俳句庵

6月『昼寝』全応募作品

(敬称略)

岐阜県     金子加行
吸ひ付きし肢体を剥がす昼寝覚
埋めるべきノート白紙や昼寝覚
アルプスの風に洗はる大昼寝
昼寝覚む子の背丈なほ伸びしかな
昼寝してさ引き延ばす引き延ばす
千葉県     柊二
辞書引ける三ページ目の風昼寝
愛知県     岩田勇
ライオンの鼾すさまじ大昼寝
熟睡の昼寝恐ろし不眠症
気分佳き幽明境の昼寝かな
パソコンの前が定位置大昼寝
暫くは寝ぼけ眼の昼寝醒め
埼玉県     飯塚璋
座布団を枕代りに昼寝かな
昼寝の鼾窓の硝子の割れさうな
臍見せて檻のゴリラの昼寝かな
昼寝覚めさびしき夢より帰り来ぬ
昼寝覚めたましひ戻すもとの位置
岩手県     小栗不死実
透き通る足裏を見せて稚(やや)昼寝
初恋のひとに遇ひたき午睡かな
境内の木陰でちよいと三尺寝
教卓の昼寝の涎ぬぐふ奴
自転止め地球も午睡われが夢
愛媛県     砂山恵子
金づちの音は子守歌三尺寝 音(ね)
欠伸してまたうつ伏せに昼寝の子
三尺寝大海原を見たる夢
コクトーの海広がりし昼寝覚
広島県     
昼寝覚投句終はりし人の群
目的地着くまで少し昼寝する
解らない問題放り昼寝する
ばれていた昼寝の跡がついていた
逢いにいく昼寝の夢であの人に
昼寝する愛しき吾子の顔見つめ
東京都     よしだ悠
昼寝覚め滂沱の涙なにゆゑぞ
長野県     木原登
臍に本載せて大の字大昼寝
茶を飲むや午睡の妻を起こさずに
象亀に乗りて戻りし昼寝覚
木の影の一つに一人三尺寝
這松をベッド代はりの昼寝かな
栃木県     鹿沼 湖
作業着の衿のゆつたり昼寝かな
東京都     長岡馨子
三度めの午睡米寿の母ゆたか
新潟県     近藤博
昼寝とて熟睡(うまい)たっぷり夜のやうに
昼寝覚め魂ぬけてうつろなる
留守電にセットし長々昼寝とす
欠伸出でなほ寝足らずや昼寝覚
昼寝覚め添ひ寝の妻なほ高鼾
愛知県     西谷寿
仕事なくやることなくて昼寝する
老夫婦幸せそうに昼寝する
老夫婦話しながら昼寝する
ふるさとで気持ちゆるんで昼寝する
ゆらゆらとまわりがゆれる昼寝かな
東京都     岩崎美範
川の字に親子三人昼寝せり
漱石を顔に被せて昼寝かな
街商の腕を枕の三尺寝
東京都     岩崎美範
亡き父のぴくりともせぬ三尺寝
古稀過ぎて昼寝の罠に嵌りけり
奈良県     堀ノ内和夫
昼寝覚くつきり残る畳皺
夜寝てさらに昼寝とは有り難きかな
徳島県     白井百合子
猫抱いてうつらうつらと昼寝かな
浜風に桟敷の隅でする昼寝
バス揺られ終点までの昼寝かな
徹夜して家事の合間に昼寝せり
病むからだ夜は寝られず昼寝する
静岡県     いたまきし
退屈と覚醒の間の昼間かな
無意識に眉をひそめて昼寝かな
岐阜県     ときめき人
樽座るウイスキーキャット昼寝覚
東京都     内藤羊皐
高麗門仕上げし父の昼寝かな
喘鳴の妻の昼寝の未だ覚めず
ペガサスの誕生探る昼寝かな
ランボーの目蓋重なる午睡かな
妙正寺川の水照や昼寝覚
茨城県     一本槍満
書のかほり一畳ほどの昼寝かな
昼寝して電灯の奥母の声
まな板のリズムにのまれ昼寝する
兵庫県     岸野孝彦
邯鄲の一睡想う昼寝かな
遠き日のライスシャワーの昼寝かな
チェーホフの全集枕の昼寝かな
停車場の振り子時計と昼寝かな
モネの絵の睡蓮満ちし昼寝かな
東京都     石川昇
大昼寝夢のむかしは美しく
叱られた涙も乾き昼寝の子
東京都     石井真由美
乳ふふむ遠き昼寝の四畳半
山梨県     森下博史
山頂の暴風に縮こまって昼寝
昼寝って北極海を漂う気分
ラーメンの後片付けの前に昼寝
昼寝って少しだからいいのかも
寝相が悪い庭の苗木の昼寝
三重県     藤田ゆきまち
うつ伏せの昼寝の腰の辺り猫
昼寝して母のカレーの香りして
寝たふりのやがて昼寝となりにけり
神奈川県     嶋村博吉
昼寝する妻はソーシャルディスタンス
昼寝覚め第一声は獣声
昼寝覚め第一声は獣声
昼寝する妻はソーシャルディスタンス
島根県     
保育士の狸寝入がお昼寝に
昼寝して新車の色の決められず
昼寝から覚めて広がってる点差
山口県     山縣敏夫
昼寝から覚めて天国七十五
大の字に昼寝している孫二人
郵便の声に昼寝の夢破れ
昼寝中愛犬吠えて目が覚めた
昼寝中一陣の風畳の間
東京都     猪俣ま悠
右側の痺れておりぬ昼寝覚
一匹と姉妹の並ぶ昼寝かな
留守電にして存分な昼寝かな
昼寝より覚めて腹痛ぶり返す
昼寝覚白きシーツの翻る
大阪府     木山満
長過ぎし昼寝風呂抜き夕餉食(は)ぶ
大阪府     木山満
昼寝覚め黄泉路の蓮の眼(まな)裏(うら)に
昼寝覚め亡夫(つま)の温もり消えもせで
長昼寝ひと日の無駄と臍を噛む
ケアハウス三食昼寝の贅を知る
兵庫県     岸下庄二
読みかけの新聞顔に昼寝かな
昼寝子の屈託の無き寝顔かな
間違ひの電話に起きる昼寝かな
開け放つ座敷に昼寝父と母
棟梁の捩じり鉢巻き三尺寝
東京都     伊藤訓花
一本の電話のベルに昼寝覚
喜寿となる夫の昼寝の寝言聴く
全身を溶かす昼寝の深いびき
しばらくは留守を決め込む昼寝かな
猫居れば抱いて抱かれて昼寝中
千葉県     徳翁
普請場に昼寝二人のヘルメット
昼寝覚め時計の針のみ変わりけり
昼寝覚め寝入りしままの形かな
昼寝深し天国近く往きにけり
広島県     老人日記
帰国子の昼寝手枕青畳
やりくりの上手な妻や三尺寝
蔀戸を全開にして僧昼寝
大阪府     森 佳月
車椅子の妻はそのまま昼寝する
糞のそば昼寝する犬跨ぎけり
昼寝から目覚めてみても認知症
東京都     勢田清
休憩の昼寝すっきり良い気分
船漕いで頭ぶつけて昼寝覚め
胸に本置いたとたんに昼寝かな
東京都     勢田清
昼寝覚め明るい午後の平和かな
昼寝して気付けば布団掛けてあり
長野県     伊庵
猫の場所とってかわって昼寝の子
昼寝子の眼の裏の果てもなき
埼玉県     岸保宏
大あくび猫に昼寝の先越され
重機音静まり返る昼寝党
よく見れば我に似たるや昼寝の子
東京都     佐藤富幸
株暴騰昼寝の夢の薄笑い
縁側の昼寝の猫の紙縒りかな
幼子の昼寝の顔や地蔵尊
昼寝覚胸のタオルや妻の顔
東京都     佐藤美智子
昼寝夫リモコン連れて寝落ちけり
潮の香や車窓の里に昼寝覚
老犬の夢に足蹴る昼寝かな
指の跡顔に二本の昼寝かな
朝釣りは坊主なりしか昼寝人
千葉県     玉井令子
野暮用は昼寝の後に回しけり
ステイホーム夢見の悪き昼寝覚め
アンコールワット巡りは昼寝あと
海からの帰りの車窓昼寝中
昼寝中のタクシー並ぶ木陰かな
広島県     Dr.でぶ
昼寝して山手線は三周目
地に落ちる我にビクンと昼寝覚め
昼寝より呼び戻したる雨催い
岡山県     岸野洋介
孫昼寝何を夢見るうす笑い
床の間に足を向けたる大昼寝
網戸入れ透き来る風の昼寝かな
岡山県     岸野洋介
爺と婆真中に猫の昼寝かな
妻と義母仲良く並ぶ昼寝かな
千葉県     峰崎成規
魂の戻らぬままの昼寝覚め
腹満ちて牛になりたき昼寝かな
昼酒の五勺に深き昼寝かな
無遠慮な着信音の昼目覚め
早食ひすニッカポッカの三尺寝
東京都     服部かつこ
いい日です昼寝ができて夫がいて
昼寝して夜も良く寝る妻がいる
しあわせの数の一つや昼寝かな
静岡県     城内幸江
食材を全て切り終え大昼寝
昼寝の子読みかけの本顔の上
物音にすぐ飛び起きる昼寝かな
そよ風に昼寝やさしくなりにけり
リビングに余所行きのまま昼寝せり
神奈川県     沼宮内 薫
一番の趣味は昼寝と次俳句
犬猫を侍らす吾子の昼寝かな
職業欄無職と記して大昼寝
長生きはしまひと決めて昼寝かな
解剖学胸に伏せある昼寝かな
茨城県     小松崎孝志
健康の秘訣昼寝と早起きと
昼寝時公園に居る営業車
あの頃は開けっ放しの昼寝なり
昼寝時じっとおしゃべり我慢の児
嬰児の刻々育つ昼寝かな
東京都     二川昌弘
のりを超えず昼寝して待つ良き知らせ
ギボウシは昼寝せず咲く日本橋
東京都     二川昌弘
昼寝して体力をつけ対コロナ
夏休み朝酒昼寝夕散歩
養生訓人混みを避け昼寝かな
沖縄県     稲福達也
昼寝覚廻る木馬は夢のなか
恐竜の玩具かたへに昼寝の子
老いふたり昼寝のあとの番茶菓子
をちこちにニッカポッカの三尺寝
山口県     永野昌人
あるまじき姿を晒す昼寝かな
うつし世へまはり舞台や昼寝覚
極楽はこの世にもある昼寝かな
地下足袋を緩めて鳶の三尺寝
佳き風の四阿にふと昼寝かな
滋賀県     村田紀子
雨音で昼寝中断舟をこぐ
昼寝より覚めて草刈る手の速さ
昼寝時鳥の囀り子守唄
昼寝する子等に潮風祖母の声
鳥が二羽昼寝するなと鳴きだした
埼玉県     いまいやすのり
図書館に時に昼寝の営業マン
窓に聞く喇叭三声の昼目覚
野球子の縦横斜め昼寝かな
トラックの木陰連なる昼寝時
起こさるる昼寝最中の俄雨
埼玉県     北川清
孫帰り 緊張とけて 妻昼寝
宝籤 家族に分けて 昼寝さめ
雷や 昼寝していて 蚊攻めあう
明神の 甘味処で 昼寝かな 
授業中 園での昼寝 ひきずって
神奈川県     井手浩堂
遠山の雲をみてゐる昼寝覚
波音が子守歌なる昼寝かな
魂の抜けたるごとき昼寝覚
神奈川県     塚本治彦
釣人の潮時までの昼寝かな
ヘルメット探してをりぬ昼寝覚
あとのこと倅に任せ長昼寝
町医者の患者待たせて昼寝かな
昼寝覚まだ片足は夢の中
福岡県     深町明
買ひ物に乗せて行けとて昼寝して
三尺寝したしサグラダ・ファミリアに
考へる人の姿の昼寝かな
目を閉じて国境のなき昼寝かな
どうしようもなく駐車して昼寝せむ
香川県     辰野
初恋の君に会いたし昼寝する
昼寝覚畳の跡のいつまでも
持て余す自粛期間を昼寝して
昼寝して話せた君は十五歳
大阪府     津田明美
昼寝覚ビデオ鑑賞最終章
時の軸ぐるり回れる昼寝覚
孫と言ふ小鬼居ぬ間の昼寝かな
やんちゃくれ今浦島に昼寝醒め
昼寝覚現実逃避適わずに
神奈川県     海野優
昼寝していづこへ旅の寝言かな
一刻を一年ほどの昼寝覚め
河太郎の川の字を書き昼寝かな
東京都     山﨑勝久
昼寝する母娘くの字の相似形
昼寝覚アンコールへは大拍手
東京都     山﨑勝久
一向に時の進まぬ昼寝かな
群馬県     塩原香子
風通しよき茶の間にてつい昼寝
風の音水の音聞ゆ昼寝覚め
昼寝覚め意外や意外すっきりと
存分に昼寝をしたる遠き日よ
昼寝覚め厨事急ぐ薄暮かな
兵庫県     髙見正樹
昼寝覚まぶた開くも夢心地
シーエムや昼寝を覚ますテレビ音
昼寝癖夜更し気味の八十路かな
大阪府     太田省三
すぐ覚めし昼寝の夢にカツサンド
ハーネスを解かれ昼寝のレトリバー
宅配便あわてて転ぶ昼寝覚
困迫の娘二階に大昼寝
三キロの太る早さや昼寝の子
福岡県     川崎 日知
昼寝してくせ毛の殊にまるまりぬ
0歳と同じ寝顔の昼寝かな
触れてみる昼寝の白き踝へ
神奈川県     塚本治彦
町医者の患者待たせて昼寝かな
あとのこと倅に任せ長昼寝
昼寝覚まだ片足は夢の中
ヘルメット探してをりぬ昼寝覚
釣人の潮時までの昼寝かな
宮城県     林田正光
一仕事終へてうたた寝昼寝かな
カーテンが揺れて昼寝の顔覗く
新書読む五ページ進み昼寝かな
昼寝人起こさぬように忍び足
助手席の昼寝の吾子の無垢の顔
富山県     岡野 みつる
昼寝して午後のパワーを貰いけり
知らぬ間にネコの寄り添う昼寝かな
妻の声夢に交ざって昼寝覚め
大阪府     永田
合宿の寺の昼寝や五十人
昼寝覚T.P.O.を取り戻す
孫昼寝じいじも昼寝静かなり
ええしのぼん昼寝といへどパジャマ着る
神奈川県     亀山酔田
昼寝して五臓六腑の伸びにけり
昼寝てふ薬要らずの医者要らず
一言も世辞が言へずに三尺寝
頬杖を机に託し昼寝せり
恐竜のタオルケットの昼寝かな
京都府     村田稔子
畳部屋 孫と小の字の 昼寝かな
耳元に ブーンと羽音 昼寝さめ
昼寝中 夢うつつなり 母の声
縁側に 孫と昼寝の 昼下がり
岐阜県     雅風
天国を下見してきて昼寝覚
枕辺にガンダム並べ昼寝の子
競馬紙を顔に親方三尺寝
お目当てのパンダは昼寝ばかりかな
川の字が小の字となり昼寝人
東京都     豊宣光
阿弥陀仏光る昼寝の夢の中
縁側に体丸めて猫昼寝
昼寝よりさめて遅刻を急ぎけり
ここからは昼寝の時間本を閉づ
老農夫大樹の陰の昼寝かな
神奈川県     池田恵美
嘘ひとつ言はざりし顔昼寝人
神奈川県     池田恵美
何か物つまむ指して昼寝の子
ムーミンのタオルかぶつて三尺寝
神奈川県     原川篤子
三尺寝若き大工の脛長き
先ず母を捜す赤子の昼寝覚
預かりし子頬の涙の昼寝かな
傍に母のゐるかに昼寝覚
かすかに笑む熟寝の嬰の昼寝かな
埼玉県     釜眞手打ち蕎麦
堂々と昼寝できる身眠くなし
180度時間のずれし昼寝覚
子供より父が先なる昼寝かな
神奈川県     龍野ひろし
縦横に動く園児の昼寝かな
目覚めてもいまだ目覚めぬ昼寝覚
ふるさとの広き座敷に昼寝かな
埼玉県     小玉拙郎
木陰てふタイムマシンや昼寝覚め
昼寝しか手のない嵐宿の午後
昼寝する場所に惑うや十畳間
大の字をくの字に移す昼寝かな
三重県     後藤允孝
自堕落に猫も横たふ昼寝かな
会話ふと途絶ゆる母の昼寝かな
童顔となりし八十路や昼寝覚め
寝かす子の手の休みたる昼寝かな
寝返りを打つ子打たない子の昼寝
千葉県     長谷川ぺぐ
10分の昼寝に託す昼休み
徘徊の母今は亡き昼寝覚
神奈川県     矢神輝昭
山手線昼寝の一周昼休み
隣人の肩で昼寝のはらはらと
背の子の首そっ返し昼寝かな
神奈川県     矢神輝昭
昼寝の子おとぎの国より帰りおり
古女房少し口あけ昼寝かな
北海道     飯沼勇一
父白寿昼寝に昼寝また昼寝
旅をして来し目の園児昼寝覚
芸人のコマギレ昼寝出番待ち
伸びすれば猫伸び返す昼寝覚
外科病棟喋り鎮まる昼寝時
愛媛県     山家志津代
つかの間の小町が妻の昼寝かな
世の中は何も変わらず昼寝覚
茨城県     長洲研志
亡き父のアルバムを抱き母昼寝
大谷の打席のみ見て昼寝する
昼寝する幼少の我母の手帳
本日は野球も中止昼寝人
青い空猫と庭師の昼寝顔
奈良県     平松洋子
児と昼寝遠くに学校チャイムの音
目覚めれば一駅のみの昼寝かな
寄り合うて車の陰に猫昼寝
埼玉県     章代
その間も地球自転す長昼寝
昼寝覚指輪抜けなくなってをり
鳥取県     瀬尾 柳匠
うつしよを少し離れし三尺寝
寝姿のよく似て吾子の昼寝かな
残業疲れ昼寝時間をまた延ばす
日を避けし大工仕事の昼寝かな
昼寝覚「お腹すいた」の第一声
滋賀県     別役昌子
昼寝猫独占したるカーポート
大昼寝独り居の午後もて余す
夜勤明けカーテン閉めて大昼寝
滋賀県     別役昌子
空室に座椅子並べて昼寝かな
一両の電車昼寝の母子乗せ
神奈川県     守安雄介
コロナ禍や昼寝の顎の沈む首
コロナ禍の電動お岩昼寝せり
孫去んで昼寝楽しむ爺と婆
爺婆に三児託せし昼寝顔
昼寝する緑陰に降る蝉時雨
東京都     高橋栄
昼寝する妻のひかがみまぶしかり
昼寝覚電車飛び降る隣り駅
丹念に夢たぐりゆく昼寝覚め
本堂にありがたき風昼寝かな
恐竜の色気にかかる昼寝覚め
神奈川県     町子
昼寝覚床に崩れしカーディガン
昼寝する気丈な母の笑いしわ
半畳で祖母はひっそり昼寝かな
まぶた閉じ家電の響き昼寝かな
昼寝覚かすかに残る海の香や
神奈川県     安藤 真青
我慢する眼の先や昼寝かも
肌掛けをよけて仏間の昼寝ざめ
海風のそよとぬけたる昼寝かな
埼玉県     宥光
顔剃りの客の度胸や三尺寝
潮風に吹かれて深き昼寝かな
昼寝から覚めて幼の夢ばなし
びくりとす右頬あたり昼寝人
昼寝より覚めて一歩の小さき幅
東京都     笹木弘
奈落の底まで見て来し昼寝覚
聞き覚えの声に起こさる昼寝かな
東京都     笹木弘
鍵掛けて充電中の大昼寝
無重力から戻り来し昼寝覚
大の字に五体投げ出し昼寝の子
埼玉県     水夢
ケータイの音に目覚める大昼寝
腕時計外し昼寝の男かな
昼寝覚夢のつづきに母の顔
風かよふ広き座敷に昼寝かな
波はるか竜宮城で昼寝する
神奈川県     立野音思
一炊の昼寝はときに長き夢
名僧の法話も勝てぬ昼寝かな
足の裏見える昼寝や侘住ひ
大の字の昼寝姿や青畳
急襲に人馬驚く昼寝どき
愛媛県     山家志津代
大部屋の主役張りたる昼寝覚
愛媛県     加島一善
裾ただす母のをんなの昼寝覚
夢の野を半周残し昼寝覚
鉋屑敷いて大工の三尺寝
浮遊せし魂もどり昼寝覚
晴れの日も雨の日とても三尺寝
大阪府     酒梨
昼寝にも昼寝の作法ありしかな
とほくより呼ぶこゑのして昼寝覚
川の字の真中は猫の昼寝かな
昼寝覚エスプレッソのプチカップ
口許のよだれ拭きつつ昼寝覚
千葉県     伊藤順女
あの世からこの世にもどる昼寝覚
潮風に覚めし昼寝や旅の宿
徳島県     井内胡桃
昼寝する足へ顎のせ猫のタマ
徳島県     井内胡桃
猫そばに昼寝枕の置きどころ
昼寝中講師の声はしかと聴き
昼寝してシンクロナイズ猫と夫
まだ其処に母の居そうな昼寝覚
東京都     右田俊郎
老いの身に日課の昼寝欠かせない
川の字に寝っ転がって昼寝の子
頬撫でる風に微笑む昼寝の子
園児らは昼寝の時間三時まで
腹掛けに金のひと文字昼寝の子
愛知県     斉藤浩美
勾玉のかたち昼寝のやすらけし
自堕落な姿さらして昼寝する
定年後昼寝浸りの日々となる
昼寝して昼寝の俳句考える
昼寝して活力少し戻り来る
東京都     中田ちこう
三尺寝足場の陰の缶ジュース
昼寝子の頬のプリントたたみの目
大阪府     鈴木千年
肘掛の肘の高さのよき昼寝
極楽の畳の上の昼寝かな
片目まだ眠つてをりし昼寝覚
忙中に珠の昼寝を賜りし
風が帆を操つてゐるよき昼寝
大阪府     鈴木三津
玉手箱開けたるやうに昼寝覚
ここはどこわたしはだーれ昼寝覚
風鐸のことりと昼寝覚めにけり
大の字に小の字に子の昼寝かな
昼寝覚めしばし雲居にある心地
静岡県     大澤定男
遠縁の娘の婚や昼寝覚
静岡県     大澤定男
昼寝覚ホールの奥に電話室
母と寝て爺と目覚めて昼寝孫
こんこんと老妻昼寝枯れざらむ
昼寝覚叔父満州に馬上杯
東京都     岩川容子
起こすには忍びがたきや昼寝顔
異国語の寝言も混じる三尺寝
電話鳴る夢か現か昼寝覚め
愉しみは昼寝の後の夕散歩
埼玉県      哲庵
目を開けたまま看護士の三尺寝
巣籠りて昼寝昼酒昼湯かな
大股を開いて昼寝カンガルー
社会的距離を保ちて昼寝かな
ご隠居の特技は昼寝趣味昼寝
埼玉県     石塚彩楓
昼寝覚深廂より青き空
寝返りて胎児のごとく昼寝かな
夫と子の相似形なる昼寝かな
ふるさとの風の中なる昼寝かな
畳の目頬に残して昼寝はつみ
ブラジル     玉田千代美
昼寝覚む故郷と我家間違へり
昼寝して会ひたき夫に夢で逢ふ
ブラジル     林とみ代
昼寝中と札を掛けたる扉かな
建築場に工夫寄り添ひ三尺寝
昼寝覚むコロナ無き世に遊びけり
潮風の誘ふ海辺の昼寝かな
乳母車に赤子スヤスヤ昼寝かな
神奈川県     重兵衛
それぞれがおのれの形昼寝かな
夢でまた言訳してる三尺寝
神奈川県     重兵衛
夢多き若き男の三尺寝
つかの間のバック・ツゥ・ザ・フューチャー昼寝かな
夜までの時間数へる昼寝覚
千葉県     風泉
・握握に小指つかませ添う昼寝
・「ジャッカルの日」一夜の読破や昼寝パワー
・コロナ禍や出控え太る昼寝癖
東京都     山本貴士
兄妹の企ての声昼寝覚
新しき道作る音昼寝かな
へばりつく癖毛払ふ子昼寝相
サヨナラの実況の声昼寝覚
懐かしきソテーの匂ひ昼寝覚
滋賀県     船岡房公
公園の脇のタクシー昼寝人
パソコンを衝立にせし昼寝かな
空足を踏みし心地の昼寝覚
福岡県     西山 勝男
魂のあっけらかんと昼寝覚
昼寝して戦のことを忘れけり
昼寝覚はたと農夫の顔となる
読みさしの歳時記胸に昼寝覚
昼寝覚遺影の父に睨まれる
埼玉県     守田修治
ライオンは威厳捨てたる昼寝どき
昼寝するサンチャゴ巡礼みち遠し
合宿の道着のままの昼寝かな
土曜午後ジャズを愉しむ昼寝かな
「鬼平」を二頁読んで昼寝かな
東京都     水野邦彦
ご近所さん昼寝鼾に変はりけり
あれこれと粛み疲れ昼寝たり
昼寝人にもう三時よと花時計
東京都     水野邦彦
初恋や昼寝の夢と覚めざらむ
山房の昼寝は覚めず草枕
鳥取県     475俳句
昼寝覚隣のいびきまだ愛し
野にリネン地球とひとつとなり昼寝
発電の羽根を休めて三尺寝
三尺寝耳に鉛筆差したまま
影揺れて昼寝の窓に猫来たる
北海道     風花美絵
サバンナの雲ぽこぽこと昼寝する
夜も昼も眠れるものだ昼寝覚
バオバブにハンモックさげ昼寝する
午睡(シエスタ)で田んぼ空つぽカンボジア
昼寝覚クメール遺跡ほほえみて
愛媛県     アリマノミコ
昼寝するキューピーちゃんに添寝する
人の世はラタトィユなり昼寝する
糖質オフ献立作り昼寝する
なぜ夜が朝になるのか昼寝する
福岡県     多事
愛犬のベロの臭ひや昼寝ざめ
昼寝さめ畳男の腕である
昼寝子の足の石英ひかりけり
姉のよな犬にもたれて子の昼寝
欄干を踏み外す夢昼寝覚
埼玉県     飛翔
大の字に夫(つま)の昼寝や四畳半
ちらつと笑む稚児の昼寝やベビーカー
トラックの窓に足ある昼寝かな
昼寝より覚めてもどかし5分間
昼寝より覚めてこの世の人になる
神奈川県     水野伸一
昼寝する社長の眉間皺が寄り
神奈川県     水野伸一
昼寝覚め大漁旗まだ靡きけり
引退し堂々嗜む昼寝かな
披露宴中止と聞きて昼寝覚め
各停の企業戦士の昼寝かな
北海道     小殿原 あきえ
昼寝して砂漠の船に揺られけり
バスキンのやうな姉妹の昼寝かな
着信を知らんぷりして午睡かな
東京都     豊島仁
突然の枕濡らすか昼寝人
幸せは昼寝の出来る世にありき
昼寝する後めたさと至福かな
さまざまな事あれ先ずは昼寝から
救急車昼寝の我に迫りけり
神奈川県     髙梨袴
昼寝の子傍ら祈る爆心地
銅鑼焼を食べて腕白昼寝顔
コロナ禍や昼寝の吾子の愛おしき
祖母眠る昼寝の顔の薄き髭
眠る子に添うや昼寝の猫つぐう