伝統と革新。グローバル×海苔で見据える山本海苔店の成長戦略とは?

創業170年を超える老舗でありながら、常に挑戦を続けてきた山本海苔店。伝統を守るだけでなく、飲食事業「手巻き YAMAMOTO」や海外展開など、新たな取り組みを積極的に進めています。

そんな同社が大切にしている価値観が、“謙虚で貪欲”という言葉。海苔という自然の恵みを扱うからこそ、変化を受け入れ、学び続ける姿勢が欠かせません。

今回は、こうした考えにある背景や今後のグローバル展開などについて、代表取締役社長の山本貴大(やまもと たかひろ)さんに伺いました。

「食品業界で世界を舞台に挑戦したい」「伝統と革新が共存する環境で成長したい」、そんな想いを持つ方にぜひ読んでいただきたいインタビューです。

“謙虚で貪欲”に学び続ける。海苔を完璧に理解する日はこない。 

▍「謙虚で貪欲」という採用基準について詳しくお教えください。

前提にあるのは「海苔はとても奥深く、難しい」ということです。

海苔は“天産物”で、毎年産地や気候などの条件によって味が変化します。

日本の産地だけでも大きく仙台湾・東京湾・瀬戸内海・有明海の4つがあり、有明海の中でも佐賀・福岡・熊本に分かれ、さらに支所という単位で分かれており、それぞれで味が変わります。また、支所の検査員の見立てにも微差があります。

だからこそ、「分かったつもり」にならず学び続けることが欠かせません。

私たちよりも海苔と向き合っている海苔漁師さんですら「毎年一年生です」と言うくらいです。

私の中では、”謙虚さ”と”貪欲さ”はほぼ同義で、「貪欲に学び続けるために、他者から素直に教わる謙虚さが必要」と考えています。

▍あえて、それぞれの言葉を使用しているのは何か意図があるのでしょうか?

海苔は本やデータだけでは分からず、人から学ぶ必要があります。

現地の漁師さんなど産地の皆さまの暗黙知に触れ、検査体制の微妙な差も咀嚼し続ける。ここで教わる姿勢には”謙虚さ”が不可欠だと考えています。

貪欲で学ぶ意欲がいくら強くても、そこに”謙虚さ”がなければ、周囲の人が「教えてあげたい」と思ってくれないこともあります。

▍どういった人がその両方の性質を兼ね備えていると思いますか?

難しいですが、失敗した経験や苦労したことに対してどう向き合い、そういった過去をどのように解釈し、そこから何を学んだか、というところに表れるのではないかと思います。

一枚の海苔に妥協を許さない。仕入れから始まる山本海苔店の品質。

▍毎年味が変わるというお話がありましたが、原料と製造、それぞれの味に対する影響度はどのくらいと考えていますか?

現場の職人が謙虚だからかも知れませんが、職人は「原料:製造=99:1」と言っています。

私たちは、漁師さんが板状まで仕上げた“板のり”を仕入れ、焼いて袋に詰めます。

もちろん焼き加減で味は変化しますが、素材そのものの味や香りを大きく変えることはできません。

そのため、仕入れの段階で味はほとんど決まります。

▍仕入れの段階で工夫されていることはありますか?

多くの海苔問屋は仕入れの前日に現地を訪れることが多いですが、弊社では約10日前から現地入りするようにしています。

海苔の収穫が始まった直後から、生産者がその日摘み上げた海苔の味を確かめます。

「昨日より香りが強い」「口どけが少し変わった」といった細かな違いを毎日確認し、出荷ロットごとの特徴を把握していきます。

たとえば、色味が同じでも、風味や口溶けにわずかな違いがあれば等級が変わりますが、そこの分類が適切にされているかどうかを判断できるようにするために、収穫のタイミングから味を確認しています。

その上で、入札会に出される見本と、実際に出荷されるものが同じ品質であるかどうかを自分たちの舌で確認します。

さらに、仕入れた後に自社でも仕訳を行い、味・香り・見た目のバランスをもう一度チェックします。

こうした工程を重ねるのは、すべて「お客様に最適な品質の海苔を届ける」という信念があるからです。

特にギフト商品は「人から人へ渡るもの」です。もし品質のばらつきがあれば、受け取った方と贈った方の関係性まで壊してしまうかもしれません。

だからこそ、仕入れから自社での仕分けまで一切の妥協をせず、全員が責任を持って品質を確かめています。

時代の変化に合わせて進化し続ける。170年変わらない挑戦のDNA。

▍2025年11月には飲食事業「手巻き YAMAMOTO」を開業されていますが、背景にはどういったお考えがあるのでしょうか?

山本海苔店は創業170年を超える老舗ですが、これまでも社会の変化に合わせて新しいことにチャレンジしてきた歴史があります。実は、日本で初めてドライブスルーを導入したのもファストフード店ではなく山本海苔店です。

「手巻き YAMAMOTO」を始めた背景も社会の変化です。

山本海苔店だけでなく海苔業界は、中元歳暮を中心としたギフト市場に支えられてきましたがそのギフト需要が縮小していく中で、結果として駅・空港・量販店・ECなどのお土産市場へ販売チャネルを拡大してきました。

今回の飲食事業では、看板商品である海苔「梅の花」を焼きたての状態でお客様にお届けし、改めて海苔本来のおいしさを感じていただくことが狙いです。

<参考記事>
山本海苔店が新本店開業に伴い新業態「手巻き YAMAMOTO」をオープン

▍国内よりもグローバルでの事業規模の方が大きいと伺っています。グローバル展開の現在地について教えてください。

山本海苔店グループはロサンゼルス、ニューヨーク、メキシコ、上海、ポーランドに海外製造拠点を構えています。

事業規模で見ると、グローバルの売上は国内の約3.5倍ほどになっていますが、今後よりグローバル事業は拡大していくと考えています。

▍やはり日本食の人気に伴い、海苔の需要も高まっているのでしょうか?

おっしゃる通りです。

弊社でリサーチしてみたところ、和食レストランは2006年の時点で約2.4万店だったのが2023年では約18.7万店へ拡大しており、17年間で約8倍になっています。

和食レストランでは当然海苔が多く使用されるので、海苔のニーズも高まります。

また一人当たりGDPが6,000ドルあたりを超えると食への関心が高まり、それに伴い和食レストランが増えるということがわかってきました。

インドやアフリカなど、これから一人当たりGDP6,000ドルを超えていくであろう国々を見ていくと、少なくとも2050年までは市場はどんどん拡大していくと考えています。

これは半導体よりも安定的に伸びる市場だと思っています。

▍今後のグローバル展開についてはどのような展望を描かれていますか?

これから大きく成長していくであろうインドとアフリカへの展開については考えています。

関税や物流の条件などを踏まえて、両国にアプローチしやすい国々に供給拠点を作っていくことになると思います。

「日本の海苔を、日本の文化を世界に届けていきたい」という強い意思を持った人にインドやアフリカへの展開も任せていきたいですね。

日本の海苔文化を、世界の食卓へ。170年の伝統を礎に次の時代を切り拓く。

▍仰っていただいた「”海苔”を通して日本の文化を世界に届ける」という点も山本海苔店で働く大きな魅力だと思いますが、他にはどういった魅力がありますか?

グローバル展開を含め、若手でも大きなチャレンジができる環境があることが特徴だと思います。

守口のインタビュー記事でも述べられていますが、たとえば若手が企画した商品が実際に商品化されることも珍しくありません。

<参考記事>
海外赴任で得た学びで営業本部長へスピード出世。グローバルでの経験を活かし、山本海苔店を更なる飛躍へ。

今後も積極的に、新商品の開発や飲食事業、そしてグローバル展開など、これまでの枠を超えた取り組みにチャレンジしていきます。

一方で、長く働ける環境が整っていることも大きな特徴です。産休・育休の取得率は高く、復帰後の時短勤務や柔軟な働き方にも理解があります。

女性社員が多く在籍していますが、安心してキャリアを築ける環境があるからこそ、思い切って新しい挑戦ができるのだと思います。

▍最後に、山本海苔店に合う人はどんな人か教えてください。

冒頭で話した「謙虚で貪欲」な方ですね。

わからないことを素直に人に尋ね、教わったことを自分の行動にきちんとつなげていける。そうした学び続ける姿勢を持つ方は、どんな環境でも必ず成長していけると考えています。

また、今後より海外展開を進めていきたいと考えているので、現地の文化を理解した上で、海苔の良さ・日本の良さを伝え、海苔文化をグローバルに広めていきたいと思う方にはぴったりだと思います。

海外での経験があればもちろん望ましいですが、異文化を尊重し、学ぼうとする姿勢があれば大丈夫です。

「私があの国に海苔文化を広げた」と言いたい。そんな気概を持った方と一緒に働きたいですね。



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