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- 俳句庵 2021年12月 優秀賞発表
- 俳句庵 2021年12月 作品一覧
俳句庵
12月『年忘れ』全応募作品
(敬称略)
- 千葉県 柊二
- リモートの壁に献立年忘れ
- 高知県 野中泰佑
- 一興や知恵捻りたる年忘れ
- 飲み放題食い放題や年忘れ
- 年忘れにて天昇や忙しさ
- 献杯に返杯や為す年忘れ
- 一献の美酒や飲み干す年忘れ
- 千葉県 柊ニ
- ひさびさの素顔リモート年忘れ
- 山梨県 森下博史
- かつぶしが乱舞湯豆腐年忘れ
- ザーザーのラジオと過ごす年忘れ
- 大嫌いひきわり納豆年忘れ
- 高級酒今年も飲めず年忘れ
- やれやれと河童ため息年忘れ
- 兵庫県 田駆路有
- 年忘れ母は毎日歳忘れ
- 静岡県 いたまきし
- 年忘れ靴屋の前で立ち止まり
- 年忘れ指にぬくもり残るまま
- 兵庫県 藤濤英介
- 年忘れコップの結露四つかな
- 大阪府 藤田康子
- メンバーの減りても増えず年忘れ
- 悪しきこと無きが幸なり年忘れ
- 神奈川県 川島欣也
- 和気藹々上戸も下戸も年忘れ
- 底つかぬ語らい種や年忘れ
- 糟糠の妻認知症年忘れ
- コロナ禍やひとり手酌の年忘れ
- 三密を避け集まれぬ忘年会
- 兵庫県 岸下庄二
- 年忘れ十八番の演歌先越さる
- 年忘れ席次を決める籤を引く
- 兵庫県 岸下庄二
- 年忘れいつの間にやら下剋上
- 中締めを終へて長々年忘れ
- 年忘れ酔つたふりして盾を突く
- 愛知県 西谷寿
- 借りた金すべてをリセット年忘れ
- 年忘れしたくもできずつらき日々
- 貧乏で年忘れして夢見たい
- 年忘れ忙し過ぎてぼけ始め
- コロナ禍ですべてリセットで年忘れ
- 神奈川県 松野勉
- 「大丈夫。」そんなはずない年忘れ
- 東京都 岩崎美範
- 湯治場に妻とふたりの年忘れ
- 上座には恩師の遺影年忘れ
- いつの世も主役はをみな年忘れ
- 下戸集ふ甘味処の年忘れ
- 存分に泣いて笑つて年忘れ
- 静岡県 いたまきし
- 年忘れ名簿に引いた二本線
- 大阪府 木山満
- 飄々と死後の事など年忘れ
- 若返る泉の水と年忘れ
- 皺くちゃの福耳褒めて年忘れ
- 独り身や「高砂」謡ひ年忘れ
- コロナにて今年中止の年忘れ
- 神奈川県 志摩比呂樹
- 年忘れ幼なじみをちゃんづけで
- 孫と相撲取って負けたる年忘れ
- 兵庫県 神長誉夫
- 干し魚の焦げの苦さや年忘れ
- 年忘れ猪口の蛇の目が腹覗く
- 忘られぬ言葉ありての年忘れ
- 洗う傷鮮やか年の忘れ水
- 言葉失せ零れゆく時除夜の宴
- 新潟県 近藤博
- 年忘れ下戸の吾とて酒を酌む
- 年忘れ誰も招かぬコロナ避け
- 福福し顔触れ集ふ年忘れ
- コロナ禍で夫婦ふたりの年忘れ
- 老いぬれど惚けぬ幸せ年忘れ
- 長野県 木原登
- 忘年会抜け出てしばし星仰ぐ
- 忘年の海見て帰る一日旅
- 十和田湖の忘年の声聞きにけり
- 銘酒吟醸年を忘るるためにあり
- 山の歌山にて歌ふ年忘れ
- ブラジル 林とみ代
- 忘れ得ぬ事の多きに年忘れ
- 年忘れ噂話に尾ひれ付き
- 趣味の一つ持ち寄る句座や年忘れ
- へそくりの紐をゆるめて年忘れ
- 年忘れエッフェル塔の夜景かな
- 岐阜県 金子加行
- まだ喋る歌へる身なり年忘れ
- 忘れた来二三の悔ひや年忘れ
- 笑ひ言ふ明るき愚痴や年忘れ
- 評論家恐妻家寄る年忘れ
- 許さるる許す顔あり年忘れ
- 香川県 辰野
- 立冬の夕鍵っ子の帰り道
- 山梨県 天野昭正
- コロナ禍や大声出せぬ年忘れ
- 八十路坂誰肩抱く年忘れ
- 席順に不満の残る年忘れ
- ストーブにスルメを焼いて年忘れ
- 椅子をもてストーブ囲む年忘れ
- 岡山県 岸野洋介
- 同僚の仕草気になる年忘れ
- 岡山県 岸野洋介
- 悪気なき毒舌ばかり年忘れ
- 酌下手の友を
- 二年ぶり仲間こぞって年忘れ
- 忘れ得ぬよきこと秘めて年忘れ
- 愛知県 飯田 夷佐久
- 少なめの〆のラーメン年忘
- 持ち主のわからぬ靴や年忘
- 浅草は極楽浄土年忘
- またひとり欠けてゆきけり年忘
- 年寄りは先に集まる年忘
- 東京都 勢田清
- 年忘れまた来年と別れけり
- 年忘れイルミネーション夜の街
- 年忘れ別れて仰ぐ星の空
- 歌い踊る君美しや年忘れ
- 年忘れ君の音頭に皆踊り
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 亡き友の写真も加へ年忘れ
- 手料理を持ち寄り開く年忘れ
- 東京都 熊谷明子
- いつ見ても 変わらぬ人よ 年忘れ
- だれもかも 年が開ければ 年忘れ
- 年忘れ 今年は寺に 置いてゆく
- 年忘れ 昨日も明日も 同じ日々
- 年忘れ いつもの顔か 鏡みて
- 東京都 内藤羊皐
- 年忘れ駅の北口灯を残し
- 定年を指に数うる年忘れ
- 靴下の毛玉毟りて年忘れ
- 疫病を語り仕舞ひの年忘れ
- 膝痛に施術決む妻年忘れ
- 大阪府 森 佳月
- 妻を介護してゐる吾も年忘れ
- 大阪府 森 佳月
- 寮歌でておひらきとなる年忘れ
- コロナ禍や迷ひ迷ひて年忘れ
- 大阪府 げばげば
- 上席に遺影のありて年忘
- 猫かぶることさへ忘れ年忘れ
- 赤紙の届きて郷の年忘
- 大阪府 八王寺宇保
- 遅刻なく二年ぶりなる年忘れ
- バリカンの首に冷気や年忘れ
- 宛名書き中途で終えて年忘れ
- 買い置きの蕎麦を肴に年忘れ
- 年忘れ旅と病の二派が立つ
- ブラジル 西山ひろ子こ
- 忘年会仕切る彼女の笑ひ声
- 何時までも命あるかに年忘れ
- 限りある命大事に年忘れ
- 今生きる幸せ胸に年忘れ
- あるがまま神に委ねて年忘れ
- 神奈川県 沼宮内薫
- 真つ先に陣取る犬や年忘れ
- 年忘れ三人よれば句会かな
- 主役主婦自治会館の忘年会
- 院長のおはこ飛び出す忘年会
- 今年また個食のままや忘年会
- 東京都 熊谷信子
- 街並みの イチョウ葉枯れて 年忘れ
- イケメンを 眺めるたびに 年忘れ
- 年忘れ おにぎりほおばり 幸せだ
- 湯につかり ほっとひと息 年忘れ
- 年忘れ 今年こそ聴く 鐘の声
- 千葉県 徳翁
- 鍋囲み病自慢の年忘れ
- 忙しや四方に酌の年忘れ
- 千葉県 徳翁
- 妻と酌む孫を肴に年忘れ
- 神奈川県 井手浩堂
- 年忘れ上座引き当て落ち着かず
- 酒飲めぬ人が左右に年忘れ
- 日本酒は卓に一人よ年忘れ
- 東京都 右田俊郎
- 老いたればひとり汲む酒年忘れ
- 年忘れ平凡というありがたみ
- 蕎麦すすり紅白を観て年忘れ
- 年忘れ家族で卓を囲みをり
- また馬齢ひとつ重ねる年忘れ
- 東京都 佐藤富幸
- 株式のまたの後悔年忘れ
- 土産抱き迷ひし家路年忘れ
- 年忘れ忘れたくなる独り酒
- 生きとしの喜怒哀楽や年忘れ
- 選曲は世代の違ひ年忘れ
- 東京都 佐藤美智子
- 酒届きまた酒届く年忘れ
- 遠に富士鳥ひかり行く年忘れ
- 健康診断受けてやうやく年忘れ
- 鶴亀の折り紙仕立て年忘れ
- 芥蔕をブロアー空へ年忘れ
- 広島県 老人日記
- 軍歌でぬ忘年会となりしかな
- 二人居て越せる喜び年忘れ
- 病持つ者ばかりなり年忘れ
- 抜け出してひとりが安し年忘れ
- 忘年の明くれば肺を切る身かな
- 三重県 後藤允孝
- 悪しきこと厭なことみな年忘
- 年忘世事の条理にこだわらず
- 会釈して名前出てこぬ年忘
- 三重県 後藤允孝
- 年忘八十路の坂を生きてをり
- 毒舌も美辞も受止め年忘
- 高知県 野中泰風
- コロナ禍でオンリーワンや年忘れ
- 徳島県 白井百合子
- 中指の霜焼けうずき年忘れ
- 鍋の中鰤の身泳ぐ年忘れ
- 断捨離に心も軽し年忘れ
- 茶を点てる干菓子ひとつの年忘れ
- 古漬けを肉で丸めて年忘れ
- 滋賀県 船岡房公
- 忘年の声かからざる鍋奉行
- おいそれとせつく者なし年忘れ
- 福井県 山本晟瑚
- 朝市の情景寂し年忘れ
- 東京都 よしだ悠
- 皺深きお互いの手や年忘れ
- はやばやと灯を消して待つ年忘れ
- わが年を幾度も数ゆ年忘
- 妻や子の涙はしらず年わすれ
- 新しき明日こそ晴れよ年忘れ
- 福井県 山本晟瑚
- 年忘れ宴広場に花彩る
- 三重県 平谷富之
- 今年こそ 一曲増やす 年忘れ
- 年忘れ リーチビンゴの 声弾む
- 年忘れ 今年の憂さを 吹き飛ばす
- 静岡県 城内幸江
- 十人の部屋に二人の年忘れ
- 年忘れアクリル板を置かれをり
- 酒好きの説明長く年忘れ
- それぞれに小鉢の並ぶ年忘れ
- 福井県 山本晟瑚
- 年忘れ路地裏に咲く白き花
- 兵庫県 岸野孝彦
- リヤカーを洗って空気年忘れ
- 音もなく救急車行く年忘れ
- 兵庫県 岸野孝彦
- 朝ドラの主題歌唄う年忘れ
- 年忘れ父母の好物供う朝
- 博多へと妻と結納年忘れ
- 千葉県 峰崎成規
- 良き今年胸に仕舞ひて年忘
- 忘年会抜けてひとりの屋台酒
- また一人去年の名零る年忘
- 忘年会乾杯跨ぐアクリル板
- 疫病抜け来し戦友たちの忘年会
- 神奈川県 塚本治彦
- 惚け初めてきたる老どち年忘れ
- 年忘れ歳も忘れてしまひけり
- 無礼講信ずるなかれ年忘れ
- 何やかや何はともあれ年忘れ
- 長幼の序も忘れたる年忘れ
- 沖縄県 稲福達也
- 年忘れはてて家路の風もよし
- 思ひ出に思ひ出かさね年忘れ
- いざさらばまず一献と年忘れ
- 老いばかり他事なきとかや年忘れ
- 涙せしことはしまひて年忘れ
- 千葉県 伊藤博康
- 短めの挨拶うくる年忘れ
- 年忘れ会費いくらと聞きにけり
- 年忘れこの日のあるをわすれけり
- 気を緩め無礼講とて年忘れ
- 残業を終へ駆け付ける年忘れ
- 東京都 伊藤訓花
- 喜寿となり一夜のドレス年忘れ
- 律儀にも一升持って年忘れ
- 年忘れ良きことのみを胸中に
- 年忘れ厨の人となりにけり
- 東京都 伊藤訓花
- 金婚の差しす差されつ年忘れ
- 岡山県 岸野洋介
- 二年ぶり仲間こぞって年忘れ
- 酌下手の部下を
- 忘れ得ぬよきこと秘めて年忘れ
- 悪気なき毒舌ばかり年忘れ
- 同僚の仕草気になる年忘れ
- 茨城県 小松崎孝志
- 年忘れ大浴場の中国語
- 年わすれ君のうんちく残す脳
- 年忘一人じめする露天風呂
- 料亭が消え居酒屋の年忘
- 五十年演歌一筋年忘
- 埼玉県 水夢
- 年忘れ厨に残る一升瓶
- 江戸前の天ぷら揚がる年忘れ
- 年忘れ少し濃い目の緑茶かな
- 鰻屋の黒き柱や年忘れ
- 年忘れそろそろ君の誕生日
- 岡山県 八木 五十八
- 年忘れ妻と二人の発泡酒
- アクリルの隔てし慰労年忘れ
- どの席も椅子四脚の年忘れ
- 年忘れアマビエもある肴かな
- 年忘れ後ろめたきと呑みにけり
- 神奈川県 猪狩鳳保
- 拍子木をふところに入れ年忘れ
- 佃から銀座にぬけて年忘れ
- お座敷の酒酌むほどに年忘れ
- 灯台に夜ごとの感謝年忘れ
- 祈ることに疲れし人よ年忘れ
- 神奈川県 金沢潤子
- ため息の深き人ほど年忘れ
- 東京都 秋人
- 来る年よコロナ収まれ年忘れ
- 年忘れ母との別れ忘れ得ぬ
- 神奈川県 矢神輝昭
- 喧噪を避けてlineで年忘れ
- 余計な事思い出させて年忘れ
- 忘年会飲みやの屋根で猫ふて寝
- もの忘れ何を今更年忘れ
- 人の世のノーサイドなる年忘れ
- 兵庫県 髙見正樹
- 年忘れ笑声上がる料理店
- 年忘れ自粛ムードに遠慮がち
- 老夫婦昼定食の年忘れ
- 埼玉県 石塚彩楓
- また届く喪中欠礼年忘れ
- 踏台に登り伸ばす手年忘れ
- サンゴ礁広がる海に年忘れ
- 対面の叶はぬままに年忘れ
- メンバーの揃ひてフラを年忘れ
- 大阪府 津田明美
- 年忘れ一本締めでお開きに
- 年忘れ老いも若きも胡坐なり
- 年忘れ家族自慢の好々爺
- 一品を持ち寄り妻の年忘れ
- 一升瓶どんと真中に年忘れ
- 埼玉県 いまいやすのり
- カラオケの持ち歌二曲年忘
- 一人増え持ち寄り句会年忘
- 年忘れ話の尾鰭まだ続く
- 年忘れ本音がちらちら見え始む
- 年忘れ媼五人の昼下がり
- 兵庫県 平尾美智男
- 年忘れ忘れしことを思ひ出す
- 岡山県 近藤こんどう
- 老いらくの恋の友との年忘れ
- 岡山県 近藤こんどう
- 忘年会酒が拭うや嫌なこと
- 老のひと蘇りたし年忘れ
- ゴートゥーイート家族で年忘れ
- 年忘れすると気も楽御自由に
- 福岡県 友成聖子
- 笑皺ひとつ増やして年忘れ
- 苦も楽も笑ひ話に年忘れ
- 奈良県 平松 洋子
- 懐かしき歌が締めなり年忘れ
- 乾杯の音頭大きく年忘れ
- 年忘れ最年長となりてをり
- 岐阜県 ときめき人
- 延命の父とひと時年忘れ
- 埼玉県 岸保宏
- 廃校や屋根の草枯れ年忘れ
- 子の家も鍋三昧の年忘れ
- 菜園の手入れ忙しき年忘れ
- 宮城県 林田正光
- 逝きし人名を読み上げて忘年会
- 忘年会終えて新たな決意かな
- 年忘れ忘れたくなきことふたつ
- 酒抜きの忘年会もたまによし
- 年忘れ一人一人の忘れもの
- 東京都 豊宣光
- 来る年に望みをつなぐ年忘れ
- 年忘れ招かれざれば一人酒
- 年忘れ忘れたくないこともある
- 一年の垢を落とさん年忘れ
- 年忘れ幸も不幸もにぎやかに
- 東京都 かつこ
- 亡き夫の雑記帳めくる年忘れ
- 誕生日マイナス一で年忘れ
- 亡き夫や俳句を友に年忘れ
- 福岡県 深町明
- 声掛くるべき人のゐる年忘れ
- 福岡県 深町明
- 年忘れところどころを覚え得ず
- 本当は疾うに流行らぬ年忘れ
- 幾年を重ねて飽きぬ年忘れ
- 残業をして駆けつくる年忘れ
- 滋賀県 村田紀子
- 年忘れ雨も上がって下駄の音
- コロナにて何と短い年忘れ
- 友の声聞くこともなく年忘れ
- 東京都 菫久
- 新しき歌は覚へず年忘れ
- 座尻の笑はぬをとこ年忘れ
- 揃ふ顔またひとつ欠け年忘れ
- 埼玉県 北川清
- オンライン ビール片手に 年忘れ
- 忘年会 昔の上司 まだ威張り
- 年忘れ 軍歌を歌って 解散す
- 忘年会 染めた髪の毛 手直しす
- 昔姫 カツラトメイク 忘年会
- 埼玉県 宥光
- たまたまの席の盛況忘年会
- 占いも籖も当たらず年忘れ
- 退出に自由の空気忘年会
- 終い湯のひとり鼻唄年忘れ
- 忘年会果てて帰宅といふ仕事
- 神奈川県 龍野ひろし
- グローバルなるリモートの年忘
- 二次会の無き少数の年忘
- 岐阜県 雅風
- 上座空け上司待ちたり年忘
- 年忘酔余に俳句詠みにけり
- パワハラも腹におさめて年忘
- 二次会のお呼びかからず年忘
- 忘年会締めは部長の腹踊り
- 香川県 辰野
- 年忘れ二品持ち寄る子ども会
- 猫が指ザリザリ舐める年忘れ
- 年忘れ炭酸の泡出尽くして
- 年忘れまた日々の来て粛々と
- 年忘れすれば増えゆく語り草
- 神奈川県 亀山酔田
- 路地裏の馴染みの店に年忘れ
- 忘年会酒注ぐ仕事もはや無く
- 近況を話し合へたる年忘れ
- 誰一人欠けず古稀過ぐ年忘れ
- 車座にならむ亡き友年忘れ
- 大阪府 永田
- 下戸組の白熱芸や年忘れ
- はやばやと下戸は食べ終へ忘年会
- 大喰ひは無口になりぬ年忘れ
- 千葉県 伊藤順女
- 年忘れ果てて山なす皿の数
- 忘年の街にまばらな千鳥あし
- ざわめきの中に寂しき年忘れ
- 酔眼で靴を選びぬ年忘れ
- 神奈川県 鳥井原弘
- 蕎麦たぐり天麩羅サクリ年忘れ
- 神奈川県 立野音思
- また一年辿り着きおり年忘れ
- 蘊蓄に乾きし蕎麦や年忘れ
- 熱弁を見切りお開き年忘れ
- 愛媛県 加島一善
- 霜降り肉パックに妻の年忘れ
- バーガーとポテトや子らの年忘れ
- 妻たちの日替わりランチ年忘れ
- 小魚を持ち寄る猫の年忘れ
- また子らへ電話すママの年忘れ
- 埼玉県 哲庵
- 携帯の鳴りっ放しや年忘れ
- 埼玉県 哲庵
- 年忘れ杖も眼鏡も置き忘れ
- コロナ禍や黙食黙酒忘年会
- やうやうに距離を縮めて忘年会
- 忘れたく無きこと多し年忘れ
- 埼玉県 守田修治
- 隣よりショパン聴こゆる年忘
- 年忘転ばぬことよ炭団坂
- 燃え尽きし力士帰郷の年忘れ
- 二刀流見事開眼年忘
- 浅草寺抜けて行こうか年忘れ
- 東京都 長岡馨子
- 伯父伯母を彼岸へ送る年忘れ
- 茨城県 長洲研志
- 甥姪の歳を尋ねる年忘れ
- 感染数あれよあれよと年忘れ
- 朝刊の投函の音年忘れ
- 年忘れ廊下の上の隅の染み
- 大阪府 鈴木千年
- 年忘れ笑ひ飛ばせば済む話
- からすみが出てもう一献年忘れ
- 老いてなほ談論風発年忘れ
- 年忘れ叩けば埃出る同士
- 諾はず呪はず老の年忘れ
- 千葉県 風泉
- ・忘れなやマスクの武器を年忘れ
- ・静静と彩るマスクや忘年会
- ・コロナ禍やじじばばぽっちの年忘れ
- ・切り上げる帰路の夜風や忘年会
- 大阪府 鈴木三津
- 電飾の並木を帰る年忘れ
- 年忘れひとつおぼえの手品して
- 年忘れ一徹の師も好々爺
- 川風にほてりを冷ます年忘れ
- 大阪府 鈴木三津
- 亡き人の話題も少し年忘れ
- 神奈川県 安藤 真青
- 亡妻に肩かりた日や忘年会
- 湯の町の花火あざやか年忘れ
- 「16トン」のバスに手拍子忘年会
- 滋賀県 別役昌子
- 年忘れ校歌二番の歌詞飛んで
- 年忘れ果てて満天星の里
- 信楽の緋のぐい呑と年忘れ
- よきことの僅かな年の年忘れ
- 年忘れ伊吹も夢と締め括る
- 神奈川県 海野優
- 来た道を戻れぬと知る年忘れ
- 街灯に一献傾け年忘れ
- 年忘れ恋初めのひと隣会ふ
- 年忘れ身につまされる話など
- 埼玉県 飛翔
- 楽しさに我が老い忘れ年忘れ
- 年忘れ一緒に歳も忘れをり
- 老いたちの賑ふ集ひ年忘れ
- 忘れもの忘れたままに年忘れ
- 赤ん坊の笑顔みている年忘れ
- 東京都 田畑整
- オンライン妻の目気にして年忘れ
- あれもこれも来年こそは年忘れ
- オンラインいつ散会か年忘れ
- 年忘れクレーム持ち越し忘られぬ
- 大阪府 酒梨
- 一人分とり置きながら年忘れ
- 忽ちに膝をくづして年忘れ
- ネクタイを緩めつつ飲む年忘れ
- 句会をへなだれ込みたる年忘れ
- 忘れえぬことなけれども年忘れ
- 東京都 岩川容子
- 忘年会終われば主婦の顔となり
- 流れゆく刻の速さよ年忘れ
- 忘年を詰め込んでゆく終電車
- くりごとを言う人聞く人年忘れ
- 神奈川県 原川篤子
- 忘年会一人の帰途のビル昏し
- ブーツみな二つに折れて忘年会
- 前掛けを外して母の年忘れ
- 厨より漏れ來る匂ひ年忘れ
- 遅れ来て末席狭し忘年会
- 京都府 村田稔子
- 自粛して 夫と二人の 年忘れ
- 年忘れ 涙で酒の 苦きかな
- 年忘れ 今年の漢字 何になる
- 久々に マスクはずして 年忘れ
- 愛知県 いちご一会
- 着飾っていつもの話題年忘れ
- 去年の分友の分もと年忘れ
- 福岡県 西山勝男
- 独り酌む越の銘酒に年忘れ
- 忘年や疫と向き合ひ独り酒
- 罹る代にまたも見合はす年忘れ
- グータッチ交はして済ます年忘れ
- 東京都 中田ちこう
- 仮初めの仮装にすぎぬ年忘れ
- ざる二枚酒と玉子の年忘れ
- 神奈川県 光南
- 今年また遅刻するやつ年忘れ
- 始まりは訃の知らせから年忘れ
- スリッパの散らばりをりぬ年忘れ
- 彼奴もまた快癒祝ひや年忘れ
- 雑踏を掻き分けてゆく年忘れ
- 静岡県 大澤定男
- 初孫にビンゴを譲る年忘れ
- 静岡県 大澤定男
- ひと家族舟盛りへ向く年忘れ
- 喜寿を待つビンゴで終わる年忘れ
- 静岡県 大澤定男
- 虚子捨てずウェブ歳時記年忘れ
- 墓誌余白磨き清々年忘れ
- 愛知県 斉藤浩美
- 小上がりに脱ぐハイヒール年忘れ
- 居酒屋は村に一軒年忘れ
- 節くれの指にマニキュア年忘れ
- 附けのきく居酒屋ありて年忘れ
- 姦しいことの華やぎ年忘れ
- 東京都 笹木弘
- ふる里の地酒を飲んで年忘れ
- 最後には「同期の桜」で年忘れ
- あの無口が芸達者とは忘年会
- 酔へば直ぐ軍歌飛び出す忘年会
- 片足を三途の川に年忘れ
- 埼玉県 釜田眞吾
- 忘れたき事思ひ出す年忘
- 年忘れ銀河の果を見て来しと
- 年忘れいつもの顔と陸奥の酒
- 神奈川県 池田恵美
- 次に来る人を言い合ひ年忘れ
- 飲まぬ人ことににぎやか年忘れ
- 次に来る人を言ひ合ひ年忘れ
- 埼玉県 小玉拙郎
- 顔を見るただそれだけの年忘れ
- 遅刻なき昭和生まれの年忘れ
- お開きが長く尾を引く年忘れ
- どうだった副反応はと年忘れ
- 東京都 水野邦彦
- 待ちわびて詫びる友なき年忘れ
- 暦には二年分と書く年忘れ
- 書き順を忘れたのかと忘年会
- 東京都 水野邦彦
- 年忘れあること忘る幾星霜
- 昨年も踏まえたき身の年忘れ
- 東京都 松本征枝
- 友逝きて忘れ忘れぬ年となり
- 闊歩する昭和の子供よ年忘れ
- 愛知県 新美達夫
- 寿司取つて妻と二人の年忘れ
- 今になりことはり入る年忘れ
- マジックも出て年忘れ佳境なり
- 何時しかに最年長や年忘れ
- 愛知県 香坂泉
- 壁多き記念写真や年忘れ
- 肉多き鍋の卓へと年忘れ
- 一斉にアラーム鳴りて年忘れ
- 座敷わらしに酔い回り年忘れ
- ハンガーの留まる長押や年忘れ
- 中国 加良太知
- 乾杯の画面停止す年忘れ
- 東京の空は鈍いろ年忘れ
- 独身と初めて知りぬ年忘れ
- 笑顔見て笑顔こはばる年忘れ
- 人妻の手はわが股に年忘れ
- 北海道 風花美絵
- 墨は濃く半紙は白く年忘れ
- 数かぞへ数あはせする年忘れ
- 福岡県 多事
- 年忘れ乾杯までのうだうだ感
- 万年も星は変はらず年忘れ
- 知られずに集ふ三人年忘れ
- 送別会出来ぬ先輩年忘れ
- 忘年会ご挨拶までマスクです
- 徳島県 井内胡桃
- 恒例のどじょう掬いや年忘れ
- ほろ酔いて街をぶらぶら忘年会
- 徳島県 井内胡桃
- 忘年会果てて一杯梅茶漬け
- 煮詰まりて鍋かき混ぜる忘年会
- 徳島県 井内胡桃
- 忘年会二次会いつもラーメン屋
- 埼玉県 小安章代
- 軽石の漂流止まず忘年よ
- コロナ禍や一人ひとりの年忘れ
- コロナ戦争生き抜き感謝年忘れ
- 忘年や白湯の湯気ありがたく
- 忘年会いつ消えようか下戸の我
- 神奈川県 髙梨裕
- 山の肉炙りて老境年忘れ
- パトロール終えて囲むや年忘れ
- 遠くない別れの町の年忘れ
- 走り雨ひとり遅参の年忘れ
- 年忘れかと百歳の大笑い