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俳句庵
7月『夕焼』全応募作品
(敬称略)
- 広島県
- 夕焼けに母の眼を重ねみる
- 夕焼けに向かって叫ぶ馬鹿野郎
- 校庭の夕焼けこやけまた明日
- 窓の外夕焼け空に君想う
- 夕焼けが見守る君の頑張りを
- 東京都 憂
- 夕焼けて戦争の炎が近くなる
- 岐阜県 金子加行
- 夕焼にすつくり立てと吾れの影
- 夕焼の富士観るために新幹線
- 現役の湯屋の煙突夕焼ける
- 夕焼の染める団地やさらに老い
- 夕焼の高層階に母独り
- 栃木県 鹿沼 湖
- 夕焼に包まれてゐる家路かな
- 静岡県 いたまきし
- 夕焼や万年雪は幕を引き
- 夕焼といふ目薬のしみるほど
- 千葉県 柊二
- 富士山のワイングラスに待つ夕焼
- 東京都 長岡馨子
- スリバンに飛び出す五人大夕焼
- 東京都 岩崎美範
- 大夕焼車窓の富士を朱に染むる
- 夕焼背に家路を急ぐ肩車
- 摩天楼火柱となる大夕焼
- 仰ぎ見るビルの谷間の夕焼空
- まさをなる空を朱に染め夕焼くる
- 愛知県 西谷寿
- 夕焼の果てに神国願う君
- 夕焼に祈る平和はいまだ来ず
- 夕焼は帰る時刻の目印に
- 夕焼や二人歩いた思い出を
- 愛知県 西谷寿
- 子ども言う夕焼雲は火事のよう
- 新潟県 近藤博
- 海原を真っ赤に染むる大夕焼
- 真っ赤に燃え立ち浮かぶ夕焼雲
- 天空と海原一重に大夕焼
- ほむらごと西空燃ゆる夕焼かな
- たたなはる山々夕焼に赤く染む
- 大阪府 藤田康子
- 近くとも遠くとも見ゆ海夕焼
- 夕焼や脚絆の小鉤外す父
- 東京都 笹木弘
- 江ノ島の海を真つ赤に大夕焼
- 夕焼け小焼けの鐘楼に夕焼す
- 本栖湖に大夕焼の逆さ富士
- オカリナの響く河原に夕焼す
- 西部劇のガンマンの背に大夕焼
- 長野県 木原登
- 海夕焼車窓に旅の鈍行車
- 肩叩く友欲し山の大夕焼
- 夕焼け小焼けの鐘の鳴りだす往生寺
- 良寛の像と見てゐる夕焼かな
- 牧牛の影が草食む梅雨夕焼
- 埼玉県 岸保宏
- 夕焼けにスマホをかざす旅の人
- 夕焼けや机上のノート紅く染め
- 夕焼けや白磁も染まる陶器市
- 兵庫県 岸下庄二
- 夕焼や指切りをして別れる子
- 夕焼や咥へ煙草の老漁師
- 憂きことをみな忘れさす大夕焼
- 夕焼の百選に入る無人駅
- 海に向く棚田千枚夕焼ける
- 徳島県 白井百合子
- 夕焼や窓辺に座る猫二匹
- 徳島県 白井百合子
- 夕焼や父母ケ浜の福の神
- ポケットに少し夕焼け入れてみる
- 夕焼や二階の窓を赤に染め
- 夕焼や校庭に並ぶだんご虫
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 夕焼けて影絵となりぬ二人連れ
- 夕焼けや釣り師の見やる瀬戸の海
- 石川県 めぐみ
- 遊ぶ子に 母のひと声 夕焼空
- 銀輪の 背に夕焼の 被さりて
- 家路へと 急ぐあぜ道 夕焼て
- 車窓追ふ 海一面の 大夕焼
- 神奈川県 守安雄介
- テレワーク父の背にみる夕焼かな
- 夕焼や西を向くもの皆茜
- 夕焼けやお酒の薫る肩車
- 夕焼けや鴉の森の反省会
- 夕焼けに烏競り合う避雷針
- 千葉県 玉井令子
- 夕焼や子は稽古事忙しき
- 夕焼を纏ひて飛びぬヘリコプター
- 夕焼の砂浜歩む二人かな
- 夕焼や富士の稜線くつきりと
- 街路樹に戻る鳥たち大夕焼
- 神奈川県 志摩比魯
- 孫に肩揉まれ夕焼雲に乗る
- ふるさとのあの山も今夕焼けか
- 赤煉瓦倉庫夕焼け濃かりけり
- 岩手県 江原茂実
- 大夕焼トイレを磨く娘かな
- 夕焼や腑分けされし罪人墓地
- 夕焼をリュックに詰めて下山かな
- 全天の夕焼け子らの小焼けかな
- 岩手県 江原茂実
- 夕焼や古代城址の土の壁
- 山口県 山縣敏夫
- 夕焼けは 人類みなに 平等だ
- 夕焼けに 酔うたジイジの 肩車
- 古代から 夕焼け空は 生きている
- コロナ去り 夕焼け空の 夢を見た
- 沖合に 夕焼け雲が 浮かんでる
- 福岡県 深町明
- ゆつくりと日の溶けてゐる夕焼かな
- ああ二十五日のATM夕焼
- 夕焼や車したがへ耕運機
- 本当に窓際にゐる夕焼かな
- 夕焼や車中にマスクせぬ自由
- 兵庫県 岸野孝彦
- 夕焼けや町工場の灯がともる
- 夕焼けの丘に並ぶは過去未来
- 明日は晴れ夕焼け見ればそう思う
- 夕焼けや舗道に長き赤き影
- 夕焼けや今日の務めを終えし人
- 京都府 村田稔子
- 夕焼けや 湖面にポツン 竹生島
- ネオン街を過ぎ 夕焼けうつくし
- 車窓には 夕焼けの村 一人旅
- 埼玉県 北川清
- 瀬戸の海 宮島鳥居 夕焼けて
- 夕焼けや 戦艦大和 ドック残し
- 夕焼けや 屛風ヶ浦か ドーバーか
- 小豆島 二十四瞳 夕焼けて
- 夕焼けの 美し景色の 夢をみる
- 東京都 伊藤訓花
- 雑踏のざわつく歩道夕焼空
- 年寄のじっと見上ぐる夕焼かな
- ふるさとの山河色めく大夕焼
- 東京都 伊藤訓花
- 夕焼の街角匂ふラーメン屋
- 白髪を夕焼が染むる背かな
- 奈良県 平松 洋子
- 夕焼の空を離さぬカラスかな
- 坂上る夕焼浴びる為だけに
- 夕焼と背中合わせで立つ厨
- 山口県 ひろ子
- 夕焼けを浴びて散歩の遠回り
- 夕焼けや下校チャイムへ駆けだす子
- 滋賀県 村田紀子
- 夕焼けは母の温もり塩の味
- 雨上がり夕焼け空に秋刀魚の香
- 二重跳びやっと跳べたと夕焼けに
- 夕焼けに語りかけてる野球帽
- 夕焼けに向かって走る子等の声
- 大阪府 森 佳月
- 大夕焼瞼の裏も朱に染まり
- 石段を下から染めて夕焼す
- 吾死なむ夕焼のなか夢のなか
- 白鷺城朱鷺色に染め大夕焼
- 夕焼や人さらい来ると母の言う
- 東京都 石川昇
- 夕焼けのシートノックやあと五本
- 老人のひと日の重み夕焼空
- 沖縄県 稲福達也
- 夕焼の赤日よぐる機影かな
- 夕焼や波止をもとほる翁ゐて
- いしぶみの細き文字まで夕焼けて
- 夕焼や水切り競ふ子らの声
- 在り在りて見飽かぬ島の大夕焼
- 三重県 藤田ゆきまち
- 夕焼けをもてなしてゐる出窓かな
- ラーメン屋初日完売大夕焼
- ゆふやけや漁船を包み込むやうに
- 埼玉県 水夢
- 竹林の奥へ奥へと夕焼ける
- 夕焼のうさぎ島への帰り船
- 夕焼が流れドナウのカルレ橋
- 夕焼や君がそろそろ戻る頃
- 尾道に帆布織る音や夕焼空
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 泣き崩る北ウイングの夕焼かな
- 大阪府 木山満
- 夕焼けや地球の果てに足伸べて
- 夕焼けや母膨らみて風に舞う
- 不意に鳴る聖堂の鐘夕焼けり
- 山並みも街並みも皆夕焼けり
- 夕焼けて明日(あした)に弾む命透く
- 千葉県 伊藤博康
- 夕焼に鴉が急ぐ家路かな
- 夕焼に応へてをりぬ沼の精
- 夕焼や空に続きし海と陸
- 夕焼のシャッターチャンス逃したり
- 天地を包む夕焼の広がりぬ
- 東京都 右田俊郎
- 下駄を蹴るやっぱり表夕焼ける
- 夕焼の空をゆるりと観覧車
- ごはんよと母の呼ぶ声大夕焼
- 夕焼の路地に豆腐を売る喇叭
- 夕焼や家路うながすチャイムの音
- 大阪府 津田明美
- 石一つ蹴って夕焼に返しけり
- 夕焼空明日又ねと弾む声
- ひぃふぅみぃ夕焼に帰る子等の影
- 夕焼や幼き日々の原風景
- 遠き日の夕焼を背にガキ大将
- 群馬県 塩原香子
- 夕焼の退せぬ間に子よ帰り来よ
- 群馬県 塩原香子
- 夕焼や紅玉色に染まりけり
- 草ゆれて妣の居さうな夕焼かな
- 夕焼やひと声鳴きて鳶舞へり
- 束の間の満山燃ゆる大夕焼
- 広島県 老人日記
- 夕焼見る余命知りたる者同士
- 何ひとつ解けぬ人生大夕焼
- 八雲立つ出雲一国夕焼ける
- 黒々と富士眠らせて大夕焼け
- 東京都 勢田清
- 夕焼ぬ五重塔も斑鳩も
- 薔薇色の空夕焼の日本海
- 夕焼の別れ連山遥かなり
- 夕焼の色褪せるまで妻と我
- 鰯雲空一面の夕焼に
- 埼玉県 宥光
- 白虎門ぬけて夕焼中華街
- 眼裏を染めて夕焼ことのほか
- 大夕焼光の層のミルフィーユ
- 夕焼けて産土砂州のその黄金
- 夕焼やこれから起きるめぐり逢い
- 宮城県 林田正光
- 夕焼の太陽の塔輝けり
- 大夕焼逆光富士の雄姿かな
- 廃校の消えゆく歴史大夕焼
- 今日の日が旅路の終わり大夕焼
- 去りがたき夕焼雲の消ゆるまで
- 千葉県 峰崎成規
- 喧嘩してひとり帰る子夕焼雲
- 大夕焼多色の街を一色に
- 石蔵の石のざらつき梅雨夕焼
- 夕焼を白き卓布へ招き入る
- 千葉県 峰崎成規
- 予期できぬ明日を託す大夕焼
- 岡山県 岸野洋介
- 夕焼や居間に夕刊開けしまま
- 手で日除け夕焼け突っ切る一輪車
- 瓜蔓を引けば夕焼寄って来る
- 妻の墓這う子蜥蜴も夕焼ける
- 蜘蛛の網包みきれない大夕焼
- 東京都 佐藤富幸
- 夕焼や検査結果の足重し
- 夕焼やワクチン接種の人の列
- 夕焼や黒き甍に灯る窓
- 夕焼や急ぐ家路の米五キロ
- 夕焼や紅き十字の飛行雲
- 東京都 佐藤美智子
- 飛行機の轟く空や夕焼す
- 夕焼の閉店文字を染めにけり
- 小仏を抜ける車窓の大夕焼
- しぶきにも夕焼浴びて海豚跳ぶ
- 夕焼を海の温泉引き寄せり
- 神奈川県 猪狩鳳保
- 夕焼やこころの芯も染めあげて
- 人住まぬ垣根を染めて大西日
- 手渡しに受ける新聞大夕焼
- 閉門の山城黄金に大夕焼
- 陶匠の目を休めたり大夕焼
- 大阪府 八王寺宇保
- 夕焼や宅配便はまだ途中
- 夕焼や工具準備の保線員
- 花街に人気少なし梅雨夕焼
- 夕焼やパソコン閉じるテレワーク
- 病窓の夕焼雲は濃紫
- 東京都 内藤羊皐
- 焼香の列の掉尾の夕焼かな
- 東京都 内藤羊皐
- 吉祥天棲みし汀の夕焼ける
- 夕焼の跡を留める船板塀
- 夕焼に妻が黒髪梳る
- 夕焼に吉見百穴耀へり
- 三重県 後藤允孝
- 天と地の粋なはからひ大夕焼
- 大夕焼江の島黒く沈みゆく
- 夕焼や農機具しばし立ててをく
- ご飯よの母さんの声夕焼空
- 暮染むる街に静寂の夕焼雲
- 神奈川県 塚本治彦
- 夕焼や鹿煎餅の店仕舞
- 林立の麒麟の首の夕焼けて
- 夕焼や牛を急かせる牛追女
- 大漁の予祝のごとき大夕焼
- 夕焼や三蔵行きしガンダーラ
- 埼玉県 いまいやすのり
- 対岸へ手漕舟ゆく夕焼かな
- ビルの壁刻々動く夕焼かな
- 夕焼見て夕焼け小焼け口ずさむ
- 山あひに夕焼消えゆく奥穂高
- 大夕焼瀬戸の小島は静かなり
- 兵庫県 髙見正樹
- 薄曇り煙るがごとく夕焼ける
- 海夕焼クルーズ船のシルエット
- 雨近し夕焼雲の色映ゆる
- 東京都 二川昌弘
- 夕焼けは胡瓜をかじり涼むもの
- 夕焼けで鳶も家に帰る頃
- 夕焼けよ暑さを全部持って行け
- 夕焼けはコロナとともに西に入り
- 夕焼けを追う蝉の声鳴りやまず
- 香川県 辰野
- 夕焼のブレーキ音や聞き分ける
- 夕焼やレスキュー目指す覚悟嗚呼
- 神奈川県 沼宮内薫
- 大夕焼いつもカレーは金曜日
- うそ泣きの涙を映す大夕焼
- 撮り鉄の脚立も染める大夕焼
- 夕焼けに力をもらふ野良仕事
- 夕焼けをおんぶしてゐる肩車
- 三重県 北村英子
- 夕焼の明日も晴れか気味悪し
- スーパーの外の夕焼家事の待つ
- 夕焼の外来医師はよすがなり
- 夕焼の移ろひしかと車窓より
- 夕焼や愛する者の住みかへと
- 福島県 松井くろ
- 新幹線の止まらない駅大夕焼
- 岐阜県 雅風
- 浜に寄す波まで焦がし大夕焼
- 江ノ電の窓より美しき夕焼かな
- 伊吹嶺に座る夕焼雲一朶
- みはるかす大佐渡小佐渡夕焼けぬ
- 夕焼の海沸かすかに大炎上
- 埼玉県 小玉拙郎
- 鉄棒で逆さに夕焼け見ている子
- 売り切って夕焼け仰ぐ豆腐店
- 夕焼けの唄思い出し思い出し
- 楽器ごと夕焼け揺れるブラスバンド
- 地球儀を東にめぐる夕焼けかな
- 東京都 猪俣ま悠
- 夕焼やローカル線に近き海
- 夕焼ける校舎時計は二時のまま
- 夕焼を挟むゲーテの詩集かな
- 三匹の猫夕焼ける待合所
- 静岡県 いたまきし
- 東から西にかけての夕焼かな
- 東京都 服部かつこ
- 夕焼に硝子の虫が鳴きにけり
- 夕焼や空弁当の音がする
- 埼玉県 釜眞手打ち蕎麦
- 朱黒の夕焼の黒の中の家
- 夕焼の湖と空とを分つ橋
- 夕焼雲鉄橋渡る武蔵野線
- 東京都 安藤ゆき子
- 大夕焼駱駝の目指す地平線
- 白猫の親子のあくび夕焼雲
- トランペットの余韻抱きし夕焼雲
- 三重県 平谷富之
- 帰り道 夕焼け色に 染められて
- 神奈川県 矢神輝昭
- 曳舟の黒黒河口や大夕焼
- ケチャダンス寺は夕焼けて始まりぬ
- 夕焼へ流るる河口マグマかな
- 夕焼に一日の絵巻広がりぬ
- 擬宝珠には擬宝珠の安堵夕焼け空
- 神奈川県 安藤 真青
- 夕焼けへダイブのドライブ高架橋
- 人口の白砂青松夕焼ける
- 小屋そばのピークに立ちて大夕焼
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 夕焼に消えゆく翼なみだ色
- 愛知県 新美達夫
- 海中に都さぶらふ大夕焼
- 遥拝の伊勢神宮も夕焼かな
- 湧きおこる感謝の心夕焼かな
- 広島県 Dr.でぶ
- 初孫の報せ届きて大夕焼
- 神々のケンカの後の大夕焼
- 夕焼けに穴の開きたるコンバース
- 廃線の錆の香りて夕焼ける
- 岐阜県 ときめき人
- 夕焼や光と闇の共演美
- 東京都 山﨑勝久
- 大夕焼われ立ち尽くし須臾の宙
- 夕焼に突放禁止の貨車の行く
- あの犬がそろそろくるよ夕焼け雲
- 神奈川県 龍野ひろし
- 配達を終へ夕焼のバイクかな
- 夕焼や自転車に乗せ子と帰る
- どんな色この夕焼の裏側は
- 夕焼の砂場に残る熊手かな
- 神奈川県 亀山酔田
- シチリアの島よ夕焼雲の中
- 夕焼けや石段下りて買うおかず
- 夕焼けやシチリアワイン濃く渋く
- 夕焼けや巨船を留めたロープ解く
- 夕焼はローマの真上歴史燃ゆ
- 東京都 豊宣光
- 夕焼や遊び疲れて子ら帰る
- 山里に夕焼雲と晩鐘と
- 夕焼や凶事の知らせ来るごとく
- 夕焼やかつて空襲ありし街
- キャンバスに夕焼描く赤絵具
- 島根県
- 古紙に出す旅のカタログ大夕焼
- 島根県
- 湖の端から端へ大夕焼
- 島根県
- 夕焼や八雲旧居の板硝子
- 島根県
- 谷底の村の短き夕焼かな
- 茨城県 小松崎孝志
- 夕焼や線路に動くシルエット
- 夕焼撮る人の仕草の影絵なり
- 夕焼や月に寄り添う紅い星
- 夕焼を右に急ぐや東北道
- 列車来る夕焼雲を連結し
- 神奈川県 原川篤子
- 大夕焼明日は帰国の地中海
- 神奈川県 原川篤子
- 接岸の白き巨船や大夕焼
- 火の鳥のごとき雲飛ぶ夕焼かな
- 五十五階なるこの窓の大夕焼
- 校庭に終鈴響く夕焼かな
- 茨城県 長洲研志
- 献立はのらりくらりと夕焼雲
- 敗戦の夕焼昨日より紅く
- 夕焼や思い出したる母の声
- 夕焼や白きご飯の炊ける頃
- 夕焼や青いトートの女の子
- 大阪府 永田
- 最終のバス夕焼を連れ去りぬ
- 大阪府 鈴木千年
- 夕焼を見し目東の空を見る
- 夕焼や明日を約して老三人
- 夕焼や勅額の文字きはやかに
- 夕焼の雲の百態見て飽かず
- 夕焼の大海原のあるばかり
- 大阪府 鈴木三津
- 夕焼の海へまつすぐ夕焼川
- 晩鐘や天も琵琶湖も夕焼けて
- 夕焼荘厳巌頭に合掌す
- 夕焼やボールを探す子供達
- もう灯さぬ堺灯台夕焼くる
- 埼玉県 石塚彩楓
- 甲高き機械音せり大夕焼
- 馬洗ふ川の濁りや夕焼す
- 山々の形変はらず大夕焼
- もう一度叱って欲しい大夕焼
- 夕焼のゴールへシュート父待つ子
- ブラジル 林とみ代
- 夕焼くるピサの斜塔や茜色
- 夕焼の彼方に友は逝きにけり
- ブラジル 林とみ代
- 原始林真っ赤に染めて大夕焼
- 夕焼や子等散りぢりに園去りぬ
- 夕焼の里に別れし母偲ぶ
- 神奈川県 立野音思
- 夕焼や影を追ひかけ子ら帰る
- 夕焼や喜怒哀楽の溶けてゆき
- 夕焼や校舎の影の長々と
- 夕焼や山にこだまの鐘の音
- 束の間の夕焼のとき喫茶店
- 静岡県 大澤定男
- 夕焼や片帆を畳む祖父ありぬ
- 夕焼や就職列車に続々と
- 夕焼や美空ひばりの七つの子
- 夕焼や地磯へ卓袱台母と子と
- 夕焼や祖母に二つの砂時計
- 静岡県 城内幸江
- 忘れ物ベンチで待つて夕焼る
- 夕焼は溢れ私の街に来た
- 夕焼や町の時報は変わりなく
- 小窓には窮屈さうな大夕焼
- 夕焼や部屋の数ほどいない人
- 大阪府 酒梨
- グランドキャニオンと妻と大夕焼
- 夕焼に癒されてゐる吾がゐる
- ジェット機を呑み込んでゆく夕焼雲
- 夕焼ける君の瞳もゆふやける
- 夕焼の中から帰還ドクターヘリ
- 東京都 中田ちこう
- 野仏と不知火の海夕焼けて
- 夕焼けやににぎのみことこうりんす
- 神奈川県 井手浩堂
- マンションの間に富士の夕焼かな
- 就中酒田の沖の夕焼かな
- 神奈川県 井手浩堂
- 夕焼やグランドキャニオンめく谷間
- 千葉県 伊藤順女
- 夕焼や昭和はけふも切なくて
- 夕焼やまだまだ釣れる堤防に
- 夕焼や波に崩るる砂の城
- 北海道 飯沼勇一
- 大仏の勤めを終へし夕焼かな
- テレワーク終えてひと息大夕焼
- 岸壁に舟待つ猫や大夕焼
- ヤッホーに峰越し応ふ夕焼かな
- 火の波の寄せ来る浜辺大夕焼
- 愛知県 いちご一会
- 見に来いと呼ぶ顔も染め大夕焼
- 惜しみなく天をプロマピ大夕焼
- 千葉県 徳翁
- 夕焼や不動のままに身を焦がす
- 地平へと夕焼追うは旅人よ
- 夕焼やしゃがむ犬へと語りかけ
- 夕焼けるカレーの匂い小走りに
- 愛媛県 加島一善
- 寄り添ひて夕焼見送る五六組
- 何色をもつと足そうか大夕焼
- 堤防のふたりを包む大夕焼
- 空と海すべて使つて大夕焼
- 大夕焼ケチャックダンス始まりぬ
- 千葉県 四葩
- 夕焼や若き父押す乳母車
- 夕焼雲母を待つ子と見てゐたり
- 福岡県 川崎 日知
- 不条理や今日の夕焼の赫きこと
- 鉄棒を回り夕焼に着地せり
- をさなごにとはれてをしふゆふやけと
- 千葉県 渡邉竹庵
- 夕焼やシャッター街は我が故郷
- 滋賀県 別役昌子
- 血糖を測るナースと夕焼空
- 滋賀県 別役昌子
- 鉱山の朽ち果てし跡大夕焼
- 太陽を海へ落として夕焼雲
- 石山の岩へ淡海の大夕焼
- 妙心寺山一帯の大夕焼
- 東京都 岩川容子
- 花買って大夕焼のなか帰る
- 知らぬ世へ迷い込みそう大夕焼
- 夕焼や優しいことを子に言われ
- 夕焼へ自転車を押す坂の町
- 埼玉県 飛翔
- 今日ひと日五回笑ふて大夕焼
- 夕焼をスマホにをさめ急ぐ家
- よき昭和思い出す為夕焼ける
- 夕焼を背負いて帰る部活の子
- よく回るサインポールも夕焼し
- 埼玉県 小安章代
- 夕焼の山桃色に燃えし日よ
- 物欲のなき身の軽さや夕焼雲
- 歪み硝子に明治の夕焼夢心地
- 夕焼やワクチン躊躇の身でありし
- ブラジル 玉田千代美
- 夕焼に生きる喜び手を合す
- 夕焼や心に沁みて幸祈る
- 千葉県 風泉
- ・玄関へ燃える夕焼け金魚鉢
- ・西の窓染める夕焼け吾の墓標
- ・夕焼けに染まるリビング額の富士
- ・夕焼けの染める四畳に溺れけり
- ・夕焼けの消えて車窓に妻の顔
- 神奈川県 海野優
- 夕焼やひとつふたつと団居の灯
- 夕焼や逢魔が時の摩天楼
- 夕焼て帰り促す七つの子
- 神奈川県 光南
- 球場の灯の点り初む夕焼かな
- 尖塔の黒く聳えて大夕焼
- 大夕焼五重塔の黒き影
- 大夕焼今日一日の暑さかな
- ひとり見る二人で眺めし夕焼かな
- 東京都 水野邦彦
- 思い果つ夕焼雲のむこうがわ
- 夕焼と並び笑う子たくましき
- 夕焼けと鬼に見つかりかくれんぼ
- 夕焼を描く絵の具の多さかな
- 燃え盛る夕焼裂けやほうき星
- 愛知県 斉藤浩美
- 逃げ場なき都会に生きて夕焼空
- 夕焼に解けてみようか自暴自棄
- アングルを決めかねている夕焼雲
- 下車ひとり校歌の夕焼撮りにゆく
- 祈りだけでは償えぬ夕焼雲
- 埼玉県 守田修治
- 大漁旗振りまわさんか大夕焼
- 夕焼や沖に広がる東尋坊
- 夕焼て路地に子ら呼ぶ「ごはんだよ」
- 息をのむ大夕焼けやゴッホの絵
- 天守より夕焼ながむ松江かな
- 徳島県 井内胡桃
- 夕焼へひたすら走る大男
- ふたつ目のチョコのくちどけ大夕焼
- あてもなく大夕焼の消ゆるまで
- 校庭にただ一人だけ大夕焼
- なぞなぞを大夕焼の消ゆるまで
- 神奈川県 池田恵美
- 鎌洗ふ男の背の夕焼かな
- 大夕焼ほらを吹きたくなつたるぞ
- 神奈川県 池田恵美
- 串のもの食らふ子どもや夕焼けて
- 鳥取県 475俳句
- 校庭に靴あと固く梅雨夕焼け
- 自転車の少年止めて大夕焼け
- 夕焼けに走りゆく君追えぬ君
- 夕焼けを飲みほしてなお海光る
- 大夕焼け彼方燃ゆるか里の空
- 秋田県 丹野励起子
- 夕焼に瞑想したる家鴨かな
- 夕焼やそろりそろりと教習車
- 福岡県 多事
- 大夕焼夜も飽きずにたまごめし
- ぐしよぐしよのカッターシャツに大夕焼
- 踏み絵とは回心たるか島夕焼
- 夕焼と風へ置かれて打瀬舟
- 大観音包みて静か夕焼雲
- 福岡県 世良日守
- 夕焼は電話ダイアル戻る音
- 北海道 小殿原 あきえ
- 海底に呑み込まれゆく夕焼かな
- 夕焼やビスクドールを染めて果つ
- 母の背は小さくなりぬ夕焼に
- 東京都 豊島仁
- 大夕焼今決断の九十九里
- 夕焼に背番号3今も燃ゆ
- 夕焼に手も足も出ぬ我ヶ家かな
- 風よきて夕焼よきて明日よきて
- 夕焼の家へ帰らう都すて
- 神奈川県 髙梨袴
- 農良上がる古希一日の夕焼かな
- 夕焼けのビルの小窓やキスの影
- 外風呂に薪足す夕焼けの大地
- 夕焼けや自転車の父待つ母と
- 夕焼けや車窓に残る里帰り