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- 俳句庵 2020年05月 作品一覧
俳句庵
5月『初夏』全応募作品
(敬称略)
- 神奈川県 髙梨裕
- 初夏の風入れてウォルナットの家
- 新皇居黒髪香る初夏の御座
- 青き野を駆ける当歳初夏の牧
- ライオンのたてがみなびく初夏の風
- ファスナーのその背眩しき初夏の浜
- 東京都 豊島 仁
- 今朝の釜単衣が多し夏は来ぬ
- 大空や投網遙かな初夏の富士
- 初夏の風波濤を渡る石廊崎
- 招かざる客いすわりて初夏となり
- 東京都 安西信之
- 初夏や白く大きなカレー皿
- 初夏の水の匂へる河童巻
- 初夏の風によろこぶ街の木々
- 初夏の飛沫に笑ふイルカショー
- 襟硬き紺の道着や夏初
- 東京都 伊藤はな
- ウイルスや新婚の如初夏の膳
- 木漏れ日に腕を預けて初夏の風
- 初夏や体重計の微調整
- 街角に人影は無き夏始
- はつ夏の風にサックス空の青
- 千葉県 伊藤順女
- 初夏の緑の風や木のベンチ
- ペダル踏むシャツ膨らます初夏の風
- 第二ボタン外して初夏の風を受く
- ポニーテール揺れて銀座に初夏の風
- 初夏やジャケット肩にハミングす
- 千葉県 伊藤博康
- 初夏や土手に鞄を置きて川
- 初夏の外野ノックの眩しけれ
- 初夏や波打ち際を裸足にて
- 初夏や線路の先の山青く
- 初夏に優しさ残る風のあり
- 神奈川県 井手浩堂
- 初夏の風吹きわたる源氏池
- 初夏の風心地よき太極拳
- 見送りのホームへ急ぐ初夏の雨
- 初夏の空に枝張り大欅
- 江ノ電に海展けたり初夏の旅
- 徳島県 井内胡桃
- キオスクのアルプスの水夏始
- ヤッホーの声の重なり初夏の風
- 真っ白のシャツにジーンズ初夏の町
- 初夏の風入れて厨のヨガポーズ
- 歳時記にブルーの付箋夏始
- 東京都 右田俊郎
- 初夏や履き心地良き桐の下駄
- 初夏の夕暮れ富士のシルエット
- ロッキングチェアーに初夏を寛げり
- 初夏や路地に夕餉のカレーの香
- 砂利舟の喫水深し夏はじめ
- 神奈川県 志保川有
- 古民家ゆもれくる提琴夏はじめ
- 柳染若草山葵夏初
- 初夏の野山みどりの展示場
- 初夏をコロナに舐尽さる地球
- 床あげやもろ手に初夏の気を抱く
- 千葉県 風泉
- ・陽に風に二の腕白し初夏の駅
- ・はつ夏の空張るシーツや帆掛け船
- ・葭原をうねる大蛇や初夏の風
- ・はつ夏の田に白鷺の映える水面や
- 富山県 岡野 満寿
- 初夏の風浴びる裸体や露天風呂
- 似て非なる百の緑や初夏の森
- 風わたる芭蕉の句碑や初夏の旅
- 愛媛県 加島一善
- 何事も無きかのように初夏の空
- 鮒跳ねて明日は夏の初めかな
- みずうみの光が跳ねて夏始
- 少しだけ青色足して初夏の海
- 頬なでる風が重たき夏始
- 神奈川県 海野優
- 少年のふえし面皰や夏初め
- 初夏や浜辺に拾ふ貝ひとつ
- 高声に港の初夏を鴎かな
- 夏初め馴れぬヒールの高さかな
- 兵庫県 岸下庄二
- 雲水と行き交うふ古都の夏始
- 校庭の百葉箱に初夏の風
- 初夏の窓開け放つ理髪屋
- 初夏の海鳥漁場に群れ立ちぬ
- 墨染の雲水初夏の街に立つ
- 兵庫県 岸野孝彦
- 暮れなずむ棚田は紅初夏の里
- 遠き日の部活は眠き初夏の朝
- 人出無き古刹凛たり初夏薫る
- 初夏来る今年は行けぬ王ヶ頭
- ふるさとの雨戸を開けて初夏入れる
- 東京都 岩崎美範
- 地下街を出れば陽光まさに初夏
- 十字路に白き人波揺れて初夏
- 初夏やタバスコ垂らすオムライス
- 路地裏に子供溢るる夏はじめ
- 初夏の原爆ドームに飲むコーラ
- 東京都 岩川容子
- 靴を手に波とたわむる初夏の海
- 初夏の風あまた香りをはこび来る
- つきだしに硝子の器初夏の卓
- 知床に番屋の灯り夏はじむ
- 愛知県 岩田遊泉
- チェンソーの音響き来る初夏の山
- 下り来て眼下輝く初夏の湖(うみ)
- ドライブに気分一新初夏の風
- 翩翻とはためく校旗初夏の風
- この初夏の何とも憂鬱街景色
- 神奈川県 亀山酔田
- 夏始シャッターの錆浮き上がる
- 君のいる海の眩しさ夏始
- 初夏や歩荷の小屋の見え隠れ
- 初夏や風玩ぶ風見鶏
- トレモロにシャッター街を初夏の風
- 茨城県 風峰
- ゆるらかに波色畳む初夏の海
- 朝練の少女駆け行く初夏の朝
- 風色を空に投げ込む初夏の山
- 羽田への離陸体勢初夏の空
- 十二兆細胞きしむ初夏来る
- 埼玉県 いまいやすのり
- 初夏や太平洋を見渡せり
- 風は初夏山頂までも心地良く
- 初夏のさゆらぐ樹々の風少し
- ホースより初夏のしぶきの光かな
- 初夏の午後ゆつくり落つる砂時計
- 岐阜県 ときめき人
- 初夏や大樹の幹の輝きぞ
- 東京都 よしだ悠
- 初夏の空へ消えたり一行詩
- シャガールの宙翔ぶ馬や初夏の恋
- 老獅子の白きたてがみ初夏の風
- 初夏の風恐ろしやNEWコロナ
- 初夏の山ひとゐろにうすみどり
- 神奈川県 立野音思
- 地平から駆け来る雲よ夏はじめ
- 高原に初夏の香りや八ヶ岳
- 初夏や窓開け放つ学びの舎
- 初夏や緑を駆ける山列車
- きらきらと光る波際初夏の浜
- 千葉県 玉井令子
- 夏きざす父の傘寿の誕生日
- 帆船の白際立つや初夏の空
- 釣り人のバケツの中は初夏の海
- 米を研ぐ初夏の川辺のキャンプ場
- 渓谷の初夏の空気や深呼吸
- ブラジル 玉田千代美
- 初夏なれど異国は淋し気も失せて
- 初夏なれど国中騒ぐパンデミック
- 新潟県 近藤博
- たたなづく山々棚引く初夏の雲
- 波寄せる砂浜素足で初夏なれば
- 庭の木々なべて季に沿ひ夏初め
- 夏初め日にけに芽生ゆ庭の木々
- すがすがし初夏の風背に遊歩せし
- 岐阜県 金子加行
- たゆまずに励む万歩や初夏の風
- ふはふはのパン屋に列や初夏の風
- 初夏の旅へ帽子とスニーカー
- 待つ便り届く音あり初夏の風
- 昼酒に少々酔ふや初夏の風
- 神奈川県 原川篤子
- 初夏や白き卓布の朝の膳
- ブーケトス舞ふ初夏の空青き
- カンバスに描き足したし初夏の風
- 雨やみてはつなつの樹々勢たつ
- はつなつの樹々に聴こゆる息遣ひ
- 埼玉県 吉野 静
- ウイルスに右往左往の初夏の昼
- 初夏や止まつたままの宇宙船
- 過ぎて知る普通の暮らし初夏の空
- ワンピースふわりと揺らす初夏の風
- そつと出てそつと戻るや初夏の昼
- 三重県 後藤允孝
- 初夏の風苔石段に立子句碑
- 初夏の岸壁せばむ豪華船
- 初夏の海へ抜け道切通し
- 初夏の槍頂点空を突き上げる
- 初夏の樹樹さみどり色に光浴ぶ
- 兵庫県 高市敦之
- 初夏の浜波の織りなす恵みあり
- 初夏まぶしかざす手のひら老いを知る
- 初夏の朝階段のぼる遍路杖
- 初夏の風昼寝の猫の髭揺らす
- 愛媛県 佐藤めぐみ
- 真新しデニムのシャツや初夏の風
- 初夏の旅小さき港に猫二匹
- 初夏や二輪で風切る父子連れ
- ぎやまんの花瓶に白き初夏の花
- 初夏やいざ出でんとす漁船団
- 岡山県 佐藤邦夫
- てまき海苔新型コロナ夏日かな
- 自宅や新型コロナ海苔弁当
- 河川敷夏風ちよつと海苔チヤーハン
- なんだろな海苔がしつかりハイキング
- 海苔弁と家族総出の夏田んぼ
- 愛媛県 砂山恵子
- 初夏の小道に光る自噴水
- 初夏といふ新しき眼鏡かな
- 初夏やカーテン開けて窓開けて
- 初夏やハーバー横の空気入れ
- 初夏にけふはつなつとルビを打つ
- 兵庫県 はなちる
- 初夏の低く唸るやエンジン音
- 作業着の石灰はたき初夏の風
- 胎動のグネグネポコッと初夏匂ふ
- 初夏の波が呼んでる電波かな
- 東京都 勢田清
- クラスにも漸く慣れし初夏の道
- 自転車をひらりと降りて初夏の人
- 京の町掃き清められ初夏の朝
- 初夏の風白いスカート陽の光
- 初夏の町来る自転車の颯爽と
- 東京都 笹木弘
- 青竹の器の匂ふ初夏の風
- 初夏の光を返す凸面鏡
- 摩周湖の島に浮かびし初夏の雲
- 羽衣の天使の松に初夏の風
- 旗の立つお子様ランチ初夏の風
- 神奈川県 三好康子
- はつなつの藍染め木綿割烹着
- 歓迎の皿鉢料理や朱夏の土佐
- 弓形に続く遠浅朱夏の浜
- はつなつのあまねき空を分かち合ひ
- 雨上がり風のふくらむ夏はじめ
- 東京都 山本 左利
- 親子して 大きめのシャツ 夏はじめ
- 逆光の 睫毛まぶしい 初夏の朝
- 初夏や 濡れた髪解く 体育館
- バス待ちの ポニーテールに 初夏の風
- ブルペンで 出番待つ君 夏はじめ
- 山口県 山縣敏夫
- 初夏の朝庭に満つるや瑞々し
- 物干しに薄物目立つ夏初め
- 初夏の朝みなを起こすか孫の声
- 朝起きて初夏の畑にご挨拶
- 登下校子等の声する夏初め
- 島根県 GONZA
- 北国の初夏の便りや旅心
- 山か海か初夏の会議の収まらず
- タラップを歓声駆ける初夏の国
- 少女来て初夏の化身と思ひけり
- 白鳳の仏へ続く初夏の道
- 神奈川県 守安雄介
- モンローの天井に笑む初夏の寺
- のれそれの初夏をぬるりと胃に落とす
- 木漏れ日の緑に染まる初夏の森
- 雪抉る渓の流れや里は初夏
- 水切りや初夏の川面に輪を連ぬ
- 埼玉県 守田修治
- 初夏や西郷像に俄雨
- 初夏や棟上げ急ぐ槌の音
- 文面は節酒うながす初夏便り
- 夏きざす風呂屋帰りの肩車
- 夏はじめ佐渡までつづく紺の海
- 神奈川県 岳
- 外つ国の声も聞ゆる初夏の杜
- モノクロのルパンの太宰夏に入る
- 囚われの河馬の屈託夏に入る
- 三屯の河馬の屈託夏に入る
- 十屯の象の放屁や夏に入る
- 東京都 松小庵小僧
- レース越し 夏めく風に 透ける肌
- 膝小僧 並んで弾む 初夏の坂
- 白い腕 袖からのぞく 夏初め
- 夏きざす 朝刊追い超す 日の出時
- 初夏の風 川辺から乗る 子の歓声
- 神奈川県 松野勉
- 力いっぱい漕ぐ光る水の初夏へ
- 初夏や口笛の歌口遊む
- 奈良県 上田秋霜
- 初夏の 港になびく 大漁旗
- 初夏の サンタモニカに 来てをりぬ
- 初夏や 今年も行かむ 槍穂高
- 初夏の 湖の向かうに 近江富士
- 水軍の 島の山頂 初夏の風
- 静岡県 城内幸江
- 初夏をホースで散す洗車かな
- 初夏や光あつめて山頂へ
- 初夏や窓全開の教習車
- 初夏を蹴って三段跳び急ぐ
- 愛知県 新美達夫
- ゆつたりと回る風車に初夏の風
- 手を振れば岸も手を振る夏はじめ
- 長き水脈引ける艀に初夏の風
- 何やかや老いも忙しき夏初め
- 大阪府 森 佳月
- 老眼鏡作り直して初夏の町
- 初夏や釣り竿友の形見分け
- 初夏の空ブルーシートは外れかけ
- 初夏や膝の継ぎあて懐かしく
- 初夏のジーパンの穴反抗期
- 福岡県 明
- 大いなる帆船来る夏はじめ
- 溌剌と留め跳ね払ひ夏はじめ
- つつましく起臥寝食と思ふ初夏
- 初夏の手作りマスク楽しめり
- ゆるる風ふるる風あり初夏の朝
- 神奈川県 十二番
- 歯磨きは青い蛇口の夏はじめ
- 借景は銀箔なりや初夏の海
- 夏兆すリュックの二人無人駅
- 初夏の来客ありや鳶殿
- 泣き虫が補助輪外す夏はじめ
- 東京都 一塁手
- 初夏や鉢の菜葉に俄雨
- ベランダに園児の合羽夏きざす
- 夕闇の冷めた粉茶に夏きざす
- 初夏の一番星や健気かな
- 満席の物干し台に夏きざす
- 愛知県 正木羽後子
- 初夏や出窓の鉢に水差しぬ
- 朝な朝な出窓のひかる初夏となり
- 夏兆すやうやくなれし仕事かな
- 三重県 西井治男
- 初夏の雨草木も人も息をつく
- 福岡県 西山勝男
- 大阿蘇の坐りいつくし初夏の景
- 初夏の釣果を夢に蜑の宿
- 土寄せの匂ひあまねし初夏の雨
- 初夏の風は清しと農日記
- 初夏のグラスボートに旅をつぐ
- 埼玉県 水夢
- はつなつや軒下に置く植木鉢
- 夏初めゼンリンの地図拡げをり
- 貝塚へつづく小路や初夏の風
- 禅寺の竹林ゆらす初夏の風
- 初夏や豚まん買ひし港町
- 宮城県 zazi
- 白壁が初夏の夕暮れ朱に染まる
- 初夏や高速道のバイク連
- 初夏や園児午睡の時長し
- 還暦を迎えし初夏の清々し
- 初夏のチャイム流るるグラウンド
- 愛知県 斉藤浩美
- 首まわし再起をはかる夏初め
- 初夏のかたちキリンの首交差
- 千年の樟の呼吸や夏初め
- 満タンにしておくバイク夏初め
- 屋外のカラン上向き夏初め
- 千葉県 いなだはまち
- 初夏やサドルは尻を受け入れて
- 初夏や田んぼの水は甘からん
- 初夏のソーラーパネル面あぐる
- 初夏と飛び出す絵本抱える子
- 初夏の漱げる水は歯切れよく
- 東京都 石井真由美
- 浜辺用の白椅子庭に初夏の午後
- ちよい寝を誘ふ縁側初夏の風
- ご自愛と書いて投函初夏の旅
- ご自愛と書いてぽとりと初夏の旅
- ちよい寝を誘ふ縁側初夏の風
- 東京都 石川昇
- 初夏の空自由が欲しいアドバルーン
- 初夏やカレー屋多き古書の街
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 初夏や山羊鶏の纏ひ付く
- 初夏の硝子工房きらきらす
- もてなしは湧き出る甘き初夏の水
- 耳鳴りといふはむずむず夏はじめ
- 初夏の乗り換え駅の肥後訛
- 神奈川県 川島欣也
- 初夏の水平線や過ぎる船
- 木漏れ日や鳥みな騒ぐ初夏の森
- 放たれる駒駈巡る初夏の牧
- 初夏の海渚に弾む子らの声
- 初夏の富士を遮る雲見えず
- 大阪府 太田紀子
- 初夏や靴を手に持ち丸木橋
- 初夏の風紺の暖簾の翻る
- 断髪にせるグレイヘア夏初め
- 東京都 大津武彦
- うちなーや吾子がはしゃぎし初夏の碧
- ムロアジや天日に開く初夏の花
- リフレイン初夏の葉山に「Destiny」
- 初夏の夜に黙し貪るムール貝
- 静岡県 大澤定男
- 初夏や稀なる郵便配達夫
- 初夏や隠し通せる胸の傷
- 初夏や夢に義経檀ノ浦
- 初夏や酒とか嘘は泡で割る
- 初夏や輝く者と帰る者
- 奈良県 平松洋子
- 大広間寝転ぶ畳初夏の風
- 初夏に母の匂ひの風よ吹け
- 骨折の肩を癒すか初夏の風
- 埼玉県 哲庵
- 初夏の風吹き抜ける閻魔堂
- 初夏や雲湧き上がる比叡山
- 初夏の知念岬で愛を叫ぶ
- 初夏の光あふるる駿河湾
- 初夏や砲術訓練ありし丘
- 京都府 中村万年青
- 電気代かからぬ初夏の肌寒し
- ごつごつの梯梧の幹に花まつか
- 命みな寒さに耐えて萌え出る
- 神奈川県 重兵衛
- 初夏やのたうつホース水走る
- 初夏や乳房揺らしてジョガー過ぐ
- 初夏や隣家いよいよ上棟す
- 初夏や上腕筋のむずむずと
- 東京都 中田ちこう
- 縁側の父の鮎竿夏はじめ
- 徳島県 白井百合子
- 助手席の妻の句帳や夏始め
- 軒下のブラウス白し初夏の風
- 吟行のノートに書いた初夏の文字
- 初夏の雨野の花寄せた植木鉢
- 初夏や少し塩香の浜の風
- 神奈川県 猪狩 仙次郎
- 夕月のもうあがりたる立夏かな
- 川沿ひの道真つ白く夏はじめ
- ひらひらと見返る柳初夏の人
- はつ夏の雀かしげる小嘴かな
- 寄する波くるぶし洗ふ夏に入る
- 東京都 長岡馨子
- 初夏や心機一転十勝へと
- 茨城県 守屋重伍
- 暑いか寒いか 窓外 初夏の朝
- ゴミ出しを はだしサンダル 夏兆し
- 窓外が じょじょにあおあお 夏兆す
- ラッシュアワー OL薫る 初夏の風
- のんべい横丁の臭う 夏はじめ
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 朝市に靡く眩しき初夏の旗
- ハーレーの轟き初夏の風さやか
- ハーレーの轟き初夏の風清し
- 初夏や海へ山へと掻き立てり
- 大阪府 津田明美
- 吊橋を渡り終ㇸたる初夏の風
- 樵る音一山響き初夏来たる
- 一条の光は初夏の魁と
- 登廊初夏の風浴び拝殿へ
- 送迎のペダルも軽く初夏を漕ぐ
- 神奈川県 塚本治彦
- 初夏や少年釣師立つ河原
- 翻る白衣学生街の初夏
- 初夏やサラダ定食よく売るる
- 初夏やミニスカートの長き脚
- 初夏や庭いっぱいに描く線路
- 岐阜県 雅風
- 水玉のネクタイに知る夏初め
- 竹の葉の音さやさやと初夏の風
- 炭酸の口に広ごる初夏の味
- 初夏や緑いやます苔の庭
- 初夏の風切り疾るオープンカー
- 滋賀県 坪田正温
- 校舎より「乙女の祈り」初夏の風
- 義仲寺にママチャリとめる初夏の旅
- 岬まで行ってみやうか初夏の浜
- 洗車する水の飛び来る初夏の路
- 船酔ひの漁師見習ひ初夏の波
- 福岡県 多事
- 初夏の陽の調停室のパイプ椅子
- 烏賊の仔に見つめられをり夏兆す
- 慣れはじむる社会的距離夏はじめ
- 首夏光を捩じりだしたりサキソフォン
- 初夏や散切り多き定演会
- 京都府 田端敏弘
- トラクター気散じな母待たす初夏
- 初夏のガツンと中る肘叩き
- 風呂のいす引き連れ初夏の畑仕事
- 初夏の朝日に合わす無限大
- 二階から入る山荘夏始め
- 千葉県 四葩
- 初夏のクラリネットの響く窓
- 初夏の少年と犬駈け行けり
- 千葉県 渡邉竹庵
- 初夏の白き襟足細き指
- 奥四万の湖は紺青キラリ初夏
- 日時計の影短くて夏はじめ
- 安曇野の初夏に休めば道祖神
- 初夏の疎水うごめく取水口
- 大阪府 藤田康子
- 本棚の観音開き初夏の風
- 畑にて母を偲びぬ初夏の雲
- 東京都 内藤羊皐
- 産褥の嫂眠りゐる立夏かな
- 夏立つや古書街を匂ふ人の影
- 理髪師の研ぎる剃刀夏に入る
- 倦みたる手遊び唄や夏来る
- 隧道に鉄の錆滲み夏に入る
- 千葉県 入部和夫
- 離陸の爆音や首夏の滑走路
- 初夏の角の梢のベーカリー
- 初夏の空にはためく万国旗
- 天に星地の花匂ふ夏初め
- 初夏の波をよちよちおむつの子
- 埼玉県 飯塚璋
- お揃いのシャツ着て歩む初夏の尾瀬
- 初夏の渚に匂ふ藻屑かな
- 筑波嶺の展望千里初夏の風
- 東京都 尾田 一郎
- 竹刀振る窓開け放ち初夏の風
- はなみづき花に大小初夏の風
- 初夏やシャツの白さよ抜ける風
- 花ちらす雨の上がりて初夏の風
- 木刀の一人稽古や初夏の汗
- 千葉県 柊二
- やはらかき径鎌倉の初夏の風
- 群馬県 武藤洋一
- 鼻ばかり聡き老農初夏の風
- 初夏の旅海苔弁匂ふ三等車
- 初夏や駆け出し記者のよく走る
- 初夏の湖怪魚伝説説く女将
- 初夏や漁火遠く尾根の小屋
- 三重県 平谷富之
- 初夏の風 あびて買物 心地よく
- 初夏なのに 球音聞こへぬ 寂しさよ
- 千葉県 峰崎成規
- 初夏の風は素通りみなマスク
- 真つ先にTシャツ応ふ初夏の風
- 初夏や貝敷く路地の先は海
- 初夏の光はしやいでささら波
- はつなつの風は木漏れ日育めり
- 神奈川県 芳賀順一
- はつなつや陽水ユーミン影法師
- 鬼平や羽二重団子で冷酒飲み
- 短夜や清少納言筆休み
- キリンの目眩しげにして夏来る
- 「ひまわり」の地平線まで女ゆく
- 兵庫県 檀凛凪
- 初夏に馴染む制服角曲がる
- 初夏や不意に目玉のあるところ
- 初夏や目玉の奥の透きとおる
- 初夏のめくれば柔き海の色
- 初夏の後ろ姿に降る拍手
- 三重県 北村英子
- 大笑ひさせる動画や夏初め
- 生き延びるためのあれこれ孟夏かな
- 疫病と戦ふ地球夏初め
- 妖怪の護符を描きて夏初め
- 初夏の悩みは生きるためのこと
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 初夏の風畦より畔の散歩径
- 岡山県 名木田純子
- 地図帳のページを急かす初夏の風
- 鳥獣の声にふくらむ初夏の森
- 木洩日の川に弾める初夏の音
- 愛知県 木下澄枝
- 山頂へ木霊の返る夏はじめ
- 湖へ繰り出す白帆夏はじめ
- 藍染の白の際立つ夏はじめ
- 寄り添へる牧の子牛や夏はじめ
- 白樺の幹の林立夏はじめ
- 長野県 木原登
- 靴脱いで渚を歩く夏はじめ
- 走り来る子らの二の腕夏きざす
- はつ夏の空は薄荷のにほひかな
- 白樺発はつなつの風野に山に
- 初夏の影添ふ碁石打ちにけり
- 大阪府 木山満
- コロナ菌薔薇の館を見そびれし
- 初夏の風ここちゃんの髪掬い上げ
- 窓全開初夏の風聴く一日かな
- マニキュアの赤に零れる初夏の光(こう)
- 純白のカーテン潜る初夏の風
- 神奈川県 矢神輝昭
- 声吸わる課外活動初夏の空
- 初夏へ「猫ふんじゃった」出来ちゃった
- 読書など後回しぞと初夏の風
- バンジーの飛び立つ人へ初夏の風
- ホコ天の銀座でカリー初夏の風
- 山口県 ひろ子
- 一服の抹茶に添える柏餅
- 早々と準備ととのう袋掛け
- 制服のいかす長身衣更え
- 神奈川県 龍野ひろし
- 舞妓らが鳴らすぽつくり夏始
- ボサノバのリズムのごとき初夏の風
- 丸刈りの襟足撫づる初夏の風
- ブラジル 林とみ代
- 初夏の波足裏こそぎ謎めける
- 色彩の豊かとなりぬ初夏モード
- 湯上りのうなじ撫でゆく初夏の風
- 初夏の街入墨の肌あらはなる
- 惜しきかな中止となりぬ初夏の旅
- 奈良県 一人坊
- 初夏の海ハンドル握り涙ぐみ
- 初夏の色思いつかずに肩すくめ
- やっと来た窓開け初夏の四万十は
- 初夏の月ビールの泡や気休めに
- 宮城県 林田正光
- 初夏や雲生き生きと流れをり
- 初夏朝餉海苔と納豆卵かな
- 無人駅下車する客は初夏の風
- 初夏や初恋の味甦る
- 内海に波打ち寄せて初夏来たる
- 兵庫県 髙見 正樹
- 苔を食む魚のきらめき初夏の川