- 山本海苔店トップ
- 俳句庵
- 俳句庵 2019年05月 優秀賞発表
- 俳句庵 2019年05月 作品一覧
俳句庵
5月『更衣』全応募作品
(敬称略)
- 愛媛県 砂山恵子
- 押し寄せる娘の荷物更衣
- 更衣道にあまたの膝小僧
- 花時計は三原色に更衣
- 狩衣に仕付け糸あり更衣
- 例ふれば薄荷の香り更衣
- 愛知県 茜雲
- 更衣ハワイへちょいとひとり旅
- カーテンを押す風軽ろし更衣
- 更衣ヒールを少し高くして
- 窓際に青き花瓶や更衣
- マニキュアのラメの煌めき更衣
- 千葉県 ワカシ君1年生
- はとがまめくつてぱ朝の更衣
- 御下がりの衣に更へて兄の顔
- 武蔵野に更衣するフォントかな
- 令和てふ御代来たるらし更衣
- 更衣鎖骨に宿る天使かな
- 兵庫県 岸下庄二
- 更衣きのふと違ふ風吹きぬ
- 一人居の米寿の母の更衣
- 少年の声変りする更衣
- 身を締める枷取り除く更衣
- 屋外の始業体操更衣
- 栃木県 鹿沼 湖
- スカートの裾へそよ風更衣
- 改札に白の溢るる更衣
- 通学のペダルの軽し更衣
- 街中へ流るる白や更衣
- 神奈川県 月のうさぎ
- 更衣朝飯食らふ反抗期
- 大阪府 ながた
- 人数分指揮する刀自や更衣
- 三重県 平谷富之
- 看護師は白から白へ更衣かな
- 新潟県 近藤 博
- セーラー服見るに清楚な更衣
- 更衣肥りし故に纏はれず
- 恣意なるや時季を問はずに衣更ふ
- 更衣街の人波白っぽく
- 何はさて一歩先駆け衣更ふ
- 長野県 木原登
- 心の武装解くべく衣更へにけり
- 雷鳥の雛ふと思ふ更衣
- 喜寿過ぎの五十肩なり衣更ふ
- 衣更へクリップ一つ買いにゆく
- 丘に立ち湖見はるかす更衣
- 滋賀県 了庵
- みづうみは紺から藍へ更衣
- 衣更へ歩幅大きくなりにけり
- 少女らの二の腕眩し更衣
- 弟は兄のお下がり更衣
- 更衣してよく動く手足かな
- 宮城県 石川初子
- 男子校ひかりの束なり更衣
- 大阪府 藤田康子
- 更衣一等好きな服を着る
- 更衣風といちばん親しい日
- にんげんの脱皮はかんたん更衣
- 岐阜県 金子加行
- 朝の駅色を変へるや更衣
- 子沢山白きを積みし更衣
- 軽き身の歩幅の街や更衣
- ポケットに要る物忘る更衣
- 朝の道心地よきかな更衣
- 愛媛県 渡邊國夫
- 孫よりのプレゼント着む更衣
- もやもやの晴れぬがままの更衣
- ペアルックの衣更へして神詣で
- 衣更へしたる娘を見送りぬ
- 老いたれば子に従はむ更衣
- 愛知県 西谷寿
- 街見れば更衣後の景色かな
- 時季外れ恥ずかしそうに更衣
- 子どもたち誇らしきかな更衣
- かび臭さ年月を知る更衣
- 平成を更衣して令和待つ
- 静岡県 城内幸江
- 皺多き教師の背広更衣
- 病室の父腕細し更衣
- 右腕の古傷をみて更衣
- 野球部の声弾みをり更衣
- 大阪府 木山満
- 断捨離を誓いつ臨む更衣かな
- 結局はまた元の場所更衣かな
- 衣更え果てなき命に迎合す
- 衣更え今年限りと気弱な媼
- 衣更えここから始めむ我が余生
- ブラジル 西山ひろ子
- 軽き風頬を撫でる日や更衣
- 風通すのみの妣の衣更衣
- 更衣好みし色は変はらづに
- ポケツトの必需品なり更衣
- 一番の好み着やすき更衣
- 兵庫県 髙見 正樹
- 白眩しセーラー服の更衣
- 静岡県 章吾章吾
- 更衣猫に思い出あるらしい
- 更衣畳んだ己に風通す
- 神奈川県 神田央子
- 断捨離の果ての素朴や更衣
- 千葉県 柊二
- ふところの手やさらされし更衣
- 神奈川県 佐藤博一
- 更衣つばさ得たかに外出す
- 教室の明るくなりし更衣
- 公園の遊具塗り替え更衣
- 昨日より今日新しく更衣
- 人と逢うときめきあリし更衣
- 大阪府 金成愛
- 還暦の目は少年よ更衣
- 宮城県 林田正光
- 無職にも無職のままの更衣
- 一仕事終へて溜息更衣
- 今年から自分一人の更衣
- 一斉にスクールバスは更衣
- 更衣背広ネクタイ不要かな
- 東京都 内藤羊皐
- 更衣忌日を持ちぬ弟ひとり
- 百船の揺蕩ふ朝の更衣
- 更衣へて定年までの日を数ふ
- 一歳の童のしたる更衣
- 奪衣婆の踝濡れて更衣
- 愛知県 岩田遊泉
- 明治人(めいじびと)帽子も靴も衣更
- 断捨離の心機一転衣更
- 伝統の霜降りの服衣更
- 警官のやや和らぎて衣更
- 事務室のぱっと明るき衣更
- 兵庫県 はなちる
- 更衣思い出詰めて断捨離す
- 更衣賽銭箱の木の香り
- 更衣値札を外すワンピース
- ベランダに昨日の嘘や更衣
- 風抜けてタンス軽きや更衣
- 島根県 GONZA
- まだ白い二の腕振って更衣
- 更衣手足も伸びる青畳
- ポケットに数珠の見つかる更衣
- 更衣棄てる妻子と拾う夫
- それなりに更衣ある仮設かな
- 東京都 石川昇
- 更衣街が明るくなりにけり
- もう服は買わぬつもりよ更衣
- 青森県 竹浪誠也
- ハレーション起きて教場の更衣
- 少女らの背筋正しき更衣
- 球場は白一色や更衣
- すれ違ふしゃぼんのかをり更衣
- 丸刈りの子らの会釈や更衣
- 山口県 山縣敏夫
- 更衣しても変らぬ妻の顔
- 永田町選挙のたびに更衣
- 就活の娘が今朝は更衣
- 昭和から平成令和と更衣
- 更衣張り切る子等の登下校
- 神奈川県 川島欣也
- 早々と更衣するショーウインドー
- 制服は兄のおさがり更衣
- 更衣隙間狭くなる洋箪笥
- ふくらみの気になる歳や衣更
- 更衣移し忘れる鍵、財布
- 東京都 岩崎美範
- みどりごの寝顔横目に更衣
- いたづらに齢重ねて更衣
- 二の腕の無粋な皺や更衣
- 尻青き嬰も負けじと更衣
- カラフルな波うつ街や更衣
- 山口県 ひろ子
- マネキンの令和の色や衣更え
- ダイエット悩みの種や衣更え
- 東京都 笹木弘
- マネキンの一足早き更衣
- 衣更へてゆつたり歩く力士かな
- 心にも風を通して更衣
- 衣更へて監視カメラに映りけり
- 洋箪笥の鏡を見つつ更衣
- 千葉県 伊藤博康
- 自分より子や孫が先更衣
- 着古しのシャツが一番更衣
- 更衣これで良いかと孫に聞く
- 近頃は暦待たずに更衣
- 年降れば更衣できなほ嬉し
- ブラジル 林とみ代
- 娘の古着ちょいと拝借更衣
- 衣更へておませとなりぬ孫娘
- 縫直しアイデア加へ更衣
- 衣更へて令和楽しむ余生かな
- 久闊の友との出会ひ更衣
- 徳島県 白井百合子
- 断捨離の効果の数や衣更
- 衣更いっちょらいから普段着に
- 着崩すやガウチョパンツの衣更
- 衣更捨てる物などありません
- 衣更母の手縫いの一枚と
- 岐阜県 ときめき人
- 更衣地蔵菩薩の笑みほのか
- 神奈川県 守安雄介
- 昆虫の鮮やか過ぎる.更衣
- ダイエット失敗したる更衣
- 足元の心もとなき更衣
- 更衣向い座席に気付きけり
- エアコンのモードも替えて更衣
- 茨城県 風峰
- ポケットに百円硬貨更替
- すれ違うふと除虫剤更替
- ときめきの色を揃えし更替
- Tシャツの「募集中」てふ更替
- 更替昨日と同じ薄化粧
- 大阪府 津田明美
- 思いでもたたみて終う更衣
- 登校の君の眩しき更衣
- 残り香を又入れ戻す更衣
- 断捨離や今日より人生更衣
- 更衣写真に残す日々の在り
- 大阪府 杉本義雄
- 新元号季節と流れを衣替え
- 股引きの脱ぎ時衣替えの時
- 衣替えちょっと早いか今朝の冷え
- 花時計雨待つ日々の更衣かな
- 着ては脱ぎ派手かと鏡に衣替え
- 広島県 永野昌人
- 二の腕の種痘の痕や更衣
- 制服の襟に襟章更衣
- 黒髪は切つて仕舞へと更衣
- 更衣教室白くなりにけり
- モデルみな何故か不機嫌更衣
- 愛知県 常磐
- 見守れるおまわりさんも更衣
- 大阪府 太田紀子
- セーラーの肘の白さよ更衣
- 脇からの風吹き抜ける更衣
- 更衣丸裸にせる赤ん坊
- 神奈川県 矢神輝昭
- 更衣無精の亀は如何にせん
- 引き締める帯衣擦れの更衣
- 更衣しても僧衣の擦り切れて
- 更衣糊もぴしりと令和ぞな
- あすなろの気持ち凛々しく更衣
- 三重県 倉田伊都子
- 綿入れの 山と積もりて 更衣
- 浮世風 さらりと流し 更衣
- 東京都 勢田清
- 心地よき風の街なり更衣
- 更衣こころも軽く晴れやかに
- 女生徒ら白い制服更衣
- 教室のはつらつとして更衣
- 軽すぎてふと頼りなき更衣
- ブラジル 玉田千代美
- 更衣老いの楽しみ何時か消え
- 老いぬれば若くなりたし更衣
- 東京都 石井真由美
- 更衣ポニーテールの女の子
- カスバより帰国の友や更衣
- 病室の母の寝巻や更衣
- 世の中も少し明るく更衣
- 異国への荷物の軽ろし更衣
- 三重県 後藤允孝
- 職退いて身軽となりぬ更衣
- 傘寿には傘寿の矜持更衣
- 身丈より袖丈合わぬ更衣
- 更衣して風貌の変わらじと
- 衣更ふ傘寿に辛き詰将棋
- 神奈川県 塚本治彦
- 草食系肉食系も更衣
- 老け顔の相も変はらず更衣
- 老人の日課変はらず更衣
- 逆らへぬ古女房や更衣
- 婚活の仕切り直しや更衣
- 神奈川県 志保川有
- 曇のち晴の予報や更衣
- 更衣東海原発四十年
- 風に痛む白き腕や更衣
- 押入の檜の匂更衣
- 更衣すれど厚物かたさずに
- 神奈川県 井手浩堂
- 女生徒の声の明るし更衣
- 上腕のほくろに風や更衣
- デパートは早やマネキンの更衣
- 東京都 伊藤はな
- 齢なぞ何処吹く風や更衣
- 大空に強さありけり更衣
- 更衣重荷下ろした軽さかな
- 新しき我と向き合ふ更衣
- 吹く風を心に纏ふ更衣
- 東京都 伊藤之忠
- めっきりと老ゆ足腰や更衣
- この頃の食の衰へ更衣
- 白襟を正しく今日の更衣
- 足取りの危ふきことよ更衣
- 地下街の風は動かぬ更衣
- 埼玉県 いまいやすのり
- 判子押し今日の風吹く更衣
- 血圧の数値良好更衣
- 更衣乗換へ駅の改札口
- 更衣乗りたる電車隙が出来
- 更衣断捨離進む身の軽さ
- 東京都 豊宣光
- 変わらざるものもありけり更衣
- 若返る母の笑顔や更衣
- 口紅の色も新たに更衣
- 元号の改まる日や更衣
- 更衣少女まぶしくなりにけり
- 東京都 中田ちこう
- 駒下駄の父の指あと更衣
- 埼玉県 水夢
- 鳩笛は日暮れの音色更衣
- 更衣細き手首にバングルぞ
- 黒髪をきりりと束ね更衣
- ネクタイは水玉模様更衣
- 更衣衝動買いの紙袋
- 東京都 右田俊郎
- 更衣ペンキ塗りたて立て看板
- 建て替えの老舗蕎麦屋の更衣
- 更衣街ゆく人のみな眩し
- 男子校国旗掲揚更衣
- 更衣女子高生の華やげり
- 神奈川県 皆空眞而
- 更衣風の名多き国に棲む
- 更衣新元号の呼び心地
- 更衣箪笥に二三冬残し
- 長堤の先は高校更衣
- 愛知県 新美達夫
- 戦力と当てにされゐて更衣
- 諸車統ぶる婦警の笛や更衣
- 職人の姿(なり)は嗜み更衣
- 立ち漕ぎの自転車少年更衣
- 神奈川県 龍野博史
- 今日からは散歩の犬も更衣
- 更衣ショートカットの女高生
- 仕舞ふ服またも増えたる更衣
- 更衣白の眩しき女高生
- 千葉県 横井隆和
- D51のごと勇むドラムや更衣
- 背に胸にラッシュの透き間や更衣
- ギプスにも解かれて今朝の更衣
- 埼玉県 櫻井俊治
- 胸元の黒子目に付く更衣
- きびきびと動く巡査の更衣
- 東京都 佐藤博重
- 高層を風駆け上る更衣
- 銀輪の女子学生や更衣
- 銀輪の肩で風切る更衣
- 更衣壁に大書の新年号
- 更衣書斎の窓を開け放ち
- 神奈川県 原川篤子
- 髪切れば風も新し更衣
- 「水」の字の掛軸代へる更衣
- 校門に白の眩しき更衣
- 諸々の芥捨てなむ更衣
- 衣更へて猫抱く軽さありにけり
- 滋賀県 船岡房公
- ポケットの数減りたるや更衣
- 水色のシャツもすがしき更衣
- 球場に白さ耀ふ更衣
- 職退けば疎きこと増え更衣
- 千葉県 伊藤順女
- マネキンの腕しなやかに衣更
- 衣更へて肌に風添ふ心地なり
- 衣更白ばかりなる通学路
- 更衣白ばかりなる通学路
- マネキンの腕しなやかに更衣
- 愛媛県 加島一善
- 衣更へて別れた人のメール待つ
- 衣更笑みがこぼれる老いし母
- 老いてなほ桃色選ぶ更衣
- ナフタリンつんと鼻突く更衣
- 衣更へて鼻歌うたふ老いし妻
- 奈良県 平松 洋子
- 羽衣を松に束ねて更衣
- そよ風に服を吊るして更衣
- 流行に乗り遅れたか更衣
- 兵庫県 季凛
- 毛玉取りボタン直して衣替え
- 影に干す冬物の服衣替え
- 夫の飲む麦茶の量見て衣替ふ
- 厚手もの「えいや!」と脱いで衣替え
- 仕事へと出掛けぬ夫の衣更ふ
- 福岡県 紙田幻草
- 心まで軽くなりたる更衣
- 若者にせかされてゐる更衣
- 福岡県 西山勝男
- 農着とて織り目正しき更衣
- 一介の我も行人衣がへ
- 老いてなほ初心に帰る衣更
- 衣がへ老いの暮らしにつつがなし
- 令和の代明日に控へて更衣
- 愛知県 木下澄枝
- 腕白の手足に傷や更衣
- 姿見にためつすがめつ更衣
- 山裾の風かろやかに更衣
- 更衣どの道ゆくも逆らはず
- いま少しこの世に長居更衣
- 東京都 松井陽一
- 更衣適者生存せむネクタイ
- 見覚えの母の繕ひ更衣
- 流行のつひに還りぬ更衣
- 老妻の小さくなりけり更衣
- 母のだけロイヤル仕上げ更衣
- 岡山県 岸野洋介
- 沖縄の旅がきっかけ更衣
- 米寿とてけじめはけじめ更衣
- 更衣してまず妻の墓参り
- 令和の世いやさか祈り更衣
- ポケットの小物を移す更衣
- 千葉県 入部和夫
- 地味な妻ちょっと派手目な更衣
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 更衣ふマネキン街やそよぐ風
- ウォーキング靴も帽子も更衣
- 新たなる時代と共に更衣
- 歌声は教室の窓更衣
- 大阪府 椋本望生
- 衣かへシャツの疵あと蘇る
- バックルの光久しき更衣
- 老いてなほ離せぬ衣更へにけり
- 捲りたるカウスボタンや更衣
- 更衣ふ青のスカーフ取り出して
- 埼玉県 彩楓(さいふう)
- 窓全開風甘やかな衣更
- ポケットになくした指輪衣更
- 衣更日本を白く輝かせ
- 姉よりのおさがり嬉し衣更
- 衣更五年着てないワンピース
- 東京都 岩川容子
- 若き娘の手足のびのび更衣
- 樟脳の淡き香のこる更衣
- 過ぎた日の思いをたたむ更衣
- 更衣水仕も軽くなりにけり
- 神奈川県 ―
- 更衣陽の射す部屋の青畳
- ワイシャツのはらめる風や更衣
- 袖通すシャツの軽さや更衣
- 更衣桜上水散歩道
- 回廊をわたる僧侶や更衣
- 三重県 西井治男
- ペットの毛ふわふわ泳ぐ更衣
- 神奈川県 海野優
- 決められぬ衣更へして紅をひく
- 衣更へて鏡の中の背伸びかな
- 先生のにはかに若し更衣
- あれこれと拡げては出す更衣
- 愛知県 斉藤浩美
- 身の不運嘆くことなく更衣
- 定年が延びまたスーツ更衣
- 保護色を持たぬ人間更衣
- 更衣肌にやさしき綿のシャツ
- 八頭身になれぬ生涯更衣
- 山形県 白竜
- 衣替我が定番のクールビズ
- 衣更細き腕に残る古時計
- 猪も年号共に衣更え
- 八十路の身コーディネート迷う衣更
- 先見えぬ病臥の床で衣更
- 福岡県 紅さやか
- 更衣青いりぼんの籠バッグ
- 兵庫県 岸野孝彦
- 白い腕白きセーラー更衣
- 宗悦の白磁の壷や更衣
- 更衣眩しき人より眩しき
- 黒鉄の取っ手響かす更衣
- ふるさとの光も風も更衣
- 大阪府 岡田政子
- 更衣形見のマフラー巻いてみる
- 更衣身軽になりて飛び出す娘
- わが余命自問しつつの更衣
- 朝の陽や更衣して駆け出す子
- 東京都 遠山比々き
- 更衣朝三暮四の吾が身かな
- 千葉県 四葩
- もう要らぬ礼服母の更衣
- こぢんまり畳む施設の更衣
- 若き日の華やぎの服更衣
- 埼玉県 小玉拙郎
- 腕に風若さ戻りし更衣
- 街ぐるみ目に鮮やかな更衣
- 更衣心模様の揺れかくす
- 備前焼き奥に片して更衣
- 大阪府 神谷一見
- 遺されし母のトルソー更衣
- 埼玉県 哲庵
- 減量を言い渡されし更衣
- 元号も和を貴しと更衣
- 終活がどうのこうのと更衣
- 形見分けめきし母子の更衣
- 生前の贈与初めか更衣
- 東京都 田中史子
- 裏地なきスカートに風更衣かな
- 更衣白きかいなをもてあまし
- 東京都 爽紫
- 長袖を 二枚仕舞わず 更衣
- まとう風 爽快なりし 更衣
- 猫の声 軽やかなりし 更衣
- 東京都 快紫
- 更衣 防虫剤の 香を解く
- 更衣 好みの服が きつくなり
- 去年の染み 指で隠すや 更衣
- 東京都 涼紫
- 畳み皺 重力任せ 更衣
- ポケットに 映画半券 更衣
- 更衣 して激辛の 麻婆食べ
- 埼玉県 吉野静
- あらいやだ残る躾の更衣
- 身も軽く心も軽く更衣
- 更衣電車の中も軽くなり
- 人ごとのやうに日が過ぎ更衣
- ありふれた日常が好き更衣
- 福岡県 多事
- あいつには未だ友だち更衣
- 珈琲のかほる書店や更衣
- 更衣一両しろき女学生
- 校庭に総帆展帆ころもがへ
- 更衣今日の運勢色は青
- 神奈川県 三好康子
- 亡き人のもの捨てられず更衣
- ひとまはり太目となりて衣更へ
- 衣更へてどこか手足のよそよそし
- 街角の風筋ひかる更衣
- M寸の中肉中背衣更へ
- 千葉県 みやこまる
- 車椅子も歌も軽やか衣替
- リハビリの義母のわがまま衣替
- 花の名で揉めたる母子衣替
- 衣替袖引く母の細き指
- ツボにくい込む指先や衣替
- 神奈川県 小林清美
- 水色に寝具そろえて更衣
- 東京都 飯田哲司
- 枝づたいぬけがら見事更衣
- ちぎれ雲なぜ見つからぬ更衣
- 出す度に思いなつかし更衣
- 通学路同じ生徒か更衣
- 更衣熱い砂浜青い海
- 山口県 三浦圭三
- 卒寿翁ますます華やぐ更衣
- 歳ととも彩はなやかや更衣
- 乙女等の生あしまぶし更衣
- 更衣出たり入たり試着室
- 赤ちゃんのガーゼの肌着更衣
- 神奈川県 髙梨裕
- 衣更へてひとりの居間に風招く
- 更衣仏間に母の置き鏡
- 撥剌と女現る更衣
- 姑の二の腕白き更衣
- 更衣老い一徹の侘び住い
- 東京都 豊島仁
- あれこれともう日が暮れる更衣
- 捨てきれぬシャツが一枚更衣
- 更衣スクランブルに白き波
- 更衣妻百日の服を出し
- 更衣歌舞伎座へ行く母送る
- 京都府 中村万年青
- 半袖の二の腕寒し更衣
- 白シャツの目にも眩しき更衣
- 一二枚残し置きたり更衣