- 風鈴売声を上げずに売り歩く
- 風鈴やアルファ波呼びて居眠りす
- 浮遊せししのぶ風鈴オアシスに
- 神奈川県 髙橋榮一
- 風鈴に四方山話はづみけり
- 風鈴に打ち重なりし波の音
- 仕舞はざる風鈴四季の風に鳴る
- 風鈴の音色にうかぶ旅の景
- 風鈴を子守歌とし寝入りし児
- 埼玉県 琴吹痴庵
- 風鈴や昨日の風と今日の風
- 風鈴や意思ある如く歌ひをり
- 風鈴や我が人生はケセラセラ
- 風鈴の音の強弱は風の意思
- 風鈴の音を競ひ合ふ南部砥部
- 長野県 木原登
- 風鈴を鳴らし蔵町暮れにけり
- 風鈴に似合ふ風吹く信濃かな
- 嫁ぎたる吾子の風鈴鳴りにけり
- 南部風鈴津波惨禍をはるかにす
- わが拙句書き風鈴の舌作る
- 神奈川県 佐藤博一
- 貝風鈴かぜ軽やかに鳴りにけり
- 風鈴屋色とりどりの風揃え
- 風鈴に風のリズムのありにけり
- 風鈴や風の楽譜をなぞりつつ
- 風鈴を磨いて風を新たにす
- 岐阜県 金子加行
- 風鈴の鉄玻璃磁器の合奏す
- 音あるは風鈴だけとなる独居
- 風鈴の疲れし音なり午前二時
- 仕舞ひたる風鈴ただの錆びし鉄
- 風鈴の鳴り止み闇の深きかな
- 山口県 ひろ子
- 風鈴や香聞く広間の青畳
- 風鈴の音色を待ちし夕餉かな
- 風鈴の音色十色や土産店
- 福岡県 ―
- 軒下の風鈴に風緑色
- 長野県 上原瑞希
- 風鈴や 魅惑の声は マーメイド
- 風鈴を 子守りに眠る 昼下がり
- 風鈴を 鳴らす今年で 6年目
- 手作りの 風鈴映す 親子愛
- 雨音を 消しし風鈴 海の色
- 宮城県 林田正光
- 風鈴や温度二度ほど下げにけり
- 風見鶏回り始めて風鈴鳴る
- 口喧嘩ひと息ついて風鈴鳴る
- 短冊の文字掠れをり吊忍
- 風鈴がふるさとの風呼んでいる
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 縁側に 風鈴吊るして 夏来たる
- 風鈴や すだれ越しに 鳴る音色
- 風が吹く 夏の涼しさ 鈴が鳴る
- 鈴鳴りて 夏の思い出 戻る風
- 鈴虫の 前にチロチロ 鳴く音色
- 東京都 荒井良明
- 風鈴や風の話を通訳す
- 風鈴や南部の風を呼びよせぬ
- 風鈴が張り切りだした雨が来る
- 江戸風鈴街を飛脚の風が吹く
- 風鈴や隻手の音をいだしけり
- 東京都 内藤羊皐
- 風鈴の鳴りて妣への風とせり
- 妻寝ねて風鈴の音の鳴りやまず
- 風鈴の夕山風を捕へけり
- 風鈴の鳴りて葬祭への夜径
- 風鈴や豚舎の臭ふ雨上り
- 神奈川県 ―
- 真夜中に 激しく響く 風鈴よ
- 風鈴や 暑さ和らぐ 音階だ
- 懐かしい かわいい風鈴 どこ行った
- 大阪府 竹村穏夫
- 風鈴を仕舞い忘れた娘が嫁ぐ
- 熊本県 貝田ひでを
- 風鈴屋泣かせの午後の瀬戸の凪
- 聞き分けてやつと風鈴一つ買ふ
- 鉄風鈴南部訛りの音色かな
- 埼玉県 飯塚璋
- 貝風鈴三角屋根の海の宿
- 愛知県 岩田遊泉(ゆうせん)
- 透き通る南部風鈴機嫌良し
- 風鈴を外すためらひありにけり
- 風鈴を並べて音を競はせる
- 風鈴の舌のもつれを正しけり
- 風鈴と風と相性計りけり
- 千葉県 伊藤博康
- 町内に風鈴吊るす家のあり
- 段段に風鈴売りの近くなり
- 猫見上ぐ風鈴吊るす窓辺かな
- 風鈴の舌に南部の文字見ゆる
- 風鈴や音の世界に忍び込む
- 大阪府 金成愛
- 裏窓や風鈴は知る内緒事
- 雨には雨の靄には靄の風鈴よ
- 風鈴や手慰みなる絵はがきに
- 金座銀座銅座錫座や風鈴売
- 手をひいて風鈴売のうしろかな
- 神奈川県 守安雄介
- 風鈴のひらひら鳴りし二重窓
- 風鈴の冊の金魚や赤の斑
- 風鈴や十年振りの友と蕎麦
- 馴れ初めは風鈴売場もう会えぬ
- 金魚玉模した風鈴澄み果つる
- 岩手県 鈍ぞ孤(どんぞこ)
- 風鈴や盛岡の音が蘇る
- 風鈴や弥次喜多が見る江戸文化
- 風鈴や祖母の訛りに孫笑い
- 風鈴や気をつけ姿勢蒸し暑し
- 風鈴やひとり吟行街の跡
- 東京都 武蔵野 次郎
- そよ風に こっくりこっくり 子風鈴
- 柳ゆれ 風鈴喜々と 江戸の風
- 大阪府 藤田康子
- 風鈴の音の意外に遠くまで
- 風鈴の音に悩める家もあり
- 一年中風鈴かかる家のあり
- 静岡県 城内幸江
- 風鈴や去年の音の続きなり
- 風鈴や鳴らずも風にゆられをり
- 風鈴の鳴る方へゆく子供たち
- 風鈴や朱の細き線太き線
- 風鈴の数だけ部屋のありにけり
- 北海道 吉岡享徹
- 風鈴は転寝覚ます母の声
- 一服はもう出来ないんだ風鈴よ
- 釧路にて重ね衣と鈴の音と
- 千葉県 新津さとい
- 風鈴やもっと小さく風よ吹け
- 東京都 鷲巣利雄
- 風鈴の短冊に猫反応す
- 親子で作りし風鈴癒されし
- 風鈴や同じ音色の物はなし
- ご近所で風鈴の音聞こえずよ
- 風鈴の鉄かガラスか買ひ迷ふ
- 京都府 欲句歩
- 風鈴の静まり誰や来た様
- 縁側に南部風鈴三回忌
- 神奈川県 伊藤 欣次
- 店仕舞い風鈴永き昼寝かな
- 風鈴をつるす人なく昭和過ぎ
- 簾かけ風鈴下げし戦後あり
- 劇中に風鈴泳ぐ空があり
- 誰を呼ぶ天の電話か風鈴よ
- 東京都 高橋昌稔
- 風鈴や その音秋の すずむしか
- 風鈴や 風受け流し サラサラと
- チンチンと ふうりん動き 風気づく
- 東京都 岩崎美範
- 江戸風鈴粋で鯔背な音で鳴り
- 仕舞屋の軒の風鈴鳴りにけり
- 風鈴鳴る淋しき時は淋しげに
- 母の忌の南部風鈴凛と鳴り
- 達者かと妣手づくりの風鈴鳴る
- 島根県 GONZA
- 風鈴や鳴るも鳴らぬも無我の音
- 東京都 宮下洋
- まどろみの 脳に風鈴 遠く聞く
- 風鈴の かそけく一つ 大方丈
- 風鈴は 明珍火箸 ちちんちん
- 風鈴に 新たな一句 吊るしけり
- 湯の宿の 風鈴揺るる 火照る身に
- ブラジル 原はる江
- 世の騒動知るや風鈴しめやかに
- ハンモック寝る児に風鈴子守歌
- 風鈴など聞く耳持たず若者等
- 風鈴や風流暮らし老いて今
- 風鈴にまじへ鳥鳴く娘の山家
- 愛知県 斉藤浩美
- 風鈴を聴きたくて縁側に立つ
- 天にいる人と話して軒風鈴
- あけすけな硝子風鈴その音も
- 風鈴のひとつが鳴れば皆鳴りて
- 相談事風鈴だけが音を出す
- 滋賀県 了庵
- 風鈴にわが句を吊し風を待つ
- 風鈴の鳴って赤子のよく眠る
- 風鈴に風を連れ来し山雨かな
- 風鈴のりんりりりんと疎ましき
- 風鈴に急かされてゐる夕支度
- 神奈川県 河野肇
- 風鈴のまはすや能登の水車
- 廃屋に風鈴一つ鳴りにけり
- 人去りて風鈴の鳴る軒端かな
- 風鈴をふと見上げをり乱視の子
- 風鈴や馴染みし杖の淡き影
- 岐阜県 高岡すみ
- 引越した隣家の軒に風鈴ゆれ
- 人気なき路地の風鈴昼さがり
- 短冊の切れた風鈴チンと鳴り
- 愛媛県 渡邊國夫
- 陶ガラス鉄の風鈴無人駅
- 風鈴と喃語で話す嬰児かな
- 風鈴や風通しよき隠居部屋
- 留守居酒風鈴の音を肴とし
- 江戸風鈴間口二間の骨董屋
- 神奈川県 シュリ
- 風鈴を外し忘れた嵐の夜
- 風鈴と魚焼く香と子らの声
- 風鈴の音をかき消す汽笛かな
- 風鈴や湿布冷たし青い膝
- 風鈴と電車を待ってウトウトと
- 奈良県 平松洋子
- 玄関の扉開ければ鳴る風鈴
- 早速に風鈴吊るす風の道
- 風鈴を鳴らして帰る母との夜
- 神奈川県 パラレル
- 縁欠けた風鈴の音やビブラート
- 風鈴を吊るし一日始めをり
- 幾年も風鈴響く空き家かな
- 東京都 勝見佳織
- 青竹を 割って流れる 鈴の音
- 縁側で 風鈴つまみに 息を飲む
- 風鈴も 負けじと揺れる 水遊び
- ブラジル 西山ひろ子
- 子や孫の祖国となりぬ江戸風鈴
- 一年中風鈴鳴らす子の祖国
- 一月に風鈴鳴らす国を愛で
- 風鈴の特選読めぬ風のあり
- 風鈴の音色の中に微睡みぬ
- 神奈川県 井手浩堂
- 吊るしゐて蛇笏を思ふ鉄風鈴
- 出し惜しみしてか風鈴たまに鳴る
- 貝風鈴海からの風よろこべり
- 妻の待つ軒端風鈴鳴りにけり
- 風鈴の鳴りゐて静か古都の路地
- 三重県 後藤允孝
- 風鈴や曖昧模糊とした記憶
- 風鈴に子犬の耳のよく動く
- 風鈴の音色の中のある風情
- 潮風に鳴る風鈴の出湯かな
- 夕凪に風鈴鳴るを忘れたり
- 神奈川県 出張員
- 風鈴の音に腹蹴る胎児かな
- 短冊に復興の文字や鉄風鈴
- 鬼平に声かけられて風鈴屋
- 赤ん坊の息で風鈴鳴るだろか
- 茄子紺の手甲をして風鈴屋
- 大阪府 津田明美
- 鎮魂に南部風鈴音立てり
- 風鈴やひねもす風は金剛山より
- 風鈴の音に解けゆく夕まぐれ
- 風鈴の途絶えて風の眠りかな
- 風鈴や音にも個性あるらしく
- 滋賀県 正庵
- 風鈴の鳴れど不在の駐在所
- ほおづえをつけば風鈴鳴りにけり
- 風鈴は風の機嫌を知つてゐる
- ギヤマンの風鈴吊るし峠茶屋
- みづうみの夜風に風鈴鳴りにけり
- ブラジル 林とみ代
- 風鈴の音に誘はれて夢の国
- 潮風と遊ぶ風鈴海の宿
- 風鈴の舌に書きたる一茶の句
- 南部鉄の風鈴騒ぐ窓辺かな
- 心地良き風鈴の音に里偲ぶ
- 愛媛県 砂山恵子
- 風鈴をセーラー服がひとつ買ふ
- 風鈴やみずから窓の風となり
- 父の忌日風鈴静かに鳴りにけり
- 風鈴や六人部屋の外科病棟
- 風鈴や身の内の鬼追ひ出して
- 愛知県 近藤あゆ子
- 亡き姉と見上げた風鈴在りし日の
- ベランダの風鈴鳴りて自己主張
- 風鈴の音色涼やか微風の音よ
- 風鈴や静けき夜に染み渡る
- 熱き夜風鈴の音涼やかに
- 静岡県 柳谷益弘
- 風鈴の役目を果たす風もなし
- 早鐘を叩くがごときの風鈴
- 風鈴の元で短冊持て余す
- 山口県 山縣敏夫
- サイレンのあとに風鈴一つ鳴り
- 平成に江戸風鈴が鳴いている
- 宵闇に風鈴の音(ね)が冴え渡る
- 白壁を風鈴売りが通り抜け
- 風鈴の音に昭和の戸が開く
- 神奈川県 矢神輝昭
- 寡黙なる風鈴重し留守の家
- 風鈴の傍目八目詰将棋
- 風鈴や赤子の機嫌取りなしぬ
- 風鈴の音や香のあるごと漂いぬ
- 風鈴の音が染入りて水冴える
- 岡山県 岸野洋介
- 風鈴に生家の話弾みけり
- 風鈴の音色涼しき山の駅
- 風鈴の音が涼呼ぶ旅の宿
- 妻の忌に合わせ風鈴吊るしけり
- 薬売りまず風鈴の音色ほめ
- 兵庫県 山地美智子
- 風鈴に吊りて芭蕉の句が揺れる
- 病床の母に風鈴見せて吊る
- 風鈴に程よき風のありにけり
- 風鈴鳴る昔誰かと来たカフェー
- 風鈴を吊ればすぐ鳴る風優し
- 東京都 坂田誠太郎
- 訪ねたる家の風鈴そよと鳴る
- 昼寝より覚めて風鈴聞きにけり
- いっせいに風のふうりん北の駅
- 風鈴や母の実家は屋敷町
- 江戸風鈴浴衣の人に手渡さる
- 神奈川県 塚本治彦
- 風鈴の軒や干物のよく乾き
- 風鈴の小さき音を選びけり
- 風鈴や南部乙女の声のごと
- 六軒の長屋それぞれ軒風鈴
- 風鈴の吊り下げる間の鳴り止まず
- 大阪府 太田紀子
- 風鈴の奏でてゐたる子守唄
- 風鈴や帰還兵士の家の軒
- 風鈴や親子で向かふ将棋盤
- 長崎県 内野 悠
- 恋人のくれし風鈴下宿部屋
- 逝きし子のつくりし響き貝風鈴
- あたらしき風の響きや古風鈴
- 風鈴の音に徘徊の母とまる
- 風鈴が風鈴の風さましけり
- 埼玉県 さわぐ博志
- 暑い夜潮騒恋しや貝風鈴
- 江戸風鈴ほうずき赤し雷門
- 風鈴や大師に集まる涼の音
- 風鈴や四万六千浅草寺
- 江戸風鈴ほうずき囃す浅草寺
- 岐阜県 ときめき人
- 骨董の風鈴ゆらぐ昭和の音
- 神奈川県 高原正太郎
- 春一番 ふとおぼえたる 風鈴や
- 下宿先 電気が止まる 風鈴を買う
- 神奈川県 相模太郎
- 浜風の風鈴唄ふ「浜辺の歌」
- 回し吹くガラスの火玉江戸風鈴
- 風鈴や胸につかへしこと消ゆる
- 海風に狂ひ鳴りする貝風鈴
- 風鈴に突如急かさる詰碁かな
- 東京都 佐藤博重
- 空耳の鉄の風鈴たづねけり
- 貝風鈴むかしの歌を奏でけり
- 風鈴の遠ざかりゆくごろ寝かな
- 夕されば鉄の風鈴二階より
- 神奈川県 入江雅子
- 風に乗り南部の鈴と追分を
- 風が吹くもっと鳴け鳴け南部鈴
- 南部鈴音色うっとり濡れ縁で
- ちりんの音時に嬉しく哀しくも
- 紙一重ちりんちりんと哀と喜か
- ブラジル 広田ユキ
- 貝風鈴江戸風鈴と鳴り競う
- ブラジルの風によく鳴り鉄風鈴
- 去年旅の潮騒聞こゆ貝風鈴
- 師の遺句を吊れば風鈴よく鳴りて
- 喪の家の風鈴舌を垂れしまま
- 東京都 鈴木良子
- 風鈴の舌回しているカレーの香
- 風鈴に合わせてうたふ子守歌
- 気分屋の風鈴が鳴る廚窓
- パチイオ趣味の風鈴南部みやげ
- 風鈴もトランプ流に吹き鳴らす
- 東京都 三浦靖男
- 雨上がる風鈴の音心地よく
- 風鈴を外し転勤懐かしく
- 縁側の軒に風鈴山の宿
- 路地の奥風鈴花壇釣しのぶ
- 風鈴も縁側なく川開き
- 兵庫県 岸野孝彦
- 風鈴やそれぞれの風そして雨
- 風鈴や浅草に響く黄昏
- 風鈴や地球儀へ平和なる風
- 限界の村に風鈴響きけり
- 風鈴や音色透きたる幼き日
- 神奈川県 龍野ひろし
- 風鈴の鳴るや谷中の路地の奥
- 千葉県 みやこまる
- 風鈴にスカイツリーを映しけり
- 風鈴をひとつ残して空家かな
- 絵ガラスの風鈴えらぶ手の白し
- 縁側に身の丈のおと江戸風鈴
- 物干しにはためく襁褓(むつき)軒風鈴
- 三重県 遊眠
- 単身の地の風鈴は母の声
- 風鈴の音に急かされ王手飛車
- 祖父の忌や南部風鈴鳴り始む
- 滋賀県 村田紀子
- 留守宅に風鈴の音と黒猫と
- 風鈴と縁側にいた祖父のシャツ
- 風鈴で眠りについた子の笑顔
- 風鈴に誘われ急ぐ夕餉時
- 円卓に家族五人と風鈴と
- 三重県 治もがり笛
- 風鈴や風をタクトに舌奏で
- 風鈴や短冊ゆらし独奏会
- 東京都 松二郎
- 風の夜や我よ我よと鳴く鈴音
- 鈴の音やいつの間にやら夢ごこち
- 鳴れよ鳴れ舌に息舞う童かな
- リンリンやうだる暑さにエコクーラー
- チリチリン親不孝者郷に詫び
- 愛知県 新美達夫
- 団体の去つて風鈴ちりと鳴る
- 風鈴の急を告ぐるや雲走る
- 七堂を繋ぐ回廊軒風鈴
- 風鈴の風の気配を捉へけり
- 東京都 伊藤はな
- 風鈴や来るを待たるる返し文
- 風鈴の五線譜しるす風の歌
- 風鈴の音はかはらじ五十年
- 風鈴の揺れて猫の目揺らしをり
- 風鈴や風を生かして生かされて
- 神奈川県 川前明
- かろやかと風鈴を思ふ老いかげん
- 風鈴に銀玉鉄砲の狙ひかな
- 埼玉県 よしこ
- 風鈴へ一句吊るして眺めけり
- 風鈴の音そらとひかりを駆けるかな
- 硝子吹く江戸風鈴の涼しさよ
- 路地裏の軒の風鈴なりやまず
- 風鈴は南部の風を揺らすかな
- 千葉県 横井隆和
- ひと風に鳴り継ぐ鈴や長屋沿い
- 風鈴の音に微睡みの蒼だたみ
- ふうりんふうりん風鈴売りの午後の路地
- 福岡県 西山勝男
- 婚の荷に貝風鈴を加えけり
- 南部なる鉄風鈴を土産とす
- 風鈴や露地ゆく人の足を止む
- 風鈴に受賞の一句吊しけり
- 風鈴の音に縄暖簾くぐりけり
- 神奈川県 原川泉水
- 風鈴に憩う老父の庭仕事
- 大の字の上に風鈴宵の風
- 風鈴の風が語るは故郷弁
- 風鈴が幼児寝息に子守唄
- 風鈴や渇潤すに玉露よし
- 神奈川県 成田あつ子
- 貝風鈴潮の香恋ひて鳴りやまず
- 風鈴に見送られたる夜戸出かな
- 海よりの蒼き風来る貝風鈴
- 風鈴や鄙には鄙の風の音
- 風鈴のチリリと嬰の目覚めよし
- 東京都 伊勢史朗
- 景色にはもう飽きたわね鉄風鈴
- 風鈴やだまされまいと必死の子
- 風鈴の音に問はれけりCoolJapan
- 風鈴の音に振り向きて着信音
- 風鈴に覗かれてをり猫の夢
- 東京都 蘭丸
- 風鈴や息潜めたる寺の膳
- 風鈴や小言の多き立ち話
- 埼玉県 哲庵
- 親子して絵付け体験江戸風鈴
- 母愛でし風鈴吊す七回忌
- 風鈴や四代続く子守唄
- 風鈴の紐に特選句を結ぶ
- 蕉翁の短冊結ぶ江戸風鈴
- 大阪府 椋本望生
- 風鈴を外しビオロン習ひをり
- 風鈴を取るや釘より錆の音
- 風鈴の釘に訊きたき父のこと
- 打ち明けてしまへば聞ゆ軒風鈴
- ボサノバに絡んでゐたる江戸風鈴
- 東京都 中田ちこう
- 風鈴の音を封じ込め雨の音
- 足音もなし風鈴の現れる
- 神奈川県 重兵衛
- ジェット機の過ぎて風鈴ありにけり
- 田をわたる風風鈴を鳴らし過ぐ
- 風鈴の音のみ聞こゆ夜道かな
- 山からの風風鈴を鳴らし過ぐ
- 風鈴の向うに聞こゆ妣の声
- 神奈川県 海野優
- さまざまの色に風鈴鳴りにけり
- 風鈴のゆつくり動くやじろべゑ
- 風鈴やこうるさく聞く口叱言
- 風鈴の江戸と張り合ふ南部かな
- 栃木県 長浜 良
- 風鈴や南部の風の吹き初むる
- 風鈴を買うて鳴らして提げ帰る
- 風通る道へ風鈴提げなほす
- 東京都 住澤義英
- 触れてみて南部風鈴音色かな
- 寝返りし南部風鈴二度寝する
- 風鈴や風を呼び込め熱気湖
- 軒先で我を迎える風鈴と
- そよ風や音符で書けぬ風鈴音
- 栃木県 足立純一
- 風鈴や 誘ひてカラス 帰り道
- 風鈴に 映り池かと ひれ靡く
- 埼玉県 小玉拙郎
- 風鈴の誰も知らないしまい場所
- 夕凪の終わるを告げて鳴る風鈴
- 風鈴に水をこぼして吊りしのぶ
- 千葉県 彩楓(さいふう)
- 天より吊るす千の風鈴朝日さす
- 風鈴鳴る人住まぬ家の何処からか
- 天心へ舞ひ上がる音風鈴市
- 売り出しの地下街千の江戸風鈴
- 採血の窓にキラキラ丸風鈴
- 東京都 岩川容子
- 寝苦しき夜の風鈴やさしかり
- ありなしの風に風鈴もの足らず
- 辞す友に風鈴強く鳴りつづけ
- 江戸情緒残る下谷の風鈴屋
- 岐阜県 蛙田 環
- 肩車風鈴つるす孫の顔
- 涼を呼ぶ風鈴の舌文字と詩
- 風鈴のうるさき音ぞ浪人生
- 昼下がり風鈴もまた居眠りす
- 風まてど鳴らぬ風鈴己が手で
- 北海道 飯沼勇一
- 風鈴や星々連れて降りてくる
- 風鈴の百の音色の売り場かな
- 風鈴の短冊を猫狙ひけり
- 朝まだき風鈴すでに目覚めをり
- 風呂の窓開けて風鈴翳しけり
- 愛知県 川俣周二
- 父母と買ひし南部風鈴残りをり
- 風鈴のぴくと動かぬ夜のあり
- 風鈴を音色で選ぶ夜店かな
- 夜店に並ぶ風鈴の音色かな
- 風鈴や同窓会のはがき来る
- 千葉県 隼人
- 風鈴や星が窓より覗きたる
- 風鈴やすやすや寝ぬる妻の顔
- ブラジル 玉田千代美
- 隣人に疎ましきかな風鈴の音
- 風鈴に夫の好む句吊るしけり
- 風鈴や二つの音色出しており
- 東京都 紫舌
- カップ麺 時間どおりに 鳴る風鈴
- 風鈴に 休み休みを 忠告す
- ちりちりん 風鈴金魚 啼き泳ぎ
- 東京都 小丸紫
- 風鈴を 吊ると故郷の 軒になり
- 風鈴に 悪魔とりつく ゲリラ雨
- たくさんの 風鈴なかで 迷い選(え)る
- 東京都 風見紫
- 風鈴を 吊ると酒下げ 友が来る
- 風鈴の 声は小言が 独り言
- 売り声が 風鈴時雨 連れ歩く
- 愛知県 当卯
- 風鈴と風力3を分けあへる
- 福岡県 たこ
- 主なく 風鈴ひびく 奥座敷
- 風鈴を かければ ながし 彩られ
- 風止みて わらべと遊ぶ 鉄風鈴
- 風鈴も 騒ぐ駅舎や 盆休み
- 神奈川県 永井朝子
- 音無きを捉えて放つ貝風鈴
- 風鈴や遊び疲れていどころ寝
- 軒下の風鈴一つ誰を待つ
- 千葉県 山田香津子
- 風鈴の短冊に書く請う長寿
- 風鈴や眠れる赤子足動き
- 風鈴やおはじき夢中三姉妹
- 父愛でし南部風鈴なりにけり
- 滋賀県 一斤染乃
- 風鈴につられ鼻歌母の歌
- 東京都 まどん
- 寺町の風鈴角を曲がりけり
- 風鈴や道にはみ出す植木鉢
- 東京都 秋野礼衣
- リンリンと鳴く正体は風鈴ね
- 風がふき紙と風鈴おどりだす
- 風鈴や毎年買われかざられる
- 風鈴とセミの声聞き夏思う
- 金魚かき風鈴見あぐりすかし見る
- 埼玉県 守田修治
- 風鈴や木々のしずくの昼下がり
- 風鈴のぶり返したる病かな
- 風鈴や林芙美子の海が見ゆ
- 風鈴の「リ」の音かろし先斗町
- 風鈴のちぢんだ妻の背丈かな
- 兵庫県 山崎衣玖
- 風鈴や生家の柱の香の甘し
- 風鈴を数へる夕の帰路の足
- 風鈴を道案内に曲がる角
- 二枚共替へたきは風鈴の舌
- 風鈴の音へ呼ばるる通学路
- 兵庫県 山崎ぐずみ
- 風鈴の短冊ゆれてをるを聴く
- 風鈴の似合う暮しと家である
- 風鈴や振り子の時計休ませる
- 風鈴の短冊ゆれてをるを聴く
- 福島県 いらくさ
- 朝顔と風鈴に咲く朝顔と
- 鉄製の鍋と風鈴買いし町
- 啄木風鈴押し入れに瞑するや
- 風鈴や妹泣いて赤子なり
- 筆跡の忙し青き風鈴よ
- 千葉県 悠理
- 風鈴を吊るアパートの窓の内
- 風鈴を残して実家閉じにけり
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 風鈴や歌なき短冊回りをり
- 京都府 北谷 匠
- のり食べるたまご焼きより明石焼き
- 神奈川県 髙梨裕
- 隅田川江戸風鈴の夕べかな
- 風鈴の残りし縁に座る父
- 風鈴の音の呼び合ふ夕餉かな
- ふるさとの風鈴山の風誘ふ
- 晩支度終えて鼻歌風鈴の音
- 京都府 中村 万年青
- 風鈴の音色いろに試しけり
- 風鈴や南風ともなひて訪ね来ぬ
- あらいやだ風鈴買うの忘れては