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山本海苔店の「伝統」と「哲学」

銀行勤務を経て、山本海苔店に入社したばかりの私が衝撃を受けた、ひとつのエピソードがあります。
当時、私はある生産品の仕入れ単価が下がったことを知り、副会長を務めていた叔父に喜び勇んで報告をしました。
『山本海苔店のようなリーディングカンパニーが安く買っていては、海苔業界に未来はない。むしろ漁師さんから高く買うことで業界の未来を守るべきだ』
副会長の口から出たのは、「安く買って高く売る」ことが良いとされる、銀行員時代の私の感覚とは真逆の返答でした。

ですが、驚くと同時にこの時、山本海苔店の「伝統」「哲学」が自身に腹落ちした感覚も覚えました。
「高く買って、価値をつけて更に高く売る」
170余年脈々と伝えられてきた、この「伝統」「哲学」が山本海苔店の誇る「やわらかく、おいしい海苔」の生産を実現させてきたという事実を、胸に刻みこむことができたのです。
そしてこの出来事は、もっと謙虚かつ貪欲に「山本海苔店」「海苔」「海産業界の市況」を学び、知らなければならない、と私自身が決意したきっかけでもあります。

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「知好楽」の精神

「学ぶ」「知る」という観点から、私が大事にしている言葉があります。 孔子の論語に由来する言葉「知好楽」です。
『「知っているだけ」の人よりも「好き」な人、「好き」な人よりも「楽しんでいる」人の方が優れている』という意味のこの言葉。

この「知好楽」の精神をもって謙虚に学び、貪欲に仕事に取り組んだ社員は大きく成長し、山本海苔店の中核を担っています。
海外駐在を経験して取締役になった者、新しい提案・チャレンジを臆することなく積極的に行った者が、年齢・性別を問わずに活躍しています。彼らは、自らの貪欲な好奇心を原動力に変え、常に謙虚に新しい知識を吸収し、その知識を仕事に活かすことで、大きな成果を出しているのです。

海苔業界は今、気候変動による不作や一次生産者の減少、消費者の多様化などといった大きな変化の波に直面しています。
この変化の時代を乗り越え、「よりおいしい海苔を、より多くのお客様に楽しんでいただく」
という私たちの経営理念を実現するためには、
深い好奇心を持ち、貪欲に知識を吸収することを楽しむことができる、あなたの力が必要です。
ともに学び、楽しみ、日本が誇る素晴らしい「伝統」を未来へ、世界へと繋いでいきましょう。