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- 俳句庵 2019年02月 優秀賞発表
- 俳句庵 2019年02月 作品一覧
俳句庵
2月『二月』全応募作品
(敬称略)
- 愛媛県 砂山恵子
- 駐車場の白線薄き二月かな
- 赤き傘広げてみたる二月かな
- ブティックの窓に鉢植え二月はや
- 志貴皇子の歌口遊ぶ二月かな 口遊ぶ(すさぶ)
- 膝出しのマネキン並ぶ店二月
- 大阪府 藤田康子
- 二月尽市道土管の水の音
- 二月果つ望郷雲のかたちして
- 島根県 GONZA
- 愛されて面倒くさくて二月尽
- 香草に香り乏しき二月かな
- 大吉や二月朔日神参り
- ニン月の波は変拍子で来たり
- 大きめの赤い長靴二月行く
- 千葉県 唯我独善
- 足下より鼓動始まる二月かな
- 二ン月の女の紅の明るさよ
- 春物のバーゲンチラシ二月かな
- サンドイッチにちょいと二月を挟みけり
- 二ン月の言い訳聞けば支払日
- 千葉県 サイトウススム
- 月末の支払い早き二月かな
- 二ン月の字足らず俳句めき
- 宮城県 石川初子
- 父母といることの終わるる二月かな
- 東京都 勢田清
- 二月なる建国の日のなつかしく
- 陽光に希望溢るる二月かな
- 二月来て社の幟はためけり
- 風強き二月みちのく墓参り
- 二月来て日ごと明るき季節かな
- 新潟県 近藤博
- 庭の木の早やほぐれ初む二月来る
- どことなく日差し目映き二月かな
- 日の暮れの日にけに遅し二月かな
- 二月早や気に染む候となりにけり
- 天も地も脈打ち初むる二月かな
- 千葉県 柊二
- 水掻の熱き湖水や薄氷
- 兵庫県 噂野アンドゥー
- 階段を チヨコレイトと かけ上がる
- 節分や 春よ来いと 豆を撒く
- ほろ苦い 甘味があるや チョコアイス
- 人生や 渡る世間は 鬼ばかり
- 閏年 祝ってくれない 誕生日
- 岐阜県 金子加行
- 命への風となりゆく二月かな
- 一色の絵具買ひ足す二月かな
- トランペット哭くや二月の連なる田
- 湧水や富士は二月もとどまらず
- 野のページめくりにかかる二月かな
- 兵庫県 岸下庄二
- 水細り二月の水車止まりけり
- 二ン月の弥勒菩薩の頬優し
- 海荒れて休漁つづく二月かな
- ことのほか早く過ぎたる二月かな
- 鉛筆のぽきんと折れる二月かな
- 愛知県 遊泉
- 陸奥の便り優しき二月尽
- 地の果てのものみな伏せる二月かな
- 二月なる里山の池人拒む
- 谷川のもっとも尖る二月かな
- 仁王像いよいよ厳し二月かな
- 大阪府 金成愛
- パパとママとボクとくつつく二月かな
- 二月や道に迷ふて道訊かれ
- 神奈川県 佐藤博一
- 追う雲も追われる雲も二月尽
- 幼子に靴新しき二月かな
- 常の人常の座に無く二月尽
- 二ん月や公園の遊具塗り替える
- 二ん月や入れては出してランドセル
- 栃木県 鹿沼 湖
- チョコレート売場華やぐ二月かな
- すつぴんの空の広がる二月かな
- 大黒天の笑みて鎮座の二月かな
- 福岡県 紙田幻草
- 鉢物の花芽ふくらむ二月かな
- 乗り切れば希望の見ゆる二月かな
- 二ン月の鴉カアーカアー鳴くことよ
- 尖りたる二月の雨の雫かな
- 若者の未来を決める二月かな
- 神奈川県 萩原照代
- 合格を必ず手にする二月かな
- 海を行く軍艦一隻二月かな
- 竹林に風吹き来る二月かな
- 受験生もう来てしまったと二月かな
- 二月の寺 白装束のしだれ梅
- 静岡県 城内幸江
- 七の段曖昧なまま二月かな
- 身勝手な夢を荷台に乗せ二月
- 陽の匂ひ段々濃くて二月かな
- 狛犬の口あんぐりと二月かな
- 家を出る計画たてる二月尽
- 神奈川県 金剛
- 湧き水の光をすくふ二月かな
- 暁光の湖面をわたる二月風
- 歳とらぬ君の笑顔や二月終ふ
- 城楼の高さ越へゆく二月の日
- 二月来る火入れ始めの窯の前
- 岐阜県 ときめき人
- 教室の机の埃二月来る
- 神奈川県 月のうさぎ
- 奥の歯で板チョコかじる二月かな
- 二ン月の小便小僧夜の黙
- 青森県 竹浪誠也
- 荒海を誰もとがめぬ二月かな
- また一つ夢の貯金をして二月
- 円空仏のごとき二月の日和かな
- 窓を拭く二月の空の藍を拭く
- 寂しさをかかへ夢見る二月かな
- 長野県 木原登
- 友の忌を終生修すわが二月
- 天辺に声の小鳥や二月来る
- ここかしこ水の音生む牧二月
- いきいきと力たくはふ二月の木
- ポッケより手を出し歩く二月かな
- 埼玉県 岸保宏
- 山のよにチョコが並んで二月かな
- 狛犬に少し鳥増す二月かな
- 給料に予定を変える二月かな
- 神奈川県 守安雄介
- 三年生二月半ばに終わりけり
- 銀盤に割れ目の兆す二月かな
- 天神を紅白に分く二月晴れ
- 進水や二月の舳先抗へり
- 留年や二月の声の重々し
- 宮城県 林田正光
- 潔き二月の空は何もなく
- 意外にも人生の岐路二月かな
- 竹林を二月の風が素通りす
- 如月の遊び許さぬ大気かな
- 二月風頬に厳しき高尾山
- 大阪府 木山満
- 二月の空春遠うかりと溜息す
- 猫柳花屋の桶で二月告ぐ
- 二月晴顕わになりし壁の傷
- 病む夫(つま)と二月の風とサイネリア
- 二月なり花咲く木木の騒がしき
- 千葉県 渡邉竹庵
- 卒論の校正未だ二月来る
- 二月はや舫解くるサッパ舟
- 二月の野もぐらの塚のくろぐろと
- 手賀望む白樺派等の眼に二月
- タイマーをやをら遅らす二月かな
- ブラジル 西山溥子
- 馳走より人恋ふ媼二月かな
- 一世の少なくなりし二月尽
- 共に生き語りし月日二月逝く
- 日記未だ空白の無き二月来ぬ
- 逃げるてふ二月の早も半ばかな
- 長崎県 塩谷人秀
- 投函の手の震えたる二月かな
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 顎の下髭そり残る二月尽
- マラソン人二月の空を賑やかす
- 東京都 内藤羊皐
- 妙正寺川に二月の日影かな
- 神木に二月の翳の鳴り通す
- 鉄棒に雲の映ゆれる二月かな
- 父逝きし空錆色に二月来る
- 二月野に乳呑児己が影掴む
- 東京都 はな
- 波二月うろくずひかる鹿島灘
- 日が昇る水平線の二月かな
- ニん月の猫の目動く日の斑
- 兄逝きし涙二月の星となり
- シチュー盛る真白の皿の二月かな
- 東京都 之忠
- ニン月の木漏れ日鳩と車椅子
- 病窓の眼下に尾長飛ぶ二月
- 草叢を雀飛び立つ風二月
- 鴉鳴く二月の空の黒々と
- 鼠色の水に二月の鴎浮く
- 岐阜県 雅風
- 鉢植えの固き蕾の二月かな
- 飼い猫の恋にやつるる二月かな
- 四つ角に鬼仁王立ち二月来る
- チョコレート置かる二月の机かな
- 足早に逃ぐる二月の暦かな
- 兵庫県 はなちる
- 熱気帯び燃える炎の二月かな
- 二月きて耕人の背の丸くなり
- 甘き香や二月の風に尋ねけり
- 空の上母の笑顔の二月逝く
- 大阪府 永田
- 暁闇の二月の窓を開け放つ
- 東京都 岩崎美範
- ひたむきに生きて老いたり古稀二月
- 名画座に昭和を偲ぶ二月かな
- 陽だまりに嬰の伸びする二月かな
- ふるさとのシャッター街の二月かな
- 連山の目覚め始むる二月かな
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 津々と木々の息吹の二月かな
- リフォームの計画始む二月かな
- 新たなる気構へばかり二月かな
- 手洗ひとうがひ怠らずや二月
- 転調の半音上げの二月かな
- 徳島県 白井百合子
- 手術する初体験の二月かな
- 杖二本二月の空に似たりかな
- 継ぎ接ぎの覆い掛ける木二月かな
- 二月来て猫のくしゃみやあまたなる
- 鼻先のすりすり好きな二月かな
- 東京都 石川昇
- 少しずつ何かが変わり二月かな
- 早や二月今のところは大過なく
- 大阪府 津田明美
- 一水の煌めきに来る二月かな
- 頬杖をつけば光りの影二月
- 埼玉県 いまいやすのり
- 二月して知らず知らずや長話
- 自転車の影わはらかな二月なり
- だんだんと空の展がりゆく二月
- 青空へ土ほつこりと二月かな
- 河川敷土くろぐろと二月来る
- 千葉県 伊藤博康
- 存外に行事詰まりし二月かな
- 気がせくや前のめりなるまだ二月
- 二月には上の空なる授業かな
- 二月なり二の字二の字の下駄の跡
- 物足りぬ思ひが募る二月かな
- 三重県 後藤允孝
- 伊吹風二月の夜は肌を刺す
- 二ン月やビル街の風尖りたる
- 影よりも光まばゆき二月かな
- つくばいの水に震える二月かな
- 二ン月や鳥も遊びぬ朝の苑
- 奈良県 平松 洋子
- 怠けをる身体に気合二月朝
- 引越してはや十年の二月来し
- 占いの横丁ありて二月の陽
- 東京都 ねぎみそ
- 在中の子は賀すらむやこの二月
- 神奈川県 塚本治彦
- また結ぶ黒ネクタイの二月かな
- 鵜の糞の白く固まる二月かな
- 稀に人通る二月の切通し
- 二ン月や水の流れぬ用水路
- 発掘のまた掘り返す二月かな
- 神奈川県 矢神輝昭
- ニン月の薬の仕切り二十八
- 梳る梢の音や風二月
- ニン月の火の見の影の赤赤と
- ニン月や二足歩行で逃げていく
- 羽二重の手触りかすか二月かな
- 兵庫県 髙見 正樹
- 風止まず梢に踊る二月の陽
- 栃木県 長浜 良
- 山林の風乾きたる二月かな
- 日時計の時曖昧な二月かな
- 物売の揉み手頻りに二月かな
- ポケットに手を入れ残す二月かな
- 山口県 山縣敏夫
- 難しい2月の海を何と詠む
- 今朝ぞ知る二月の庭の侘と寂
- 見上げれば二月の空の青きこと
- どこかしら追われるような2月かな
- ランドセル背負う児童に2月来る
- 愛媛県 渡邊國夫
- 杉玉のまだ新しき二月かな
- 鬼どもが右往左往の二月かな
- 独リ居の庭にぎやかとなる二月
- 歌舞伎座の追善狂言二月かな
- 関取の裃袴二月かな
- 東京都 石井真由美
- 自分へのチョコつと褒美二月かな
- 手作りは遠に卒業二月かな
- 二ン月に婚姻届スタートす
- 二ン月も天地の静け空まさを
- 二ン月の富山沖立つ鷹の爪
- 東京都 佐藤博重
- 二月ゆく一尺ほどの波郷句碑
- 対岸の風の鋭き二月かな
- 二ン月の礫のやうに過ぎにけり
- 宮城県 武田悟
- 頬づえをついて二月のミントティー
- 予備校の門へ一礼二月尽
- 越すまでの二月愛しい下宿部屋
- 歩こうか二月下旬の靴が呼ぶ
- 透きとほる二月の朝に背を伸ばす
- 滋賀県 船岡房公
- 老犬と湖を見てゐる二月かな
- 遥けくも黄砂飛び来る二月来る
- 神奈川県 井手浩堂
- 大鴉群るる二月の由比ヶ浜
- うつすらと赤み帯び来や山二月
- 着る服に日ごと迷ふも二月かな
- 愛知県 斉藤浩美
- 進路まだ迷いのありて吾子二月
- またここも墓じまいして苑二月
- ワイン一本花弁包みに二月来る
- 谷町のひとりは女将二月かな
- 涙するには訳ありて二月かな
- 大阪府 杉本義雄
- 糠床に加減上々二月きぬ
- 祥月や僧来る朝の二月かな
- 野良猫を声で追いやる梅二月
- 梅二月希望に満ちて句作りを
- 本棚の塵も二月の光かな
- 東京都 紫猫
- 二月晴れ 未だセールに 活気あり
- 二月来て デパ地下どこも チョコ売り場
- 気も漫ろ 昼寝そこそこ 猫二月
- 東京都 平成惜春
- そばつゆの 冷たき二月 割子蕎麦
- 二月晴れ 鳥居の朱赤 鮮やかに
- 二月晴れ サンダル履きを 悔いる午後
- 三重県 倉田 伊都子
- 二月の陽 昨日より今日 捗りし
- 背を丸く 小走りの道 二月かな
- 東京都 FEB競り合い
- 二月来て 鍋の材料 春や早生
- 二月晴れ カフェオレよりも カプチーノ
- 二月晴れ ヴィバルディの春 リフレイン
- 岡山県 信安淳子
- 日めくりをめくるもうれしニ月かな
- 定刻に来ないバス待つ二月かな
- 岡山県 岸野洋介
- 二月まず意中の人にチョコ選ぶ
- 何となく明るき二月はじまりぬ
- 草むらに二月の顔の蕗の薹
- 二月きて森羅万象色めきぬ
- あまたなる蕾ふくらむ二月かな
- 神奈川県 亀山酔田
- 事あるに喰う粥の湯気二月過ぐ
- 猟の犬二月の雨に騒ぎおり
- 水面へ浮いてくる亀二月過ぐ
- 欠伸して二月来にけり我生きる
- 真っ直ぐに野へ飛びい出し二月尽
- 福岡県 西山勝男
- 鈍色の海を見詰める二月尽
- 国東の古刹をさぐる梅二月
- 鈍色の玄海灘や二月風
- ねんごろに土と向き合ふ二月かな
- 二月はや旅の企ていそがばや
- 山形県 斎藤碵志
- 二ん月や杖つき薄氷踏むわれや
- 痛し身に重石となりぬ二月かな
- きさらぎの筆持つ句人の手が震え
- 二の月吹雪の里よりメールくる
- 仏壇の仏の顔も二月顔
- 神奈川県 川島欣也
- 日の数を二月に合わせグレゴリオ
- 五輪年二月日延べして迎え
- 如月やひかり硯の海に跳ね
- 森の生き物動き出すや二月
- 二月富士遮る雲のひとつ無く
- 神奈川県 龍野博史
- 桜の芽まだ膨らまぬ二月かな
- 潮の香の甘き二月のカフェテラス
- 鼓笛隊二月の空へ打ち鳴らす
- 段々と日の溢れくる二月かな
- ブラジル 林とみ代
- 投稿の〆切間近二月尽
- カーニバルの山車整えて二月尽
- 母の忌と娘の生まれたる二月かな
- 巻き癖の伸びたる暦二月壁
- 母の忌に参加叶はず二月かな
- 愛媛県 加島一善
- 冬なのか春なのか問う二月かな
- 二月晴れ合格願い絵馬吊るす
- 北国の雲梯わたる二月猿
- 閏年二月天より時のプレゼント
- 梅二月親のため息溜まりけり
- 埼玉県 櫻井俊治
- 廃船の赤錆匂ふ二月かな
- 転勤の噂始まる二月かな
- 東京都 豊宣光
- 青天下清き二月の山河あり
- 受験生気持ちそぞろの二月くる
- にぎわいの絶えし二月の神社かな
- 朝の日や季節も変わりはや二月
- 病む人を見舞う二月の花を買い
- 東京都 右田俊郎
- 出遭いあり別れもありて二月ゆく
- 落ち着かず急かさる心地二月かな
- 新たなる気持ちで一歩二月入る
- 二月や悲喜こもごもの交差する
- 背伸びして叫んでみたくなる二月
- 栃木県 垣内 孝雄
- ゆつくりと川の流るる二月かな
- 勃然と顔に刺しくる風二月
- はや二月古希に二年となりにけり
- 二月来る湖に月かげ竿をさす
- 秀で枝に雀むれゐる二月かな
- 三重県 西井治男
- 二月には一人暮らしの陰と陽
- 終夜二月はじめに筆をとり
- 神奈川県 後藤真子
- ラケットのほこりも光る二月かな
- 球根の芽あり二月のプランター
- 札幌は空も真白の二月かな
- ゴルゴタに咲くや二月のアーモンド
- 爆竹のうれし二月の中華街
- 埼玉県 小玉拙郎
- 風変るからだ馴らしの二月旅
- 名刹の華やぎ多き二月かな
- 斑鳩は人無き午後の二月かな
- 殺風景に風景きざす二月かな
- 神奈川県 原川篤子
- 糸雨煙る二月の樹樹の木の匂い
- 送る歌復習ふ(さらふ)二月の窓明し
- 二月の空押し上ぐる欅一千本
- 母の忌の二月の水の硬さかな
- 延段の二月の光(かげ)を踏みてゆく
- 神奈川県 志保川有
- 喧嘩すまじの計まもり二月入り
- 芸術品めける腰痛二月かな
- 三重四重に春を包装せる二月
- 風の中如月のバス遅延せる
- 脚太き老妻を頼りの二月かな
- 千葉県 四葩
- 光の子生まるる田野二月かな
- 山口県 ひろ子
- はたけ菜のからし和え食む京二月
- 山里の芽吹きたずねし二月晴れ
- 広島県 永野昌人
- 牧場に牛の鳴き声梅二月
- 眩しくて二月の風の痛きこと
- 麻痺の身に由々しき二月来たりけり
- 二ン月や風が身を刺す鰆浜
- 小社へ上る石段梅二月
- 宮城県 飯沼勇一
- 少女らの胸膨らめる二月かな
- 孕み馬二月を乗せて駆け抜ける
- 口重し二月の二人の観覧車
- 平成の最後の二月チョコやれよ
- 神奈川県 ぐ
- 故郷や二ン月の雲流れゆく
- 大風に倣う二月の客の列
- 其処此処にチョコの賑やか二月かな
- 東京都 笹木弘
- 円満退社の二月二十八日かな
- 鈍色の空重くなる二月尽
- 起重機を夜空に残す二月かな
- 髭面に蒸しタオル掛け二月かな
- 手相見の新宿西口二月尽
- 埼玉県 水夢
- 二月や耳を澄ませば水の音
- チェロの音の響く二月の喫茶店
- グライダー飛んで二月の青さかな
- 露天風呂二月の日矢の射し込みぬ
- 炭酸泉泡の溶けだす二月かな
- 東京都 中田ちこう
- 石段の猫むくり風二月かな
- 大阪府 椋本望生
- 歩かねば二月の影に越されさう
- 歩くより走つてみたい二月かな
- 二ン月の瀑布本心剥き出しに
- 終活の背びらに二月迫りくる
- 病院を出でて二月の角曲がる
- 愛知県 新美達夫
- 差し入れを施主の持ち来る二月かな
- パソコンで申告済ます二月かな
- 目処つきし町内人事二月尽
- 商人のあの手この手の二月かな
- 京都府 山辺木綿子
- 嫁もらふ日の空澄める二月かな
- 赴任先きまる二月や海蒼し
- 赤き実をとりあふ鳥や二月入る
- ブラジル 玉田千代美
- 古家や二月の風の欲しきまま
- 諺に逃げ足早き二月かな
- 生き方の心変えたる二月かな
- 東京都 岩川容子
- ポケットの片手のぬくみ二月かな
- 日めくりのうすき二月の陽のうすき
- 風尖り雀ふくらむ二月かな
- 命の芽土押し上げる二月かな
- 三重県 平谷富之
- チョコを買ふ乙女の列の二月かな
- 神奈川県 梶満理子
- 名も知らぬ蕾ふくらむ二月かな
- 犬小屋に朝陽あたりて二月かな
- カーテンに明るさ増して二月来る
- さざ波の光まぶしき二月かな
- 山ぎわに明るさ連れて二月来る
- 千葉県 伊藤順女
- 二ん月の光に遊ぶ子猫かな
- 千葉県 入部和夫
- 婚遅き子が嫁をとる二月かな
- 埼玉県 守田修治
- 坐禅組む青天白日二月なり
- 二月にも飽きて浅草寄席通い
- 横綱の去ってさびしき二月かな
- 老妻の猫連れ帰る二月かな
- 板前の高下駄二月夜の音
- 千葉県 風泉
- 前句、利根川に立ち 瞬きもせで如月に暮るる川
- 静止した比叡の二月や清む読経
- 神奈川県 雪ノ下
- 色淡く菓子屋服屋の二月かな
- 如月や猫こえを張る塀の上
- 二月来る真理の道もすぐそこに
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- プレートを手首に埋めて二月過ぐ
- リュックにはのど飴三種二月来ぬ
- 山裾に煙立ち初む二月かな
- 青空を映す二月の川の音
- 飛行機雲二月の空を切り裂けり
- 福岡県 多事
- ゆるやかにキャッチボール二月の空
- 路に切株その淡き穴二月
- 一帖の油彩なる街二月の山
- 早々と告がる残留梅二月
- 風二月ひよいと猫背を矯めてみる
- 神奈川県 皆空眞而
- 式終わり二月二人に還る家
- それならば二月二人で南国へ
- 兵庫県 ぐずみ
- 子離れを決めたる朝の二月かな
- 二月来て書き直したる遺言書
- 神奈川県 髙梨 裕
- 骨少し緩んできたる二月かな
- 胃を休め暮し繕ふ二月かな
- 受験の子いて普段着の二月かな
- 色なくも庭に光の二月かな
- 室の食解しつ外見る二月かな
- 東京都 豊島 仁
- もう二月まだ二月とは似て非なり
- 鎌倉にほどよき雨の二月かな
- 古希迎え御免被る二月かな
- 歴史あり五年日記は二月完
- ライオンや二月の空に大欠伸
- 京都府 中村 万年青
- 二ん月や愛宕おろしの白い畑
- 二ん月や北風ピープー向ひ風
- 紅白の梅匂ひ来る二月かな