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- 俳句庵 2021年10月 優秀賞発表
- 俳句庵 2021年10月 作品一覧
俳句庵
10月『秋うらら』全応募作品
(敬称略)
- 福井県 山本晟瑚
- 縁側で満月眺む秋うらら
- 兵庫県 岸下庄二
- 公園のベンチにごろ寝秋うらら
- 谺する出船の汽笛秋うらら
- ひょうきんなからくり時計秋うらら
- 千切れ雲ゆつくり流れ秋うらら
- 秋うらら程よき揺れの一両車
- 千葉県 柊二
- ランナーのガイドロープや秋うらら
- 静岡県 いたまきし
- 前菜とスープたいらげ秋うらら
- 秋うらら見えないものに話す魔女
- ぐうたらに空を見るだけ秋うらら
- 奈良県 福田依愛
- 遠景を各駅停車秋うらら
- いまここをふるさととして秋うらら
- エクモより帰宅との報秋うらら
- 秋うらら猫の毛先のひかりたち
- りん鳴らす母の指先秋うらら
- 山梨県 森下博史
- パチンコに負けてバス停秋うらら
- お見舞いの帰り豆腐屋秋うらら
- 登山靴紐をほどいて秋うらら
- 顔なじみ探す銭湯秋うらら
- 秋うららカール天空露天風呂
- 新潟県 近藤博
- 四阿にちと腰を据え秋うらら
- 秋うらら湖面をすいすい遊覧船
- 秋うらら園児らはしやぐ遊園地
- 空蒼く風の柔らに秋うらら
- 天に地に陽光満つる秋うらら
- 神奈川県 志摩 比呂樹
- 天守閣よりの一望秋うらら
- 秋うらら蝿が手をする目を閉じる
- 兵庫県 神長誉夫
- 秋うららコッヘルの湯気高々と
- 秋うらら青春十八きっぷ手に
- 地の賛歌宙聴き入りて秋うらら
- 秋うらら眠るキリンの首くるり
- 秋うらら櫂が水面の葉色混ぜ
- 大阪府 藤田康子
- アメリカで二刀流沸く秋うらら
- 秋うらら母のごとく立つ灯台
- ブラジル 西山ひろ子
- 秋うらら夢の世界の女将さん
- 秋麗やごミサ見守るマリア様
- 秋麗やおはじき瓶に光持ち
- 秋うらら青いシグナル雨弾き
- 笑む孫のまなこの色気秋麗
- 愛知県 西谷寿
- 秋うらら雲の流れに人心地
- 秋うらら静かに起きてお茶を飲む
- 秋うららねこもしゃくしもあくびする
- 秋うらら心ゆるびて横になる
- 秋うらら時計の針が停止する
- 東京都 小山正司
- まだ青い 団栗見つけ 秋麗
- シーソーに 蝗を見つけ 秋うらら
- 秋うらら 既読の返事 待つ午後よ
- 耳元を 蜻蛉追い越す 秋うらら
- 秋うらら 悲しい気持ち 空に溶け
- 広島県 ゆうすい
- 秋うらら子らに手を振るパイロット
- 秋うららしおりを挟む参考書
- お浸しのかつぶし揺れる秋うらら
- 広島県 ゆうすい
- 秋うらら点検中のエレベーター
- 秋うらら校舎の裏の弓道部
- 岐阜県 金子加行
- 秋うららかつて村あり道祖神
- 秋うらら子に縁談の届きたる
- 再スタート図りし地なり秋うらら
- 秋うらら隣町まで歩かうか
- 秋うらら左ひだぢや深き森
- 東京都 よしだ悠
- 疫病も水害もくそ秋うらら
- 埼玉県 岸保宏
- 休耕田絨毯にして秋うらら
- 車椅子穂が絡まれし秋うらら
- 秋うらら地蔵の目尻上がりけり
- 長野県 木原登
- 雲を見て雲と話して秋うらら
- 八千穂高原白樺林秋麗ら
- 手術後の眼帯外す秋うらら
- 三々五々牛が牧食む秋うらら
- 秋麗の城下一望天守閣
- 大阪府 八王寺宇保
- 空き缶の走るメロディー秋うらら
- 海上の空に柵なし秋うらら
- 三度目の霊柩車なり秋うらら
- 逆打ちの結願成れり秋うらら
- 軽症のうちに治癒せり秋うらら
- 福井県 山本晟瑚
- 秋風に花木のそよぐ露天宿
- 東京都 岩崎美範
- 秋うらら壁にミレーの農民画
- あの角を曲がれば生家秋うらら
- 秋うららシャボンの匂ふ理髪店
- 秋うらら退院近き友見舞ふ
- 秋うらら旧姓で呼ぶクラス会
- 神奈川県 海野優
- 忙しと口に出しては秋うらら
- 秋うらら長々と書く恋の文
- 差出しのなき絵手紙や秋うらら
- 埼玉県 北川清
- 多摩上水 小道散策 秋うらら
- 喜多院や 五百羅漢と 秋うらら
- 秋麗や 鹿の鳴き声 ここかしこ
- 奥入瀬や 季節の映り 秋うらら
- 戦時ぬけ 米寿お祝い 秋うらら
- 千葉県 徳翁
- 秋うらら祖父より残る稲田刈る
- あくびするテリアのベスト秋うらら
- 自転車で土堤をノロノロ秋うらら
- 秋うららカフェのテラスで英字紙を
- 福井県 山本晟瑚
- 秋の香や溢れんばかりの旬果実
- 東京都 笹木弘
- 秋うらら電話で頭下げてをり
- 秋うらら亀の甲羅の乾きをり
- 秋うらら一輛で行く越後かな
- 秋うらら髑髏マークの海賊船
- 手を上げて停まるバスあり秋うらら
- 東京都 石川昇
- 秋うらら影を踏み合う鬼ごっこ
- 密のなきベンチの読書秋うらら
- 東京都 勢田清
- 秋うらら日輪高くぼんやりと
- 秋うらら土手の芝生にまどろみぬ
- バイオリン物悲しくも秋うらら
- 秋うららバイオリニスト八重歯見せ
- 秋うらら街のかなたに青い海
- 徳島県 井内胡桃
- 秋うらら玉子サンドのずっしりと
- 指させば鼻寄せる猫秋うらら
- 徳島県 井内胡桃
- 秋麗の殿と名付けし野良の猫
- 塩むすびリュックに三つ秋うらら
- 秋うらら古道具屋に白い椅子
- 徳島県 白井百合子
- 入母屋に野生の猿や秋うらら
- 愛犬と裏山深く秋うらら
- ぼんやりと空を楽しむ秋うらら
- カット付き犬のシャンプー秋うらら
- 秋うらら電話のベルに目が覚める
- 神奈川県 川島欣也
- 秋うらら和服野点に集いけり
- 彩に染む田んぼのアート秋うらら
- 公園の園児木登り秋うらら
- 秋うららくすぐられるや旅心
- 童謡唄う散歩の親子秋うらら
- 岡山県 岸野洋介
- 秋うらら浮桟橋のひとり揺れ
- 秋うららこの世短き長女なり
- 秋うらら母のメールに「ミケの死す」
- 四阿は風の十字路秋うらら
- 傘寿来て喪服新調秋うらら
- 神奈川県 猪狩鳳保
- 秋うらら雀の嘴の黒光り
- 秋うららひずめの跡の真砂道
- 笑ふ児を笑つて見る子秋うらら
- 秋うらら温泉玉子の七光り
- タンカーの吃水浅し秋うらら
- 神奈川県 沼宮内薫
- 秋うらら白煙ながれSL車
- 秋麗や真白に乾く柔道着
- 秋うらら宿場めぐりの第一歩
- 放牧の仔牛艶めき秋うらら
- 神奈川県 沼宮内薫
- 秋うらら木道わたる風さやか
- 兵庫県 岸野孝彦
- ペダル踏む明日香の里の秋うらら
- 息子にも良縁来たる秋うらら
- 秋うららヘッセを友の旅愁かな
- 秋うらら太鼓囃子の響く里
- 涸沢で一人旅寝や秋うらら
- 長崎県 入口弘徳
- グラウンドへボールを蹴って秋うらら
- 東京都 内藤羊皐
- 川の面に雲の耀ひ秋うらら
- 道切りの縄の翳揺れ秋うらら
- 秋うらら面差変はる鬼瓦
- 秋うららをさなの沓の又脱げる
- 秋うらら猫の毛玉の女学生
- 埼玉県 いまいやすのり
- 銀ぶらの外灯ほのと秋うらら
- 秋うらら新し供花の石仏
- 秋うらら対岸よりの大太鼓
- 小社のラジオ体操秋うらら
- 秋うらら詩吟詠ずる河川敷
- 埼玉県 加藤 紗子
- 秋うらら微かにひりつく頬かな
- 帽子脱ぎ秋うららへと胸開く
- 広島県 老人日記
- 秋麗や海底火山陸地めく
- 秋うらら彩なす京の千余年
- 秋うらら幟はためく過疎の村
- 断食の水ひといきに秋うらら
- 陸地めく海底火山秋うらら
- 千葉県 伊藤博康
- 忙しなき世を横に置き秋うらら
- どっぷりと身を委ねたる秋うらら
- 秋うらら進みし授業オンライン
- 千葉県 伊藤博康
- しんがりの馬駆けぬける秋うらら
- 秋うらら屋根光りをる窓の外
- 神奈川県 塚本治彦
- 秋うららどこへ行くにも日和下駄
- 老父母の髪刈る庭や秋うらら
- 居眠りのやうな釣師や秋うらら
- 秋うらら賽銭箱を直す禰宜
- 舟で着く嫁と嫁荷や秋麗ら
- 沖縄県 渡嘉敷五福
- 秋うららいいことだけを書く便り
- 秋うららパフェに日の差すカフェテラス
- 秋うららさはさりながら所在なく
- 人を恋ふ十九のこころ秋うらら
- 知るほどに好もしきひと秋うらら
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 樹上より雛の鳴き声秋うらら
- ハイパント一斉に追ふ秋うらら
- 大阪府 森 佳月
- 故郷は心のまほろば秋うらら
- 亀石の甲羅の重し秋うらら
- フジタ描くパールの肌や秋うらら
- 埼玉県 岸保宏
- 白壁の壁の白さよ秋うらら
- 習字する子等の背筋や秋うらら
- 秋うらら宮家の話し賑やかし
- 神奈川県 片桐と志え
- 秋うららがんもふつくら炊きあがる
- 汚水管の蓋にペガサス秋うらら
- 秋うら竹輪に通すウィンナー
- ボジョレー・ヌーボーうふふ一本うらうらら
- 秋うららマーブルチョコのぶつかる音
- 山口県 ひろ子
- うららかや菊人形の微笑みは
- 彼岸花実る稲田を縁取りぬ
- 埼玉県 宥光
- 秋うららぐんぐん育つパンダの子
- 秋うらら吊橋渡る唯ひとり
- 秋例や母の髪を梳く縁の淵
- 秋うらら発掘つづく遺跡群
- 秋麗やアルプホルンの牧草地
- 埼玉県 三休
- 秋うらら池の中洲に群れる亀
- 秋うらら彫り深き眼の磨崖仏
- 秋うらら水面静かな利根渡し
- 秋うらら六角上る下る道
- 秋うらら尾まで餡子の鯛焼き屋
- 愛媛県 砂山恵子
- 万博旗すべて上がりて秋うらら
- 塔すべて海に向かいて秋麗
- 腰で漕ぐバランスボール秋うらら
- 秋麗讃岐の山はあくびして
- 寺の名が駅となる市よ秋うらら
- 大阪府 津田明美
- 秋うらら使い慣れたる花鋏
- 秋うらら公園デビューの乳母車
- 秋うららゆっくり乾く朱印帳
- 秋うらら飛機雲海を渡り行く
- 秋うらら子連れの野外コンサート
- 神奈川県 井手浩堂
- 秋うらら鎌倉街道混み合ふも
- 秋うらら団地に一日の野菜売り
- 秋うらら並び干さるる子らの靴
- 芸終へて胸張る猿や秋うらら
- 東京都 佐藤富幸
- 秋うらら峠の茶屋の野点傘
- 集団の接種終わりて秋うらら
- 秋うらら庭一面の天日干し
- 東京都 佐藤富幸
- 空上る田の白煙や秋うらら
- 東京都 佐藤美智子
- 秋うらら容易く出でし世辞一つ
- 都営バス日の丸つけて秋うらら
- 秋うらら大手広げて平和ボケ
- 真青なる空にシャツ干す秋うらら
- ブーケトス教会前を秋うらら
- 山梨県 天野昭正
- リス増えてストレスたまる秋うらら
- 秋うららトランペットを吹く少女
- 茶髪の子今は白髪秋うらら
- 飛行機の離発着見る秋うらら
- 秋うらら年寄り達のから元気
- 茨城県 小松崎孝志
- 秋うらら目を閉じ孫のバイオリン
- 秋うららシナモンパンの香のほのか
- 球場の円陣の声秋うらら
- 秋うらら空の吸込む白い球
- 秋うらら休校明けの児らの声
- 愛知県 斉藤浩美
- 秋麗の浜にこびんの流れ着く
- 地を摺つて母の歩ける秋うらら
- 留袖に会い振袖に会い秋うらら
- 碧眼の猫秋麗を映しをり
- 地球儀に傾斜を与え秋うらら
- 神奈川県 立野音思
- 秋うらら廃墟横切る雲の影
- 秋うらら一人暮らしが板につき
- 秋うらら稲荷に抜ける細き道
- 年を経て訪ふ故郷秋うらら
- 神奈川県 矢神輝昭
- 心字池魚の跳ねるは秋うらら
- 銀座にも米の実りて秋うらら
- 神奈川県 矢神輝昭
- 退院の日の近づいて秋うらら
- 仲違ひ映画館出て秋うらら
- かずら橋渡り終えたり秋うらら
- 東京都 髙山善裕
- 遍路道思わず外る秋うらら
- 秋うらら散歩の足も遅くなり
- 京都府 村田稔子
- 秋うらら 洗濯物の 白冴える
- コロナ禍の 登校班や 秋うらら
- 秋うらら 一昨昨年(さきおととし)の 旅の空
- 岐阜県 雅風
- 秋うらら子規もやりたる草野球
- 妻癒えて床上げ近し秋うらら
- パドックに馬のお目見得秋うらら
- 秋うらら通りを埋むる刃物市
- 秋うららロバのパン来る鄙の里
- 三重県 後藤允孝
- 秋麗や読書好きなる男の子
- 秋うらら漁港は猫の船溜まり
- 野うさぎの畑ちょろちょろ秋うらら
- 逆上がりやつと出来たよ秋うらら
- 嫁ぐ子の押す車椅子秋うらら
- 兵庫県 髙見正樹
- 秋うらら歩道を塞ぐ鳩の群
- 草に坐す母子三組秋うらら
- 新しき運動靴や秋うらら
- 宮城県 林田正光
- 珈琲かそれとも紅茶秋うらら
- 秋うらら足軽やかにスニーカー
- 秋うらら外人墓地の笑い声
- 還暦に集う仲間や秋うらら
- 公園のペット談義や秋うらら
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- 君思ひ啜るコーヒー秋うらら
- 滋賀県 村田紀子
- 秋うらら浜の足跡走り出す
- 五年振りハガキが届き秋うらら
- 木鋏を持つ手に声が秋うらら
- 砂山を裸足で走る秋うらら
- 忘れ物高く掲げて秋うらら
- 東京都 伊藤訓花
- 行間に残るふりがな秋うらら
- 秋うらら点滴落つる窓白し
- 秋うららナースコールの静寂かな
- 秋麗や診察室の清浄機
- 秋麗や本の匂ひに煙草の香
- 東京都 豊宣光
- 秋うらら空爆なき世願いつつ
- 秋うらら老いたる母に肩たたき
- ひと房のたわわな重さ秋うらら
- 空は青田は黄金に秋うらら
- 秋うらら色づき競う木の葉かな
- 三重県 平谷富之
- 往診の結果良好秋うらら
- 秋うらら散歩の距離も伸びにけり
- 千葉県 峰崎成規
- 古書店で選るぞつき本秋うらら
- 蒼天は雲の遊び場秋うらら
- 水準器気泡空向き秋うらら
- 日時計は秒分要らず秋うらら
- 美術展三つ梯子し秋うらら
- 愛媛県 加島一善
- 秋うららボサノバの音とモカの香と
- ピンポンのラリーの続く秋うらら
- 秋うらら傍に子がいて妻がいて
- 秋うららバス乗り換えてアマルフィへ
- 秋うららジェスチャーしてた昭和の日
- 島根県 杤谷治
- 立ち漕ぎの刈上げに風秋うらら
- 島根県 寺津豪佐
- 秋うらら昔二階に物干場
- 埼玉県 水夢
- 秋うらら龍登りゆく蒼き空
- 秋うらら海光ゆらすタグボード
- 秋うらら松美しき瑞巌寺
- 樺の木の仄白き影秋うらら
- 自転車のサドルは高し秋うらら
- 奈良県 平松 洋子
- 散歩道甥っ子姪っ子秋うらら
- 秋うららいつも校門花盛り
- 笑み返す赤子の負んぶ秋うらら
- 大阪府 鈴木千年
- 貧乏くじまたまた当り秋うらら
- 木の洞にすつぽり馴染み秋うらら
- 秋うららスマホゲームの指自在
- 絵図を手にスタンプラリー秋うらら
- 秋うらら古地図頼りに史碑めぐり
- 大阪府 鈴木三津
- 秋うらら庭に間遠の鋏音
- 来世には庭師になろう秋うらら
- 眠たげな明日香亀石秋うらら
- 笹舟に童心もどる秋うらら
- 雑魚一つ上げて逃がして秋うらら
- ブラジル 林とみ代
- 秋うららワクチン接種終へにけり
- 園丁の口笛聞ゆ秋うらら
- オンラインで祝ふ宴や秋うらら
- 秋うらら果実豊富な朝の市
- 秋うらら自粛解けたるひと日かな
- 岐阜県 ときめき人
- 秋うらら笑みの増したる六地蔵
- 千葉県 のん
- 秋風に 路地の木の葉の 笑い声
- 神奈川県 原川篤子
- 水底の石に光(かげ)ゆれ秋うらら
- ビル狭間に赤き鳥居や秋うらら
- 秋うらら高尾山より塔二塔
- 秋うらら綿雲掬ふ観覧車
- 秋うららモデルハウスの木の匂ひ
- 神奈川県 龍野ひろし
- 秋うららバザーに集ふ車椅子
- 千葉県 伊藤順女
- 秋うらら絶叫マシン空をとぶ
- 富士山の遠く小さく秋うらら
- よき風のとおる庭さき秋うらら
- 東京都 松本征枝
- 満点をわざわざ見せに秋うらら
- 鼻歌の厨に流る秋うらら
- 一面の物干し溢れ秋うらら
- ウォーキング野辺の草まで秋うらら
- 秋うらら去りにしロマン手繰りおり
- 東京都 中田ちこう
- 秋うらら光があらふ道祖神
- 東京都 田畑 整
- 秋うらら馬房におが粉敷きつめて
- 秋うららジョギングロードでストレッチ
- 秋うらら信号待ちの幌型車
- 行きつけの床屋閉店秋うらら
- 道尋ね訛りわからぬ秋うらら
- 徳島県 井内胡桃
- 秋うらら玉子サンドのずっしりと
- 秋うららラインダンスのフラミンゴ
- 秋うらら古道具屋に白い椅子
- 指させば鼻寄せる猫秋うらら
- 秋麗の殿と名付けし野良の猫
- 静岡県 大澤定男
- 秋うらら閼伽水桶に家の紋
- 秋うららひと日は不意の昼の月
- 静岡県 大澤定男
- 秋うららソーラー時計知らぬ間に
- 秋うらら父の背中という自撮り
- 秋うらら着付け師範に嫁ぎ先
- 神奈川県 亀山酔田
- 秋麗や雄鶏競う声に声
- 秋うらら化粧をなして神楽舞う
- ほたえるも子の裁量と秋うらら
- 秋麗や頂き尖る峯続き
- 秋麗と聞かば背筋の伸びる感
- 東京都 右田俊郎
- 秋うらら歓声上がる草野球
- 原っぱにテント点々秋うらら
- 秋うらら外れ馬券の宙を舞ふ
- 秋うらら人力車夫の耳ピアス
- 秋うらら似顔絵描きの客を待つ
- 宮城県 佐藤沙なゑ
- 秋うらら這松香る深山かな
- 秋うらら慰霊に遺る海の碧
- 秋うらら行幸啓の遺構也
- 埼玉県 釜田眞吾
- 水琴の宇宙に響き秋うらら
- 秋うらら風見てをらぬ風見鶏
- 埼玉県 守田修治
- 秋うらら新幹線にもごぶさたで
- 秋うらら桐下駄鳴らす句会かな
- 追伸は寸借せがむ秋うらら
- 秋うらら志ん生忌日きょうあした
- 秋うらら小紋染師の伸子張り
- 兵庫県 えいえい
- 練習す選手宣誓秋うらら
- 埼玉県 哲庵
- 秋うらら丘を越え行くタンデム車
- 秋うららスカイツリーに飛行船
- 秋うらら両手に杖の街散歩
- 埼玉県 哲庵
- 秋うらら縦一列の車椅子
- 秋うらら妻の打ちたる蕎麦すする
- 愛知県 飯田 夷佐久
- 秋麗や銀杏並木の影長し
- 鯛焼きの裏に焦げあり秋うらら
- 蜜柑の木切りたる庭へ秋うらら
- 四十九の父は無職で秋うらら
- 秋うらら犬の吠え合ふドッグラン
- 東京都 岩川容子
- 懐かしき駅のこの香や秋うらら
- 秋うらら空に届けと観覧車
- 秋うららベンチに杖の忘れ物
- 野にありて笑う羅漢や秋うらら
- 茨城県 長洲研志
- 庭先の大の字の猫秋うらら
- 秋うららアコーディオンの女の子
- 肉球は臭く愛しく秋うらら
- 境内の竹ぼうきの音秋うらら
- 笹子抜け矢立ての杉や秋うらら
- 中国 加良太知
- 初授乳くすぐったいよ秋うらら
- 秋うらら鼻より溶けてゆくかゆみ
- 待たぬときまたタクシー来秋うらら
- 秋うらら牛乳箱の青光り
- 秋うらら指でのたくる英単語
- 千葉県 四葩
- 秋うらら良き笑顔して配達夫
- 秋うららずしりと重き米袋
- 東京都 山﨑勝久
- 風見鶏港見下ろし秋麗
- 秋麗カップインの音軽し
- 甲斐甲斐し鋸ひく音や秋麗
- 秋うらら煉瓦塀の蔦青く
- 東京都 山﨑勝久
- 秋うらら水上バスの二階席
- 大阪府 酒梨
- 秋うららレースの子豚迷走す
- 秋うらら三々五々のミサ帰り
- 秋うらら墓地を下見の夫婦かな
- 秋うらら五百羅漢に影五百
- 秋うらら草食む馬の艶やかに
- 茨城県 長洲研志
- 背景は竹ぼうきの音秋うらら
- 庭先の大の字の猫秋うらら
- 笹子抜け矢立ての杉や秋うらら
- 肉球は臭く愛しく秋うらら
- 秋うららアコーディオンの女の子
- 福岡県 西山勝男
- 丈六の仏に見ゆ秋うらら
- 老い先を土と向き合う秋うらら
- 秋うらら軍艦島を遥かげに
- 秋うらら画廊にカラー魚拓展
- 築港も遺産の一つ秋うらら
- 千葉県 風泉
- ・秋うらら湯殿に癒えて湯気の濃く
- ・墨薫り秋うららかや走る筆
- ・カーディガンを出窓に探す秋うらら
- ・秋麗や一森透けて闇の鐘
- 静岡県 城内幸江
- 秋うらら並ぶ幟の眠さうな
- お散歩の道はまろやか秋うらら
- 猫の尾はワルツを踊り秋うらら
- 秋うらら干したシーツに包まる子
- 秋うらら優しい歌を口ずさむ
- 神奈川県 重兵衛
- 秋うらら一人遅れのウオーキング
- チンチンと遮断機上がる秋うらら
- 神奈川県 重兵衛
- 駅中のピアノ響けり秋うらら
- 下の名で呼び合う仲間秋麗
- 赤べこの頭ゆらゆら秋麗
- 北海道 森野 樹
- 水面から光の合唱秋うらら
- 秋麗や陽の匂い満つ盆地かな
- 校庭に弾ぜる子散る子秋うらら
- トンネルを出れば一面秋うらら
- 北海道 森野 樹
- 秋うららページ繰る指加速する
- 兵庫県 田駆路有
- ブドウ食べ皮がしなしなまで食べる
- 埼玉県 小玉拙郎
- 画用紙にまず水平線秋うらら
- 光受く多肉植物秋うらら
- 校庭にマーチングバンドの秋うらら
- 秋うららきちんと並ぶ稲荷寿司
- 東京都 日向順子
- 山肌をロープウェイゆく秋うらら
- 秋麗や子らの合唱伸びやかに
- 埼玉県 七島
- 秋うらら体重計に褒められて
- 針を持つことだけの秋うらら
- 秋うらら一つ歳とり空仰ぐ
- 秋うらら介護施設の母笑顔
- 秋うらら仏壇の祖父イケメンで
- 神奈川県 池田恵美
- 秋うらら畦に小昼の老夫婦
- 秋麗や切子の鉢に影あふれ
- 秋うららクレープの端ちぢれたる
- 秋麗や一息に裁つ白木綿
- 滋賀県 別役昌子
- 墨濃ゆき般若心経秋うらら
- 裏の子のよちよちあんよ秋うらら
- 塔頭に微睡む猫や秋うらら
- 付髪の零れ落ちそう秋うらら
- 衣干す若き学僧秋うらら
- 東京都 岱鵬
- 釣堀やビールで舟漕ぐ秋うらら
- バス停やウツラウツラと秋うらら
- ペディキュアを塗りて吹く息秋麗
- 父と子にお弁当持たせて秋うらら
- 秋うららひと筆の虹滝しぶき
- 埼玉県 飛翔
- 秋うらら動かねままに飛行船
- 今日よりは素敵な明日を秋うらら
- 銭湯の煙突あるや秋うらら
- ケンケンパのリズム聞ゆる秋うらら
- 秋うらら二本くっきり飛行雲
- 神奈川県 安藤 真青
- 母の下いってはもどり秋うらら
- 宇宙旅行の吾には遠く秋うらら
- 頂上に寝覚め見回す秋うらら
- 補助輪のなしを試す子秋うらら
- 福岡県 川崎 日知
- 秋うらら珈琲を待つ十五分
- 疫病の届かぬ空よ秋うらら
- 拭き上げて潤む鏡や秋うらら
- 福岡県 多事
- 古書街のカリーの匂ひ秋うらら
- 散り跳びし鯛の鱗ら秋うらら
- 嬉々として犬泥まみれ秋うらら
- 秋うらら漱石の歌碑見つけたり
- 秋うらら役場放送スウィングジャズ
- 北海道 風花美絵
- 秋うららあと一回の砂遊び
- 追い越さぬ牧草ロール秋うらら
- コンバイン究む幾何学秋うらら
- 東京都 水野邦彦
- 秋うららタオルを首に外野席
- 秋うらら炭酸水の泡数へ
- 秋うらら墓参のあとのせいろそば
- 夢さめて香る昼餉や秋うらら
- 大阪府 多田由佳里
- 杜抜ける小太鼓軽し秋うらら
- 愛知県 香坂泉
- 秋うらら押すな押すなと鳩の群れ
- 後輪を覆う雑草秋うらら
- 愛知県 香坂泉
- 秋うらら仏語辞典の軽さかな
- 秋うらら鼻先だけの成吉思汗
- 坂上の家に自転車秋うらら
- 鳥取県 475俳句
- 公園の涅槃は父か秋うらら
- 秋うららことほぐ灘の生一本
- 秋うららますぐに斧を降ろしたり
- デゴイチの今は遊具の秋うらら
- 秋麗やドクターヘリの磨かれり
- 東京都 山本貴士
- 靴選ぶ吾子の鼻歌秋うらら
- 唐揚げと卵かえっこ秋うらら
- 駅に負う子の重さかな秋うらら
- 秋うらら子の口ずさむ七の段
- 秋うらら警策の音高らかに
- 神奈川県 水野伸一
- 秋うらら街頭演説美辞麗句
- 秋うらら履歴書送るポストかな
- 秋うらら巣に戻る鳥高く飛ぶ
- 秋うらら再就職の面接日
- 秋うらら求人広告拾い読む
- 神奈川県 髙梨裕
- 秋うらら乗り込みを待つ遊覧船
- 秋うらら目抜き通りの大道芸
- 一望の関東平野秋うらら
- 豚饅の港横浜秋うらら
- 歩き出す免許返納秋うらら
- 東京都 豊島仁
- 一杯のキリマンジェロに秋うらら
- 気になりし事片づけて秋うらら
- 園児等の声空髙く秋うらら
- おみくじの良き事ありて秋うらら
- 東京都 豊島仁
- 荒家も有難きかな秋うらら