| 草餅や来ぬかも知れぬ人を待つ |
口中に広がる春や草の餅 |
| 草餅や野の香野の色母の声 |
草餅や同窓会に孫を連れ |
| 葉脈の絡む草餅焼きにけり |
緑色心にしみる草餅か |
| ふるさとの物産展の草の餅 |
手作りと書いて草餅売られけり |
| 草餅や地蔵通りの家苞に |
割烹着まばゆき女将草の餅 |
| 幼らは黄粉まみれの草の餅 |
草餅に思いで話の花が咲き |
| 草餅の利根の堤のかをりけり |
ほうじ茶と緑の口福昼下がり |
| 草餅にいつも大福寄添へる |
草よりも色も香も濃き草の餅 |
| 草餅の甘さひかえめ母心 |
草餅の次はもちろん海苔餅よ |
| 里の昼草餅の輪の広がりて |
草餅の次はもちろん海苔餅よ |
| 草餅の祖母がこさえしさ緑よ |
冬月に草餅供え明日祈る |
| 草餅や春の匂いの娘(こ)らが食ぶ |
鈴ふたつ鳴らし草餅頂けり |
| 草餅を腰に結びし大原女 |
素朴さを丸く包んで草の餅 |
| お稲荷と草餅持ちて義母(はは)が来る |
先づ仏前草餅好む母なりき |
| 縁側のよもやま話草の餅 |
故郷を偲ぶ草餅茶請けとす |
| 草餅の一子相伝里の味 |
五歳児の草餅提げ買うて来る |
| 昼下がりよもぎの香り味わひぬ |
故郷の野辺の匂へる蓬餅 |
| 春の香のみどり深き草餅かな |
帝釈天お参り済ませ草の餅 |
| 草餅やひと味先に春霞 |
草餅に偲ぶ母の香父の膝 |
| 草餅の緑を称え香を褒めて |
草餅を食べては鍬を忘れけり |
| 母子草ほのかに匂う草の餅 |
恙無き二人の暮し草の餅 |
| てのひらにほわと草餅あたたかく |
川風にはためく旗幟や草の餅 |
| お見事な餡とよもぎのハーモニー |
草餅や街並変はる日本橋 |
| 幼き日よもぎを摘んで草の餅 |
鎌倉や門前茶屋の草の餅 |
| ただいまの声に草餅待ってをり |
草の餅搗くや夫婦の阿吽かな |
| 縁側で午後の語らひ草の餅 |
草餅や産声待つ間爺と婆 |
| 草餅に遙かな記憶重ねつつ |
草餅を食べて兄弟仲直り |
| 草餅を義母の遺影に三回忌 |
草餅や小さき子の手で丸めらる |
| 縁側で草餅食す日向ぼこ |
草餅の少し破れて出来上る |
| 遠き日の思い出包み草の餅 |
縁日の婆の草餅旨かりき |
| 草餅を供え華やぐ雛の膳 |
どの店も元祖と掲ぐ草の餅 |
| 草餅と桃の枝入れ上京便 |
草餅を嗅いだ鼻先嗅いでみる |
| よもぎ摘み草餅搗いて初節句 |
草餅や拝みながらに薄目開け |
| 草餅の幼心に笑み浮かぶ |
デパ地下の装ひ新た草の餅 |
| 早春の色香味わふ草の餅 |
餡飛び出硬き草餅焼かれけり |
| 草餅の甘さにひかれ長話 |
草餅にすじ残らぬを好しとせむ |
| 早春の色香味わふ草の餅 |
草餅にすじ残らぬを好しとせむ |
| 辛党も思わず手を出す草の餅 |
墓前の草餅掠ふ悪童等 |
| 父親と草餅食むる日曜日 |
緋毛氈床机に座して草の餅 |
| 草餅を食みて青葉の風に入る |
草餅の焦げて厨の芳しく |
| 草餅の濃き緑こそ春の色 |
懐かしや草餅食べて母思う |
| 草餅の鈍き甘みの店消える |
秘め事は誰にでもあり草の餅 |
| 草餅を三つほおばる悲しみよ |
草餅を食べてやさしい顔となり |
| 草餅と抹茶映えし緑かな |
伊豆土産妻へ草餅吾に酒盗 |
| 受験子に母差入れる草の餅 |
草餅や野沢菜なくて何とする |
| 草餅に渋茶またよし午後のお茶 |
草餅や嫁も姑も二つづつ |
| 草餅の彩の引き立つ白磁皿 |
草餅の不揃家に残したり |
| 野の香り丸く包める蓬餅 |
草餅や遊び呆けた子を待って |
| 手づくりの亡母(はは)の偲べる草の餅 |
レジ脇に置かれ草餅売れにけり |
| 手づくりの亡母(はは)の草餅懐かしむ |
草餅を供えて点す仏の灯 |
| 茶の子には草餅相合ふ渋茶なる |
草餅や大地の芯の色の生る |
| あれやこれ茶話尽きぬ草の餅 |
草餅で迎へてくるる友の居る |
| 茶話の間合ひよろしく草餅が |
祖母の手の厚き大きく草餅や |
| 茶話のつもる間合ひに草の餅 |
我が買い妻も買い来し草の餅 |
| 茶請けにはけふも草餅この季節 |
草餅と見紛ふ山の重ねかな |
| 草餅やつもる茶話ちと止めて |
草餅や薫る旨味は土地毎に |
| 故郷を語り掛けくる蓬餅 |
縁側に座布団二つ草の餅 |
| 故郷を偲びつ草餅午後のお茶 |
草餅やまあるく母の生きて来し |
| 草餅や故郷届く宅配便 |
草餅や在所に鼻のひくい叔母 |
| 墨堤を下りて求める草の餅 |
訳ありな話が一つ草の餅 |
| 和菓子屋の風情に惹かれ草の餅 |
草餅の甘さ忘れず笑みこぼれ |
| ためらいもせずに二つめ蓬餅 |
三方に草餅飾る雛の夜 |
| 郷愁の詰まってをりし草の餅 |
孫のほほ草餅交互に撫で比べ |
| 搗き立てを五感で楽しむ蓬餅 |
故郷は遠きにありて草の餅 |
| 新しき懐紙にかしこみ草の餅 |
草餅に母の手触りありにけり |
| 限りなく母に会いたし草の餅 |
節くれの手づかみもよし蓬餅 |
| 酒豪とは昔の事よ草の餅 |
滝の音まず草餅を頬ばりし |
| 手伝うて子らの作りし草の餅 |
南国の便りぷんぷん草の餅 |
| 手づくりの形揃はぬ蓬餅 |
草餅を提げて本復告げにけり |
| 鄙びたる野辺の匂ひや草の餅 |
草餅や二個目は孫の食べ残し |
| 手づくりの母の掌温し草の餅 |
草餅の迷ひ迷ひて乙女かな |
| 草餅の取持つ母の縁かな |
草餅に老舗気質が顔を出し |
| 床し気な暖簾を分けて草の餅 |
鄙びたる老舗の暖簾草の餅 |
| 古伊万里の皿をまず誉め草の餅 |
祖母ちゃんの自慢の草餅塩の味 |
| 草餅のふぞろいもまた楽しいな |
留守番のメモの重石に草の餅 |
| 一口の甘さなつかし草餅か |
頬張って手にもつかんで草の餅 |
| 黒文字を添えて出される草の餅 |
草餅や神妙になるガキ大将 |
| 手土産のついでに一つ草の餅 |
草餅や草摘む母の背の丸さ |
| 旅終えてまずは草餅寅次郎 |
草餅やかおりと景色噛みしめる |
| 待春の気持ちを買って草の餅 |
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