| 冷麦の赤奪い合はぬ児となりぬ |
落し蓋押し上ぐ力冷やし麦 |
| 冷麦や遠く近くに町の音 |
冷麦や葦簀に遊ぶ風涼し |
| 冷麦に話さらりとかはしけり |
冷麦に艶を添えたる竹の箸 |
| 卓袱台に冷麦ならぶ母の里 |
冷麦の向こう涼しき下駄の音 |
| 冷麦やとにもかくにも出汁に凝る |
冷麦の赤は当たりと孫の言う |
| 冷麦やいとこはとこの集ひ来て |
湯加減と水差し加減冷やし麦 |
| 物言いがつく冷麦の茹で加減 |
冷やし麦噴火休火を繰り返し |
| 冷麦のゴマダレ好きに先ず供ふ |
大皿を家族で囲む冷やし麦 |
| 冷麦の紅の一本児がつかむ |
冷麦に家族の絆ありにけり |
| 塗り箸の間より冷麦さようなら |
冷麦やみな閑職となりし友 |
| ガラス鉢重し冷麦泳がせる |
冷麦ののどごしさやかしみわたる |
| 食い切れぬ冷麦にある幼き日 |
序破急をゆでるコツとし冷やし麦 |
| 冷麦や配色淡き陶の鉢 |
箸使いきれいな人や冷やし麦 |
| 冷麦やまずは一筋紅掬ふ |
冷麦や器はガラス美味さ増し |
| 冷麦を正座くづして食べけり |
冷麦のつるりと食べて身もしまる |
| 冷麦や呼ばれて行けば日のかげり |
冷やし麦調剤の如く薬味混ぜ |
| 冷麦や金婚式もすでに過ぎ |
平成の選手を見つつ冷し麦 |
| 割り箸に替へて冷麦綴りけり |
冷麦にいかにも長居老過る |
| 冷麦のつけ汁濃いめ母の味 |
冷麦や腋の下まで冷しけり |
| 山の幸冷麦に添ふ峠茶屋 |
冷麦の汁を重ねてきりもなや |
| 冷麦や毬麩遊ばす独りの餉 |
冷麦や捨てし内地の郷里思ふ |
| 冷麦の朱の一筋を游ばせり |
冷麦にがばりと立てぬごろ寝かな |
| 冷麦の相伴鬼平犯科帳 |
一束を妻と分け合ふ冷やし麦 |
| 冷麦の喉もつるつる爽やかな |
冷麦のさくらんぼうを幼な手に |
| 冷麦の一縷の紅に伸ばす箸 |
肩書を捨てたる余生冷やし麦 |
| 冷麦の一縷の紅に伸ばす箸 |
冷麦をゆでいる時の電話かな |
| 冷麦や延びた振りして踊りをり |
好き好きに薬味整え冷やし麦 |
| 冷麦と言ふ涼しさのありにけり |
暑夏にほっと一息涼冷麦 |
| 冷麦を啜る最上の翁道 |
冷麦のビラや帳場の声はづむ |
| 冷麦に紫蘇海苔茗荷葱七味 |
沸騰を水で収める冷やし麦 |
| 冷麦の木曽の桧桶の香るかな |
冷麦や子に諭さるる不養生 |
| 冷麦の薬味それぞれ楽しみぬ |
冷麦や母をうとみし若き日は |
| 冷麦をすするやまこと夏を知る |
手土産の新茶真に軽きかな |
| 冷麦めせ暑き名古屋の昼下がり |
ひやむぎや昭和の残る銀座裏 |
| 冷麦の啜る音にも旨さあり |
教会の掃除日中や冷し麦 |
| 冷麦や筧のごとく喉を越す |
冷やし麦好物なりし父の椅子 |
| 大鉢に箸の触れ合ふ冷やし麦 |
手際良き母でありしよ冷やし麦 |
| 汗流れ冷麦の味懐かしむ |
Tシャツに囲まれている冷やし麦 |
| 冷麦や遍路タクシー途中下車 |
冷麦の箸にからめて人恋し |
| 兄弟で桃色冷麦争える |
冷麦の器かこみしみな野良着 |
| 風鈴の音も薬味に冷やし麦 |
『イッシー』のなぞ聞きながら冷し麦 |
| 一工夫薬味に凝らし冷やし麦 |
滝ごとくつるつるすべる冷麦か |
| 冷麦の麦とは如何に啜るたび |
桜桃落して子を釣る冷やし麦 |
| もみ洗うこの手の中に夏がいる |
冷麦や午後の対策纏めねば |
| こまめなる差し水加減ヒ冷やし麦 |
冷麦につゆにしみ込む君の愛 |
| 甲子園横目に見つつ冷やし麦 |
冷麦が喉を流れて生き返る |
| 冷麦の暑さ忘れて空を見る |
出し抜けの客に持て成す冷麦かな |
| 差し水を用意して待つ冷やし麦 |
冷麦や毒舌さらりと聞き流し |
| 空見上げ光映して冷麦か |
緩急のゆでるコツあり冷やし麦 |
| 冷麦の残る一本箸を逃げ |
冷麦に何時ものゆとり戻りけり |
| こだわりをさらりと捨てて冷やし麦 |
品書の冷麦の字に迷ひけり |
| 冷麦を出す気安や今日の客 |
塗箸の躊躇せらるる冷し麦 |
| こだわりをさらりと捨てて冷やし麦 |
冷し麦苦しき中に義援受く |
| 冷麦や滞り無く一日過ぐ |
けふ帰る子に冷麦の噴きこぼれ |
| 冷やし麦家それぞれの薬味かな |
冷麦の運命みたり赤い糸 |
| ゆでたてを一気に冷やす冷やし麦 |
争いの元になります赤い冷麦 |
| 喉越しのよきは冷麦えも言へず |
冷麦の天麩羅わきに浮くこほり |
| 噛まずとも冷麦すっと喉を越す |
冷麦やなによりの昼ごはんとす |
| 冷麦を飾って泳ぐさくらんぼ |
冷麦を十束ゆでて休戦す |
| 大鉢に氷と泳ぐ冷やし麦 |
冷麦を皆で囲んで弾む声 |
| 一人居の冷麦すする音となり |
冷麦の色つき麺を啜りけり |
| 虫籠と隣り合ったる冷やし麦 |
ただいまと二人の来る冷麦や |
| 冷麦の飛騨の名水躍りけり |
定年や親しくなりし冷やし麦 |
| 冷麦を啜る夫婦の阿吽なる |
冷麦を皆で囲んで和の心 |
| 冷麦のつるりと喉を喜ばす |
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