俳句庵

12月『師走』全応募作品

(敬称略)

愛知県     西谷寿
走る年師走の街は目まぐるし
いつの間に師走が来たが準備なし
師走来て忙しくして何もせず
師走何子供が不思議聞き返す
師走来てドラマが消えて年変わる
愛媛県     砂山恵子
カップ麺一個師走の日曜日
部屋の塵妙に気になる師走かな
生きてるのと師走の母の電話かな
師走の夜直さぬままのオルゴール
師走来て毎日探す薬箱
千葉県     玉井令子
気忙しくお七夜祝う師走かな
師走来てみどり児来たる我が家かな
極月や温き湯ためるベビーバス
極月の産後外界と隔たりし
極月の授乳おむつの繰り返し
新潟県     近藤博
買ひ物のメモを忘るる師走かな
けふもまた何と急かるる師走かな
師走かなエスカレーターを駆け上る
年ごとの来し方思ふ師走かな
師走かな一家挙げての年支度
千葉県     柊二
直腸に大腸繋ぐ師走哉
島根県     寺津豪佐
師走なり部屋に何度も妻来たり
串揚げの匂い流れる師走の夜
師走はや正月までの五日ほど
細々と続く師走の商店街
破箒火中に投じ師走果つ
栃木県     垣内孝雄
故郷に便りしたたむ師走かな
街の灯を掠むるやうに師走来る
鴉とて急き立てらるる師走かな
こびりつく釜の汚れも師走かな
師走とな窓辺で憩ふモカコーヒー
神奈川県     松野勉
ガス灯通り令和をあてに酔ふ師走
客引きのピアスやタトゥー師走の夜
奈良県     堀ノ内和夫
何故か落ち着ける師走の喫茶店
病棟の厳しき師走医師の声
埼玉県     いまいやすのり
ほがらかに行き交ふ人の街師走
ちんちんと鉄瓶たぎる師走かな
巡り来る師走の暦けふ一日
地下鉄をどつと降りたる師走かな
川向う師走の空に雲一朶
千葉県     渡邉竹庵
次々と師走の競りの豊洲かな
アメ横の路地に弾かれ師走かな
埼玉県     飯塚璋
師走かな何もせずとも日がくれて
肩の荷を下ろして師走の晩ごはん
宮城県     西條光観
七坪の畑終いの師走かな
夕迫りいよいよ師走田の煙
灰空に吐出す紫煙師走来る
点滴の滴下速まる師走かな
単身の錆びた包丁師走かな
長野県     岩井馨子
大水のあと片付かず早師走
長野県     木原登
朝ごとに確かむ師走スケジュール
街師走ベンガルトラに会ひにゆく
小諸より見えて嬉しき師走富士
昼の月見つつ師走の妻を待つ
真青なる空にはじまる師走かな
大阪府     藤田康子
人生は別れの旅ぞ逝く師走
ゴスペルの歌愉しげな師走かな
愛媛県     佐藤めぐみ
窓を拭き畳も拭きて師走かな
災ひの続く日本や早や師走
孫と子と集ひし師走十一人
嫁せし子を案ずる師走畳拭く
今日も又不在票有り師走かな
岐阜県     金子加行
人生のあと何回の師走かな
師走しか自由のあらぬ勤めし身
商魂を詰めし師走のチラシ束
走る人我のみなるや師走風
独り身や師走の都会眺めゐし
大阪府     木山満
ゆっくりと日の出拝めず師走かな
何用もなくて師走の長電話
青い鳥吾が名はミチル師走行く
忘年会何を忘れて年越すや
独り居や頬杖つきて師走かな
兵庫県     岸下庄二
普段とは違ふ売り声師走かな
正夢を託す師走の宝くじ
駅前で献血募る街師走
五冊目の句帳の果てる師走かな
借りた本返さぬままに師走来る
千葉県     いなだはまち
下町の工場の師走空の星
退院の師走の街の車椅子
追う側も追わるる側も臘月かな
極月や達磨の片目如何せん
急くことを急かす師走の街の声
東京都     岩崎美範
洪水の傷痕深き村師走
ショーウインドウ赤一色の師走かな
早くしては母の口癖家事師走
浅草に大凶を引く師走かな
ゆく人の悩みそれぞれ街師走
愛知県     岩田勇
何かにと街騒がしき師走かな
魚屋も八百屋もおやじ師走貌
年二回車を洗う師走かな
混み合えるスーパー銭湯の師走かな
なけなしの資金見積もる師走かな
東京都     小川富生
定年後 手持ち無沙汰の 師走かな
日めくりを めくりめくりて はや師走
山口県     山縣敏夫
愛犬に家路を急かす師走かな
極月の夕べはどこか気忙しい
何気なく師走の朝の早歩き
どこかしら人を急かせる師走かな
極月の公園誰もいない朝
福岡県     幻草
雨傘を折り畳み行く師走かな
師走さへ喜んでゆくところかな
山梨県     森下博史
一年のごめんねチョコを買う師走
台所子機の置き場になる師走
帰宅して不在の人と会う師走
残り物福と師走の佃煮屋
大掃除抜け出し映画見る師走
東京都     小川由紀子
何かしら 用事が出来る 師走です
北風に 師走の便り 届きけり
舞い落ちる 雪の速さも 師走かな
師走でも 柑橘の香に 笑みこぼれ
大掃除 師走痛感 小休止
愛媛県     渡邊國夫
師走なり免許返納思案中
春待月錆びしままなる乳金具
広告に凝らす意匠や町師走
スノボーの妙技を競ふ師走かな
極月の産直市へ妻の供
東京都     石井真由美
嫁ぐ娘の迷ふ断捨離師走かな
足るを知り妻の断捨離師走かな
雲さんが消えたねと言う師走かな
一年を無事に過ごせし師走なり
連れ立ちてイタ飯覗く師走かな
東京都     内藤羊皐
野火止の通船堀に師走来る
おとうとの不在と思ふ師走かな
幼子も師走の崖に佇ちにけり
名画座にうたた寝したる街師走
街中に遺跡探せる師走かな
茨城県     風峰
図書館の蔵書眠むさう師走かな
買い物のカード行き交う師走市
はやぶさ2郷へと急ぐ師走かな
師走なり思い出すこと三つ四つ
気が急いて身体もつれし師走かな
兵庫県     季凛
師走だとどっしりとした声の祖父
町内の師走に捕まるスキャンダル
どう見ても師走が怪しい顔してる
ボケているふりして師走の電話口
マーカーを片手に師走のテレビ欄
徳島県     白井百合子
流暢な般若心経師走風
とりあえず仏壇掃除師走来る
店先を広く構える師走かな
巡礼や十か所残して師走来る
犬と猫師走の顔の昼寝かな
千葉県     伊藤博康
師走とや期末テストも終へたれば
目の前を師走最中の救急車
学校の渡り廊下の師走かな
雑貨屋の店先変わる師走かな
急くことは無縁なれども師走かな
兵庫県     髙見 正樹
違反車を止めるパトカー街師走
大阪府     太田省三
極月の里に移動販売車
立ち話てにをは省く師走かな
被災地の土砂はそのまま師走来る
極月の松やわらかに歌碑の上
極月や録画予約の溜りをり
神奈川県     塚本治彦
柴又の恋しくなりぬ師走空
追ひ越してゆくものばかり師走かな
やや語気の荒き師走の商店街
また一通喪中葉書の師走かな
衝動買ひ増えし師走の商店街
奈良県     平松洋子
容赦せぬ師走の風に身を委ね
主婦歴も五十回目となる師走
気ばかりが焦つておりぬ師走なり
大阪府     津田明美
声高く師走呼び込む売り子かな
あれこれと師走の頭混線中
所在なく歩き師走の人となる
平成を遠く見てゐる師走かな
幾年を誤植に生きて師走空
東京都     勢田清
老人の師走の店に刃物研ぐ
水桶にさざ波立ちて師走かな
閉店の貼り紙のあり街師走
松風や師走の山の頂に
ガラス戸に師走の風のガタと鳴る
大阪府     永田
極月や省略多き朝ごはん
三重県     後藤允孝
五線譜に息継ぐしるし師走空
宅配の路地をすり抜け街師走
ひととせの短きを知る師走かな
駅伝や古都に師走を引き寄せり
師走といふ口実に酒酌みかわす
神奈川県     龍野ひろし
窓拭のスパイダーマンめく師走
ステーション師走の街の動き出す
千葉県     峰崎成規
電飾にアップテンポとなる師走
師走来て店主早口江戸ことば
終電の師走の酔ひに紛れをり
見返れば落暉重たき師走かな
忘れしか師走の街に空あるを
東京都     伊藤はな
普段着の時はゆっくり師走来る
頼まれて師走の仕事嬉しかり
師走晴厨の壁を磨きをり
光陰も老いの早さも師走晴
新色の口紅を買ふ師走かな
神奈川県     矢神輝昭
子の嬉嬉とむすび蒟蒻師走かな
後ろ前直すももどかし師走かな
師走なり引き算多し珠の音
構われぬやかん沸騰師走かな
巷から「第九」流れて師走入る
東京都     伊藤之忠
極月の水に砥石を浸しをり
師走吹く双眼鏡の中の鳥
十本の彫刻刀を研ぐ師走
居酒屋の灯りが誘ふ師走かな
小鳥彫る木屑の山に師走来る
神奈川県     井手浩堂
献血の窓より街の師走かな
間を置かず鳴きて烏の師走かな
数多き薬数えて師走かな
ブラジル     西山ひろ子
無口なる人捗どりぬ師走かな
薬草を乾かす日差し師走かな
忙しさの中仏貌夫師走
体内に小石大事と師走夫
紅白を終へ半日の師走かな
宮城県     林田正光
コンビニへ御霊前買う師走かな
そそくさが似合ふ師走の人の波
師走でも相も変わらぬ過疎の村
逝きし人想い浮かべる師走かな
十二月異名極月極まれり
千葉県     鳥越暁
雲さへも気の急く速さ師走風
付き合ひの間抜けゆく師走かな
リハビリの足急かさるる師走かな
福引のティッシュ手にする師走かな
師走にも取り残さるる空き家あり
岡山県     岸野洋介
裏町に第九の曲や師走くる
老い一日ただうろうろと師走街
巫女舞の練習増える師走かな
干支ねずみ窯出しされる師走かな
師走きて街に酔漢あふれ出る
千葉県     入部和夫
極月や心を癒すシネマ館
書に親しんでゐる余生師走かな
銀行に先客多し師走かな
パソコンのマウス忙しき十二月
極月の街に身をおき独りかな
愛知県     斉藤浩美
セールス電話まちがい電話十二月
歩くスマホ走るスマホや街師走
ぴん札に交換頼む師走かな
またひとり喪服と出逢う街師走
手にいつも水の感触師走来る
静岡県     大澤定男
古稀過ぎて隠居ともなき師走かな
静岡県     城内幸江
掃除機の音で目覚める師走かな
街師走当たりの鐘の響きをり
スーパーの呼び込み煽る師走かな
借りた本読まずに返す師走かな
AIの声甲高く街師走
三重県     平谷富之
大掃除聖樹を飾り師走かな
山口県     ひろ子
福引に並ぶ師走の町せわし
長距離のトラック続く師走かな
東京都     豊宣光
豆電球街にきらめく師走かな
半年を過ぎし昨日がもう師走
襟立てて師走の風を防ぎけり
来年の干支気にする師走かな
師走きて忠臣蔵の大歌舞伎
神奈川県     志保川有
ひと月が三日に濃縮さる師走
ありし日の日本の師走「サザエさん」
また師走きてひと歳を永らへり
ロボットに師走の掃除あづけたり
師走の街子を急かす声甲高く
神奈川県     守安雄介
ジャンボ籤買うて師走の夢の中
東京の師走は今年限りなり
あら師走電飾の木の黄金傘
電飾の照らす師走の仲通り
楡並木ドット痘痕の師走の夜
千葉県     四葩
商店街にバラードを聞く師走かな
岡山県     渡辺 牛二
忙しなきことも師走の句会かな
ブラジル     玉田千代美
どの店も借金取りで師走かな
テレビ見て母国は師走あわただし
師走来る我も我もと小走りに
ブラジル     林とみ代
貸し借り無き余生となりて良き師走
令和となり初めて迎ふ師走かな
慎ましく俳句三昧師走句座
スマフォンを片手に忙し街師走
大漁旗掲げ港の師走かな
東京都     かつこ
退院の夫と師走を車椅子
四十キロ師走の街を歩く会
岐阜県     ときめき人
元年の赤穂浪士や師走の座
愛媛県     加島一善
空白の日無し師走のカレンダー
師走来て時間ばかりが過ぎてゆき
あれこれと思案ばかりの師走かな
始末する今年のほこり師走かな
母さんの師走ことしも皆勤賞
神奈川県     原川篤子
エレベーター師走の匂ひ乗り来る
今し変はる信号長き街師走
忙中閑師走の午後の紅茶かな
羽搏くもの数多はばたき街師走
カレンダー赤く埋められ師走来る
滋賀県     船岡房公
暦には令和の文字のなき師走
列島に鋭き爪痕や街師走
神奈川県     川島欣也
気忙しい師走の中の誕生日
師走母あれこれ追われ寛げず
クレジット使ふ師走の老夫婦
白内障レンス替え行く街師走
ガラポンや師走の街の風物詩
神奈川県     亀山酔田
古希からは急かされまいぞ師走事
極月を風に吹かるる猫に逢ふ
三十巻事典の埃拭く師走
読み飽きて積み上げていく師走かな
息荒き駅の階段師走哉
福岡県     深町明
竹を切る訳いろいろの師走かな
掬はるる生簀の魚も師走かな
ポケットに銀歯突つ込む街師走
友にまた友の連なる師走の夜
極月の皇帝ダリア仰がれず
神奈川県     みぃすてぃ
威勢良き手締めあちこち年の暮
あちこちで値下げ札見る師走かな
街路樹のシャンパンめきし師走かな
杖の音どこか寂しき師走かな
指折りて残り数える師走かな
栃木県     鹿沼 湖
換気扇主張はじむる師走かな
窓枠の埃の光る師走かな
はやり歌流るる夜の師走かな
山里に蕎麦挽く音の師走かな
東京都     中田ちこう
極月や跡継ぎのなき小商ひ
埼玉県     水夢
師走空ゴーストタウン軒低し
ポストにまた喪中はがきの師走かな
ホコ天の銀座師走の空晴れて
木村屋のあんパン渋滞の師走
朝刊のドサリと重き師走かな
愛知県     新美達夫
朝礼も端折り気味なる師走かな
気構へは今も現役町師走
譲られし席を固辞せる師走かな
富山県     加能雅臣
鍵盤の深紅のフェルト師走かな
碁会所へ足繁くなる師走かな
埼玉県     小玉拙郎
新元号初の師走の喧すし
静謐という言葉もあるに師走かな
お薬は六週分にします師走なり
気忙しさ避けて師走のテレビ消す
福岡県     西山勝男
黙々と土と向き合ふ師走かな
駈け足の月忌の僧や師走来る
老い次に気負ふことなき師走かな
師走来る禁酒の誓ひ幾そ度
朝市の声も昂る師走かな
東京都     岩川容子
そこここの師走の町に掘削音
包丁を研ぎにだしたる師走かな
電飾の師走の街の輝けり
いざ会えどそそくさ帰る師走かな
千葉県     伊藤順女
常のごと東京駅の師走かな
スマホ繰る異国の僧の師走かな
新しき薬缶買わねばと師走へ
兵庫県     はなちる
退職し師走の風を待っている
予定表あれもこれもと師走かな
日記帳師走は毎日走り書き
師走夫いまかいまかと電話待つ
一年をただ息してる師走かな
兵庫県     岸野孝彦
夕茜溜息染める師走かな
ユーミンのメロディ流れる師走かな
烈風のふるさと想う師走かな
紫の黄昏空の師走かな
碧い目に白亜の城の師走かな
広島県     永野昌人
新品の箒買ひたる師走かな
新聞のチラシ重たき師走かな
高々と皇帝ダリア師走空
雑踏の街に師走の宝くじ
極月の醜き魚の美味さかな
神奈川県     皆空亭
御世替わり天長節の無き師走
日を数へ床屋に入る師走今日
三重県     北村英子
教頭が踏みつけし蜘蛛も師走かな
目を閉じてロープ-ウェイは師走へと
石灰性腱炎らし師走とは
働いて働いてまた師走かな
ケーブルカー登って降る師走かな
埼玉県     哲庵
ことごとく物の値上がる師走かな
「尻餅」の音を聞きに行く師走寄席
働き方改革叛く師走かな
極月や税の値上げの痛々し
七色のLEDも師走かな
三重県     西井治男
ヨイトヤマ挙ってお土産師走かな
師走くる調理場ステンぴかぴかに
大阪府     太田紀子
誰も見ぬ街路樹の瘤街師走
街師走空行く雲の白きこと
風過る師走の路地を飛ぶ雀
埼玉県     守田修治
老二人喪服でバス待つ師走空
来週の計画はゼロ師走かな
塾帰りキラキラ星の師走かな
包丁が政宗となる師走かな
見舞客途絶えてさみし師走かな
埼玉県     吉野 静
今日もまた忙しなく過ぎゆく師走
余白なく埋まる師走の予定表
はてさてとウロウロするも師走かな
これ買つてあれも買いましょ師走かな
時間ない時間足りない師走かな
東京都     笹木弘
追悼の一句したたむ師走かな
赤提灯に人の増えたる師走かな
師走来て歩幅の違ふ人の波
マッチ棒の頭をこする師走かな
一年を逆回しして大師走
千葉県     隆和
ねこ走り飛脚の駆ける師走街
スキャンダルと師走に隠れる悪事かな
生花生く歯医者に和む師走かな
神奈川県     海野優
潺々と時の流れてゆく師走
気忙しさ一日毎の師走かな
吊り革の空きて手のゆく師走かな
人も家もみなそれぞれの師走かな
神奈川県     重兵衛
日溜りの猫の伸びする師走かな
御代替り師走の街のかがよへり
神奈川県     三好康子
形なきものに追わるる師走かな
狂言に笑ふて仕舞ふ師走かな
極月の身ほとりせめぐ何やかや
托鉢僧に喜捨して仕舞ふ師走かな
極月の路地に移動の研屋かな
福岡県     多事
犬にまで被りものあり街師走
格言の日に日に軽き師走かな
師走入る喜寿の店主の大盛飯
街師走「ジョンの魂」古書ノ市
焼け出さるクラスメイトのゐて師走
東京都     飯田 哲司
老いの身や何もしないで師走ぼけ
師走夜や路地から路地をカチカチと
贈り物ネットですます師走かな
振り込みや大家師走の寺社まいり
東京都     豊島 仁
スコッチの氷山とけて師走かな
影薄き男となりて師走来ぬ
ふらと来て師走の銀座ふらと帰ゆ
白枝もついぞ急かるる師走かな
武士の面またぎ師走となりにけり
京都府     中村 万年青
街角に第九の流れ師走来ぬ
ジングルベルからお正月まで六日
世知辛い師走の町に旋風
神奈川県     髙梨 裕
吹く風は師走働く母子家庭
師走の町夜店に父の生きた頃
葉を落とし師走人無き御神木
守衛皆老なる師走の倉庫街
師走声横浜元町中華街