| 色づける蜜柑や海の見える丘 | はじかれて小粒みかんの甘しこと |
| お願いね!母のメモ書きみかんのる | さあおいで蜜柑ころがし餌付台 |
| みかんむく袋の数を競ひつつ | 潮の香を引き寄せ甘くなる蜜柑 |
| 鳥がきて啄ばむみかん熟す順 | 鈴生りの蜜柑気になる無人駅 |
| テーブルに笊山盛りのみかん置く | 思春期の口は重たく蜜柑剥く |
| 酸っぱいと片目を瞑る子の蜜柑 | 葉の付きし蜜柑が売れる道の駅 |
| 木枠入る暮れの金無垢玉蜜柑 | 蜜柑の皮上手に剥きて美味しそう |
| 味忘る昭和の遠き蜜柑水 | 蜜柑狩海見えるまで登りけり |
| 蜜柑剥く手に湯上りの温かさ | 潮風に甘み増すてふ島蜜柑 |
| 胃袋に落ちて微熱の蜜柑玉 | 地下街で合ふ故郷の伊予蜜柑 |
| 湯煙やジッチャと孫と蜜柑玉 | 海光をひねもす浴びて蜜柑熟る |
| 夕日射す網棚に揺れ蜜柑籠 | 海峡の入日見下ろす蜜柑山 |
| みかん色クレヨンにぎり空をぬる | 回覧板届けて蜜柑呼ばれけり |
| 風邪をひきホットみかんに母の愛 | マジックで大書してあり蜜柑の値 |
| みかんの木乗って実をもぎ夕日見る | エアコンや蜜柑文化を変えにけり |
| 皮干して湯ぶねに浮かべみかん色 | 剥き捨ての皮に滑りし蜜柑狩 |
| 虹の先ミカン畑と海の藍 | 針穴に果汁浸み出す蜜柑釣り |
| 黒潮を浴びて色増す蜜柑かな | 外からは甘さ分らぬ蜜柑かな |
| 記念樹の数ふるほどの蜜柑かな | 蜜柑箱洗濯物が届きけり |
| 蜜柑吸ふベツトの母のおちよぼ口 | 摘み食い匂いでばれる蜜柑かな |
| 蜜柑二個小さき頬あてはいチーズ | 初孫の名前思案や蜜柑むく |
| 棟上やエプロン広げ蜜柑受く | 鬼平の頁繰る指みかんむく |
| 蜜柑むく太き指先父の膝 | 蜜柑剥く薬缶の息のやわらかし |
| 皮一つ君は優しく蜜柑脱ぐ | 英単語暗記カードや蜜柑剥く |
| 蜜柑山橙滲む麓の灯 | 一人聴くヘレン・メリルや蜜柑剥く |
| 群青の空を夢見る蜜柑畑 | みかんむくなんでもない夜の句読点 |
| 蜜柑投げ機関車は行く舞踏会 | みかん山木のある限り清々し |
| 蜜柑積みポアンカレ予想想いけり | 旧藩の名もある八百屋の蜜柑箱 |
| 蜜柑箱蛍雪節時代夢の中 | ていねいに筋取る蜜柑の生ぬるき |
| 伊予からの孫の知らせと蜜柑来る | 手にすればまず揉んでみる蜜柑なり |
| じゃんけんでみかん取り合う幼き日 | 蜜柑剥く乳臭きものに溺れつつ |
| あまそうに見せる蜜柑の赤ネット | 母が剥く冷たき蜜柑温かく |
| 縁日の賑わう参道みかん飴 | 蜜柑狩りまだまだ軽い孫を抱く |
| 子の行事欠かさず持たす蜜柑かな | お日さまの色閉じこめて蜜柑山 |
| 食卓の真ん中にあるみかん山 | 手の爪を黄色くさせて蜜柑剥く |
| 読みかけのページに蜜柑を載せて置く | 半分に分けた蜜柑まず愛でる |
| 活断層隆起の走る蜜柑畑 | まだ青き蜜柑が熟す仏前で |
| 額縁の車窓の富士や蜜柑剥く | 群青の海を見下ろす蜜柑山 |
| 岬には岬のひかり蜜柑熟る | 選りあひて蜜柑は固きもの残る |
| 日とひかりここに集めて蜜柑山 | 真ん中にみかん団欒卓となる |
| 蜜柑は膝駅弁の箸口で割り | 団欒の果ての夜中の蜜柑かな |
| 濃みどりの葉むらに照るや熟れ蜜柑 | 5年経ちやっと二つの庭蜜柑 |
| 瀬戸内の島々蜜柑の山の見ゆ | 海側と山側のあり蜜柑山 |
| 蜜柑狩葉むら向ふも嬉々の声 | 朝市の詰め放題の蜜柑かな |
| かの島は吾が古さとの蜜柑畑 | 海沿ひの道に蜜柑の袋売り |
| 蜜柑狩まづは試食と一つもぐ | 山盛りの籠の蜜柑やテレビ見ゆ |
| 残照にいよよ色映ゆ熟れ蜜柑 | 蜜柑剥く指を黄色に染めにけり |
| 旅人に冷凍蜜柑もらいけり | みかん箱千代紙ちらしおもちゃ箱 |
| 降り立った駅に蜜柑の花薫る | 海はるかゴンドラ渡る蜜柑山 |
| 雪だるま夫婦のように蜜柑乗せ | 木製の昭和は遠きみかん箱 |
| 美しい女の手の平みかん色 | 硝子戸の日差しを膝に蜜柑剥く |
| 窓際に蜜柑並べてインテリア | 給食のみかんポッケの仲間かな |
| しあわせは篭いっぱいの蜜柑かな | 新聞紙広げみかんの皮干しぬ |
| わが妻と出会いし頃や青蜜柑 | 君と食む蜜柑の味は炬燵色 |
| 蜜柑出て炬燵の姿定まれり | 青かりし蜜柑の皮の生意気や |
| 遠き日の爪を染めたる蜜柑かな | 蜜柑むく母の手にしわなかり頃 |
| 一房に一言交わす蜜柑かな | 駄菓子屋に昭和の瓶にみかん水 |
| 丁寧に蜜柑の筋とる父の癖 | 眠る子の頬に涙と掌にみかん |
| 蜜柑ある限りは続く会話かな | 蜜柑落ち転がる先は瀬戸の海 |
| 寂しさに海光の中蜜柑剥く | 密柑山みかんの色の陽が沈む |
| しずけさや老いばかりゐて蜜柑島 | 告白に蜜柑一個を宙に投げ |
| 鍵つ子の「ただいま」を待つみかんかな | クレヨンでみかんお日様同じ色 |
| テーブルのメモを押さえるみかんかな | 遍路道みかんの花の風だより |
| お駄賃のポッケ膨らむみかんかな | みかん山まもりし従姉旅立ちぬ |
| 弁当の隙間を埋めるみかんかな | 店頭のみかんの色のいろづきぬ |
| おすそわけ戻る容器にみかんかな | みかん山色づき元気な過疎のひと |
| 北国の訛飛び交ふ蜜柑島 | 蜜柑むく父母祖父祖母のゐるやうで |
| つらし夜や少しぬるめの蜜柑風呂 | 人柄を見抜かれそつと剥く蜜柑 |
| お手玉の蜜柑るんるん弾む祖母 | 友の指みかんに染まり旬を告ぐ |
| 結願の朝の蜜柑のたわわかな |
|
|