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- 俳句庵 2020年03月 優秀賞発表
- 俳句庵 2020年03月 作品一覧
俳句庵
3月『三月』全応募作品
(敬称略)
- 愛媛県 砂山恵子
- 三月の四十五度のお辞儀かな
- さよならと書く三月の黒板に
- 三月の岬の果ての龍神社
- 三月の呼吸のごとき波光かな
- 三月か何も変はらぬ駅なのに
- 神奈川県 守安ゆうすけ
- 三月や二万の霊の十回忌
- 三月やのれそれを食う土佐の旅
- 三月や十に十一忘れまじ
- 三月の月の淀むや白内障
- 三月や命日同じ墓二万
- 兵庫県 岸下庄二
- 三月で切れる通学定期券
- 三月の風に応へる風見鶏
- 三月の転校決まり泣く子かな
- 三月の十一日に合掌す
- 三月の十一日を忘れまじ
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 三月の庭雉鳩の鳴き合うて
- 三月の母の死に顔凛として
- 岐阜県 ときめき人
- 三月の新しき風生まれけり
- 千葉県 柊二
- 三月の川面の眼羽虫追ふ
- 埼玉県 飯塚璋
- 三月の雨にほころぶ雑木山
- 三月や利根大堰の水ゆたか
- 三月や宝生池の笹濁り
- 東京都 勢田清
- 三月の風樫森を揺すりけり
- 三月や橋のなかばで日が上る
- 三月や地震津波を忘れ得ず
- 闇匂う三月の坂登るとき
- 三月の故郷の梅は雪の枝
- 新潟県 近藤博
- ひと衣脱ぎ久々散歩三月来
- 三月や庭の楓の芽吹き初む
- 三月や凍て土解けて草木萌ゆ
- 三月や狭庭にはやも草の萌ゆ
- 待ちゐれば草木萌え出づ三月来
- 千葉県 いなだはまち
- 三月の唇は桃風ひうひう
- 襟足は清々三月の鋏
- 三月のお辞儀や道路工事中
- 三月やあれは雪女の渡り
- 三月の惰性あまやか卒業子
- 千葉県 渡邉竹庵
- 三月の細き流れを跳ぶ子かな
- 三月や舌状台地なだらなり
- 沈下橋渡り終へれば三月来
- 三月の天蚕糸いつまで中弛み
- 神奈川県 松野勉
- フルートの息遣ひ三月の空
- 三月の日曜日学校前のバス停
- 京都府 田端敏弘
- 三月の総集会の多数決
- 三月や農機具小屋の戸の軋み
- 三月や癖強きもの食卓に
- 起きぬ子に三月の窓全開す
- 三月のひとの視線を追う視線
- 岐阜県 金子加行
- 面接に三月の風強き街
- 三月の背を幾度見し別れかな
- 三月や道決めずして子が一人
- 三月の生きる節目やカメラ押す
- 三月や医療費多き申告書
- 大阪府 藤田康子
- 三月の雪に鴉の声混じる
- 三月やすることのなきライオン吠ゆ
- 兵庫県 北村檀
- 髪の毛を長めに切って風三月
- 六甲の霧三月に覗かれて
- 三月の1日ごとに身の解れ
- 三月の土の匂いの生温く
- 大地賛頌ハモる三月三年生
- 長野県 木原登
- 三月三日三月十日、十一日
- 桜前線届け三月地震の地へ
- 三月の雪あたたかく降りにけり
- 面影を連れていきいき三月来
- 大いなる空の三月海光る
- 東京都 岩崎美範
- 三月の空漫遊の飛行船
- 三月やギロチンを売る蚤の市
- 三月や「らぶ」といふ名の猫駅長
- 三月の大地踏みしめけんけんぱ
- 三月や鋤鍬洗ふ園芸部
- 愛媛県 佐藤めぐみ
- 三月や故郷出し兄妹
- 外つ国へ面舵切りし三月
- 三月や船出見送る海鴎
- 三月や鼻孔くすぐる小さき花
- 三月の風つかまへて鳥遊ぶ
- 千葉県 伊藤博康
- 三月や追ふて届かぬ夢ばかり
- 目標は三月中に終へる筈
- 気がつけば早三月の声したり
- 三月やピンからキリの紳士服
- 三月や追はれ続けてなほ走る
- 大阪府 杉本義雄
- 三月や手庇余る光差す
- 三月やほろ酔い千鳥の独り言
- 三月や孤独が居眠り終電車
- 三月や鏡に背伸びランドセル
- 三月や子等皆巣立ち核家族
- 兵庫県 檀凛凪
- スキップの揃ふ三月さしすせそ
- 三月を持ち上げること軽きかな
- 三月の「さ」の字に残る淡き恋
- 三月やえいやで飛べるところまで
- 宮城県 光観
- 三月や出羽三山の歪む峯
- 三月や恋も終わりの見える頃
- 三月や今日の日差しの柔らかき
- 三月の風に踏ん張る持久走
- 三月やくすむ校舎は十年目
- 大阪府 ながた
- 三月や人事係の緘口令
- 栃木県 鹿沼 湖
- 三月の光やはらかサクソフォン
- 三月や在校生は十五人
- 三月の光の中のエメラルド
- 三月の回覧板をわたしをり
- 三月の水るるるると流れけり
- 大阪府 津田明美
- 三月の行方知らずの雲一つ
- 三月や方程式の第二項
- 三月の土の匂ひに迷ひ込む
- 雲が雲呑んで三月白くする
- 三月のパレットに足す空の白
- 三重県 平谷富之
- 三月や 別れ出会ひの 交差点
- 三月や 学び舎思ふ 頃となり
- 三月三日 男家系は 耳の日よ
- 愛知県 木下澄枝
- 手をあてて三月の土やはらかし
- 三月のひかり走れる雑木山
- 三月やさざ波寄する船着場
- 三月の光の中を吾子帰る
- 三月や歩幅大きく踏み出せり
- 東京都 内藤羊皐
- 三月のボールプールに声あがる
- 三月の音楽室の音漏れる
- 三月の風頬へ受く童女かな
- 三月のゴールキーパー咆哮す
- 三月の産土杜に陽の疾る
- 千葉県 玉井令子
- やわらかな弥生の空の陽射しかな
- 鼻の穴ムズムズ痒し三月は
- 三月や翔び立つ吾子の晴れ姿
- 三月や鼻炎予防の薬飲む
- ウトウトとまぶた重たし弥生かな
- 島根県 寺津豪佐
- 三月のその内止まる大時計
- 三月の短き橋に日の当たり
- 三月や翼の生えた手紙書く
- 水槽の稚魚三月に増えにけり
- 三月やトムとハックの川下り
- 埼玉県 いまいやすのり
- 三月来ぬ奥へ奥へと雑木山
- 三月の声のありなん河川敷
- いきいきと三月の畑ゆるみけり
- ペタル踏む三月の風やはらかし
- 三月の小雨の中を駆けて駅
- 兵庫県 髙見正樹
- 三月の街の騒音底ごもる
- 宮城県 林田正光
- 肩書の変わる三月年度末
- 三月の紙一枚の異動かな
- 三月や首長くして便り待つ
- 三月や別れと出会い交差して
- 三月忌東日本大震災
- 東京都 石川昇
- 三月の夜行列車の別れかな
- 三月や畑を朱色のトラクター
- 愛知県 岩田勇
- 三月の街の動くや西東
- 三月の水掛け不動やさしさう
- 三月のつま先立ちの役所かな
- 遙かなる三月の山みな虚ろ
- 三月の生けるものみなやさしけり
- 東京都 石井真由美
- いきいきと弥生の空や土いじり
- 断捨離の歯切れの悪し三月尽
- いきいきと児童園児は空の下
- 抽斗(ひきだし)の三つ四つ空いて三月尽
- 三月や鍋物終へて葉物ふへ
- 静岡県 城内幸江
- 三月の海揚々と旅をする
- 三月や雨にとろみがつく真昼
- 三月にピント合わせている眼鏡
- 三月や娘の紅を借りにけり
- かき卵三月色になりにけり
- 東京都 伊藤訓花
- 三月を待てば便りも吉ならむ
- 満開や三月尽の誕生日
- 三月の別れも近し風の末
- 三月の神の祝福満開に
- 三月の大地を攫ふ讃岐風
- 三重県 北村英子
- 結ひ上げて三月の香の髪飾り
- 三月の空に英語を歌ひをり
- 日めくりは一に戻りて三月に
- 三月は輪廻転生誕生日
- 三月の夕日明日会へない人と
- 茨城県 風峰
- 三月やさみしき猫とすれちがふ
- 三月は生々流転刻の皺
- 七十五歳てふ三月の余白
- 三月の羊水泳ぐ子ら二人
- 三月の波はのたりと折りたたむ
- 神奈川県 矢神輝昭
- 三月や友と別れのリコーダー
- 風の色問ふ三月の舟下り
- 三月や友の安否の旅ごころ
- 三月の風の調べや山便り
- 三月の天から降りて勝訴かな
- 兵庫県 はなちる
- 三月のカーテン揺れしティータイム
- 嬰児の睫毛に憩う三月陽
- 三月や阿弥陀如来の笑みを得る
- 鞄中三月背負い通学路
- 青臭き葉の土こぼれ三月尽
- 神奈川県 知草
- 三月の先をゆきたるファッション誌
- 三月の空跨ぎたる水溜り
- 履歴書に三月の顔貼り付けし
- 三月の顔撮したる免許証
- 三月の富士磨きたる硝子窓
- 愛知県 正木羽後子
- 外套を脱ぎし就職列車かな
- 就職の列車の屋根に斑雪
- 六年生己の証書の紙漉きぬ
- 上京の列車追ひけり名残雪
- 桜咲く上野に着くは明日の朝
- 徳島県 深山 紫
- 三月や目に入るものは皆やさし
- さよならの言葉は重き三月尽
- 美しき母の忌日や三月尽
- 巡礼の頭の青き三月尽
- 三月の名の変わり行く学び舎よ
- 徳島県 白井百合子
- 三月や恋の花咲く老人会
- 三月に履歴書二枚ポスト入る
- 二人ゆく三月の旅途中下車
- 三月の道後温泉神隠し
- 三月やカフェのランチにお洒落して
- 千葉県 四葩
- 三月の旅装に加ふ花の色
- 神奈川県 川島欣也
- 三月や南国へ発つ子の一家
- 三月の雲なき空や逆さ富士
- 種まきの爺三月の山登る
- 三月や野山生気を取り戻す
- 唄にのせ三月の教室を去る
- 大阪府 森 佳月
- スープに浸す三月のパンふくらんで
- 三月や引きこもりたる部屋を出で
- 秘めしこと日記に書けず三月も
- バックネット三月の空に伸びてをり
- 三月やきこきことこぐ三輪車
- 東京都 笹木弘
- 三月のオホーツク見る老漁師
- 三月の海は語らず黙しけり
- 三月の閉店セール込み合へり
- 三月の足元を行く影法師
- 三月の手相に大器晩成か
- 山口県 山縣敏夫
- 三月に想い起こすは都落ち
- 三月は蛍の光聞こえ来る
- 三月は気忙しくなる引っ越し屋
- 三月は悲喜交々の掲示板
- 三月になればコロナは飛んで行く
- 三重県 後藤允孝
- 三月や土に命の鍬さばき
- 三月や開けつ放しの空と海
- 三月の恋路が浜に逢ひに来し
- 三月の光となりし芝生かな
- 三月や背中合わせの駅の椅子
- 千葉県 峰崎成規
- 三月の五百羅漢は話好き
- 三月の窓ことごとく上機嫌
- 三月の峡に時差あり陰日向
- ハグにハグしつかり返し三月尽
- 三月の絵馬結願に嘶きぬ
- 神奈川県 井手浩堂
- 三月の風や傾ぎて池の浮子
- 三月の雲や流れに遅速あり
- 葦の隙より三月の水の音
- 奈良県 平松洋子
- 三月や未だ腕の中に猫
- 三月や拍手溢るる校門前
- 三月のお喋り果てぬプラットホーム
- 神奈川県 塚本治彦
- 三月の歩幅大きくなりにけり
- 三月や異動の噂気になりて
- 初恋の告げずに終はる三月よ
- 三月やハローワークに長き列
- 三月や人事がらみの立ち話
- 岐阜県 雅風
- 三月の忙しき税理士事務所かな
- 三月の悲喜こもごもの知らせかな
- 三月の電車にやつとゆとりかな
- 納税を済ます三月十五日
- 三月や浪花に大挙大男
- 山口県 ひろ子
- 陶びなと語らふ昔無人駅
- 篠笛の音色の届く弥生かな
- 篠笛をふけばひいなの笑みこぼる
- 神奈川県 龍野ひろし
- 三月や光膨らむ波頭
- 三月場所果て巡業に明荷発つ
- 福岡県 深町明
- ロックフィルダム三月の水吐きぬ
- 三月を脈打つてゐるメコン川
- 三陸の水平線に三月来
- 三月の去る日を思ひ語りけり
- 三月のサンクチュアリの珊瑚かな
- 神奈川県 海野優
- 三月のカーテン揺らすモアレかな
- 残しをく三月尽の日の温み
- 三月のうたた寝盗む陽射しかな
- 三月の笑ひ涙の駅の前
- 東京都 よしだ悠
- 三月の八日の長子さづかりぬ
- 三月のハマグリ閉じるひまもなし
- 三月はサヨナラの月さみしい月
- 三月の海へと急ぐ雪解水
- 三月のあれからずつと海鼠噛む
- ブラジル 林とみ代
- 三月尽卒寿越したる友祝ふ
- 三月の鉄塔青き空を突く
- 三月の隣国訪ふ旅支度
- 三月や女の強き国に住む
- 三月のコロナウイルス世の憂ひ
- 三重県 西井治男
- 三月の鈴鹿おろしを我好む
- 福岡県 紙田幻草
- 三月の遠き昔を話し込む
- 帰郷せし孫と三月の話など
- 福岡県 西山勝男
- 三月や父の忌と我が誕生日
- ひねもすや土と向き合う三月来
- 三月の農の暮らしを生き甲斐に
- 三月やダイヤモンド婚はたと過ぎ
- みちのくに思ひひたぶる三月来
- 大阪府 大西佳代
- 独り立ち母は涙の三月かな
- 肩すくめ握るラケット三月過ぎ
- ベランダの黄色の小花三月待つ
- 山裾に雲の広がる三月よ
- 三月の風の向こうにコロナかな
- 兵庫県 岸野孝彦
- 三月の雪と見送る巣立ちかな
- 三月や別れ重ねて至る今
- 三月や三日月照らす笠と杖
- 三月や光一筋古本屋
- 三月や弁当箱も役目終え
- 埼玉県 すいむ
- 三月の枝から枝へ雀二羽
- 三月の明るき雨や時計台
- 三月の風は移り気坂東太郎
- 三月の海を眺むる烏かな
- 三月や優秀賞の知らせくる
- 埼玉県 哲庵
- 三月のお礼参りとグルメ旅
- 三月の山おはようの声響く
- 三月のライオン吼える千駄ヶ谷
- 喪心や三月の火と水と土
- 喪に服す三月十日十一日
- 千葉県 伊藤順女
- 三月のとある銀座のちんどん屋
- 灰色の空の重さやパリ三月
- 愛媛県 加島一善
- かぐわしき三月の雨降り止まず
- 匂やかな新芽あふるる三月は
- 三月のひかりを散らすマルチシート
- しばらくは三月のままいてほしい
- 三月の鴉畑を耕せり
- 大阪府 太田紀子
- 三月やチェロを背中に駅の道
- 三月の三角の空高架下
- 三月の茨の棘の赤きこと
- 東京都 土田明人
- 三月の梢に鳩の重みかな
- 三月の声に慄く朝礼台
- 滋賀県 船岡房公
- 三月や漕艇の川耀へり
- 三月や雑貨売り場の親娘連れ
- 三月の光りを掬ふ手水鉢
- 三月や朝ドラクライマックスに
- 三月や別れの言葉満つライン
- 岡山県 岸野洋介
- 縄跳びの児ら三月の風回す
- 三月の光り斜めに降り注ぐ
- 三月の郷はいかにと墓参り
- 三月や合否は知らず絵馬の鳴る
- 三月や一昔前妻送る
- 神奈川県 重兵衛
- 三月や母子確かむ通学路
- 静岡県 大澤定男
- 三月や古新聞の固結び
- 三月やベッドを少し窓際へ
- 三月やモナリザの目は謎のまま
- 三月やきれいな下駄を陽の中に
- 三月やあぶらとりなど買う孫ら
- ブラジル 玉田千代美
- 三月の老の楽しみ孫誕生
- 三月は忘れもしない結婚日
- 生かされて今は幸せ三月に
- 三月や心に浮かぶ逝きし夫
- 三月にガラスの雛が出来るとか
- 神奈川県 立野音思
- 大向こう三月狂言一呼吸
- 足早に過ぎる三月旋風
- 三月や眠りを破る鳥の声
- 着ぶくれの皺の手摘むや三月菜
- 三月や明日に向いて旅立てり
- 千葉県 入部和夫
- 三月の家郷を訪へば吾のそこに
- 三月や出世夢見て国出でし
- 三月のかの日ふるさと後にして
- 三月の岬に立てば国遠し
- 三月三日妻の誕生日なり
- 埼玉県 守田修治
- 三月や晴れ晴れ富士の独り言
- 三月や活字離れの大学生
- 三月や廃校寂し鉄棒も
- 三月や書棚に漢和中辞典
- 三月や樹々の会話を聴く散歩
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- スタートに向け三月の五体かな
- 神奈川県 志保川有
- 雑草のワルプルギスの夜三月
- はや三月断捨離の腰あげるべし
- 三月や一城消へし跡に草
- 三月や風情ましたる朝の雨
- 三月や今日は便通ありさうな
- 東京都 長岡良恵
- 海苔運ぶ 桜海老ちらし 六文もの
- マドンナや ブーツに袴 梅華散り
- 桜車寄 子連狼 童園
- 梅チーズ 塩分の計算す 初サンド
- 春や昔 我人に空似と 帽子とる
- 東京都 中田ちこう
- 地をゆすり駆ける三月野は黄色
- 神奈川県 原川篤子
- 池の面に映るそら色三月来
- 曙杉糸雨にけむりて三月来
- 三月の布は水色ミシン踏む
- 子のバックの刺繍の花や三月来
- 三月の満月淡く富士を統ぶ
- 東京都 岩川容子
- 三月や鼻こそばゆき風吹けり
- 三月や野草図鑑を持って野に
- 三月の亀の親子の甲羅干し
- 東京都 長岡馨子
- 三月や18歳のひとり旅
- 三月やイクラ多めのちらし寿司
- 東京都 安西信之
- 三月は出かける用事ばかりなり
- 千葉県 風泉
- 癒されぬ永久の三月原発忌
- 五ミリほど身の丈戻る弥生かな
- 愛知県 新美達夫
- 三月の十一日の海青し
- 三月やこの地に骨を埋めるべく
- 住み慣れし社宅を払ひ三月尽
- 神奈川県 亀山酔田
- 三月の足裏に在る地震かな
- 三月や反逆すると出歩いて
- 三月や野面の親子ちと音痴
- 三月十一日より砂防ダム決壊中
- やじろべえ三月の指先落ちた
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 三月の空のみずいろ飛行雲
- 三月や穴へアリスの白うさぎ
- 三月の雀ひかりへ一斉に
- 神奈川県 三好康子
- 三月や窓辺明るし日の温み
- 三月や掌にころころと金平糖
- 三月や頬杖つけば眠くなり
- 三月や賢さうなる盲導犬
- 亀の手食ふ隠岐三月の朝の膳
- 福岡県 多事
- 三月や湾より碧き桜島
- 三月の樹皮の手触り冷たき火
- 三月の息に眼鏡曇りをり
- 三月の白き湿りや蔵の町
- 三月の家電屋さんや兵馬俑
- 富山県 加能雅臣
- 三月の手足うらごしされてゆく
- 東京都 飯田哲司
- 逃すまいしだれ連なる花のれん
- 桜舞う九段の坂を杖すがり
- 三月や希望輝く旅立ちを
- 三月や信濃山々めざめたり
- 信濃路や野山晴着の三月よ
- 東京都 豊島仁
- 三月の月ぞ激しく悩ましく
- 三月や今朝の散歩は川を越え
- 三月の風にゆだねしなにもかも
- 三月の海にとどめの碧さかな
- 三月の月赤門の夜明前
- 京都府 中村万年青
- 三月の一喜一憂春の雪
- 三月や歩めよあゆめ川辺まで
- 両膝のくの字に縮み竿高し
- 神奈川県 髙梨裕
- 三月や座ることなき椅子残る
- 三月の暮れて車窓に消える日々
- 三月の日を乗せ光る水面かな
- 三月や子の七才のランドセル
- 三月や旅立ちのパンアメリカン