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- 俳句庵 2018年04月 優秀賞発表
- 俳句庵 2018年04月 作品一覧
俳句庵
4月『蝶』全応募作品
(敬称略)
- 宮城県 石川初子
- 蝶々やグランド今日はサッカー部
- 蝶々の会釈してゆく警備かな
- 大阪府 金成愛
- 嫁ぐ子やうまれたときは蝶だった
- キミの背にてふてふ生るる昼下がり
- 岐阜県 金子加行
- 磨崖仏崩れて舞ふや木の葉蝶
- 先頭に蝶の祝すや嫁の列
- 起重機の組む鉄骨に蝶の乗る
- 折紙の展がり蝶の命あり
- 舞扇蝶の如くと教へらる
- 神奈川県 白銀
- 躑躅の蜜 ストローのように なめらかに
- ルリタテハ 木の葉乱舞 蝶の舞
- 幼虫が 殻から抜け 大空へ
- 蝶と蜜 エール交換 ハーモニー
- アゲハチョウ ひらひらと舞う 花の様
- 神奈川県 鴨野箸
- 高尾山ボサノヴァで聴く蝶の歌
- 大阪府 藤田康子
- 冬の蝶あの時を又見失ふ
- 黒揚羽半分当たる占い本
- 新潟県 近藤博
- ドア開きて客は蝶々無人駅
- 花に舞ひ風にあらがふ蝶のゐて
- ひらひらと蝶の舞ひくる書斎かな
- 翅の色なんと美しきや蝶の舞ふ
- すれすれに蝶の飛び去る池の面
- 京都府 田端敏弘
- 見逃して飛び交う蝶や妻の畑
- 語り部に聞入る肩に蝶の影
- 野晒しの鍬に母の字蝶休む
- 井戸の水供えし湯飲み揚羽来る
- 神奈川県 佐藤博一
- 蝶の来て動き出したる花時計
- かはびらこかわわたりきりねむりけり
- 初蝶や何か伝言ある如く
- 初蝶の小さき花を選びけり
- 初蝶の花にも触れず吹かれけり
- 滋賀県 東野了
- 縺れ合ひ蝶の墜ちゆくダム湖かな
- 番犬の大欠伸して蝶の昼
- 蝶の翅つまみ幼子もどり来し
- ひらひらと幣舞ひ上がる蝶の昼
- 蝶舞ふや今年限りの耕作地
- 東京都 千味幸太郎
- 停まりたるバスより蝶の吐き出され
- 初蝶の飛ぶなか柩出てゆきぬ
- 迷い入る蝶乗せ走る路線バス
- 一陣の風に散らされ蜆蝶
- 蝶々のふと来てとまる握り飯
- 東京都 石川昇
- 定まらぬ風に戸惑う黄蝶かな
- 陽光の影も優しく春の蝶
- 兵庫県 岸下庄二
- 初蝶のまだぎこちなき飛翔かな
- 秒針に黄蝶の止まる花時計
- 高階の病室窓に白蝶来
- 舞ふ蝶の幾何もなき命かな
- 亡き母の化身と思ふ紋黄蝶
- 愛知県 遊泉(ゆうせん)
- 蝶々の巡る古戦場(いくさば)暮れなずむ
- 蝶舞ふや終日庭の無音界
- 白日に消ゆる白蝶阿弥陀堂
- 洋蘭に遊ぶ黄蝶の紛れけり
- 猫パンチかわし白蝶舞ひ上がる
- 福岡県 紙田幻草
- 初蝶の庭を隈なく見て回る
- 蝶々のくちづけヒマラヤ雪の下
- 初蝶の太陽の色纏ひ来る
- 公園を斜めに急ぐ胡蝶かな
- ひらひらと蝶のつき来る散歩道
- 愛媛県 渡邊國夫
- 三つ紋の白蝶つがひ碧空へ
- 蝶々のおさまる記念写真かな
- 遠き日に掛けづりし里蝶の舞ふ
- 初蝶の葷酒許さぬ門に入る
- てふてふと共に一服磴長き
- 山口県 ひろ子
- 菜園にひねもす蝶と語りけり
- いずこより蝶の舞ひきてささやけり
- 長野県 木原登
- 朝の日へ光を返す羽化の蝶
- 初蝶へ空の真青のかぎりなし
- 初蝶に会ひしとしるす日記かな
- 川越えし落花一群蝶放つ
- 行人をふつと消したる蝶の昼
- 東京都 岩崎美範
- 蝶よ蝶被災地へ翔べみんな翔べ
- 蝶を追ふ姉妹に同じ泣きぼくろ
- 子授けの水天宮に胡蝶舞ふ
- 母と追ふだんだら蝶の疾きこと
- 老骨のこの指とまれ蝶よ蝶
- 岐阜県 凡句楽
- てふてふや明日は曇りのち雨に
- 紋白蝶ひとさし舞うて去りにけり
- 岐阜蝶や信長公の居館跡
- 野仏にじやれあう二頭蝶の昼
- 纏ひつく蝶々母の化身かな
- 東京都 五島洸
- 胸襟を開けど蝶の近寄らず
- 黄揚羽の踏切渡る速さかな
- 初蝶に妻はしゃぎしは去年のこと
- 蝶を追う網うつくしく靡かせて
- 静かなる蝶の急所にピンを刺す
- 山口県 山縣敏夫
- 白蝶の群れを児童が追っ掛ける
- 園児等の帽子に蝶が舞いにけり
- 里山の棚田の畦を蝶が舞う
- 校庭の子等の頭上を蝶が舞う
- 白蝶の止まるベンチに老夫婦
- 兵庫県 山地美智子
- 来るはずの先輩を待つ蝶の昼
- 双蝶や老いに出かける先もなし
- 庭に来て日差し喜ぶ蝶々かな
- ひらひらと蝶の来て去るバス乗り場
- 配達の花舗の車の中に蝶
- 奈良県 平松洋子
- 玄関に飾る菜の花蝶が抱く
- リビングは出入り自由と蝶の舞ふ
- 花嫁のブーケ欲しがる白き蝶
- 千葉県 伊藤博康
- するすると魔法のごとき蝶の口
- じゃれ合うて上へ下へと紋白蝶
- あくまでも低く低くとしじみ蝶
- ふはふはがひらひらとなる揚羽蝶
- 川を越へ蝶の向ふは何処なり
- 神奈川県 守安雄介
- 桜より菜の花が好き紋黄蝶
- 風吹いて泡立つ畠や紋白蝶
- 飯給駅(いたぶえき)菜の花化して蝶となる
- リオの蝶大きな胸を持余す
- 羽足の四つの蝶やカーニバル
- 神奈川県 原川泉水
- 蜜求むたおやな蝶の身のこなし
- 吾が責と千里の海を渡る蝶
- 二羽の蝶今ぞ我が世と陽の中を
- 窓際の蝶ひらひらと空恋て
- 陽にぬくむ蝶の悦び荘子知る
- 東京都 内藤羊皐
- 能面を更に翳らす蝶の影
- 蝶翔つや石産女棄てし座敷牢
- 盗癖の妻の経血蝶の昼
- 夜のほむら上りて残る蝶の影
- 妊娠酒や空を狭める蝶の墜つ
- 東京都 伊藤はな
- 初蝶や真白の雲のひとかけら
- 物干しに紋白蝶のもつれをり
- 蝶々の黄色ゆらゆら日の匂ひ
- 初蝶の影を追ひたる猫の耳
- 蝶と行く五百羅漢の碑の小路
- 東京都 石井真由美
- 初蝶や右往左往の川の幅
- 奈良県 一人坊
- 何色に蝶迷う色々の花
- 蝶と往く振り返る度独り言
- 暮れる畦ただ蝶だけとすれ違い
- 茨城県 山縣歩
- 蝶の影 ひらひらと猫 落ち着かず
- 蝶が蝶 追って梢を 離れけり
- 初蝶や 安達太良山の 空の青
- 翅ひろげ 畳んで蝶の 息しずか
- しじみ蝶 音無く日暮れ 始まりぬ
- 神奈川県 河野肇
- 初蝶や棚の埴輪の淡き影
- 初蝶や紙飛行機が落ちてゐる
- 初蝶やむかし卑弥呼と舞ひしてふ
- 書道展を出て初蝶に迎へられ
- よぎりゆくヘリコプターや蝶の空
- 神奈川県 ぐ
- 鹿児島の太古の森や蝶を吐く
- 青空を擦りつけて蝶とびゆけり
- 半音のあがるや昼のピアノと蝶
- 昼のてふ商店街の匂いたつ
- てふてふや夜を求めて迷う昼
- 神奈川県 井手浩堂
- ポストまでいつもの道を蝶の昼
- 一対の紋白蝶の行方かな
- 黄の蝶を見上ぐる空の青さかな
- 初蝶に合はせてをりぬ息づかひ
- 風誘ひ蝶を誘ひて蔓ひとつ
- 兵庫県 岸野孝彦
- 越後獅子逆立ちすれば揚羽蝶
- 薄墨でてふてふと書く里は雨
- ネオン街刺青に蝶のあの昭和
- 大雪の薄羽黄蝶や風そろり
- 黒揚羽捕えし父の網速し
- 三重県 後藤允孝
- 蝶舞ふや静かな刻の流れゆく
- 初蝶の久留倍の里に生まれけり
- 春の蝶舞ふタイミング計りをり
- 初蝶のよろよろよろと右ひだり
- 一休みする鍬の柄の春の蝶
- 神奈川県 塚本治彦
- 蝶々のために咲かせし学級園
- 分校の児童数より多き蝶
- 白蝶を黄蝶に変へる手品かな
- 手品師の手から黄蝶の飛び立ちぬ
- 蝶添へて学級園を引継ぎぬ
- 神奈川県 矢神輝昭
- 蝶が来て風やわらかし摩天楼
- 蝶蝶や子らの騒ぎて列乱る
- 本伏せて蝶追ふ先にエピローグ
- 蝶蝶や店頭の本叩き掛け
- 江の島へウインドサーフィン初蝶来
- 兵庫県 はなちる
- 波の音舳先に舞うや春の蝶
- 葉音して黒髪ふわり蝶ふわり
- 焔立ち蝶の溶けゆくアスファルト
- 沈黙の真白き空に春の蝶
- 指の先麟分悲し紋白蝶
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- コムラサキ オオムラサキの 子どもかな
- 蝶が飛ぶ 鱗粉まいて 時過ぎる
- 菜の花の 風に吹かれて モンキチョウ
- さなぎから 生まれた蝶の 美しさ
- てふてふが けふもひらひら とんでいる
- 京都府 中蔵みづほ
- 紋白蝶花街の夜の石畳
- 赤門をくぐりて空よ蝶まぶし
- 初蝶や十二センチの靴の歩に
- 花園を移りゆく蝶ソミファソミ
- 周産期入院の窓初蝶来
- 神奈川県 猪狩 千次郎
- 境内をよぎる列車や蝶の昼
- 恋の句の詠めなくなつてしじみ蝶
- 打ち寄する波濤を超えて胡蝶かな
- 蝶生るる羊あまねくうつむいて
- 初蝶来ギリシャの神と酔ひしれて
- 大阪府 津田明美
- この先はバス停あらず蝶の昼
- 折り返すバス停の闇蝶の昼
- 蝶に道尋ねてこんな遠くまで
- 触覚は異界に残し揚羽蝶
- 双蝶の大きく曲がり角三軒
- 新潟県 じゃすみん
- 鉄棒のでんぐり返し蝶の昼
- 草むらにひかひか蝶の翅光る
- 屋上の真白きシーツ蝶の昼
- 初蝶や口に紅置く納棺師
- 福岡県 西山勝男
- まだ尖る風にまぎれて初蝶来
- 初蝶の切り開きゆく札所かな
- 置き忘る鍬にとどまる孤蝶かな
- 蝶々や次の札所へ導とし
- 蒼天へ即かず離れず番蝶
- 富山県 岡野満
- そよ風に抗う蝶の白さかな
- 初蝶とダンスを踊る仔猫かな
- 翅閉じて蝶々しばらく昼寝かな
- ブラジル 広田ユキ
- 大西洋向けて流るる蝶吹雪
- 花時計コトリと動き蝶翔ちぬ
- 蝶吹雪過ぎて零れし蝶の数
- 初蝶や光あまねき野の起伏
- 北伯の旅に出会ひし蝶吹雪
- 徳島県 白井百合子
- 初蝶や寄り道しては舞い戻る
- 青空と蝶も見初めるブーケかな
- 大空の音なかりけり蝶あまた
- 蝶の昼逆様で吸う蜜の味
- 白い蝶そっと手の中薄き羽
- 宮城県 林田正光
- 初蝶や湖畔の宿の朝ぼらけ
- ちょうちょうをてふてふというグランママ
- 蝶止まるあのフクシマの地図の上
- 受粉終えおいでおいでと呼ぶ胡蝶
- 幼稚園紋白蝶の似合ふ場所
- 東京都 勢田清
- ちちははの魂か墓前に黄蝶舞う
- 揚羽蝶せわしく花を揺らしけり
- 蝶二つ縺れつつ行く空の果て
- 散水に空から蝶の影来たり
- ひらひらとキャベツ畑に蝶多し
- 岡山県 岸野洋介
- 妻の忌や化身のごとき蝶の舞う
- テフと書き蝶と読みし日ふと思う
- 蝶とまるふわり一舞見せしあと
- さっきまで蝶が来ていた雨の庭
- 子ら去りし街の広場に蝶のくる
- 神奈川県 皆空眞而
- 吹かれつつまゝとはならぬ蝶の意気
- 陽だまりに蝶の止まれば風もなし
- 菜園に八分音符の蝶遊ぶ
- 女生徒の吹奏楽や蝶の昼
- 埼玉県 よしこ
- 白蝶のひらひらひらと畠の中
- 初蝶や恋にも似たりときめきぬ
- 初蝶や白き幻立ちすくむ
- 野の蝶をとぎれとぎれに目で追うて
- 蝶追うて赤信号の下校の子
- 埼玉県 櫻井俊治
- 蝶々のよぎりて近し桃源郷
- うたた寝の瞼映りし蝶の舞い
- 東京都 右田俊郎
- 移り気を咎めるなかれ吾は蝶
- 捕えんとよちよち歩き蝶を追ふ
- 上になり下になりして番の蝶
- 遊ぶとも遊ばれるとも紋白蝶
- ジグザグを野のカンバスに描く蝶
- 東京都 三吉野而今
- 慌つことなく初蝶の煽ぎ発つ
- 小諸にも似しふるさとの蝶が好き
- 蝶放ち思ひもよらぬ指のラメ
- 仰角に児の届かざる黒揚羽
- 空耳や否やいまのは蝶の羽
- 愛媛県 加島一善
- 蝶掴み月下に光る手話の指
- 古池に胡蝶の羽根の破れたる
- 母の忌に「君は誰か」と蝶に問う
- まどろみの妊婦を起こす蝶の影
- 念仏の谷より湧くや千の蝶
- ブラジル 西山ひろ子
- 湧き出でて森に眩しきモルホ蝶
- てふてふの白は描けぬと孫の泣く
- アマゾンの大河ゆったり渡る蝶
- 国境を難なく往くさ来る蝶蝶
- ふはり来てサンバのリズム蝶の昼
- 神奈川県 万季
- 風に舞うひらりと初蝶花になる
- 音もなく蝶々乗り込むローカル線
- 蝶が舞う舞台は小さな家の庭
- イヤリング落ちて可愛い蝶になる
- 歩数計蝶に誘われ数増やす
- 栃木県 大森則子
- てふてふを追ふて子猫の右左
- 草原へ蝶を誘ふ日の光
- オーガンジーのブラウスに蝶とまる
- 草陰に夭折の蝶風蒼し
- 右肩に憩ふブローチ紋黄蝶
- 東京都 田中礼子
- まちまちの貨物車の両初蝶来
- おしゃべりは永遠なりて昼の蝶
- 建て売りの窓とりどりや蝶々来る
- ラッピング都電過ぎ行く紋黄蝶
- 蝶々の連舞来たりテラス席
- 三重県 西井治男
- 初蝶よ先祖に勇姿ひらひらり
- 蝶の数昨年よりも少なけり
- モハメッド蝶の舞いも伝説に
- 愛知県 斉藤浩美
- 本籍は名もなき野原蝶生まる
- 空一枚使ひこなして蝶育つ
- 少年の攩網を躱して蝶高し
- 青年のコンビニ弁当蝶の昼
- まだ風をよめぬ小さき蝶なりし
- 東京都 中田ちこう
- ちさき手のひかる鱗片てふの影
- 神奈川県 龍野ひろし
- 初蝶の一瞬光放ちけり
- 温室を飛び出す勇気蝶よもて
- 鱗粉の散らす光や初蝶来
- 白壁をついとよぎるや蝶の影
- 初蝶はどの花に恋語りしか
- 大阪府 太田紀子
- 蝶の影芝生を過り仰ぎ見る
- 蝶々と吾のみ乗りゆく路線バス
- 複々線初蝶無事に渡り終へ
- 東京都 住澤義英
- はぐれ蝶孫の頭でひと休み
- 散歩道角をまがれば春の蝶
- 神奈川県 月野木潤子
- そのかみの山城跡や蝶生まる
- 儀式めく三つ紋付きの蝶白し
- 山頭火句碑やてふてふひらひらと
- 花蜜を吸ふ力見せ春の蝶
- もつれ合ひからまり合うて蜆蝶
- 栃木県 長浜 良
- 白日の蝶や高きに消え上る
- 野仏や蝶を飾りてやはらかき
- 埼玉県 守田修治
- 転校生初蝶連れて登場す
- 園児らの朝礼の列に蝶が来る
- 蝶々の乱舞している映画ロケ
- 蝶々の誰もみてないバレリーナ
- 初蝶と乗り合わせたる村のバス
- 埼玉県 哲庵
- 連れ立ちてガマに消えゆく双蝶
- ブラキストンライン越え行く蝶の群
- 鎌倉や虚子の黄蝶に逢ひに行く
- 初蝶の翅憩めたる百度石
- てふてふのささやき聴こゆ化粧坂
- 北海道 飯沼勇一
- 棟越へし蝶の目に入る花畑
- 初蝶や音楽室は息ひそむ
- 初蝶よ介護の窓を賑はせよ
- 除染まだ続きし村や蝶が翔ぶ
- モンキチョウ従へ車椅子を押す
- 神奈川県 伊原文夫
- 初蝶や名前つけたし影も無し
- 初蝶や翅の向こうに子らの顔
- 初蝶や生国問いたし影も無し
- 初蝶や子らの笑顔に翅を振る
- 岐阜県 ときめき人
- 初蝶や薄きひかりの中にあり
- 愛知県 中井啓子
- 畑歩く前に後ろに黄蝶かな
- 神奈川県 片桐栞志
- 「ただいま」の子の声指に蝶とまり
- さり気なく来て初蝶のもう何処
- 蝶の翅いくつもの角曲がりけり
- 神奈川県 成田あつ子
- 風と来て風の連れ去る蝶々かな
- 初蝶や子のバイエルは二十番
- 歩き初む子の靴ピンク蝶の昼
- みどり児の声ある欠伸蝶生まる
- 蝶の翅透きゐてガレの玻璃の壺
- ブラジル 林とみ代
- 密林に湧き出るごとく蝶の群
- 紋白蝶追いし里山偲びけり
- 野仏の周りひらひら蝶遊ぶ
- 草花に紛れ込みたる胡蝶かな
- 信号を無視して蝶のよぎりけり
- ブラジル 玉田千代美
- 開いてはたたみつ恋す蝶々かな
- 塀越しに話弾みて蝶の群
- 黑蝶に心乱さる暮しかな
- 蝶々のごとく一度は過ごしたし
- 蝶々の飛び行く姿美しき
- 大阪府 椋本望生
- 夢覚めて九十九の蝶となれにけり
- 孵化の蝶空の広さをさ迷へり
- 蝶が舞ひやつと農夫となりにけり
- 蝶々の逃げ切る速さ追ふ速さ
- 神奈川県 石川昇
- 初蝶やひらひら俳句携へて
- 舞う蝶や芋虫の時忘れまじ
- 喜びのメロディーに乗り蝶が来る
- 揚羽蝶若年寄の墓を舞う
- この蝶は山の裏から来たのかな
- 千葉県 横井隆和
- ・漆黒の盆に降りたか瑠璃小灰蝶
- ・野は蝶のひとり舞台ぞ雨上がり
- ・鋭角に空の青斬るせせり蝶
- 神奈川県 川島欣也
- 地図持たず三千キロを渡る蝶
- 蝶をおふ幼足元見失ふ
- 折紙や束ねし羽を開く蝶
- 紋白蝶白内障の眼に痛し
- 一族の紋章まとふ蝶の旅
- 東京都 岩川容子
- 花の香に吸い寄せられし蝶の昼
- 初蝶に未だ見ぬ空の広がりぬ
- 姉偲ぶ蝶と遊びし幼き日
- 花びらと見紛う蝶の乱舞かな
- 千葉県 入部和夫
- 蝶々と戯れ遊ぶ園児かな
- 初蝶の目に青空の眩しくて
- 初蝶にしばし足止む遊歩道
- 東京都 遠山比々き
- 二千キロ渡れる蝶の皮下脂肪
- 東京都 紫̪翅
- 初蝶を 追えば長閑き ラビリンス
- 花疲れ 癒すや蝶の舞い踊り
- 初蝶や 一方通行 逆走す
- 東京都 紫翔
- 初蝶を 追うオノマトペ 定まらぬ
- 風の向き 読み初蝶の 後を追う
- 初蝶の 舞いて野山を 目覚めさせ
- 東京都 てふのみくす
- 白壁に 紛れて休む モンシロチョウ
- 初蝶や 電話を切って 追いかける
- おのまとぺ ホバーリングの 蝶の下
- 埼玉県 小玉拙郎
- 川風にまだ抗えぬ今日の蝶
- 見る人の無きモンシロチョウの白さかな
- 初蝶や無欠の羽根と飛び姿
- 福岡県 川尻綾子
- 沐浴の嬰の手ほとび初蝶来
- 福岡県 多事
- ふらつける蝶追ひ来れば酒の蔵
- 娘のベールあげて初蝶溢れけり
- 吾子抜きて縺れ縺れり二羽の蝶
- 鼻抜くるアテの塩味や紋白蝶
- 娘の部屋の教科書の束紋白蝶
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 初蝶の行方目で追ひ三歩行く
- 白壁に黄色の蝶の影揺れて
- 初蝶のくるぶしあたり過ぎにけり
- ブロンズの少女像より蝶翔てり
- 釣り人の並ぶ海岸蝶の昼
- 滋賀県 村田紀子
- 窓越しの蝶に手を振る赤子かな
- 蝶を追う黄色い声と白いシャツ
- 田舎道二匹の蝶と祖母の家
- 神奈川県 三好康子
- 初蝶来真昼のかげを縫ふごとく
- 初蝶や折り目新し巫女袴
- 自在なる蝶を羨しと思ひけり
- 蝶の翅指やはらかく抓みけり
- 翅毟られ石に置かれし死蝶かな
- 京都府 新井ゆかり
- 50年胡蝶の夢は覚めやらぬ
- 神奈川県 月野木 若菜
- 初蝶の人懐つこく絡みたり
- 好きなだけ軌道逸らして蝶自由
- 埋骨の墓前礼拝蝶過る
- 蝶蝶や事件は迷宮入りとなり
- その翅をたたみて蝶のまどろみぬ
- 岐阜県 村瀬佐智子
- 初蝶の寄りて分かれてまた寄りて
- 蝶の蜜吸う音ほどの孤独かな
- 黙の闇去れ蝶次々生まれよ
- 軽やかに世を渡りゆく胡蝶かな
- 隣家よりフルートの音蝶来たる
- 兵庫県 ぐずみ
- 完売のピーナツバター蝶の翅
- ランドセル匂ふ帰校子蝶の道
- 蝶止まるジャングルジムの最上階
- 双蝶のよぎるや綱渡りの猿
- 哀しきはピエロの顔や蝶肩に
- 千葉県 堀河真里
- 蝶あまた飛び交う庭や心電図
- 演説の志士を真青き蝶よぎる
- 東京都 内山岱鵬
- 南から贈り物かな紋黄蝶
- 蝶追うや小僧裸足で日が暮れて
- 初蝶や女子学生の下校路
- ガラス戸やぶつかり蝶の見て笑ひ
- 霧雨や軒端を借りて蝶潜み
- 神奈川県 髙梨 裕
- 豚鳴くや蝶の影さす畜霊碑
- 生まれたとしあわせの空紋黄蝶
- 飛び飛びに飛ぶ紋白や眠る犬
- 我に来て去りし黄蝶や塀の外
- 杜からは重ね別れし春の蝶
- 京都府 中村万年青
- なのはなの変化かてふの舞ひ遊び
- 妖精と蝶競ひ合ふげんげ畑
- うららかや胡蝶の渡る昼の海