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- 俳句庵 2021年08月 優秀賞発表
- 俳句庵 2021年08月 作品一覧
俳句庵
8月『八月』全応募作品
(敬称略)
- 大阪府 藤田康子
- 八月や生かされてゐる空を見る
- サイレンや八月の折鶴の黙
- 千葉県 柊二
- キャンピングカーの接種や夏の群れ
- 新潟県 近藤博
- 八月なほげんなり過ごすこの気温
- 八月来肌に優しく季は移り
- 八月は永久なる平和祈る月
- 玉音の今なほ耳朶に八月来
- 兵庫県 岸下庄二
- 八月や二円葉書に父偲ぶ
- 母と子の八月戦争始まりぬ
- 戦争を知らぬ八月十五日
- 年毎に薄る八月十五日
- 八月や三たび四たびと黙祷す
- 大阪府 多田由佳里
- 廃線に紅き花立つ八月や
- 八月は塩辛ヘアー眠る吾子
- 八月や真紅の花の直立す
- コロナ禍よ葉月の旅を思い切り
- 八月や漂ふゼリーに毒の針
- 石川県 めぐみ
- 八月の 袋小路に カレーの香
- 八月や 木陰をさがす 繁華街
- 落陽や 八月の海 燃え尽きて
- 八月や 宿題かかえ 孫来たる
- 神奈川県 鴨野箸
- 八月の頬の白さやマスク跡
- 八月や青天井の子らの九九
- 岐阜県 ときめき人
- 八月や平和囁く遺品あり
- 埼玉県 岸保宏
- 八月や障子に映る雲の影
- 埼玉県 岸保宏
- 八月や動かなくても水を飲む
- 八月や遍路の足も道半ば
- 愛知県 西谷寿
- 八月の娘色っぽく楽しげに
- 八月は君生まれた日記念の日
- 八月や月は輝き星落ちる
- 八月の東京は湯気立ち上る
- 八月や夜は長くて眠られず
- 長野県 木原登
- 八月の堅田に人を偲びけり
- あたたかく冷たく白く八月来
- 砂時計反す八月十五日
- 流木を焚く八月の夕渚
- 八月のその日その日をいつくしむ
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 八月や浜辺に残る砂の城
- 東京都 岩崎美範
- 八月に別れを告ぐる海の色
- 八月のまさをな海に友逝けり
- 八月や六日九日十五日
- 八月や拍手の包む甲子園
- 八月の刺身豆腐の旨さかな
- 岐阜県 金子加行
- 八月の重さ軽さの速きかな
- 八月の祈り遊びの人の列
- 八月に見る夢どれも命問ふ
- 八月の水のコップに満たさるる
- 正したる姿勢八月十五日
- 沖縄県 稲福達也
- 行き行けば八月の海八雲立つ
- 八月のドキュメンタリー観て黙す
- 八月尽慰霊の旅に行けぬまま
- 東京都 長岡馨子
- 八月や日毎にほどけゆく陽射し
- 東京都 二川昌弘
- 八月の黙食可笑し独り言
- 八月の音楽祭は夢の夢
- 八月の五輪の元標日本橋
- 八月のそびえる雲と青い空
- 八月の瓜と胡瓜西瓜かな
- 埼玉県 北川清
- 八月や フォトジエニックな 瀬戸の海
- 八月や 球児の集う 甲子園
- 八月や 汗の流れに 蝉の声
- 八月や 母を想いて 盆踊り
- 八月や 白糸の滝 暑さとび
- 兵庫県 えいえい
- 八月は夜の明かりがきれいだな
- 兵庫県 多駆呂羽
- 八月は特に何もありしない
- 滋賀県 村田紀子
- 大木に触れ八月の声を聞く
- 山登り八月の香に深呼吸
- 八月の鼓動聞こえる雲の中
- 八月の風とじゃれ合う祖父と孫
- 青春は八月の山 青い空
- 三重県 北村英子
- 八月や滝行のごと読経する
- 計画と実行違ふ八月へ
- 八月のシーズーの鼻ツンツンと
- 誤解され解くこともなく八月へ
- 八月の譜めくり忙し合唱部
- 東京都 勢田清
- 八月は祖父の命日経上げな
- 八月の淵澄みにけり人も無し
- 八月の光寂しさ宿しけり
- 八月の恋遥かなり空の果て
- 八月の山は一人で登りたし
- 東京都 よしだ悠
- 八月は記念日多し結婚も
- 三重県 平谷富之
- 東京や 八月五輪で 盛り上がる
- 八月六日 忘れてならぬ あの悪夢
- 東京都 内藤羊皐
- 八月の夜を打ちたる掘削機
- 八月の空の底ひの月見台
- 八月の塔へ倣れる琥珀石
- 八月の猫の咥へるカレーパン
- 八月の水切石の水沫かな
- 大阪府 木山満
- リハーサルすれど叶わぬ盆踊り
- 大文字(だいもんじ)京都タワーで 吾子と読み
- 夾竹桃赤きが悲し昭和行く
- 八月や吾が生まれ日の空青し
- 迎え火を焚く慣わしも吾限り
- 茨城県 長洲研志
- 八月の駅舎かすかに潮香る
- 八月や讃美歌響く朝の空
- 八月の風弾き語りの女子
- 八月や筋肉痛も癒えにけり
- 八月や海の香かすか黒髪の娘
- 神奈川県 沼宮内薫
- 二刀流わかす八月甲子園
- 八月や美しきピアスの小さき穴
- 小さき手で折る八月の千羽鶴
- 八月や戦争と言ふコロナまた
- 八月や子規の句詠みて平和かな
- 大阪府 八王寺宇保
- 八月のラジオ体操元気なり
- 八月を背負い続ける令和かな
- 八月や母の弱音に盆帰省
- 八月や戦後生まれに身の置き場
- 大阪府 八王寺宇保
- グラビアの水着が笑ふ葉月かな
- 大阪府 津田明美
- 砂文字を消す八月の波がしら
- 八月や雲白くあれ白くなれ
- 八月や声なき声の充つる川
- 八月や勢ひあます反射光
- 八月や防犯灯のノイズ音
- 東京都 伊藤訓花
- 母おはす八月の空縹色
- 八月や淋しさは雑踏の中
- 八月の風を孕んだ万国旗
- 奈良墨の匂ふ仏間や八月来
- 八月のピンボケ写真愛しかり
- 徳島県 白井百合子
- 八月の鴨居に残る魚拓かな
- 八月の寺の寄進やざわめきて
- 八月のシャッター街に踊りの輪
- 八月や提灯終う年となる
- 八月や命日のくる空の椅子
- 埼玉県 いまいやすのり
- すいとんを食うて八月十五日
- 草のこゑ八月十五の朝
- 八月や昭和のにほひ残しをり
- 八月の憤怒の仁王やさしけり
- あをあをと八月の空つつがなし
- 千葉県 峰崎成規
- 黙祷す八月の覆ひなき空
- 八月来御霊一気に語り出す
- 八月の隠れ里めく水族館
- 八月の祈りの極み十五日
- 八月の波に去る砂残る砂
- 千葉県 徳翁
- 八月や風吹き抜けり侘び住まい
- 千葉県 徳翁
- 八月や一家眷属集いおり
- 八月や麻のジャケット銀座通り
- 八月や寒さ身に沁む山手線
- 三重県 後藤允孝
- 八月や遺骨届かぬ終戦日
- 八月の里帰りして賑はしく
- 八月の子らで図書館埋め尽くす
- 八月のダムは底つき古き村
- それぞれの八月十五日正午
- 宮城県 林田正光
- 八月の空の記憶は夥し
- コロナ禍の校庭静か夏休み
- 八月の海の想い出水平線
- 原爆忌日本の昭和変えた日や
- 八月のパールハーバー人まばら
- 岡山県 岸野洋介
- 八月の学び舎巨大廃墟かな
- 八月や妹訪れて母と居し
- 八月や蜘蛛の巣ゆれて日は西へ
- 八月は正門くぐり出入りする
- 八月や少国民の日は遥か
- 島根県 はぐれ杤餅
- 八月の熱り右肩の銃痕
- 神奈川県 猪狩鳳保
- 八月や小蟹隠るる磯玉藻
- 八月のつくばひ小鳥来よ飲めよ
- 八月の鶯マリア・カラスとも
- 八月の大波しぶき島見えず
- 八月や釜音消ゆる四畳半
- 滋賀県 船岡房公
- 八月や被爆電車に揺られけり
- 合唱の「消えた八月」聴く六日
- 福岡県 深町明
- 八月の砂丘に立つて見る火星
- 福岡県 深町明
- 八月を示して平和祈念像
- 八月の雲大いなり遠江
- 九ちやんの星夜八月十二日
- 八月や何処訪ねても甲子園
- 東京都 佐藤富幸
- 八月や長崎の鐘坂の花
- 終戦の八月想う二重橋
- 八月の球児の熱気甲子園
- 八月の鳥居潜りて靖国へ
- 八月の風の匂いに澤の音
- 東京都 佐藤美智子
- 八月の海山遠く菌近し
- 八月の縦横斜め跳ぶ球児
- 八月の五輪規制の遅配かな
- 八月の正午球児と黙とうす
- 老犬と見る八月の赤き月
- 神奈川県 塚本治彦
- 八月やピアス外せし穴に風
- 八月や背に死者の立つ気配
- 八月の湘南ボーイ老けにけり
- 八月や一つ増えたる鼻ピアス
- 八月や逝きし者らの声聞こゆ
- 静岡県 川口八重子
- 八月や白杖の先風蹴りて
- 愛媛県 砂山恵子
- 八月のピアス斜めに光りたる
- 八月の岬どこまで遠くなる
- 八月のOBの来る合宿所
- 人声の無き八月の給湯部屋
- 八月の白き道見る五病棟
- 埼玉県 宥光
- 八月の日の斑曼荼羅絵図の中
- 八月や水の補給の三杯目
- 埼玉県 宥光
- 八月や犀の園舎は修理中
- 八月の鬱に病名つける医師
- 八月の夜は自由な寝間着色
- 広島県 老人日記
- 八月や戦争見ずに終えたきや
- 八月やCT老いの身輪切りけり
- 夾竹桃八月六日を待て咲けり
- 八月の老いの日記の途切れがち
- 島根県
- 八月や秘密の文を焼く煙
- 島根県
- 八月の踏切開かず逃げられぬ
- 島根県
- 八月の日本列島鉄の黒
- 島根県
- 八月のちょっとは動くバンダかな
- 千葉県 伊藤博康
- 八月の約束反古になり易し
- 八月の準備整ふ野球場
- 八月やいたこ急ぎて隣へと
- 八月に親子で話す平和とは
- 何ごとも無き八月のありがたや
- 大阪府 森 佳月
- 広島で八月の旅終りけり
- 八月の電信柱融けず立つ
- 八月のラッパを吹くや外野席
- 八月の海たのしめずこの世情
- 八月の校庭広し砂けむり
- 兵庫県 髙見正樹
- 八月の港の夜明錨鎖音
- 八月の草は手強し野の小道
- 広島県 永野昌人
- 八月の自づと垂るる頭(こうべ)かな
- 父の亡き甥を鍛えん八月に
- 埼玉県 水夢
- 八月のビルの狭間に星ひとつ
- 八月の空へ駆けだす蒼き馬
- 埼玉県 水夢
- 八月や長崎の雨やはらかに
- 八月の献花台には白き花
- 八月の屋台舟ゆく風の中
- 東京都 豊宣光
- 八月の風に過ぎゆく季節かな
- 八月の休暇をしばし持て余す
- 八月や平和の鐘をつく少女
- 八月や祖霊の帰る門あけて
- サーファーのいない八月波高し
- 静岡県 城内幸江
- 山頂の八月積んで下りをり
- 心臓の弱音を聞いた八月よ
- 八月や雲止まるなと空の声
- 八月や水と頬張る塩にぎり
- 八月の光もろとも水をかけ
- 神奈川県 矢神輝昭
- 八月に思ふても見よ黒い雨
- 八月の天日への道バットレス
- 八月や気後れに添ふ風の色
- 八月の色は伏見の鳥居の朱
- 八月の風の荒さや室戸岬
- 茨城県 小松崎孝志
- 八月や引退迫る部活の子
- 八月やいつもの顔の子等来たる
- 八月や亡き父の歌口遊む
- 八月や球児の宝できあがり
- 八月や円陣の声青空へ
- 東京都 石川昇
- 八月や翼折れたる紙の鶴
- 八月の何処へも行かぬ余生かな
- 奈良県 平松 洋子
- 八月を待ちて髪切る友と会ふ
- 八月も音沙汰無きて孫遠し
- 奈良県 平松 洋子
- 八月の花嫁ビーチに輝きぬ
- 大阪府 永田
- 八月や傷痍軍人墓地無声
- ブラジル 林とみ代
- 八月や原爆投下国敗る
- 八月のオリンピックや世の平和
- 八月や同窓会の成り立たず
- 八月や一期一会の旅なりし
- 八月や祖先の墓に手を合す
- 栃木県 鹿沼 湖
- 八月や伏して聴く真昼のラジオ
- 大阪府 酒梨
- 八月は吾ときのこ雲の誕生日
- スーパー巡り八月の日課とす
- 厳かに八月の詩マリア像
- 吐きしつば八月にひつかかりけり
- 白砂に移りゆく八月の色
- 群馬県 塩原香子
- 吾の生まれし八月三日傘寿入る
- 八月や父の詩集のなつかしき
- 息苦し身のおきどころなき八月来
- 八月や海岸線の波高し
- 八月や蟾蜍たたずむ畦の傍
- 東京都 右田俊郎
- 忌まわしきあの日の記憶八月来
- 八月の記憶風化をさせるまじ
- 八月や妻の点前で茶を喫す
- めぐりくる八月思い出すあの日
- 八月の光の中の孤独感
- ブラジル 玉田千代美
- 八月の母の忌日を偲びけり
- 八月の結婚式や忌み嫌ふ
- 岐阜県 雅風
- 黙祷に停まる八月十五日
- 揃ひたる八月大名国際線
- 岐阜県 雅風
- 八月の六日九日十二日
- 語り継ぐ八月六日キノコ雲
- 八月は祈りの月や鶴を折る
- 神奈川県 井手浩堂
- 早朝の蝉鳴く八月十五日
- 富士雲に隠れ八月十五日
- 戦争を恨み八月十五日
- 京都府 村田稔子
- 自由研究決まらぬ息子八月や
- 宿題を枕に寝息の八月か
- 八月の空 ちいちゃんのかげおくり
- 東京都 中田ちこう
- 八月や裸婦微動せぬ無言館
- 山口県 ひろ子
- 遠距離の孫へたよりや葉月雲
- 静岡県 大澤定男
- 八月の甘えの記憶祖母ふたり
- 八月の訪う気配路地の奥
- 八月や迎えて送る居間茶の間
- 八月の路地に火を焚く慣いかな
- 八月や世話になったと父母祖父母
- 兵庫県 岸野孝彦
- 八月の雨がしみいる忠魂碑
- 八月の涸沢の日々光る雲
- 八月の桜若葉の栞かな
- 八月の空の蒼さや父母想う
- 八月の万死をのせて笹の舟
- 神奈川県 亀山酔田
- 八月尽浜に捨て釘混じる頃
- 八月や浜は海へと吸い込まれ
- 八月の田螺ぞろぞろ連なりぬ
- 八月や一山売りの茄子胡瓜
- 八月の岸を渡るも孤独なり
- 埼玉県 哲庵
- 八月や五大陸の輪交差する
- 埼玉県 哲庵
- 八月や鎮魂の海浪高し
- 八月や逆回転の花時計
- 疫病神踊る葉月の狂詩曲
- 八月の行き届きたるお・も・て・な・し
- 香川県 辰野
- 八月の湿度亡き人らの密度
- 八月の日射し陰まで食い尽くす
- 八月の決意目指すは看護師ぞ
- 神奈川県 龍野ひろし
- 八月や旋盤の吐く螺旋屑
- 八月や潮の香とどくカフェテラス
- 八月や指に零れし星の砂
- 静岡県 いたまきし
- 八月や隣の席の参考書
- 八月の欄干からの熱伝導
- 大阪府 鈴木千年
- 八月や人惜みては祈りては
- 八月を灯し蠟涙垂れやまず
- 八月や古老の戦物語
- 八月や朝な九九算復習へる子
- 魂の在処八月十五日
- 大阪府 鈴木三津
- 八月や一年分を子は育つ
- 八月の起きぬけの水嗚呼甘露
- 八月や鴨居の遺影一つ増え
- 八月や雑草も子も焦げてゐる
- 空襲に遺体なき魂八月来
- 大阪府 鈴木千年
- 魂の在処八月十五日
- 八月や人惜みては祈りては
- 八月を灯し蠟涙垂れやまず
- 八月や古老の戦物語
- 八月や朝な九九算復習へる子
- 広島県 Dr.でぶ
- じりじりと焦ぐ八月のヒロシマよ
- 徳島県 井内胡桃
- 八月の激辛カレー金曜日
- 八月や空いっぱいの薄き雲
- 大木に弾丸の跡八月来
- 八月の街行く人の色褪せて
- 八月のカピバラ唯に立ち尽くす
- 富山県 岡野 みつる
- 自堕落になる八月に活を入れ
- 八月や想い出も悲喜こもごもに
- 八月の空がワタシに容赦ない
- 三重県 藤田ゆきまち
- 塩むすび八月の雨の激しさ
- セントレア立つ八月の留学生
- 図書館のホチキス八月の語部
- 八月の時報飲み干したるスープ
- 福岡県 西山勝男
- 八月や機銃掃射を耳底に
- 鎮魂と祈る日つづく八月来
- ゲートルをほどく八月十五日
- 馬でさえ征って還らじ八月忌
- 祈る日の多き八月来たりけり
- 埼玉県 守田修治
- 八月や三四郎池無口なり
- 八月や牛の長鳴那須ケ原
- 八月や父の背を真似墓洗う
- 八月に黒い雨降る記憶あり
- 八月や聖者の行進口ずさむ
- 岡山県 名木田純子
- 八月や電車通りの昼の黙
- 陽水を聴く八月の風の中
- 愛知県 香坂泉
- 八月や「自販機まではまっすぐで」
- 八月の商店街に犬と居り
- 愛知県 香坂泉
- 八月の庭に仮置く温度計
- 八月の獣の聲のような濤
- 八月の海に置き去るあたしかな
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 八月の水に生かされ悩まされ
- 埼玉県 釜田眞吾
- 八月やブースの中を千羽鶴
- 八月や熟れし果実の口当り
- 八月の爪痕眼裏に消えづ
- 北海道 飯沼勇一
- 八月の夜店冷やかし歩きけり
- 八月の山に向かって腰伸ばす
- 大仏は鎮座黙考葉月の夜
- 八月や首に貼り付く髪10本
- 八月の牛の瞳の碧きこと
- 神奈川県 原川篤子
- 祈ること数多ありけり八月来
- 疎開せしあの地に今も八月来
- 八月や草原尽きて八ヶ岳(やつ)聳ゆ
- 八月や水面に樹々の黒き影
- 八月やノルマンディーの海静か
- 千葉県 伊藤順女
- 疎開した農家の納屋の八月よ
- 六畳の奥へ奥へと八月光
- 木のオブジェ渚に寄する八月尽
- 神奈川県 立野音思
- 走れ翔べ泳げ撃て八月五輪
- 八月よ終の一度か海を聴く
- 八月は海賊のとき宝島
- 八月や森の遊びの時間割
- きらめきて漂ひて八月の海
- 神奈川県 安藤 真青
- 八月や終戦までの本あさる
- 八月や山頂の我に風とおる
- 神奈川県 安藤 真青
- 八月やプール通ひの最後の日
- 埼玉県 小玉拙郎
- 八月の港漁網に塩白く
- 八月や戦さに負けて何年目
- 八月の秋は俳句の中ばかり
- インク漏る文月文机万年筆
- 愛媛県 加島一善
- 白色を点し八月となりにけり
- 八月や久々に行く同窓会
- 八月の瀬戸に香るや青檸檬
- 八月の浜辺に届くシーグラス
- 八月の浜に届くや異国文字
- 愛知県 いちご一会
- 八月や正座して読む手記二冊
- 八月や見上げて通る忠魂碑
- 東京都 岩川容子
- 八月の路地の奥よりカレーの香
- 八月の乱雲とみに形変え
- 八月六日教会の鐘鳴り響く
- 八月やシーツ真白く乾きけり
- 八月やパレットに赤しぼり出す
- 愛媛県 アリマノミコ
- 「八月の鯨」みたかとラインくる
- 八月や鉄棒にぎる同窓会
- 千葉県 風泉
- 葉月立ち卯月につづくペンキ塗り
- 薄れゆく罪の重さや八月十五日
- 軒の蜘蛛狩り場を移す葉月かな
- 葉月立ち鍛える脚や浜の熱
- 愛知県 斉藤浩美
- 八月のたけなはとなるフラダンス
- 八月を風に乗せたり紙飛行機
- 八月の昭和一桁口重し
- 湯のやうな八月の水手向けたる
- 愛知県 斉藤浩美
- 八月の長き黙禱まだ戦後
- 埼玉県 飛翔
- ワクチンを二回終わりて八月尽
- 八十路まだ夢見る日日や八月尽
- 八月に待つ事なしや傘寿来る
- 八十や節目重たし八月尽
- 銀輪買ふまず八月の風を切る
- 東京都 笹木弘
- 八月の昭和が遠くなりにけり
- 八月は記憶喪失の日本かな
- 無精髭の伸び過ぎてゐる八月尽
- 八月の天辺に来る観覧車
- 日本の国の傷つきし八月かな
- 神奈川県 池田恵美
- 八月や文机に供花たやさざる
- 八月や万年筆で書く手紙
- 八月や声変はりせし隣家の子
- 東京都 水野邦彦
- 八月や遠くで海が鳴っている
- 八月や郷愁騒ぐ西東
- 八月も微動だにせず過ぐるかな
- 八月や平和唱えて幾星霜
- 八月や大波小波どどんどん
- 福岡県 多事
- 八月や知覧の丘の文の海
- 八月の水出し紅茶子の寝息
- 八月の星つかみどり駒ヶ岳
- 八月をやはり造花としてしまふ
- 八月を嫌ひとなつてゆく躯
- 神奈川県 重兵衛
- 八月や忘れたきこと忘れ得ず
- 八月や楷書の文字の目立つ街
- 八月やマスクばかりの座談会
- 神奈川県 重兵衛
- 八月や難題出づるまたひとつ
- 福岡県 川崎日知
- 八月や鉄道唱歌鳴る時計
- 八月の空に戦闘機は在るか
- 八月の空へ波濤へ祈り満つ
- 東京都 猪俣ま悠
- 八月を折る折鶴の形まで
- 八月の改札下駄の響きけり
- 祖父様の語る八月焦げ臭き
- 姿見の奥八月の空暮るる
- 貝殻の渦八月の音ありぬ
- 福岡県 世良日守
- 八月の砂に生るる有精卵
- 東京都 山本貴士
- 子を抱きて入る八月の閨の色
- 八月の坂登る人九段下
- 八月や頬のみ焼けて子の笑ふ
- 八月の子ら持ち帰る植木鉢
- サイレンを背に八月のエースかな
- 滋賀県 別役昌子
- 球場の銀傘へ八月の雲
- 八月の風にラジオの声震う
- 八月の雨烟る浮御堂かな
- 八月の忌日の墓石其処彼処
- 八月や細工町より転籍す
- 東京都 豊島仁
- 涙する父の八月十五日
- 八月やいつもピカピカ父の靴
- 八月の涙は重き日本かな
- 八月や庭の大石禅の僧
- 八月や今ぞ手をとれ五大陸
- 神奈川県 髙梨裕
- 八月の美ら海の島灯る墓地
- 八月の影立ち上がる爆心地
- 神奈川県 髙梨裕
- 生き延びて祈る八月恥じいる手
- 騙す八月黙するヤ五輪の火
- 八月の喉越し玉子かけ御飯