| 芹摘みて清しき香身にまとふ |
せせらぎに洗へば芹の白さなほ |
| 野良仕事終へし夫婦や田芹摘む |
妻と来て野の香に遊ぶ芹日和 |
| ばばの椀フリーズドライの芹たんと |
農の嫁群れ競り生うる芹を摘む |
| 芹を摘む背中ばかりの一家族 |
漫歩せる田路ついでに芹を摘み |
| 平凡な暮らしが好きよ芹洗ふ |
俎板に載せれば芹の香のしきり |
| 芹の香の胡麻和にしてまた香り |
芹摘めば息吹ける水の滴れり |
| 初芹のかほりほのかや箸のさき |
季の香りむんずと掴み芹を摘む |
| 芹摘みの後ろ手で曳く田舟かな |
「これ自生」芹を指差す朝市女 |
| 育ちゐしコップの芹の根の白し |
野の香り厨にほのか芹刻む |
| 芹の香の峡の小字や嬰の声 |
芹摘みてけふの献立決まりけり |
| せりなずなごぎょうはこべら母の声 |
雅味人と分け合い芹かいな |
| 芹の水うごかぬ味に箸運び |
冷水に袖まで漬けて芹を摘む |
| 祖母の背な芹の香立ちて日暮れ時 |
靴底の冷えに急かされ芹を摘む |
| 百選の水ふんだんに芹洗う |
足裏の痺れに耐えて芹を摘む |
| 老ゆ母の芹のお浸し手軽かな |
清流で芹の根洗ひ山と積み |
| 大原も嵯峨も千年せり洗う |
下校児の見つけし芹を摘みに行き |
| 飽食をいやすや芹の粥しみる |
芹摘んでいつか日暮れとなりにけり |
| 青春の苦き思い出芹を摘む |
芹はある豆腐もあるが鴨がない |
| 子を背負い子をあやしつつ芹を摘む |
芹入れて一草がゆとしゃれてみる |
| 芹を食み遠く住む母思ふてる |
芹摘んでままごと始めしし幼かな |
| 祖母がいて幼子のわれ芹を摘む |
ほろ苦き芹呼び戻す遠き日々 |
| 七草や際立つ芹の香りかな |
芹摘んで妻持ち帰る野の香り |
| 芹引いて綺麗な水を汚しけり |
思い出を野に摘む如く芹を摘む |
| 芹摘みしあの野のあとに団地立つ |
芹摘みの腕で拭ふ顔の泥 |
| 行軍で芹を踏みたる父が逝く |
雑炊や芹の香りを散りばめて |
| あの夕陽芹を茜に染めている |
芹やがて椀にひろがるバレリーナ |
| 歯切れ良き野の香の芹のサラダかな |
野仏の裳裾を縫って芹の川 |
| ほろ苦き恋の思い出芹香る |
陽の温み背中に溜めて芹を摘む |
| 芹なずなあとが続かぬ妻を見る |
芹摘んで旧正月の節とする |
| 即席の汁も引き立て芹香る |
古代人愛でし芹とよ高麗の郷 |
| 芹の香や椀に広ごるすまし汁 |
清らかな川が育む芹を摘む |
| 芹摘みや子らのはしやぐ畔の道 |
釣果なし濯ぎ終えたる芹魚籠へ |
| 芹洗ふさざれ水にも季の移り |
清らかな川が育む芹を摘む |
| 「芹飯」と出掛けに妻言ふ夕の膳 |
母の声入れて七草芹香る |
| 鍋料理仕上げの如く芹を入れ |
{風邪引くな}添書きもあり母の芹 |
| 芹摘むや母に呼ばれているやうな |
連れて来し幼を眼で追ふ芹菜摘み |
| 畦行けば芹摘む人と立ち話 |
芹を摘む老女の姿母に似て |
| 幼児が母の後追ふ芹菜摘み |
芹の香に酔いてころびる雀かな |
| 芹田中諸手刈りする師走かな |
駄菓子屋の匂いに混じる芹の束 |
| 仄かなる香り誘う古里へ |
喧嘩して無言で二人芹を食ぶ |
| 朝粥に芹の香香る七日かな |
芹の香のうやうやしきは水の中 |
| 芹摘みしあの野辺に陽は傾きぬ |
芹の香を手締めの如く鍋料理 |
| 母在らば芹摘む日和となりにけり |
芹洗ふための小川を起こしけり |
| ひとにぎり寒芹の根の白さかな |
釣人の魚篭一杯の野芹かな |
| 芹摘みの日の豊かなる山河かな |
真っ直ぐに伸びたる芹の歪みなし |
| 小流れの影に揺らめく芹菜摘む |
芹伸びる天地(あめつち)結ぶトンネルぞ |
| 眼裏に猫背の母や芹を摘む |
特別な椀に乗す芹結びたり |
| 小流れの田芹を妻と摘みにけり |
流水の芹切り穫りぬ破れガラス |
| 芹の香の清き人々分かち合う |
芹摘んで故郷遠くなりにけり |
| 赤貧の昔は芹を摘みにけり |
食誘ふ芹の芽浮かぶスープかな |
| 芹を摘み魚を追いし遠き日々 |
水田に青芹ゆれて清しかな |
| 野仏に香り届けて芹の川 |
芹摘みし里の小川を遠思ふ |
| 亡き母の手つきで洗ふ妻の芹 |
郷愁は野に満ちあふれ芹を摘む |
| 遠き日の思い出摘んで芹の川 |
水炊きに姿見へねど芹の味 |
| 芹の香を上手に引き出し鍋料理 |
芹摘むや故郷遠くまた近く |
| 包丁に残る芹の香朝厨 |
芹洗ふ妻の手の指香りけり |
| 子供らの遊ぶ傍ら芹を摘む |
芹を摘む子の影揺らす水の面 |
| せせらぎの音に囃され芹を摘む |
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