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- 俳句庵 2022年03月 優秀賞発表
- 俳句庵 2022年03月 作品一覧
俳句庵
3月『燕』全応募作品
(敬称略)
- 愛媛県 砂山恵子
- また来たると燕はつんと澄ましたる
- つばくらめ急ぐことなき旅の宿
- 我が街に知らぬ抜け道初燕
- 人ゐなき駅前通りつばくらめ
- モノクロの空銀の矢のごと燕
- 兵庫県 岸下庄二
- 燕来る父の表札そのままに
- 我が町の子午線過る燕かな
- 留守電に燕が来たと母の声
- 初燕来るころ納屋の戸を閉めず
- 去年より十日遅れの初燕
- 栃木県 鹿沼 湖
- 来るたびに嬉しき軒の燕かな
- 兵庫県 汰
- 燕の巣帽子にすれば安全や
- 兵庫県 えいえい
- 学校で守られている燕の巣
- 東京都 長岡馨子
- つばくろや二組いると仏壇に
- 岐阜県 金子加行
- ビル群を避けつつ都心燕来る
- 棟上げの唄に呼ばるや燕来る
- スマートに都心の空に燕とぶ
- 新校舎覗きに来しや初燕
- 初燕村社の鳥居巧く抜け
- 山梨県 森下博史
- そう言えば賢治に燕あったっけ
- 障子打つ声の勢いある燕
- 山間の宿の屋号にある燕
- 二日酔いしない燕としてる俺
- みかん箱燕の糞を撒く畑
- 愛知県 岩田勇
- 大手門燕と共に入りにけり
- 暗渠出て用水の底つばめ飛ぶ
- 県境の谷飛び交ふや里燕
- 斥候の燕飛来や役所街
- 燕来る造り酒屋の蔵開き
- 愛知県 西谷寿
- コロナでも燕はとんで激励す
- コロナ禍で燕は希望与えとぶ
- 燕とび希望を与え夢与え
- 燕見て折れた心も立ち直る
- 燕とぶ希望上昇がんばるぞ
- 大阪府 木山満
- 初燕水面(みなも)に反りて白き腹
- 廃屋の駅舎に律儀ツバメ来る
- 子つばめ等同じ口開け餌をねだる
- 白壁に燕舞い来て夕焼けり
- 夏燕キビキビと空駆け巡り
- 滋賀県 東野眞知子
- 教室の窓から見える燕の巣
- 抱くとは手で包むこと燕の巣
- 登校の子の先をゆく燕かな
- 百年の木造校舎燕来る
- 燕来て孫来て家の賑々し
- 大阪府 藤田康子
- 燕来る教会だつた白き家
- 燕見て手話の燕を教へけり
- 東京都 岩崎美範
- 鈍色の空を切り裂き燕来る
- ふるさとは昭和のままや初つばめ
- この里の慈愛忘れず燕来る
- 潮の香の満つる朝市初つばめ
- 東京都 岩崎美範
- 大過なくけふも暮れゆく夕燕
- 長野県 矢島健
- 水口に水面に映る初燕(みなくちにみなもにうつるは
- 燕の子顔いっぱいに口開き
- 大空に飛燕の如く宙返り
- 口開きて叫び狂いしひな燕
- 軒下に顎裂けるかな雛燕
- 宮城県 林田正光
- 霧雨や低空飛行雨燕
- 燕飛ぶ合掌造りの屋根越えて
- 燕来る北前船の港町
- 静岡県 磯野昭仁
- 引越しの荷に二つ入れ燕の巣
- 二拝二拍手大社の燕の巣
- 燕や茶屋街つづく主計町
- 畑急ぐ燕低く飛び急ぐ
- つちくつてむしくつてつばくらめとぶ
- 愛知県 飯田 夷佐久
- 初燕シャッターいつも半開き
- 燕きて襟を正して歩きけり
- つばくろの尾羽根裂きたる夕陽かな
- 長野県 木原登
- 夕されば燕飛び交ふ湖の町
- 姨捨は無人の駅舎燕来る
- アルプスの空に燦々一飛燕
- 火の見櫓に村を見下ろす初つばめ
- 良寛と芭蕉と燕出雲崎
- 福岡県 やまぶき
- 子等の声消えて幾年燕来る
- 乙鳥の横切る刹那小さき窓
- 故郷の無人駅舎や燕来る
- 白杖の音を撫で行くつばくらめ
- 埼玉県 北川清
- 江戸燕 伊能忠敬 お供して
- 巣に帰り 母燕待つ 日暮かな
- 燕みる 自然学習 車庫の巣
- 初燕 旅の疲れか 池の水
- 神宮の 燕旗ふり 優勝す
- 東京都 勢田清
- 燕飛ぶ空も水田に映りけり
- 翻る燕の喉の赤さかな
- 駅前に燕飛び交う町古し
- 出張の空広々と初燕
- 福来ると巣作る燕喜びぬ
- 静岡県 城内幸江
- ギシギシと音鳴る雨戸夕燕
- 燕来るテトラポットは海沈む
- 初燕指一本で風をみる
- からからと鳴る風見鶏つばくらめ
- 学校の正しきチャイム燕来る
- 岡山県 名木田純子
- 宿場町つばめの空の上にそら
- 自転車屋パンク修理に燕来る
- つばくろの四国三郎遡る
- 燕来る午前十時の日に乗つて
- つばめ来る湾にたぷたぷ舫ひ船
- 千葉県 四葩
- 青空を斜めに広げ初燕
- 一斉に燕見上ぐる顔のあり
- 徳島県 白井百合子
- 御蔵洞の燕眺めた土佐の海
- 夕燕住み処一緒の帰り道
- 燕来る眠気を誘う宵の口
- 雛鳴きて目覚める朝の燕かな
- 徳島県 白井百合子
- 入試の日答知りたし燕来る
- 大阪府 津田明美
- 子育ては人も燕も手抜き無し
- 彼の国の復興如何に燕来る
- 子育ては軒の住人つばくらめ
- 翻へす天地我が物つばくらめ
- つばめ滑空温泉街の賑わいに
- 徳島県 井内胡桃
- 初つばめ裏通りぬけ街道へ
- 二冊目のお薬手帳初つばめ
- 縄文の茅葺屋根や初燕
- 日を返し天地を返す燕かな
- あばら屋に戻り来るかつばくらめ
- 兵庫県 岸野孝彦
- 駅長は燕のごとき無人駅
- さよならと告げぬ想いの燕かな
- 息子にも良縁来たる燕かな
- かすめ飛ぶ燕の影の速さかな
- 限界の里を励ます燕かな
- 大阪府 森 佳月
- 城址に天守ある如く燕飛ぶ
- デイケアから妻と一緒に夕燕
- 大鳥居くぐりて燕伊勢参り
- 神奈川県 矢神輝昭
- のど赤きネッカチーフやつばくらめ
- つばくらめ止め跳ね払い謳歌して
- おお燕よくぞ忘れず代々木駅
- 缶蹴りの缶を掠めてつばくらめ
- ハーフパイプ燕と化して"歩夢"舞ふ
- 高知県 野中泰風
- 起床にて吾が目覚ましの燕かな
- 土虫喰らい口渋い燕かな
- 高知県 野中泰風
- 軒下や燕の巣あり家の幸
- 燕から巌流や得る刀の理
- 燕着る大統領やエストニア
- 埼玉県 関とし江
- 宙返り見せる知覧の夏燕
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 初燕紙飛行機を飛ばしけり
- 奈良県 平松 洋子
- お下げ髪燕まだかと空仰ぐ
- 静かなる路地に燕はさんざめく
- 校舎裏は燕のママの集会所
- 沖縄県 渡嘉敷五福
- 横雲を行きつ戻りつ朝燕
- 思ふまま燕ならでの基地の空
- つばくろよ渚に春は来ていたか
- 燕きて千とせふる樹の息吹かな
- 燕来るいぶせき日々のゆふぐれに
- 千葉県 峰崎成規
- 空翔る燕に国の境なし
- 住古し軒に今年の燕来る
- 蒼穹に燕尾一筆丸を書く
- 餌も泥も軒もない街燕飛ぶ
- 燕の巣老舗とともに代々を
- 神奈川県 神長誉夫
- 燕子ゆけヒールの音も軽やかに
- 燕追い裸足で駆ける土優し
- 潮の香や南の窓開け燕待つ
- 初燕発車オーライ高らかに
- 燕来て祖父の掠れた島の歌
- 神奈川県 塚本治彦
- 通勤の水上バスや川燕
- つばくらや新橋駅の靴磨き
- 事件なき村の派出所初燕
- 神奈川県 塚本治彦
- 遅刻子を追ひ越してゆく燕かな
- つばくらやどぶ板通り抜けて海
- 埼玉県 関とし江
- 干し魚掠め金谷のつばくらめ
- 顔中で子燕餌をせがみをリ
- 開けておく土間の燕の出入りに
- 初燕いつもと違ふ朝の駅
- 三重県 平谷富之
- 燕来るコロナの良薬持ってこい
- 茨城県 小松崎孝志
- つばくろや急な坂道ペダル漕ぐ
- 白壁の土蔵が似合う燕かな
- それぞれに羽広げたる群燕
- 直角の羽水平に飛ぶ燕
- つばくろや大空を突く避雷針
- 東京都 内藤羊皐
- 燕来るビル屋上の赤鳥居
- 桃園の地名知らざるつばくらめ
- つばくらや家に籠れる鬱病む子
- 静寂れる鶏舎掠める燕かな
- つばくろの翳の疾れるアーケイド
- 愛媛県 加島一善
- ワイシャツを薄紅に染め夕燕
- 燕来るスカイツリーを目印に
- メビウスの環のごと飛ぶやつばくらめ
- シャッターを三尺上げて燕待つ
- つばくらめ銀の足環に「KANKYOSYO」
- 千葉県 渡辺多美子
- ご城下の小さな駅や初燕
- 燕飛ぶ水の豊かな城下町
- つばくらめ鉄路八本跨ぐ橋
- つばくらめ城下の酒屋味噌を売る
- 千葉県 渡辺多美子
- 久留里駅猫ゐて燕飛んてきて
- 広島県 老人日記
- 初燕迷い込んだるビルの谷
- つばくろの恋一瞬や宙返る
- 一閃に燕横切る峡の空
- 軒先は去年のままや燕来る
- 神奈川県 井手浩堂
- 通学の道や燕の通ふ道
- 燕返し見むと人寄る欄干に
- つばくろや燕返しに折り返し
- 岐阜県 雅風
- 空を切り地を這ひ燕来たりけり
- マラソンの折り返し点つばめ来る
- 本陣に羽を休むる夕燕
- 小次郎に秘剣授けしつばくらめ
- 通り雨楽しむごとく濡れ燕
- 東京都 佐藤富幸
- 電線の燕の列に鴉舞ひ
- 燕舞ふ手裏剣の如空彼方
- 田の空を行きつ戻りつ燕舞ふ
- 燕舞ふ小さき鳴き声虫の如
- 軒燕運べど遅し巣の形
- 東京都 佐藤美智子
- 朝礼の社歌にきらりと初燕
- 両岸に竿とたも網燕来る
- 日の丸へ風を与へて燕来る
- 廃業の噂知らぬか夕燕
- 朝採りの野菜しゃっきり里燕
- 千葉県 徳翁
- いつの間に後期高齢ツバメ来る
- 今年また花粉と共に燕来る
- 燕飛ぶ紺一色の入社式
- 埼玉県 いまいやすのり
- 貸倉庫つばめ早々巣作りす
- アパートの軒下借りる初燕
- 曇天に低空飛行つばめ来る
- ふるさとへ続く青空つばめ来る
- 真新し並ぶ表札つばめ来る
- 岡山県 岸野洋介
- 帰り来た燕さっそく巣繕い
- 白き胸見せて飛び来る初燕
- 人通り少なき街路燕飛ぶ
- 日暮れ時低き飛翔の燕たち
- 入所したケアハウスにも燕くる
- 神奈川県 猪狩鳳保
- 東塔と西塔よぎる燕かな
- 初燕大名行列斜交ひに
- 燕とぶむかし港の石堤
- 腕組んでつばくら仰ぐアスリート
- 大路小路の鳥居くぐれる燕かな
- 東京都 秋人
- 息殺し皆で見守る燕の巣
- 兵庫県 髙見正樹
- 信号を待つ交差点初燕
- つばくらめ橋をくぐりて宙返り
- 聳え立つ荷役クレーン燕来る
- 福岡県 須賀利通
- あみだくじ遡るかに路地燕
- 切っ尖の光りて我へつばくらめ
- 黒潮へ風力十二初燕
- 東京都 伊藤訓花
- 子燕の親待つ声や長屋門
- 初燕すいーと宙へ急上昇
- 真つ直ぐに空を切り裂く初燕
- 生国は駅のホームや燕の子
- 東京都 伊藤訓花
- つばくらめ水に翅打つ急降下
- 宮城県 林田正光
- 空海も目にした高野の飛燕かな
- 汐風に季節はずれの諸燕
- 東京都 衣川洋子
- 飛ぶときは いつも直線 つばくらめ
- 岐阜県 ときめき人
- 初つばめ逝きたる父は西方へ
- 東京都 豊宣光
- 軒先に燕の子らの口開く
- 古希過ぎてわれは老いたる燕かな
- 初孫の生まれる佳き日燕来る
- 空気切る一瞬の風燕飛ぶ
- 着ぐるみの燕となりて遊びけり
- 埼玉県 飛翔
- 若者の居ない村にも燕来る
- 燕来るいつもの軒に棲み慣れし
- 受かったとメールあるなり初燕
- ジャンケンで負けて泣く子や燕来る
- 三回目のワクチン接種つばめ来る
- 兵庫県 平尾美智男
- 硬き空鋤き返しつつ燕来る
- 三重県 後藤允孝
- 里燕人より多き村の家
- つばくらの一声に街動きだす
- 燕来て街に昭和のよみがえる
- つばくろや運び留むる筆の先
- 今年また世話をかけると燕言ふ
- 茨城県 長洲研志
- 姪っこの制服姿燕来る
- 東京都 たま走哉
- 燕や余白を落とす裁断機
- 一億の一分の黙燕来る
- 本復の刺繍電報つばめ来る
- 君が代の予行演習燕来る
- 東京都 たま走哉
- 燕来る付箋の多き訳詩集
- 神奈川県 沼宮内薫
- バック転ピタリと決めるつばくらめ
- 町名はハイカラになるつばくらめ
- よそ者をガン見しているつばくらめ
- 地下鉄のホームねぐらのつばくらめ
- 怪力を秘めたるやうなつばくらめ
- 埼玉県 水夢
- 燕来るカーナビ告げる県境
- 道の駅こんな所に燕の巣
- 初つばめ昼な暗き土蔵かな
- 初燕かって練兵場の跡
- 暮れ残る板東たろう初燕
- 千葉県 伊藤博康
- 桃虹の書が眼前につばくらめ
- 長旅の疲れは無いかつばくらめ
- つばくらめ今夜の宿は決まったか
- 定宿の米屋を探す燕かな
- つばくらめあちらの話聞かせてよ
- 大阪府 古田小春
- つばくらめ九回裏のホームラン
- 軒下に幸せ運ぶつばくらめ
- 増えてゆく吾子の言葉やつばくらめ
- つばくらめ何かいいことありそうな
- 神奈川県 亀山酔田
- 絡みつく空の空気を切る燕
- 三代は続く家なりつばくらめ
- 耕せば畑真上のつばくらめ
- 休みいる燕の一羽書架は空
- 降り止みて素早き燕地を舐めり
- 埼玉県 小玉拙郎
- 燕の子サイレン慣れす消防署
- 埼玉県 小玉拙郎
- 人消えて燕も帰らぬ町となり
- 浮子揺れる川面を過ぎる燕かな
- 逆光を抜けて川面を行く燕
- 福岡県 西山 勝男
- 特攻のかつての空をつばくらめ
- つばめ来て日増しにつのる農事かな
- 閘門は遺産の一つつばめ来るつばめ
- くっきりと飛燕の空へ薩摩富士
- 入り舟に出船に燕ひるがへり
- 愛知県 新美達夫
- 通り抜け出来ぬ小路を初燕
- 頬撫でる風青々と燕飛ぶ
- 燕飛ぶ銀座本町商店街
- 燕来と日付とともに書き留む
- 南吉の童話の里に燕来る
- 埼玉県 宥光
- 白き腹見せて吾を越す初燕
- 羽たたみ雛に餌をやる親燕
- 燕来て青空広き蔵の町
- シャッター街灯のある店に軒燕
- 嘴にひとつ泥持つ濡燕
- 北海道 風花美絵
- 山川に順に挨拶里燕
- もしかして過ぎし物体初燕
- 大阪府 古田 几城
- さとちやんの象の薬局つばめの子
- 東京の空の青さを燕とぶ
- 電線に並ぶつばめの燕尾服
- つばめ来る築百年の無人駅
- ワクチンの長き行列つばめ来る
- 静岡県 大澤定男
- 初燕はしご句会も若気かな
- 静岡県 大澤定男
- 初燕拗ねて泣かない孫娘
- 初燕国旗掲揚なる名誉
- 初燕リホームしても妻の愚痴
- 初燕終活という沖に出て
- 神奈川県 龍野ひろし
- 駅舎から通勤したる燕かな
- 愛媛県 加島一善
- ワイシャツを薄紅に染め夕燕
- つばくらめ銀の足環に「KANKYOSYO」
- メビウスの環のごと飛ぶやつばくらめ
- 燕来るスカイツリーを目印に
- シャッターを三尺上げて燕待つ
- 京都府 村田稔子
- 燕来る 丈の短い 学制服
- 故郷の 川面を滑る 初燕
- 香川県 辰野
- 手習の動画投稿燕の巣
- 新人の業務燕の糞掃除
- 滋賀県 村田紀子
- 転居日の新居に燕会いに来る
- 燕の巣祖母の声する軒の下
- 無機質な部屋に燕が暖運ぶ
- 飛翔する燕見上げて背伸びする
- 埼玉県 七島
- 正装の燕の父の一直線
- 子育てや燕夫婦の脛細し
- つばめの子ふるさとの空忘るるな
- 燕飛ぶ一直線の家路かな
- 横長に結んだ口よ燕の子
- 大阪府 鈴木千年
- 白よりも白き胸見せ初燕
- 燕来て親しきものに農暦
- 一天に画竜点睛初燕
- 大阪府 鈴木千年
- 燕来て茶房に臨時出入口
- 燕来て春が大きくなつて来し
- 大阪府 鈴木三津
- 大空を傾けて飛ぶつばくらめ
- 改札口出入自由やつばくらめ
- 大寺の庫裏に燕の通ひ穴
- つばめ来て駅が明るくなりにけり
- 雨切つて光の翔くるつばくらめ
- 奈良県 彬楽
- 池めぐりめぐり一面親燕
- 老会話何度聞いても燕くる
- 退院のバス待つ今朝の軒燕
- 空や地についこの頃に逢う燕
- 千葉県 伊藤順女
- 古書店を出て眩しき初燕
- 断崖にぶつかる波や初燕
- 燕の子難民の子も腹すかせ
- 千葉県 山田香津子
- 歯科医院の逆さの傘や燕の子
- ランドセルのいつも道草里燕
- 黄帽子の並ぶ畦道つばくらめ
- 東京都 中田ちこう
- 直線の影さし寄せる初燕
- 埼玉県 ダック
- 空は青今更気づく初燕
- 燕の巣残し離るる生家かな
- 軽トラで駆ける農道燕来る
- 前回りくるんくるん燕びゅんびゅん
- ゐぬ連れを問えばチュピチュピ初燕
- 千葉県 風泉
- ・群れ燕十七グラムの渡海かな
- ・ワルツ舞う若穂の波に燕尾服
- ・八方へ返して若穂の燕かな
- 千葉県 風泉
- ・下顎の切り裂く湖面や川燕
- 神奈川県 川島欣也
- 燕尾服脱ぐとき知らずつばくらめ
- 消防署燕に駐車場をあけ
- つばくろに見捨てられてや空屋敷
- 八の字の凱旋飛行初燕
- 初燕低く垂れ込む雲の下
- 大阪府 金成愛
- 燕来てほれそれらしく直孤紋
- 神奈川県 海野優
- 燕来る立ち入り禁止と軒に札
- つばくらめ二世帯住居の話かな
- つばくらめ嫁ぐ気のなき姉妹
- 福岡県 須賀利通
- つばくろや小路に響くカンツォーネ
- つばくらや凱旋飛行は厩橋
- 埼玉県 哲庵
- 燕来る帰還困難地域にも
- 廃線の決まりし駅舎燕来る
- 燕来る自宅治療の庇にも
- 赤門をくぐり抜けたり初燕
- 頭上注意見上げてみれば燕の巣
- 神奈川県 原川篤子
- 雨匂ふ街に燕は低く飛び
- 改築の酒屋の軒に燕来る
- 今日か明日か燕待ちゐる駅舎かな
- 江の島や晴れて燕の空となり
- つばくらめ一閃空を削ぐごとく
- 埼玉県 桐野鈴子
- 子燕の頭が見える道の駅
- 燕来る尊徳像の肩の上
- 東京都 山﨑勝久
- 海峡の武士の空燕来る
- ライパチの見上げる空や燕来る
- 東京都 山﨑勝久
- 高台に揃ふ家並み燕来る
- 滋賀県 別役昌子
- 燕去んで空の巣残る軒の下
- 燕来てなお空室の会議室
- 三セントの琉球切手燕一羽
- 朝燕チュピチュピと鳴く赤き喉
- おちこちに紛争地帯燕来ぬ
- 東京都 松本征枝
- 寅さんの如く燕の帰り来し
- ジュリジュリと宿に燕の告げ来たり
- 子育ての手本と思しきつばめかな
- 問ひたきは去年の君かと軒つばめ
- 燕来て我が家の景色完成す
- ブラジル 玉田千代美
- 諺に燕来る家幸ありて
- 燕来る家の軒下家族連れ
- 愛知県 紅紫あやめ
- 学舎の廊下を走る燕かな
- 垂直に燕と走る飛行機よ
- 旋回や別れ匂わす初燕
- 燕来る新居に招き福来たる
- 燕の巣弱き者は追い出され
- ブラジル 林とみ代
- 電線に疲れを癒す燕かな
- 大空にサーカス広ぐつばくろめ
- 軒下は燕の出入り公に
- 電線に音符並べて燕曲
- 我が軒を古里ごとく燕来る
- 東京都 岩川容子
- 棟上げの祝いの空に初燕
- 燕拠る育ちし家の深庇
- 燕来る駅長だけの無人駅
- 東京都 岩川容子
- 雨垂れも物ともせずに軒燕
- 愛知県 香坂泉
- 逆上がりの空に燕の白き腹
- 建具屋のリフォーム見本燕来る
- 燕来る新築の壁ましろなり
- ブラジル 西山ひろ子
- 良き事のある前触れや燕来る
- 晴れの国我が故郷や燕来る
- 久しぶり夫と笑ひて初燕
- 望郷の胸をつく日の初燕
- 大阪府 酒梨
- 一村を一回りして初燕
- 颯爽と古巣へ戻る軒燕
- 語らひは電線のうへ群燕
- 村人は爺と婆のみ燕来る
- 初つばめ色を濃くして戻りけり
- 愛知県 いちご一会
- 燕来る更地となった雑貨屋に
- 古巣無く更地に燕低く飛ぶ
- 東京都 内山 岱鵬
- 改札にフンの貼り紙初ツバメ
- 東京都 内山 岱鵬
- 夏燕風に逆らいストップモーション
- 江戸の町掠めて燕翻し
- 川面飛ぶ特急つばめや一直線
- 釣り糸や一閃ニアミス川燕
- 神奈川県 立野音思
- 燕来るまた賑やかな暮らしかな
- 忘れ潮映す燕や浜遊び
- 波の背に乗りたるごとくつばくらめ
- 山越へて一直線に初燕
- 東京都 右田俊郎
- 何時の間にかつばめ来ている駅舎の巣
- 宙返りして喜びをつばくらめ
- つばめ来て少し元気になれる村
- つばめ来て賑わいもどる無人駅
- 餌をもとめ子育て中のつばくらめ
- 埼玉県 石塚彩楓
- 窓多く明るき部屋よ初燕
- カーブミラーひかる燕の空である
- 一刀を抜きし如くに燕飛ぶ
- 唐門の金の彫刻初燕
- めがね橋ぎりぎり潜る初燕
- 北海道 風花美絵
- 山河に序列違わぬ里燕
- 福岡県 多事
- つばくらめ白き腹より白き糞
- つばさ上ぐる刹那は白しつばくらめ
- 初燕保母さん二人子ら七人
- 岩礁をのぼる朱燈やつばくらめ
- 中学より汽車通学よつばくらめ
- 兵庫県 ぐずみ
- 薪背負ふ石像掠めつばくろは
- 軒燕寐ぬを仕事の猫動く
- 兵庫県 ぐずみ
- 立ち止まることの苦手な燕かな
- 燕来る愚痴も苦情もこぼさずに
- 弥増さる川の光や初燕
- 東京都 音羽凜
- つばくらめ都会の架線なき空へ
- 注染の暖簾の白へつばくらめ
- 神奈川県 髙梨裕
- 初燕電柱消えた深空より
- 我にきてつばくろ頭上ひるがえる
- 子燕とおぼしき燕戻りけり
- 出会せば羽根振り返す親燕
- 幾世代去りては来たる里燕