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- 俳句庵 2021年04月 優秀賞発表
- 俳句庵 2021年04月 作品一覧
俳句庵
4月『別れ霜』全応募作品
(敬称略)
- 埼玉県 哲庵
- 遙かなる紫峰瞭瞭別れ霜
- 別れ霜鍬に止まりし雀かな
- 小獣の足跡著き別れ霜
- 旅ゆけば駿河の国の別れ霜
- いくたびも畑見廻る別れ霜
- 宮城県 zazi
- 別れ霜クールミントのガムの味
- 別れ霜ダンスホールの老婦人
- 別れ霜堆肥散布のトラクター
- 猫島のフェリー乗り場や別れ霜
- ひとり居となりて小枝の名残霜
- 静岡県 いたまきし
- 別れ霜朝起きたらば立ちくらみ
- 茶畑の敷き藁に寄す別れ霜
- 別れ霜すえたる灸の熱さかな
- 別れ霜棒読みとなるありがとう
- 埼玉県 いまいやすのり
- さりげなく叔母に電話の別れ霜
- 別れ霜たうとう一人始発バス
- 休校の門扉に残る別れ霜
- 雲切れて江戸川土手の別れ霜
- 田は畑に変はりし里の別れ霜
- 愛媛県 ヴィッカリー趣乃
- 泣く吾子の声透き通る別れ霜
- 福岡県 すがりとおる
- 別れ霜光る上京始発駅
- ロック座の老ひし舞姫別れ霜
- 探す名は十年後や別れ霜
- 岐阜県 ときめき人
- 窓越しの顔険し父別れ霜
- 東京都 よしだ悠
- 繋がれし犬の背に降る別れ霜
- 東京都 よしだ悠
- 母の声われに届かず別れ霜
- 草千里埋めて千里や霜の果
- 別れ霜わかれた後の噂無く
- 少しだけ黒も混じれり名残霜
- 東京都 安藤ゆき子
- 別れ霜空き家の庭の三輪車
- 白猫とすれ違ふ朝別れ霜
- 薄曇り踏切開かず別れ霜
- 東京都 伊藤訓花
- 晩霜や眠れぬ朝の血糖値
- 日が差せば霜の名残の緩みかな
- 忘れ霜かすかな音の遊歩道
- 別れ霜下駄の鼻緒の薄湿り
- エッセイの締め切り迫る霜の果
- 千葉県 伊藤順女
- 菜園にしゃりりとひかる別れ霜
- 愛犬の墓ふくらみて別れ霜
- 神奈川県 井手浩堂
- 山裾に続く水田や別れ霜
- 子と決めし妻とわが墓地別れ霜
- 尼寺の小さき飛石別れ霜
- 見渡して畑一面の別れ霜
- 徳島県 井内胡桃
- 小康の味噌汁椀や別れ霜
- 別れ霜テレビの予報案ずのみ
- 厨事やっと片付き別れ霜
- 別れ霜土寄せ高く高く盛る
- 朝粥に散らす青物別れ霜
- 群馬県 塩原 香子
- 別れ霜川原の石のひとつづつ
- 笑む仏畑一面の別れ霜
- 朝日さす掃きよせし葉に別れ霜
- 夜が明けて畑一面に別れ霜
- 群馬県 塩原 香子
- 廃屋の枯草の上別れ霜
- 富山県 岡野 みつる
- これよりは農に勤しむ別れ霜
- 二度三度別れ霜かと思いけり
- 茶畑の緑増したる別れ霜
- 埼玉県 釜眞手打ち蕎麦
- 別れ霜葉を縁どりて刺々し
- 青天に剥がれしマルチ別れ霜
- 福島に大きな余震別れ霜
- 神奈川県 亀山酔田
- 朱の橋ここより路地と別れ霜
- 裏富士の裾野豊かよ別れ霜
- 魔女からの文句たらたら別れ霜
- 宅地てふ昔田畑別れ霜
- 手際よき町の豆腐屋別れ霜
- 茨城県 菊池風峰
- 生薬の味は五種類別れ霜
- ふりそそぐ月のかけらや別れ霜
- 笹の葉の傾げるおもさ別れ霜
- 別れ霜卓の上おく割れ煎餅
- 七十の手習い一句別れ霜
- 岐阜県 金子加行
- 臼までも積む段畑や別れ霜
- 信濃路の車窓に解けし別れ霜
- 別れ霜拭ひて父祖の墓仕舞ふ
- 飛騨の朝別れ霜踏む独り旅
- 掘り出せし山城跡や別れ霜
- 千葉県 四葩
- 畑中の木造校舎別れ霜
- 果樹園の径細りゆく別れ霜
- 別れ霜吉の神籤を小さく結ひ
- 東京都 斜楽
- 別れ霜南へくだる旅に出る
- 晩霜や月山読み終へしづかなる
- 東京都 斜楽
- 丁寧に鋤かれし畑や別れ霜
- 別れ霜朝餉の味噌のつゆうすし
- 根菜の葉の朽ちゆきて忘れ霜
- 大阪府 酒梨
- 眼前の茶葉甘からん別れ霜
- ながらへて別れ霜さへ涙ぐみ
- 陸奥に捧ぐ折鶴別れ霜
- 久しかる逢瀬の朝別れ霜
- はかなきは人のいのちと別れ霜
- 神奈川県 重兵衛
- 忘れ霜和服姿の美しきひと
- 前衛といはれしひとや別れ霜
- 山峡の宿のひと日や忘れ霜
- 新聞の小さな訃報別れ霜
- 別れ霜はにかみ笑ひの遺影かな
- 埼玉県 小安章代
- 別れ霜そろそろ始動老農夫
- 別れ霜廊下に猫の土足跡
- クリスマスローズ別れ霜の頃盛る
- 鳥よけの風車回るや別れ霜
- 敷き藁にほどよき疲れ別れ霜
- 北海道 小殿原 あきえ
- 真夜中に危篤の知らせ別れ霜
- 別れ霜タイタニックは海の底
- 別れ霜納屋のかゝしのしかめ面
- 神奈川県 上田みつき
- 野の草に突然来たり別れ霜
- 春潮や海藻運ぶ波となり
- 飛花落花水に浮かびて行く大河
- 別れ霜一人住まいの家移り
- 思案して休むに似たる別れ霜
- 大阪府 森 佳月
- ホルン響く飛火野に降る別れ霜
- 大阪府 森 佳月
- 八百八橋欄干に置く別れ霜
- 別れ霜こども佇む滑り台
- 六地蔵赤い頭巾に別れ霜
- 別れ霜終着駅は物悲し
- 埼玉県 水夢
- 駅前の小さき花壇や別れ霜
- 別れ霜駅舎にかかる古時計
- 別れ霜小さきラヂオの天気予報
- カラス鳴くごぼう畑に別れ霜
- 別れ霜都会の狭き空の下
- 鳥取県 瀬尾 柳匠
- 会ふまでの不安一掃別れ霜
- 別れ霜湖白々と明けにけり
- これからの長き老後や別れ霜
- 蜘蛛の囲に絡めとられし別れ霜
- 別れ霜我ストーマを公言す
- 東京都 勢田清
- 別れ霜打ちひしがれし青菜畑
- 満天の星別れ霜無き祈る
- 別れ霜野原一面真白なり
- 茶畑の風車休まず別れ霜
- 夜の焚火農家恐れる別れ霜
- 埼玉県 石塚彩楓
- 綺羅星を天にとどめて別れ霜
- 別れ霜更地の増えて一丁目
- 別れ霜垣根に赤き実の覗く
- 別れ霜墓所は朝日にそぼ濡るる
- 別れ霜ひかる野鳥の水飲み場
- 香川県 辰野
- 天気図を読んで徹夜の別れ霜
- 別れ霜また見た夢に寝汗拭く
- 別れ霜異動の前の部署覗く
- 神奈川県 池田恵美
- 木の洞に何の命や別れ霜
- 忘れ霜うぶ毛わづかに夫の頬
- 食細き子を励ますや別れ霜
- 東京都 中田ちこう
- 気動車の音こもる街別れ霜
- 日がさして土手かけおりる別れ霜
- 神奈川県 猪狩鳳保
- 足音を立てぬまがつひ別れ霜
- ぶつぶつとつぶやく田螺別れ霜
- きららかに残る星影別れ霜
- 雛僧の今朝大くさめ別れ霜
- 軒下の雀おとなし別れ霜
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 別れ霜十年ぶりの大地震
- 長ながと風呂に浸かりて忘れ霜
- しよひ籠でぎつくり腰や忘れ霜
- 千葉県 徳翁
- 別れ霜季の移ろいは待ったなし
- 言いかねてメモ一枚に別れ霜
- 軽風や旅に誘われ別れ霜
- 色褪せるあの日あの時別れ霜
- 暁闇一事を決し別れ霜
- 東京都 内藤羊皐
- 隣室の情事の如く忘れ霜
- 後の世の如く匂へる別れ霜
- 別れ霜喃語の女児のむづかりぬ
- 児ごとに異なる呱々や別れ霜
- 西武線遅れる報せ忘れ霜
- 徳島県 白井百合子
- 五剣山みる足元の別れ霜
- 菜園の萎れる野菜別れ霜
- 別れ霜明日の予報に気が気なり
- 病院食今日が最後の別れ霜
- 徳島県 白井百合子
- 友垣の訃報の朝に別れ霜
- 埼玉県 飛翔
- 美しく老いて生きたし別れ霜
- 草花に別れもあるや別れ霜
- 恩人を忘れてならぬ忘れ霜
- 老いて許されること増え忘れ霜
- いつまでも昭和を思ひ忘れ霜
- 千葉県 柊二
- 一天に関東平野別れ霜
- 北海道 風花美絵
- 開花日にあはせるやうに別れ霜
- 自転車が線引く道に別れ霜
- 別れ霜花壇に白き花咲かせ
- 千葉県 風泉
- ・別れ霜化粧も淡く今朝の庭
- ・数多ファン護る茶畑や忘れ霜
- ・今朝までと寂しくもあり別れ霜
- ・畑一面畦ひとすじに忘れ霜
- ・朝日差すベンチにゆるむ霜の果て
- 奈良県 平松 洋子
- 制服を脱いで一時別れ霜
- ガラス戸を磨く力や別れ霜
- サラリーマン靴音鈍し別れ霜
- 埼玉県 宥光
- 日の思案して試歩の道別れ霜
- 大仏の手に包まるる別れ霜
- 別れ霜崩し漕ぎ出る渡し舟
- 別れ霜被る実生の撓りし芽
- 解体の陋屋の更地別れ霜
- 神奈川県 立野音思
- 祭壇の笑ふ遺影や別れ霜
- 満天の星瞬きて別れ霜
- 大阪府 鈴木三津
- 別れ霜禅堂へ踏む甃
- 赤牛黒牛晩霜の草千里
- 大阪府 鈴木三津
- 晩霜予報農やめてより幾年ぞ
- 月明に夜富士の影や別れ霜
- 朝六時別れ霜おく花時計
- 大阪府 鈴木千年
- 箒目の浮足立ちて別れ霜
- 春の霜降りて古墳のまばゆかり
- 暁光の絵馬のきらりと別れ霜
- 整然とうねる茶畑別れ霜
- 遠山の近々とあり別れ霜
- 広島県 老人日記
- 老いの坂逆らい登る別れ霜
- 子も親に言いたきことあり別れ霜
- 切り取りし肺のうづきや忘れ霜
- 扇風機の回る茶畑別れ霜
- 忘れ霜一足ごとに消えゆけり
- 大阪府 藤田康子
- 猫の額ほどの畑別れ霜
- 長き長き夜行列車よ別れ霜
- 別れ霜畑は猫の額ほど
- 兵庫県 岸下庄二
- 草庵の飛石五つ別れ霜
- 過疎村の捨て田を覆ふ別れ霜
- 別れ霜鼻緒の黒き宿の下駄
- 町中の地震の更地に別れ霜
- 籬垣(ませがき)の男結びに別れ霜
- 愛媛県 砂山恵子
- テキストは過去形ページ忘れ霜
- 忘れ霜我に家あり家族あり
- 仔牛抱く実習生や忘れ霜
- 素手でとる豆腐のまろさ忘れ霜
- 光とも影とも成らず忘れ霜
- 埼玉県 飯塚璋
- 素つ気無く川は流れて別れ霜
- 埼玉県 飯塚璋
- 温泉のけむり横に流れて別れ霜
- 素つ気無く川は流れて別れ霜
- 別れ霜畑の片隅堆肥積む
- ブラジル 玉田千代美
- 若れ霜神戸の港泣き別れ
- 別れ霜二度と逢へない夫逝きし
- 別れ霜思へば胸に祖母の顔
- ブラジル 林とみ代
- 移住てふ戸惑ふ心別れ霜
- 農産物の手入れ急ぎぬ別れ霜
- 銅鑼響く波止の見送り別れ霜
- 疫病に翻弄されて別れ霜
- 別れ霜風の尖れる並木道
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 鉢植ゑをそろそろ外へ別れ霜
- 大阪府 木山満
- 共白髪の誓虚しく別れ霜
- 日の出かも夕日かもただ別れ霜
- 茶や桑に害してならぬ別れ霜
- 別れ霜束の間置かれ手水鉢
- 紅引けどやはり老人別れ霜
- 神奈川県 守安雄介
- 後ろ手のビニールハウス別れ霜
- 別れ霜聖火リレーの始まりぬ
- 別れ霜コロナワクチン待ち遠し
- 別れ霜ビニールハウスのデジサーモ
- 別れ霜テレビドラマの盛り上がる
- 愛知県 西谷寿
- 早朝に別れ霜でて仕事いく
- 空晴れて鳥がさえずる別れ霜
- 待ち望む別れ霜去り晴れやかに
- 別れ霜負けずに遊ぶ子どもかな
- おだやかな気分にさせる別れ霜
- 東京都 岩崎美範
- 地震十年今年も粛と別れ霜 (ないとと
- 遊学に旅立つ朝の別れ霜
- 父の忌やこの日忘れず別れ霜
- 復興の槌音ひびく別れ霜
- 行商女名残の霜を踏みしだく
- 兵庫県 岸野孝彦
- 別れたるわけも解らず別れ霜
- さよならと告げられもせず別れ霜
- 退職の足跡残す別れ霜
- 忠魂碑白きベールの別れ霜霜
- 別れ霜踏みて無人の駅遥か
- 島根県 非掲載
- 不器用が農を継ぎけり別れ霜
- 深煎りのエスプレッソや別れ霜
- 白が好き言ってた母や別れ霜
- 別れ霜ゆっくり錆びる観覧車
- 黒土を撫でる手のひら別れ霜
- 埼玉県 北川清
- 忘れ霜 忘れてならぬ 親のこと
- 競走馬 走った後の 忘れ霜
- 取引で 売掛ふやし 忘れ霜
- 買い物を カード払いで 忘れ霜
- 孫装い カード手渡し 忘れ霜
- 大阪府 藤田康子
- 父の匂ひ納屋にそのまま別れ霜
- 死ぬ日までみな一人旅別れ霜
- ブラジル 林とみ代
- 銅鑼響く波止の見送り別れ霜
- 移住てふ戸惑ふ心別れ霜
- 別れ霜風の尖れる並木道
- 疫病に翻弄されて別れ霜
- 別れ霜の被害恐るる農家かな
- 長野県 木原登
- 手を振つて友ゆく霜の名残かな
- 黒土の畝かがやかす別れ霜
- まつさらな切株のあり忘れ霜
- 晩霜の畑を啄む群雀
- 桑畑落葉松林霜の果
- 神奈川県 嶋村博吉
- 別れ霜踏むまだ自粛解けぬ日の
- 別れ霜野に広々と牛放つ
- 新潟県 近藤博
- 季は移りなれどまた降る別れ霜
- けじめなく止むとも思へぬ別れ霜
- 目覚むれば庭にべつたり別れ霜
- 別れ霜これにて果つるや季は移り
- 降り止みて庭にそちこち別れ霜
- 愛知県 斉藤浩美
- ようやくに入山ゆるされ別れ霜
- 別れ霜校歌の中の沃野にも
- 野仏の満身創痍別れ霜
- 別れ霜蝦夷地はどこも沃野なる
- 別れ霜ピッケル立てて墓標とす
- 宮城県 非掲載
- 天よりの響く言霊別れ霜
- 足音も陰も無きしや別れ霜
- 合掌や闇を重ねて別れ霜
- 別れ霜心残りの夫の黙
- 父逝くや賛美歌ふるえ別れ霜
- 静岡県 城内幸江
- 断捨離の決心つかず別れ霜
- かき卵のふんわり浮び別れ霜
- パンプスの足軽やかに別れ霜
- 別れ霜緑と話す露天風呂
- 別れ霜足に馴染まぬ登山靴
- 宮城県 林田正光
- 微笑みの遺影に会釈別れ霜
- 晩節を穢すことなき別れ霜
- 別れ霜秘湯の宿を守りをり
- 夜勤明け踏むに踏まれぬ別れ霜
- 旅先の友となりけり別れ霜
- 東京都 猪俣ま悠
- 別れ霜少しやつれた里程標
- なだらかな坂続きおり別れ霜
- カステラを切るや無口の別れ霜
- 別れ霜夜の匂いを残しおり
- 遠吠えの高く響けり別れ霜
- 東京都 長岡馨子
- 育苗のビニルハウスに別れ霜
- 千葉県 伊藤博康
- 朝一番納屋の扉の別れ霜
- 立て掛けし榾木に薄く別れ霜
- これまでに抜かりは無いか別れ霜
- 神奈川県 川島欣也
- 葬送の轍に残る別れ霜
- ベランダの鉢に弧かけ霜恐れ
- 別れ霜夜陰に刻む時の針
- 遅れ霜瑞穂の国の日を跳ねる
- 君は逝きはやととのせや忘れ霜
- 神奈川県 塚本治彦
- 別れ霜傾きて立つ開墾碑
- 別れ霜底の底なる峡の村
- 石ころの混じる山畑別れ霜
- 山畑の立小便や別れ霜
- 別れ霜牛の尿に湯気立ちて
- 三重県 後藤允孝
- 生薬の匂ふ石臼別れ霜
- 別れ霜息整ふる一の弓
- 擦るマッチ焔小さき別れ霜
- 三重県 後藤允孝
- 折り鶴は羽を尖らせ別れ霜
- 進みべき道はすぐそこ別れ霜
- 京都府 村田稔子
- 別れ霜 茶畑に一人たたずむ
- 別れ霜 茶畑に咲く 赤たすき
- 別れ霜 茶娘の指 軽やかに
- 東京都 笹木弘
- 力石を持ち上げしごと別れ霜
- 屋号で呼び合ふ畑に別れ霜
- 言葉無く解けて儚き別れ霜
- 単身赴任の荷の届く別れ霜
- 豆乳に甘みの増える別れ霜
- 東京都 二川昌弘
- 別れ霜それでもマスクつけ歩き
- 別れ霜恋の始まる予感して
- 別れ霜コロナ去り行くとき告げて
- 別れ霜太公望の笑顔増え
- 別れ霜空晴れ渡り鳥は飛び
- 広島県 永野昌人
- 石段に湿りし跡や別れ霜
- 別れ霜絵の具のチューブ絞り出す
- 別れ霜掃くや畠の竹箒
- 良く晴れて風の無き朝忘れ霜
- 鎌の刃に薄き錆あり別れ霜
- 沖縄県 稲福達也
- 煙草の火映す窓辺の別れ霜
- 別れ霜思ひ入ること告げぬまま
- 朝光に幽けき月と別れ霜
- 滋賀県 船岡房公
- 保津峡のトロッコ列車別れ霜
- 寒冷紗被りし畑や別れ霜
- 別れ霜四足門ある隠れ里
- 東京都 右田俊郎
- 別れ霜鍬の手入れをする農夫
- 東京都 右田俊郎
- 花種の袋を選ぶ別れ霜
- 農小屋の模様替えする別れ霜
- 近況をメールで告げる別れ霜
- 別れ霜作付けプランあれやこれ
- 兵庫県 髙見正樹
- 別れ霜始発電車に急ぐ道
- 回り道草地を阻む別れ霜
- 別れ霜朝体操に人疎ら
- 別れ霜靴跡のこる歩道橋
- 真っ新な晩霜の畑鍬を打つ
- 岡山県 岸野洋介
- 子を叱る声の筒抜け別れ霜
- 別れ霜新入り増えしケアハウス
- 別れ霜遺影の妻はいつも笑み
- 別れ霜踏んで傘寿の一人旅
- 別れ霜新茶葉まもるタイヤ焚き
- 三重県 北村英子
- 出勤に神仏に依る別れ霜
- 赤色のアイライン引く霜の果
- 有休の同じふたりや霜の果
- 通勤の自転車重く別れ霜
- 別れ霜繰り返したる英単語
- 神奈川県 沼宮内薫
- 別れ霜今年最初の挫折かな
- 二度三度うつかりもあり別れ霜
- 朱の橋ほんのり白し別れ霜
- 父の顔血の気も失せる忘れ霜
- 何事もなきよに消える別れ霜
- 大阪府 津田明美
- 別れ霜 人の噂の 七十五日
- 老農の 畝真っ直ぐに 別れ霜
- 別れ霜 明日解体の 母の家
- 大阪府 津田明美
- 別れ霜 光芒放つ 曠野かな
- 駆け足で 乗る始発バス 別れ霜
- 埼玉県 岸保宏
- 妻の家どこに座るも別れ霜
- 終活の靴底減りし別れ霜
- オンライン少し薄着や別れ霜
- 滋賀県 別役昌子
- テキストは『今日の伊予弁』別れ霜
- 残りしは吾と猫のみに別れ霜
- 禁煙となりしチロルや別れ霜
- 別れ霜あの子もつまり都会へと
- 別れ霜「だんだん」と挨拶のこゑ
- 神奈川県 龍野ひろし
- 巌門の尖りし波や別れ霜
- 霊峰に法螺の響くや別れ霜
- 別れ霜わが学び舎はダム底に
- 別れ霜いまは灯のなき商店街
- 東京都 佐藤富幸
- 別れ霜足跡残す庭の芝
- けもの道笹分け入りぬ別れ霜
- 庭先に届く朝刊別れ霜
- 庭の隅鬼門赤石別れ霜
- サンダルに足先濡れし別れ霜
- 東京都 佐藤美智子
- 菜園に藁敷く父や別れ霜
- ぬくぬくと暮らす日々打つ別れ霜
- ひそやかに出掛ける朝の別れ霜
- 隙間穴入りし猫の背別れ霜
- 凶御籤結ぶ枝先別れ霜
- 滋賀県 中島光汰朗
- みづうみの波静かなり別れ霜
- 河川敷に広がる畑別れ霜
- 山裾につづく茶畑別れ霜
- 滋賀県 中島光汰朗
- チエンソーに散りゆく木屑別れ霜
- 月光に比叡の尖り別れ霜
- 埼玉県 小玉拙郎
- 別れ霜連れて鉢植え日の下へ
- 六畳のレンタル畑の別れ霜
- 移る陽に消える木陰の別れ霜
- 谷間の小畠今日の別れ霜
- 千葉県 峰崎成規
- 別れ霜昔話も底をつき
- レコードに昭和のノイズ別れ霜
- 別れ霜栞褪せたる中也の詩
- 別れ霜見舞ひて後の涙かな
- 姉老いて妣の面ざし忘れ霜
- 東京都 松本征枝
- 悔やまるる言葉の綾の別れ霜
- 別れ霜一期と義弟決めいしか
- 弟の先に逝きしや別れ霜
- 格言の如き降りたる別れ霜
- 学ぶれど農は難儀よ別れ霜
- 愛媛県 山家志津代
- ささくれを舐める舌先別れ霜
- 軽トラに軍手三双別れ霜
- 貰い子と聞かされし祖母別れ霜
- 胎児流す腰水の川別れ霜
- 葉タバコの三角帽や別れ霜
- 東京都 豊宣光
- 別れ霜天が与えし句読点
- 重ね着に戻りたる朝別れ霜
- 逝きし友「別れ霜」なる詩を遺し
- 三年の恋は終わりぬ別れ霜
- 別れ霜原発被害まだ消えず
- 三重県 平谷富之
- 別れ霜時を告げたるものとして
- 福岡県 深町明
- きのふけふ素面の霜の別れかな
- 晩霜や星を見やうと星野村
- 別れ霜片恋なきにしもあらず
- 金山や今朝しんかんと忘れ霜
- 晩霜や八女の奥地に澄雄句碑
- 神奈川県 海野優
- 別れ霜親しき人と誤解かな
- 忘らるる夜干しの白き別れ霜
- 別れ霜高層階に変はる街
- 北海道 飯沼勇一
- 別れ霜山小屋はまだ闇の中
- 山ひとつ越せば信濃は別れ霜
- 「黙」の字の目だつ旅館や別れ霜
- 静岡県 大澤定男
- 古稀までは白黒付けて別れ霜
- 持重るライカと父と別れ霜
- 百数ふ祖母と女湯別れ霜
- 指切りの母の身持ちや別れ霜
- ため息の深きをさ中別れ霜
- 茨城県 小松崎孝志
- 別れ霜プロペラ廻る畑かな
- 「注意報」畑に急ぐや別れ霜
- 今日からは余生と決める別れ霜
- グランドの陰に残るや別れ霜
- 白球と走る少女や別れ霜
- 東京都 山﨑勝久
- 珈琲の少し濃いめや別れ霜
- 桟橋に名残の霜の矢切かな
- 茶畑にプロペラ廻り別れ霜
- 九十九折りのぼるマイクロ別れ霜
- 遅霜の予報伝へるテレビかな
- 神奈川県 矢神輝昭
- 反り合わぬ友の転校忘れ霜
- 神奈川県 矢神輝昭
- 難産や子牛生まれて忘れ霜
- 峰近し足元軽し別れ霜
- 疳の虫霜の別れの虫封じ
- お百度や満願迎へ忘れ霜
- 愛知県 新美達夫
- 忘れ霜添ひ寝の妻の深眠り
- 深刻なことをさらりと忘れ霜
- 終着がそのまま始発別れ霜
- 東京都 岩川容子
- 別れ霜いつしか身内遠くなり
- 別れ霜納屋に並びし茶摘み籠
- 草陰の虫のあわれや別れ霜
- 別れ霜草の匂いを残し消ゆ
- 神奈川県 原川篤子
- 句碑あまた鞍馬の山の別れ霜
- 別れ霜ほつほつ芝に灯をともす
- 竹箒の光(かげ)の欠片や別れ霜
- 家並の黒き甍や別れ霜
- 塔見えても磴のけはしき別れ霜
- 愛媛県 加島一善
- 最後とは知らずに踏みし忘れ霜
- 晩霜や牛乳瓶の跳ねる音
- 別れ霜はちきん未だ飲んでをり
- 晩霜を寄せぬプロペラブォ~ンブォ~ン
- 別れ霜やけに老けたる豆腐売り
- 茨城県 長洲研志
- デイサービスの迎え来て別れ霜
- 宣言の2度目の解除別れ霜
- 2年目の田舎暮らしや別れ霜
- 習い事2年を過ぎて別れ霜
- 隣人の庭を掃く音別れ霜
- 埼玉県 守田修治
- 床上げの兆しとなるか別れ霜
- 埼玉県 守田修治
- 別れ霜気象予報士にっこりと
- 別れ霜新野球部もいきいきと
- 投薬の二つも減って別れ霜
- 別れ霜パジャマざぶざぶ洗濯す
- 福岡県 西山勝男
- 発心の札所打ち終え別れ霜
- 起き抜けの土と向き合ふ別れ霜
- 結願の霊地へ一歩別れ霜
- 坊跡の更地となりし霜の果て
- 神奈川県 佐々木重夫
- 二階の窓に射す光別れ霜
- 朝日さすカーテン眩し別れ霜
- 影をつくる里の楠別れ霜
- 別れ霜ふとき欅のちひさき葉
- 静止する夜明けのポタジェ別れ霜
- 東京都 水野邦彦
- 汁椀の青菜貴し別れ霜
- 笑い合い園児らは踏む春の霜
- 蹴飛ばした布団探すや別れ霜
- 春の霜とけるを待たん泥あそび
- 神奈川県 松野勉
- ブランコの赤い手袋別れ霜
- 神奈川県 髙梨裕
- 防波堤漁り小舟や別れ霜
- 寂光院明けの水音別れ霜
- 爛漫の空跡形の別れ霜
- 雲水の旅の衣や別れ霜
- 下京の夕残の雨や別れ霜
- 東京都 豊島 仁
- 釣り船や錆びた錨に別れ霜
- ふるさとは用心深き別れ霜