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- 俳句庵 2021年01月 優秀賞発表
- 俳句庵 2021年01月 作品一覧
俳句庵
1月『初鴉』全応募作品
(敬称略)
- 埼玉県 哲庵
- 亡き父の叱声めくや初鴉
- 初鴉100歳越へを願ひけり
- 初鴉酔うておるのか千鳥足
- 光りもの落として行けり初鴉
- 初鴉疫病退散祈りけり
- 宮城県 zazi
- 嘘つきに選り分けられて初烏
- 喧噪の断片縫って初烏
- 初烏気配火の無い街頭に
- 初烏コンビニ閉まる直前に
- 初烏何も喋らぬ老夫婦
- 静岡県 いたまきし
- 初鴉天の気まぐれ気にもせず
- 埼玉県 いまいやすのり
- 産土神に二羽来て三羽初鴉
- バス停のベンチにをるや初鴉
- ことさらに鳴き声大き初鴉
- ひと声を日溜まり土手に初鴉
- 初鴉声かけおうて大鳥居
- 福岡県 すがりとおる
- 悪太郎明けて社の初鴉
- 碩学は濡羽色なり初鴉
- 松ぼくり宮居に落とす初鴉
- 悪太郎明けて社の初鴉
- 米国 スナップドラゴン
- 初鴉羽広げたり隅田川
- 初鴉 厄災の街睥睨す
- 浮世絵展出れば舗道に初鴉
- 初鴉白狼が旅の友
- 初鴉墨水の上羽ひろげ
- 岐阜県 ときめき人
- 初鴉朝日を纏ふ御柱
- 兵庫県 はなちる
- 仲間呼ぶ空は青きや初鴉
- ゴミ散乱挨拶派手に初鴉
- 清められ参道に陽の初鴉
- 故郷は静かなる朝初鴉
- 東京都 伊藤訓花
- 肉親の声の欲しさや初鴉
- 国籍を聞きそびれたり初鴉
- はらはらと雨はふるふる初鴉
- 帆船と白砂青松初鴉
- 初鴉猫の居座る厨口
- 千葉県 伊藤順女
- 青空へ三たび言祝ぐ初鴉
- 宮の杜の松の高きに初鴉
- 神奈川県 井手浩堂
- 参道をとび歩きをり初鴉
- 東雲の空鳴き渡り初鴉
- 枝ぶりのよき老松や初鴉
- 徳島県 井内胡桃
- 箒目を足踏みばかり初鴉
- 神の庭遊び惚けし初鴉
- 欄干の濡れて光りぬ初鴉
- 初鴉何か善きことある予感
- 静やかや鎮守の森の初鴉
- 群馬県 塩原 香子
- 初鴉一声鳴いて大空へ
- 茜空影絵のごとき初鴉
- 初鴉暁の空を悠々と
- 初鴉ふはつと屋根に飛び移り
- 初鴉鳴きつつ茜の空を行く
- 埼玉県 釜田眞吾
- 初鴉朝日に光る大甍
- 明け初めの鎮守の森の初鴉
- 初鴉一声残し去ぬりけり
- 兵庫県 季凛
- 八百万の神々起こし初鴉
- つやつやと光を受けて初鴉
- 一片の知性跨げる初鴉
- 神奈川県 亀山酔田
- 初鴉吼えるがごとく空へ消ゆ
- 地球的規模の茜ぞ初鴉
- ビー玉が綺麗で好きで初鴉
- 点検の済んで鳴きだす初鴉
- 時々に思い出す友初鴉
- 石川県 鞠子
- 初鴉霊峰仰ぎ羽撃けり
- 風に吹かれ孤高だに見ゆ初鴉
- 初鴉羽音かすかに気多の杜
- 岐阜県 金子加行
- 生き方の無為を笑ふや初鴉
- 一村の起きよと啼くや初鴉
- 一島の四方に啼くや初鴉
- 国宝の屋根憚らず初鴉
- 悪党の声と聴くなや初鴉
- 大阪府 高木音弥
- 日輪を追ふか番の初鴉
- 初鴉幼子の手の御籤かな
- 澄み渡る空悠々と初鴉
- 神奈川県 志保川有
- 初鴉陽を背に受けて威厳あり
- 初鴉意気揚々と声を張る
- 過疎村の杉の止まり木初鴉
- 何ごとか告げるがごとく初鴉
- 朝の湖の神明鳥居初鴉
- 神奈川県 春居 ハッピー
- 老松に 独り飛び来る 初烏
- 古枝に 日当たりも良く 初烏
- ご近所へ 挨拶に行く 初烏
- 電線に いつもように 初烏
- どこからか 紙くず落とす 初烏
- 福島県 松井くろ
- 初鴉嫁は朝からいそがしい
- 飼ひ猫のやうに鳴く初鴉かな
- 跡取りのなき家あまた初鴉
- 大阪府 森 佳月
- 新世界通天閣に初鴉
- 巫女の襟緋色覗いて初鴉
- 睨む吾どこ吹く風の初鴉
- 埼玉県 水夢
- 浮御堂へ声落としゆく初鴉
- 初がらす夕日消えゆく風の中
- 初鴉ねぐらの辺り早や暮色
- 神木の風に煽られ初鴉
- たじろがず大海原へ初鴉
- 福岡県 世良日守
- 初鴉少しでてきた喉仏
- 東より八咫烏めく初鴉
- カラオケの満点とりて初鴉
- 携帯の電源入れる初鴉
- コーヒーの苦味の増して初鴉
- 東京都 勢田清
- 朝焼けの空何処へ行く初鴉
- 梢にて嗚呼と啼きけり初鴉
- 初鴉砂目清らか寺の庭
- 無窮なる朝空高し初鴉
- アンテナに日の出見ており初鴉
- ブラジル 西山ひろ子
- 初鴉あかねの空に二羽三羽
- 落日を借景とし初鴉
- 歳時記に初鴉無き国に古り
- 初鴉芥蹴散らしてしたり顔
- 埼玉県 石塚彩楓
- 寺町の風を力に初鴉
- 初鴉武蔵野の空ほしい
- 火山灰の降る故郷遠し初鴉
- 初鴉翼大きく渡る空
- 初鴉一声ありて松の枝
- 福岡県 多事
- 庭園の翠の富士や初烏
- 娘らの目元にはラメ初烏
- 笑ふ癖つけろと書かる初烏
- 初烏人はをらぬと啼きにけり
- 並びかた妙に神妙初烏
- 香川県 辰野
- 詣で来て初鴉聞き眠りつく
- 初鴉誰が託宣受け取るか
- 病棟を巡視患者と初鴉
- 二見ヶ浦の夜を明け巡る初鴉
- 篝火の爆ぜ舞い上がり初鴉
- 東京都 中田ちこう
- さざめきは遠く影絵の初鴉
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 旅立ちについて来るかい初鴉
- 朝靄に眠る酒場や初鴉
- 神奈川県 渡邊むく
- 叩頭の堂に入りたる初鴉
- 三重県 藤田ゆきまち
- 初鴉なにもなきことありがたし
- 初鴉四角い空を丸く飛ぶ
- 電線に怠り鳴かぬ初鴉
- よく言へば気の利く人よ初鴉
- 足をすくわれ初鴉に笑われ
- 千葉県 徳翁
- 朝ぼらけ起きよと啼くや初鴉
- 初鴉早速御慶申し越し
- 初鴉去年と変わらず貌と声
- 初鴉居住まい正し千木の上
- 初鴉玉砂利歩み威儀正す
- 東京都 内藤羊皐
- 犬屋敷かつてある街初鴉
- 初鴉獄舎の跡を翔び立てり
- うぶすなの阿吽へ糞れる初鴉
- 上水の底ひを乱す初鴉
- 初鴉幼子揺する祖父の肩
- 徳島県 白井百合子
- 初鴉幸は中ほど古稀近し
- 里山の暮らし気に入る初鴉
- 初鴉空から猫に声かけて
- 今年こそ足を鍛えて初鴉
- 初鴉鳥居で遊ぶ羽音かな
- 大阪府 八王寺宇保
- 初鴉子の住む町へ飛び行けり
- 初鴉厚き新聞取り入れり
- 聞き倣しにコロナコロナと初鴉
- 庭畑の防護ネットや初鴉
- 産土に感謝の礼や初鴉
- 埼玉県 飛翔
- 木の枝に日の出待つてる初鴉
- おめでとう一声鳴くや初鴉
- 今日も又この枝が好き初鴉
- 昨日今日この木ばかりに初鴉
- 初鴉ヒョツコリ誰か来る予感
- 千葉県 柊二
- 富士山へ二拍手潮の羽初鵜
- 北海道 風花美絵
- 空明けて揺れる枝葉に初鴉
- 初鴉今年は遠慮願います
- 初鴉供え物なく相済まぬ
- 千葉県 風泉
- ・闇の世や白蛇を引きよ初鴉
- ・昨二羽の朝ゆく杜や初鴉
- ・鳴け高くワクチン急げと初鴉
- 茨城県 風峰
- 定位置にごみ収集車初鴉
- 甲高き今年また来る初鴉
- 百年の大樹越えゆく初鴉
- 三世代歩む参道初鴉
- 初鴉一鳴き杜の静寂かな
- 奈良県 平松 洋子
- 初鴉道を譲ってくれにけり
- 初鴉大空高く飛び立てり
- 大空や一番乗りの初鴉
- 埼玉県 堀口房水
- 初鴉武蔵の果てに吉報来
- 遠富士より還るこだまや初鴉
- 初鴉魂替へてもらひしか
- 愛知県 遊泉
- 町内に年明け告げる初鴉
- 黒羽の何故か気高き初鴉
- トランスにわが家を見入る初鴉
- 今日ばかりは追ふ気にならぬ初鴉
- 半時も過ぐれば憎き初鴉
- 神奈川県 立野音思
- じゃんけんぽん小さき掛け声初鴉
- コロナ禍や孫は来らず初鴉
- 初鴉社に來たる序列あり
- 初鴉神を迎へに東雲へ
- 初鴉マスクの群に驚きぬ
- 大阪府 鈴木三津
- 鳴声に黒の重厚初鴉
- 一と声を善男善女へ初鴉
- 鰹木に日を照り返す初鴉
- 霞ケ関のビルに谺や初鴉
- 漆黒の何にも染まず初鴉
- 大阪府 鈴木千年
- 初鴉真正面に嘴を上げ
- 初鴉四神へ声を挙げにけり
- 一と声を魑魅魍魎へ初鴉
- 松ヶ枝に瑞兆の声初鴉
- 御陵に耳の冥加や初鴉
- 埼玉県 飯塚璋
- 酔醒めの厨の窓に初鴉
- 初鴉鳴くや母屋の鬼瓦
- 声あげて川の向うへ初鴉
- 兵庫県 岸下庄二
- 初鴉いつもと違ふ啼きっぷり
- 一羽立ち二羽来て三羽初鴉
- 産土の杜騒がしく初鴉
- 畏くも千木に戯る初鴉
- この街の勝手知りたる初鴉
- 新潟県 近藤博
- 神奈備にかあかあ鳴けり初鴉
- 淑気満つ神域かあかあ初鴉
- 瑞祥か庭に飛び来る初鴉
- 神垣に朗々鳴ける初鴉
- 東雲の空に鳴き飛ぶ初鴉
- 愛媛県 砂山恵子
- 初鴉深夜当直終へし窓
- 一瞬のとまりし時を初鴉
- 石鎚は神の山なり初鴉
- 初鴉未だ明けなき伊予の山
- 朝映えの溶けゆく空を初鴉
- 埼玉県 北川清
- 砂浜に 食べ物もとめ 初鴉
- 初鴉 やつこ凧と きそい飛ぶ
- 初鴉 鷹見て騒ぐ 浜離宮
- 初鴉 銀座道りも お休み日
- 初鴉 ドローンめがけ 威嚇する
- 東京都 岩崎美範
- 山門に猫と対峙の初鴉
- つがひかな仲むつまじき初鴉
- 馬跳びをじつと見てゐる初鴉
- 天平の甍に一羽初鴉
- 激変の街をさ迷ふ初鴉
- 神奈川県 松野勉
- 初鴉大師線待つ人臭さ
- 初鴉スーツケースの車輪音
- 大阪府 藤田康子
- 翔べること美しきかな初鴉
- 天上の端に一声初鴉
- 神奈川県 守安雄介
- 大仏の頭の日の出初烏
- 門松を争う鴉霞が関
- 浅草の鳩を虐める初烏
- 烏賊蛸の煙に集く初烏
- 初烏焼烏賊狙う鶴ケ岡
- 大阪府 木山満
- 初鴉今朝は品よく神々し
- 初鴉朝日にコウとご挨拶
- 自転車のかごに釘付け初鴉ガラス
- 初鴉きくきくきくと低飛行
- 初鴉狙い定めて飛び立てり
- 神奈川県 嶋村博吉
- 初鴉箱根駅伝第一区
- 初鴉空青すぎて広すぎて
- キャンパスはウイズコロナや初鴉
- 初鴉飛ぶ新しき羽根を持ち
- 若冲の絵より出でしか初鴉
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 初鴉原発の街離れたり
- 三輪山より青垣巡る初鴉
- 宮城県 石川初子
- ソロキャンプしているごとく初鴉
- 福岡県 深町明
- 後ろ手に詣ででゐたり初鴉
- 一昨日と昨日と合へど初鴉
- 誰も見ぬテレビとなりて初鴉
- 生粋のマルクス派なり初鴉
- 「クリスマス・カロル」読みをり初鴉
- 長野県 木原登
- クレーンに止まり街見る初鴉
- 西空ゆ東へ三羽初鴉
- 千曲川挟み鳴きあふ初鴉
- 水浴びて羽を浄むる初鴉
- 山の信濃川の信濃を初鴉
- 東京都 佐藤富幸
- 参道の揺れる提灯初鴉
- 初鴉の聲夢から目覚む朝
- ゆく年の無事に合掌初鴉
- 大鳥居くぐりし空に初鴉
- 神前に新たな誓い初鴉
- 東京都 佐藤美智子
- 日の出待つ筑波山頂初鴉
- ずっしりと新聞届く初鴉
- ヘッドライト越しに仰ぐ初鴉
- 珈琲やテラス呼び込み初鴉
- まっさらな年にひと鳴き初鴉
- 東京都 二川昌弘
- 初鴉三が日明け顔を見せ
- 初鴉離宮の先へ飛んで行き
- 街角やとんと見かけぬ初鴉
- 東京都 吉田悠二郎
- 今年こそ白くなりたい初鴉
- 愛知県 岡本圭司
- 紅く観る ビルで戯る 初鴉
- 初鴉 鳴いて群れなす 開田村
- 大阪府 内本惠美子
- テイファニーの街でこわだか初鴉
- 初鴉頭上に聞いてでは一歩
- アンテナのてっぺん取ったり初鴉
- 千葉県 井出春夫
- 初鴉、柿の実見つけ、百舌鳥追いつ
- 千葉県 伊藤博康
- 初鴉仲間引き連れ飛びにけり
- 初鴉祝詞のごとく鳴きにけり
- 行きがけに少し休みし初鴉
- 電柱に遠くを見やる初鴉
- 初鴉蕪村描きし絵のあらむ
- 滋賀県 別役昌子
- 山里へ子らは帰らず初鴉
- 山風にファルセットなる初鴉
- 初鴉志村居らねど勝手に啼く
- 比叡より麓の森へ初鴉
- 蒼空を我が物顔に初鴉
- 静岡県 城内幸江
- 煙突の煙は止まり初鴉
- 初鴉遊び足りない子らの中
- いつもより澄んでる空気初鴉
- 初鴉始発電車に飛び上がる
- もう鳥を追いかけている初鴉
- 東京都 安達健治
- 初鴉相談し合う集積場
- 影のみが墨一色の初鴉
- 街路樹にたわわに実る初鴉
- 賑わいでかき消されたり初鴉
- 門柱で見張り番かよ初鴉
- ブラジル 林とみ代
- 尼僧庵の静かな庭や初鴉
- 初鴉教会の鐘響く空
- 初鴉コロナの行方憂ひけり
- 初鴉茜に染まる空飛べり
- テレビ塔陣取りたるや初鴉
- 茨城県 小松崎孝志
- 一本の電柱高き初鴉
- 初鴉つがいとなりて東雲へ
- 故郷へ帰れぬ無念初鴉
- 東雲へ元気願うや初鴉
- ふるさとへ向かう風切る初鴉
- 三重県 後藤允孝
- 終の地と決めたる郷や初鴉
- 初鴉太々しくも人襲ふ
- 人の世を嘲笑ひたる初鴉
- 群青の潮目や空に初鴉
- 身の錆をみな声にして初鴉
- 滋賀県 村田紀子
- 夜明けだと声を競って初鴉
- 掃き清め見上げた空に初鴉
- 山際の鳥居に並ぶ初鴉
- 初鴉一声発し大空に
- 石段を駆け上がる子よ初鴉
- 宮城県 林田正光
- 格調の高き啼き声初鴉
- 我が顔を覗き見してる初鴉
- 七つの子今は大人の初鴉
- 砂浜に朝日とともに初鴉
- 初鴉第一声は茜空
- 兵庫県 岸野孝彦
- 赤鳥居睥睨したる初鴉
- 初鴉我に寄り添う孤愁かな
- 山城の跡へ帰るや初鴉
- 初鴉黒人霊歌夕茜
- 初鴉虚空をにらむ哲学者
- 千葉県 峰崎成規
- ぬばたまの暁闇よりの初鴉
- 独唱も合唱も栄ゆ初鴉
- 東雲の色に染まむと初鴉
- 神宮の使徒誇りたる初鴉
- 初鴉鷹の威風でひと日舞ひ
- 和歌山県 中浴智美
- 暁の勁きひと声初鴉
- 兵庫県 髙見正樹
- 太き声大樹に群れる初鴉
- 大羽を誇示し滑空初鴉
- 唐突に羽搏きの音初鴉
- ふてぶてしそうで素早き初鴉
- 初鴉間合い測りて飛び立ちぬ
- 神奈川県 矢神輝昭
- 礼服を召すに見えたり初烏
- 初烏今日は艶よし品もよし
- 初烏馴染みの声に窓開けて
- 天皇杯捲し立てるは初烏
- 初烏今日の一声麗句かな
- 埼玉県 岸保宏
- 初鴉地蔵の頭取り合いし
- 初鴉園児の列を脅しけり
- 電線に蜜に重なる初鴉
- 大阪府 津田明美
- 相輪の静寂を覚ます初鴉
- 初鴉常と変はらぬ朝なれど
- 鈴の音の空に吸はれて初鴉
- 鈴の音の響く社や初鴉
- 何と言ふことも無き朝初鴉
- 島根県 寺津豪佐
- 初鴉まだ濁りなき空気吸う
- 鈴の音柏手の音初鴉
- 田畑の茫洋として初鴉
- 氏神は猿田彦様初鴉
- 三重県 北村英子
- 初鴉ブードゥー人形見つめをり
- 鳥居より神の使ひの初鴉
- 初鴉絵本のパン屋定休日
- 後光差す神社の列の初鴉
- 初鴉あの世この世を知りてをり
- 千葉県 山田香津子
- 八雲立つ神話の国や初鴉
- 神奈川県 沼宮内薫
- 犬小屋を荒らし放題初鴉
- 我ここに高みの枝や初鴉
- 人に慣れ都会また良し初鴉
- 詠へよと右脳かすめる初鴉
- 今日も又団地居座る初鴉
- 三重県 平谷富之
- 初鴉 去年の出来事 鳴ひている
- 群馬県 武藤洋一
- 駅伝の繋ぐ襷や初鴉
- 初鴉球児の素振りランニング
- カナリアの番見合わす初鴉
- 初鴉耳遠き爺詰将棋
- 稽古場に響くテッポウ初鴉
- 滋賀県 船岡房公
- 初鴉明けの近江の湖光る
- 参詣の途次に目が合ひ初鴉
- 啼き交はし確かめ合へり初鴉
- 福岡県 深町明
- 羽一つ落としてゆけり初鴉
- わたつみはいま静かなり初鴉
- 一声に夜明けの来たり初鴉
- 初鴉供物咥へて帰りけり
- 初鴉音をゆたかに羽搏けり
- 茨城県 長洲研志
- 投函の音より早く初鴉
- 突っ掛けと郵便受けと初鴉
- 1ミリの日差しの先の初鴉
- 毎朝の体位変換初鴉
- 日常の介護する朝初鴉
- 千葉県 入部和夫
- 青空の光と遊ぶ初鴉
- 水子絵馬絶句の國男初鴉
- 賽銭の御札ひらひら初鴉
- 菩提樹にくぐもる声や初鴉
- めでたさは小吉ほどの初鴉
- 神奈川県 塚本治彦
- 鳶を追ふ空中戦や初鴉
- 瑞鳥となりてしまひぬ初鴉
- めでたさや脚三本の初鴉
- 吉兆やはた凶兆や初鴉
- 変はらずの嗄れ声や初鴉
- 神奈川県 龍野ひろし
- 初鴉今日は厄介者とせず
- 初鴉鋭き声を捨て行けり
- 愛知県 木下澄枝
- ほのぼのと空あかあかと初鴉
- 白壁に続く石段初鴉
- ひと声に空広がりて初鴉
- 足摺の怒濤見据えて初鴉
- 京都府 村田稔子
- 顔洗う 変わりなき朝 初鴉
- 筆ふるえ 「拓」と記したり 初鴉
- 初鴉 コロナ禍の鍋 ひとり鍋
- 手を合わす 臼杵石仏 初鴉
- コロナ禍や 里にひとり湯 初鴉
- 東京都 猪俣ま悠
- 初鴉彼は誰時を喰らいけり
- 初鴉地上の門をくぐりけり
- 初鴉空の狭間に遊びおり
- 脱ぐ影は雲母となりぬ初鴉
- 埼玉県 小玉拙郎
- 朝焼けのプラネタリウムに初鴉
- とはいえど生ごみ漁る初鴉
- 初鴉迦陵頻伽と空にあり
- 死は幾万平和はひとつ初鴉
- 北海道 飯沼勇一
- 参道の監視続ける初鴉
- 黒一点どんどん近づく初鴉
- 初鴉富士に向かひて威嚇せる
- 初鴉カメラ目線のモデル顔
- 墨を擦る窓の横には初鴉
- 東京都 笹木弘
- 御水舎の水を呑みたる初鴉
- 光陰を啄むやうに初鴉
- 渋滞のない杜に舞ふ初鴉
- 定位置は鳥居の上の初鴉
- 今日も何かを咥へてゐる初鴉
- 千葉県 山田香津子
- 八雲立つ神話の国や初鴉
- 初鴉杜の静寂起こしたり
- 初鴉神籬の静めざめさす
- 愛媛県 加島一善
- 大吉の御籤ついばむ初鴉
- 初鴉朝に来たりてめでたしと
- 初鴉ひかりを纏い我が畑へ
- 初鴉鎮守の杜の巨樹を越ゆ
- 薄紅の富士へつがいの初鴉
- 東京都 吉田悠二郎
- 一本の大樹に一羽初鴉
- 東京都 山本貴士
- 啼く声を故郷へ連れて初鴉
- 起こしてと頼みし寝顔初鴉
- 啼き終へてあさげに翔べり初鴉
- 朱鷺色の寅次郎の背や初鴉
- 掌に蒸す五円玉初鴉
- 東京都 岩川容子
- 参拝の列に一声初鴉
- 神在わす出雲の空の初鴉
- 初鴉声の彼方に日の出る
- ありあけの月浮く空に初鴉
- 東京都 吉田悠二郎
- 光芒と為り大枝の初鴉
- 堅雪を突く觜や初鴉
- 東京都 長岡馨子
- 磨かれし配達のカブ初鴉
- 山梨県 森下博史
- 珍しく今年別嬪初烏
- 初烏初失恋を見ない振り
- 初烏配達人とする会釈
- くぐもったボスの一声初烏
- 俺のボケ今年も防げ初烏
- 埼玉県 守田修治
- 初烏御神籤というくじを買う
- 諸説あり拝めば治癒の初烏
- 対峙する長谷大仏と初烏
- よく似合う七里ヶ浜の初烏
- 初烏日の色澄んで二重橋
- 愛媛県 佐藤めぐみ
- 泊まり来し孫の寝息や初鴉
- 詣でたる山門の上初鴉
- イギリス ビッカリー美和
- 初日あび金に染まりの初鴉
- 東京都 松本征枝
- 子等の声響かぬ年や初鴉
- 神々し一夜明けたる初鴉
- 初鴉天変地異の無くもがな
- 世の常ぶ訃報もありし初鴉
- 平穏を唯祈るのみ初鴉
- 静岡県 大澤定男
- 初鴉村ぢゅうの音一つにし
- 初鴉添い寝の孫がああと言う
- 初鴉軒の先から日本海
- 初鴉なほ父祖の地に一羽二羽
- 初鴉祖父の謡の第一声
- 愛知県 斉藤浩美
- 鬼瓦と同じ方向き初鴉
- 初鴉コロナ禍中の街俯瞰
- ひといない街をたのしむ初鴉
- ハンガーを運ぶ塒や初鴉
- 林立のビルからビルへ初鴉
- 東京都 水野邦彦
- 影もなくなくなくなくや初鴉
- その姿絶えぬらむやぞ初鴉
- ふるさとへ声とどかせよ初鴉
- 酔い醒ます白湯を飲む間に初鴉
- マスク取り深呼吸後の初鴉
- 愛知県 新美達夫
- 故郷の山高からず初鴉
- またひとつ利口になつて初鴉
- 一張羅の礼服纏ひ初鴉
- 神奈川県 原川篤子
- 初鴉ビルの隙間の空を飛ぶ
- 神木の天突く高さ初鴉
- 初鴉白き参道俯瞰せり
- 明け染める社の空や初鴉
- 濁声も今日は清声初鴉
- 神奈川県 前田恵美
- 初鴉日に瑠璃色となる翼
- 高みよりかわきたる声初鴉
- 初鴉厨に灯りともすとき
- 玉砂利に後姿の初鴉
- 東京都 松本佳明
- 初鴉街を見下ろし君臨す
- 初鴉泣く子黙らす声姿
- 初鴉光る黒羽射る視線
- 初鴉姿勢正して第一声
- 初鴉朝一番の清冽さ
- 神奈川県 水野伸一
- 長旅は続くと告げる初鴉
- 彷徨の標となるや初鴉
- 来たるとも去れりとも鳴く初鴉
- いつもより遠くに聞こゆ初鴉
- 何事も無き朝嬉し初鴉
- 神奈川県 海野優
- 初鴉地蔵の供物掠めけり
- 咥へ立ち繰り返してをり初鴉
- 領空や領土ことなし初鴉
- 東京都 右田俊郎
- 初鴉コロナこの先如何なるや
- 自粛せよひたすら自粛初鴉
- 変異する意思に慄く初鴉
- 初鴉何かの変はる予感あり
- 初鴉人の未来に憂ひ顏
- 愛媛県 山家志津代
- 吉凶の一夜に変わり初鴉
- 耳すます季語となるらし初鴉
- だみ声はいつもと同じ初鴉
- 初鴉きのふと同じ墨衣
- 初鴉少し気取っておるやうな
- 東京都 豊島 仁
- 初烏五重の塔で夜明け待つ
- 白白と明治神宮初烏
- 新暁の大空一羽初烏
- 故郷やおらが地蔵と初烏
- 初烏はるかな富士へ向かいけり
- 京都府 中村万年青
- 電線に並んでいるは初鴉
- 鉄塔を木になぞらえる初鴉
- 日輪に黒羽も照るや初鴉
- 神奈川県 髙梨裕
- 日の当たる向いの畑の初鴉
- 氏神の空広広と初鴉
- 朝日差す魚籃観音初鴉
- 合わす手の光揺るがす初鴉
- 詣でれば杜陣取る初鴉