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- 俳句庵 2019年07月 作品一覧
俳句庵
7月『虹』全応募作品
(敬称略)
- 愛媛県 砂山恵子
- ああ虹と声や眼下に黒瀬ダム
- 父逝きて二十五年か虹の橋
- 虹を見る在宅医療研修日
- 虹消えて背広の列に加はりぬ
- くきやかな山の稜線朝の虹
- 大阪府 二三女
- 虹渡りあの世の話し聞かせ来る
- 旅立ちの黄泉比良坂虹の橋
- あの虹の向うへ君は旅立ちぬ
- 黄泉路より君戻りしか虹の橋
- 愛知県 寿春
- 遠くから虹で知らせる神様が
- 虹色の服を着て手をつないでね
- 虹つくる子がはしゃいでた幼き日
- 愛猫と歩いて渡る虹の橋
- 雨やんで虹が浮かんで喜ぶ子
- 岐阜県 ときめき人
- 虹見る日背筋を伸ばし凛とせり
- 兵庫県 岸下庄二
- 吊橋を大きく跨ぐ雨後の虹
- ハイウエーぐんぐん虹に近づきぬ
- 片端を島に降ろして虹立ちぬ
- 半円を海に沈めて虹立ちぬ
- 虹の出て授業を一時中断す
- 新潟県 近藤博
- 七色の虹が弧をなし晴れ渡り
- 虹かかる海原はるか佐渡の見ゆ
- 降り止みて虹の掛け橋をちの山
- 雨あがり山々跨ぐ虹の橋
- 橋渋滞苛立ち見遣る虹の橋
- 岐阜県 金子加行
- 虹になき色で別れを告げらるる
- 吊橋に揺れ虹の真ん中へ行く
- 指切りの二人が誓ふ虹予報
- 虹観たい子を連れてゆく里帰り
- 野球部の虹へ飛び出す声聞こゆ
- 千葉県 柊二
- 虹捉え三人の白髪寄せて
- 鳥取県 門脇かずお
- 虹の門潜りて売られゆく仔牛
- 真っ先に校長が虹見つけたり
- ベビーカー静かに虹の降りてくる
- 虹の出るころ見計らいお茶にする
- 虹消えてあなたがはっきりと見える
- 神奈川県 松野勉
- 夕虹や真っ直ぐ帰る家がある
- 虹の橋一品多い夕餉かな
- 埼玉県 飯塚璋
- 高速道筑波にかかる虹追うて
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 虹立てば老いの一団腰伸ばす
- ロブ上ぐるテニスコートの空に虹
- ビルの窓虹見る人の並びをり
- 栃木県 鹿沼 湖
- 二重虹天使の歌の流れをり
- 虹消えて後ろの席へ戻りけり
- ワイパーと同心円の虹の橋
- しばらくはときめきやまぬ朝の虹
- 朝虹のゆつたり右へ流れをり
- 千葉県 いなだ君二年生
- 北南イムジン河に架ける虹
- 虹立つや町に流るる「七つの子」
- 夕虹や里の竈に立つ煙
- 長靴を猫の履くたび虹の橋
- 引き金に掛ける指先架かる虹
- 兵庫県 岸野孝彦
- 無人駅続くばかりや虹かかる
- 父母の霊祈るがごとく虹仰ぐ
- 孫の絵や虹と太陽外は雨
- 虹滲み空に溶けゆく夕まぐれ
- 雨やめば峰から峰へ虹の橋
- 愛媛県 渡邊國夫
- 虹立つや区画整理の干拓地
- 虹の橋母の郷より孫の街
- 夕虹を欲しがる幼婆の背
- 虹二重山に堀切り馬落し
- 老の漕ぐ田舟に雑貨虹の中
- 東京都 勢田清
- くっきりと田圃より立ち虹の橋
- 入院の母居る方や朝の虹
- 大虹や母の故郷の法事の日
- 虹だよと呼べば隣家の窓も開き
- みな立ちて濃き虹の橋眺めけり
- 東京都 岩崎美範
- 手をとりてちちはは渡る虹の橋
- 虹たつや地震の苦しみ残る街
- 虹たつやかつてキューポラありし街
- 虹消えて普段の街に戻りけり
- 幸せの二度来る予感二重虹
- 千葉県 伊藤博康
- 虹の出る空の気配になりにけり
- この街のどこかに虹の根元有り
- 新作の和菓子のごとき虹かかる
- 日が差して虹は無言で立ち去りぬ
- 県境をひとまたぎして虹出る
- 千葉県 渡邉竹庵
- 虹の橋ほうき星から落とし物
- みちのくや今も昔も虹の先
- 今日帰る最南端の駅に虹
- 水遣りのやがて戯る吾子と虹
- 長野県 木原登
- 夕虹へ牧のオカリナ吹きにけり
- 妻よ来よ今全天に二重虹
- 円虹にわが青春のありにけり
- 海の虹白雨の雫なほこぼす
- 八丈島の海真つ青に夕立虹
- 神奈川県 野川喜一郎
- 虹の向こう子に会いたしと願う吾
- 虹立ちて丹沢山塊3世代
- 平戸より黒島までの虹の裾
- 玄海も小さきと思う虹立てり
- 秋の虹吾子の一生如く消え
- 神奈川県 塚本治彦
- 看護士の告げて回りぬ虹の橋
- 山稼ぎ虹消ゆるまで昼休み
- 夕虹や喧嘩せし子の仲直り
- 大字も小字も一つ虹の中
- 虹仰ぐ牛と牛飼並び立ち
- 神奈川県 神田央子
- 携帯の電池少なや遠き虹
- 埼玉県 岸保宏
- 虹消えて路肩の人が散りにけり
- 早朝に飛び立つ機体虹くぐり
- 丁寧に書く便箋の虹模様
- 愛知県 茜雲
- 祈りつつ走る道中出でし虹
- まあいいか私は私朝の虹
- 愛知県 遊泉
- 神島へ虹の架け橋余るほど
- 園庭の園児ずぶぬれ虹を追う
- 青森県 竹浪誠也
- 虹立ちていつとき野良を怠けゐる
- 学舎のどの窓からも虹の橋
- 土手道を虹追いかけて走る走る
- 虹消えて子等はほどなく遊び出す
- 田舎より手紙来さうな夕の虹
- 兵庫県 髙見 正樹
- かかる虹雨が洗いし街の空
- 京都府 村田稔子
- 幼な子と ホースで水やり 夕虹か
- 山口県 山縣敏夫
- 振り向けば海峡間に虹立てり
- 虹を背にポーズを決める儂の妻
- 丘の上愛犬の目に虹を見る
- 海峡に立つ朝虹を一跨ぎ
- 虹架かる山間を行く霊柩車
- 埼玉県 いまいやすのり
- 虹立ちて見知らぬ人と立ち話
- 夕虹や聳ゆる穂高引き立てり
- 消えかかる虹の後ゆく路線バス
- 渋滞を暫し忘れて二重虹
- 虹の橋二峰の嶺に掛かりをり
- 大阪府 金成愛
- 母は母に叱られてゐる虹二重
- 東京都 内藤羊皐
- 鳳凰の気配を隠し虹匂ふ
- おとうとの葬儀へ懸かる虹二重
- 夕虹や焼香迄の長き列
- 水分の社へ消えたる虹の翳
- 虹立ちて眉の白髪を抜きにけり
- 大阪府 藤田康子
- 虹の両端その先の自分いろ
- 背にありし陽を忘れたる冬の虹
- 山口県 ひろ子
- 同窓の校歌うるわし虹たちぬ
- 神奈川県 ―
- 夕虹や煌めく玻璃の摩天楼
- 天守への暗ききざはし二重虹
- 動きだす花嫁舟や虹の橋
- 病床の母に窓あけ虹の帯
- 放課後のチャイムのそよぎ淡き虹
- 岡山県 渡辺 牛二
- 峡狭し山から山へ虹の橋
- 水小さく跳ねて小さく庭の虹
- 静岡県 城内幸江
- 夕暮れの虹エプロンのままで外
- ゆふぐれの虹駆け抜ける陸上部
- 虹消えて買い物袋重くなり
- 虹立ちて眼鏡の汚れ拭きにけり
- 虹消えて色をなくした水溜り
- 徳島県 白井百合子
- 海原の虹の架かりし夕景色
- 虹立ちて願いをひとつ託すなり
- 大地から吹き上がる虹空高く
- 夕暮れの買い物帰り虹が立つ
- 夕虹のちょっと嬉しい帰り道
- 兵庫県 はなちる
- オリオンの矢は放たれて虹の橋
- 耕人を包む虹光過疎の村
- 稜線に虹輝きて鳥が鳴く
- 古稀迎え虹の欠片を探す手や
- 夕虹の残像微か君の背に
- 大阪府 津田明美
- 二人して見上ぐ虹より来る明日
- 虹消へてなほ幻影に佇めり
- 虹の環をくぐり夢二の絵の中へ
- 虹の橋渡る未来はクリスタル
- 虹の根を追いかけ村の鎮守かな
- 茨城県 風峰
- 最終の打者の三振虹立てり
- ビル谷間四車線幅虹立てり
- 風下ろす棚田の揺らぎ虹の色
- なんとなく幸せ気分午後の虹
- 上棟の家を跨ぎし夕の虹
- 神奈川県 矢神輝昭
- ホースから溢れる虹で洗車をす
- 棒高跳びそこを越ゆれば虹の橋
- ブロッケン虹の輪に吾神父なり
- 一湾を天馬が翔けて虹の橋
- 龍が来て虹呑み込みて雨もらす
- 東京都 小麦
- CDの溝に落ちたる虹埃
- 虹色の靴下を干す雨催い
- パレードの空に泳ぐは虹の旗
- 色弱の瞳が騒ぐ虹ひとつ
- 虹色の傘を恥じたる通学路
- 神奈川県 龍野博史
- 虹の橋めざしアクセル踏み込めり
- 夕虹にスピード上ぐる新幹線
- 放水のダムの飛沫に二重虹
- 千葉県 峰崎成規
- スカイツリー虹を束の間光背に
- 希望にはさらなる希望二重虹
- 虹の脚支ふる位置に生活あり
- 虹たつを告げたき人はただ一人
- 街騒を一瞬止むる大き虹
- 三重県 後藤允孝
- 夕虹の消えて名残を惜しみけり
- 仰向けば虹はみんなの眼の中に
- 果てしなき旅に友逝く虹の郷
- 虹二重吾も二重のまぶた持つ
- 夕日さす大河に架かる虹の橋
- 神奈川県 井手浩堂
- 虹の橋新幹線をまたぎをり
- 虹の根の在り処を子らと言ひ合へり
- 虹立つや明日退院の大窓に
- 三重県 平谷富之
- 雨上がり一つの楽しみ虹の橋
- 幸せが虹の向こうにきっとある
- 埼玉県 櫻井俊治
- 濁流の大河を跨ぐ夕の虹
- 東京都 伊藤はな
- あの虹の彼方の母を偲びをり
- あの虹のむかうにおはす母の面
- 叱られて涙に曇る虹立の立つ
- 遺骨抱く夫の背や虹の空
- 黙祷をすれば脳裏に浮かぶ虹
- 東京都 伊藤之忠
- 朝虹や双眼鏡の中の鳥
- 海沿ひの線路は細く虹の帯
- 鉄塔の並ぶ山路に虹立ちぬ
- 今日の虹英霊の碑に捧げをり
- 眼の前の高き石垣虹の梁
- 東京都 佐藤博重
- 朝虹は慈雨の兆と畦を刈る
- 大阪府 永田
- いつどこで誰と見しとは言はぬ虹
- 東京都 長岡馨子
- 虹立つやモノクロームの街覚めぬ
- ブラジル 玉田千代美
- 虹を見て神の恵みと手を合す
- 虹が出る心なごみて里偲ぶ
- 幸せや旅の行く手に虹を見て
- ブラジル 林とみ代
- 国境の壁無き空や虹の橋
- 七色の虹消えぬ間の願ひかな
- 誰が住むや虹の根かかる山麓
- 夕虹や明日の旅立ち吉ならむ
- 愛知県 斉藤浩美
- 教室の総立ちとなる二重虹
- 投稿は落選つづき虹の端
- 見るものを沸騰させて虹消ゆる
- 悩むとは人の世のこと虹の帯
- 垂直に水平に空広ぐ虹
- 東京都 豊宣光
- 亡き母が浄土へ渡る虹の橋
- 虹消えて暗き浮世となりにけり
- 縄かけて虹引き下ろす天邪鬼
- 口げんか終へて出づれば空に虹
- 虹立ちぬ明日は吉事のあるごとく
- 千葉県 玉井令子
- 店先のカーネーションは虹の色
- 走れども虹のトンネル抜けられず
- 二重虹山の向こうは甲斐の国
- 虹の足目指しアクセル踏みにけり
- 朝虹や今日の運勢大吉なり
- 千葉県 山田香津子
- 片脚を工場街に夕の虹
- 家族旅行の北の大地や夕の虹
- 橋いくつ夫との野道虹かかる
- 房総の豊かな台地虹の橋
- 東京都 海苔太郎
- 午後二時の 雨に濡れつつ 虹を待つ
- 虹かかる 光と水の 舞踏会
- 宮城県 林田正光
- 聖橋ニコライ堂の上に虹
- 朝虹の消ゆるを見たり夜勤明け
- 虹消えて普通の空に戻りけり
- ひとときの地球の平和二重虹
- 虹を見る消えないように小声かな
- 東京都 五十嵐秀山
- 通勤のバス遅れ来る朝の虹
- 乗り違う始発電車に朝の虹
- アトリエを過る自転車円き虹
- 二重虹池上線の窓越しに
- 夕虹の頓堀の橋より揺るる
- 富山県 加能雅臣
- 男坂うしろ姿の虹はるか
- 夕虹やレコードに針落とすなり
- 一切れの虹つっ立っている埠頭
- 大阪府 太田紀子
- ダム工事殉職者の碑虹の中
- 虹消えし空いつまでも見つめをり
- 虹の端受け止めてゐたる天王山
- 神奈川県 守安雄介
- 絶海の孤島の虹の高さかな
- 丸虹を抜けぬ機影や雲切れる
- 墨で描く虹はやっぱり墨の色
- 夕日染む瀑布の虹や紅を帯ぶ
- 虹跨ぐブリッジの名はレインボー
- 滋賀県 東野眞知子
- 虹架けて天女は月へ帰りけり
- 虹の輪をくぐり花嫁来たりけり
- 願ひ事半ばに虹の消えにけり
- 夕虹の消えて夕日の海に落つ
- 朝虹をくぐり山より始発バス
- 滋賀県 船岡房公
- 虹消えて湖すべりゆく白帆かな
- 西山に片足架けり夕の虹
- 夕虹や掠れかかりしボールペン
- 三重県 倉田 伊都子
- 副虹に思い募るる幸せ色
- 東海の海に零れし時雨虹
- 愛知県 新美達夫
- 憧れてなほ虹の根を見定めず
- 離陸機の虹の橋より今脱けり
- ぎりぎりまで虹をみてゐてバスに乗る
- 神奈川県 志保川有
- 虹の弓に時間なる長き矢を番ふ
- 虹立つや角に供えられし花々
- よき人の逝きモネ色の虹の立つ
- 虹立つや大山街道ますぐなり
- 北斎が浪のうねりや虹の立つ
- 埼玉県 小玉拙郎
- 楽譜から移す視界に虹走る
- 扇状地なお広々と虹わたる
- 上りきって虹を見おろす観覧車
- 虹を見る人あり錆びた歩道橋
- 大阪府 椋本望生
- 濁世より浮世の島へ逆さ虹
- 虹の脚砂の中より掘り出して
- 逆さ虹渡りて島の母を訪ふ
- 虹消えて逃亡犯は闇の中
- 夕虹をスマホに入れて旅の果て
- 千葉県 横井隆和
- ・宇宙船に煌めく虹や己が尿
- ・ベランダへ着く間に消えし虹の端
- ・閉じる書の窓辺に開く虹の橋
- ・白鷺のゆたりと潜る夕の虹
- 岡山県 岸野洋介
- 虹出れば大声上げて子ら呼びぬ
- 山峡にかかる虹橋しばし見る
- 滝つぼに瞬時にかかる虹あまた
- 噴水の虹に見とれて童心に
- 片虹の立てる棚田を植え進む
- 神奈川県 川島欣也
- 日照り雨こしらえ壊す虹の橋
- 虹の文字虫のたくみの芸術品
- 虹を見る子供の抱く桃源郷
- 消火器の筒先虹を作り出す
- プリズムの雨粒揃う虹の道
- 東京都 右田俊郎
- 出航を告げる銅鑼の音夕の虹
- 島と島結ぶごとくに夕の虹
- あの虹をくぐれと吾子のリクエスト
- 洋上に大きくかかる虹二重
- 虹の門くぐるかにゆくクルーズ船
- 千葉県 伊藤順女
- 虹でたよ拗ねている子へ呼び掛ける
- 病室の窓の彼方へ虹立ちぬ
- 両脚でしっかりと立つ夏の虹
- 神奈川県 亀山酔田
- 虹立つや帝の姫の住し寺
- 虹架かる子が見上げれば皆寄りて
- 虹立つや手足の長き少女いて
- 虹と言い虹と返して嗚呼と言い
- 虹立つや小人の町は忙しき
- 愛媛県 加島一善
- 今日もまた虹を吐きたる那智の滝
- 薄紅の富士山跨ぐ虹の橋
- 水かぶる象の背中に虹立ちぬ
- 夕虹や夕日と共に消え去りぬ
- 隧道を抜けてあらたの虹の橋
- 東京都 中田ちこう
- 三川内へ唐子隠るや白き虹
- 神奈川県 重兵衛
- 虹立つや吉里吉里国の独立す
- ゲル出でて大きな虹の中へゆく
- ゲル出でて虹立つ朝迎へけり
- 神奈川県 原川篤子
- わだかまり消ゆるかに虹消えにけり
- 背なの子を起こして虹を見せにけり
- 子に見せるホースの虹は片足に
- 諦めぬ夢まだありて虹たてり
- 虹たてり消えゆく迄を祈りけり
- 東京都 岩川容子
- 虹はるか出国ロビーの大硝子
- 虹の橋離島にひとつの滑走路
- 目つぶれば瞼の奥に残る虹
- 虹消えて夕餉の支度急ぎけり
- 東京都 遠藤弘子
- 虹たつや赤子を抱けばほんのりと
- 千葉県 入部和夫
- 古希の身に夢のあまたや虹の橋
- 大空や絵本のごとき虹の橋
- 大海や海の丸さに二重虹
- 虹を子の追ひかけ走る橋の上
- 虹立つや不思議の国にゐる如し
- 宮城県 西條光観
- 虹追って虹追ってなお遠離り
- 虹を手に背伸びしている赤子かな
- 大虹やダンプの走る三陸道
- 虹の足虹の終わりの住む絵本
- 三重県 西井治男
- 徐に消えた虹跡なぞる吾
- 虹に拝兄への祈り一分間
- 登下校パラソルたたむや浮かぶ虹
- 東京都 笹木弘
- 虹消えて現実の世に戻りけり
- 夭折の子の渡り行く虹の橋
- 虹消えて泣く子笑う子元気な子
- 虹を見て幸せな気にさせにけり
- 夕虹の足を蹴飛ばし逆上がり
- 神奈川県 後藤真子
- あの虹が結婚指輪だよと君
- 虹色の旗の行進自由へと
- 虹立ちてキャンプ場のライダー沸く
- 朝虹や勇気もらひてひとり旅
- 復興の地へ人へ約束の虹
- 東京都 遠山比々き
- ふるさとは日本の鬼門虹仰ぐ
- 埼玉県 守田修治
- さいはての駅より消えし虹の路
- 人情の句読点かな旅の虹
- 虹を見て手を休めたる測量士
- 虹かかる今夜の銀座多忙なり
- 虹がでた明日の手術はうまく行く
- 北海道 飯沼勇一
- 虹立つや野球少年校庭へ
- 夕虹やスマホの地図を見る少年
- 青年を迎えるバイク宿の虹
- 青銅の大仏頭上を跨ぐ虹
- 埼玉県 水夢
- 遥かなるトトロの森に虹おぼろ
- ハワイ島風のふくらみ虹の橋
- 溶岩果つる海原に太き虹
- 迸る水の裏側虹生まる
- 舵握る太き腕や虹の橋
- 埼玉県 吉野静
- 夕虹をくぐる童の影絵めく
- 野良猫といっしょに見てる二重虹
- 兄弟の諍ひをはりさっと虹
- 何もかもいやな一と日や虹の立つ
- 夕虹や一と日のをはり明日の色
- 静岡県 池ヶ谷章吾
- 虹が出たと布れて回る子虹の下
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 病室の窓そよぐ風虹立ちぬ
- 夕虹や故郷はなれ幾年ぞ
- 虹立ちて下校楽しや水たまり
- 山形県 齋藤碩志
- 船頭の背に虹立つ最上川
- 円虹に我が望み消え失せぬ
- 手に杖を虹止むまで雨宿り
- 虹立てば災事の匂い混じる街
- 福岡県 西山勝男
- 殉教の島へとつなぐ虹の橋
- 虹の輪の真っ只に我が山河
- 夕虹や阿蘇の寝姿輪の中に
- 窓越しに荼毘を待っ間の時雨虹
- 虹の根の真っ只中に水城あと
- 埼玉県 哲庵
- 朝虹を仰ぎ三十五階まで
- 吹割の滝に架かりし月の虹
- 北方の四島を巻く虹の帯
- 瀬戸内の島と島とを結ぶ虹
- 虹の橋架けて逢ひたき人の有り
- 東京都 安西信之
- 虹架かるダムに沈みし村一つ
- 駅員と吾と見てゐる朝の虹
- 千葉県 みやこまる
- 虹立ちぬ一人暮らしに慣れし頃
- 亡き父の夢より覚めて虹立ちぬ
- 墓碑銘に縁者とあらむ虹の果て
- 夕虹や逆援の糸繕へり
- 虹見れば思い出しそう忘れ物
- 東京都 田中史子
- 分校へ虹をくぐりて定期船
- 福岡県 多事
- ホースより漏るる虹あり吾子の臍
- 何処ぞよりピアニカの音虹の脚
- ナイアガラ虹の投網へ観覧船
- 雨の端を抜かば振り向け虹の橋
- 倚松庵出でて大きな虹の下
- 東京都 飯田 哲司
- 夕映えをほのかに染めて夢の虹
- 猛烈な雷雨押しのけ虹鎮座
- しずく落ち物干竿の先は虹
- 虹の色問われてスマホすがる古希
- 遥か空虹を見たのはいつの日か
- 東京都 豊島 仁
- 天と地に架ける令和の虹の橋
- 悠久の大河を虹は跨ぎけり
- 歌舞伎座を出れば見栄切る虹二つ
- さまざまな地獄と虹を見たりけり
- 母は胸父は背中に虹を待つ
- 神奈川県 髙梨 裕
- 胸無きと妻の一言うすれ虹
- 旅終えて虹立つ家に帰りけり
- 早雲城夢いくばくの春の虹
- 墓地ひとつ虹立つ墓にマッチする
- 船待てば母の島より虹の立つ
- 京都府 中村 万年青
- 虹の橋渡れば未来輝きて
- レインボーカラーLGBT主張せり
- 夕虹や晴れたらきつと祭笛