俳句庵

7月『ハンカチ』全応募作品

(敬称略)

東京都     安西 信之
一日を父と伴にし汗拭ひ
ハンカチを振ればキネマのごときかな
ハンカチを尻に敷かれて予言めく
一週間使へばハンカチとは言へず
身支度の終いに白きハンカチーフ
埼玉県     小玉拙郎
中元のハンカチ見るに堪えぬもの
ハンカチを帯にはさみし祖母八十路
ハンカチとペットボトルと歩きだす
愛知県     野村 修三
ハンケチを銜えて嗚咽怺えけり
迫真の講師ハンカチ握りしめ
ハンカチや講師涙の孝子談
離島発つ友にハンカチ振る別れ
異邦人柄のハンカチ振る話芸
神奈川県     佐々木僥祉
ハンカチの白さ重なる紫外線
仕舞はれしハンカチ白き七回忌
岡山県     信安 淳子
寄り添つて子らとハンカチ遊びかな
ハンカチに君のイニシャル刺しにけり
ハンカチにそつと包みし子の乳歯
北海道     高橋 まりえ
ハンカチに風を包みて旅土産
ハンカチに母の匂ひの残りけり
ハンカチを挿して清しき人の胸
三重県     平谷 富之
ハンカチで嫌な思ひと涙拭く
東京都     笹木 弘
ハンカチの皺を伸ばして独り言
愛妻弁当のハンカチーフを解きをり
水色のハンカチを振る海賊船
ハンカチに愛の証しのキスマーク
手品師の薄きハンカチ自在なり
大阪府     永田 よう子
ハンカチは持たぬと笑う17歳
ハンカチは持っていません泣きません
大阪府     太田 紀子
二死満塁ハンカチ強く握りしめ
列車より母にハンカチ振りにけり
渓流にハンカチ濡らすハイキング
愛知県     山歩
ハンカチを膝に嫗の横座り
ハンカチを振ることも無き齢かな
喪服の胸ハンカチーフをさりげなく
婚の席ハンカチ握る人多し
ハンカチや新婦ひとこと婚の席
愛知県     仁誠
ハンカチの右ポケットにある一週間
ハンカチにミニ膝隠す女子高生
北海道     飯沼 勇一
ハンカチは白に限定祖父と父
花嫁の父のハンカチ出番来し
手品師のハンカチひょいと鳩を出し
東京都     鈴木 眞由美
五合目の水の冷たさ汗拭
ハンカチのイニシャル刺繍秘せし頃
格子柄ハンカチ今も抽斗に
千葉県     横井 隆和
マウンドに 白いハンカチ 玉の汗
ハンカチの 折り目は一筋 妻の機微
純白の ハンカチ胸に 初議会
福岡県     紙田幻草
ハンカチーフ何故か左のポケットに
ハンカチを尻にひくこと多くなり
ハンカチを右頬にあて一休み
東京都     村上 ヤチ代
ハンカチの鶴を折つてる待ちぼうけ
愛知県     岩田 勇
遺愛なる父のハンカチイニシアル
ハンカチはいつも純白彼の教師
ハンカチのミッキーマウス飛び出しさう
ハンカチもパンツも赤で勝負せむ
ハンカチやかの女生徒の富士額
東京都     岩崎 美範
ハンカチを差出す男よかりける
ハンカチを使ふ男の色気かな
神奈川県     村上 芳子
バスケ部の娘らおそろいの汗拭い
モノトーン着赤き一点ハンカチーフ
晴れてきしハンカチ帽子の二三人
額ふく白きハンカチに魅せられし
ハンカチを走りきし娘につっと出し
岡山県     名木田 純子
ハンカチの小さくなつてゆくデッキ
ハンカチを用意して見る再放送
ハンカチに今日の出来事畳みけり
木のベンチハンカチ二枚並べけり
ハンカチのレースより風こぼれけり
埼玉県     一斗
こわごわとハンカチ開ける遊びかな
ハンカチに沁みし香りは返さずや
ハンカチを唇で噛み洗う手も
ハンカチを持たぬ龍馬に憧れぬ
ハンカチの広さすなわち聖地かな
岐阜県     ときめき人
手品師はハンカチたたみ出番待つ
愛媛県     宇都宮 千瑞子
向日葵が 咲いたハンカチ 陽を浴びて
アイロンの 効いたハンカチ 夏似合う
真っ白な ハンカチ持って 嫁ぐ夏
かき氷 無地のハンカチ 染めてゆく
ハンカチを 引っ張り合って 海目指す
東京都     田中 勝
長路へて ハンカチに染む 悲喜の詩
悲喜に染む 手巾が語る わがドラマ
悲喜染めし ハンカチにみる 我が半生
悲喜色に 染むハンカチの 花模様
長路へて 手巾に流る 悲喜の詩
埼玉県     守田 修治
ハンカチの白さ際立つ尼僧院
献血の右手放さず汗拭い
つかわない汕頭ハンカチまた届く
ハンカチをドナウに流し旅終わる
東京都     岩川 容子
ハンカチや父母の遠忌の長き経
胸で寝る子にハンカチの風送る
ハンカチに染みるひと日の疲れかな
埼玉県     哲庵
手品師の如くハンカチ出す紳士
浅草の人力車夫の汗拭ひ
ハンカチのイニシャル光る通夜の席
空色のハンカチ広げミニランチ
銀座行く赤いハンカチ胸に挿し
東京都     右田 俊郎
ハンカチで拭ふ仕草の初々し
清潔な白のハンカチ好もしき
ハンカチを拾ひ言葉を交わした日
真っ白なハンカチ眩し女子高生
ハンカチと胸のふくらみ眩しかり
神奈川県     佐藤 博一
いつまでもハンカチを振る別れかな
山口県     ひろ子
ひるがえる黄色のハンカチ名場面
埼玉県     大野 美波
ハンカチやいろんな想いしみこんで
ハンカチや鳥になりたい3.11
ハンカチをそっと目にあて結婚す
ハンカチから子バトを出した父の手よ
古き映画黄色いハンカチ花のようです
神奈川県     佐藤 博一
ハンカチを多めに詰めて異国へと
大阪府     仙波 哲
スワトウの白ハンカチよ遠き恋
ハンカチを振りつ教師の去りゆけり
千葉県     伊藤 和幸
ハンカチも応援道具巨人勝つ
ハンカチを敷いて誘ふ一人分
ハンカチの重さに別れしのび寄る
ハンカチとハンケチどちらがほんと歳のせい
山口県     山縣 敏夫
ハンカチを握る両手が震えをり
バスガイド赤いハンカチ歌いをり
ハンカチを頭に載せて「かっ飛ばせ」
ハンカチが庭にひらりと舞い降りぬ
ハンカチを畳む仕草に風情あり
東京都     紫酔
汗吸って ハンケチ妻の 香りたつ
ハンケチに 開襟シャツに パナマ帽
東京都     とれびの
ハンカチも 更衣機に 白きモノ
日傘陰 白きハンカチ 黒く染む
東京都     紫ょん
ハンカチや アイロン掛けて 正方形
ハンカチの 染み内にして 折りたたむ
神奈川県     長瀬 正之
勝鬨のハンカチ群舞高らかに
ハンカチの震えをりしか柱陰
アイロンを掛けハンカチを彼の人へ
ハンカチの結び目男結びなり
ハンカチを開き干菓子のこぼれたり
宮城県     石川 長二
楽しみはハンカチ開き海苔弁当
ハンカチで別れを惜しむ親子鷹
喜びは黄色のハンカチ高く振り
神奈川県     佐藤 博一
ハンカチをこまめに洗ひ京の旅
栃木県     長浜 良
振りてきし白きハンカチ使はざる
ハンカチを丸めジーパンふくらます
熊本県     貝田 ひでを
ハンカチを膝にホテルのバイキング
ハンカチを口に仲人褒め上手
父戻る腰にしわくちゃ汗拭い
汗手抜き檀家回りの僧忙し
長野県     木原 登
ハンカチを皺苦茶にして旅の町
巡礼お鶴観てハンカチを濡らしけり
ハンカチに侠気鶴田浩二かな
ズボン替へ定期ハンカチ忘れけり
ハンカチに定年前の月日あり
大阪府     永田 よう子
ハンカチを忘る日もあり三回忌
兵庫県     山地 美智子
ハンカチの白さ男に妻ありし
くしゃくしゃのハンカチ今日の人疲れ
ハンカチも大きな男勝りかな
千葉県     平井 覚
ハンカチを握り締めたし母の愛
富山県     岡野 満
ハンカチを取り出す指の白きかな
ハンカチの折り目に沿って花模様
ハンカチを額に翳し歩きけり
兵庫県     祥江
君貸してくれたハンカチ返せない
ハンカチを折り紙にして遊びし日
お気に入りのハンカチ使わずしまってる
ハンカチを贈ってさよならしたつもり
ハンカチの歴史遥かにエジプト文明
神奈川県     佐藤 博一
ハンカチや心に畳むこと一つ
新潟県     近藤 博
ハンカチは洒落のひとつか胸に差す
ハンカチは白もて限る清潔感
ハンカチに季節なけれど常に持つ
真白なるハンカチ汚すに気の引ける
山形県     松谷 忠和
プロポーズハンカチ強く握り締め
古希過ぎて柄ハンカチで若返る
ハンカチを振って喜ぶご来光
純白のハンカチ持たす母ごころ
ハンカチへレモンの香りつけて持つ
東京都     長峯 雄平
ハンカチや母の記憶のセピア色
ハンカチの白きは母のいた昭和
ハンカチを額に当てる指の皺
アイロンをかけてハンカチ蘇り
ハンカチが伸びをしている日向かな
東京都     若槻 泰治
ハンカチを濡らす真夏の努力賞
千葉県     森山 ひかる
梅雨空に 映えるわたしの 白いハンカチ
神奈川県     川島 欣也
ハンカチの鼠やや児をあやしけり
遠き日の秘密ハンカチのみぞ知る
ハンカチの黄色のサイン助けあい
夕べにはハンカチ疲れ果ててをり
ハンカチの一枚決める身づくろい
千葉県     坂本 徹
ハンカチに名前大きく一年生
白のみのハンカチ持ちし父偲ぶ
ハンカチの増えて指折る通夜の数
ポケットに半年振りの汗拭い
東京都     岩崎 美範
ハンカチを借りて返せりそして恋
兵庫県     紫水
ハンカチもちぎれるほどの知覧かな
弁当を包むハンカチ黄色だけ
ハンカチの胸に大きな名前揺れ
ハンカチで口元おさえ神楽坂
ハンカチに黄昏包み君帰る
大阪府     津田 明美
ハンカチの色は七色初デート
ハンカチやそっと包みし過去幾つ
ハンカチの折り目正して転職す
福岡県     紙田幻草
マジックやハンカチーフも種のうち
ハンカチの絹のイニシャル刺繍かな
まっさらの胸のハンカチアクセント
バーバリのハンカチ服に眠りゐる
神奈川県     佐藤 博一
ハンカチを握り締めたる別れかな
埼玉県     岸 保宏
ハンカチを虫篭にする父の知恵
婚活のハンカチ少し丸くなり
白鳥のやうにハンカチ振る乙女
停留所ハンカチ頭老女かな
大阪府     藤本 真子
刺繍入り 祖母からもらった ハンカチね
夏模様 カンカン照りに ハンカチを
別れ際 あなたにそっと ハンカチを
トイレにて ハンカチ忘れて 借りたよね
雨降りに ハンカチ持って お出かけを
埼玉県     柏木 晃
ハンカチに包むかわいいお弁当
ハンカチに嘘を隠して介護する
埼玉県     木村 友哉
叱られて ハンカチ握り くやし泣き
ハンカチに つつみきれない ありがとう
ハンカチが ぼくの悲しみ 和らげる
神奈川県     佐藤 博一
さりげなく出すハンカチの白さかな
栃木県     久保田 晋一
夏日には厚手のハンカチ手放さず
顔隠すハンカチ一枚忍ばせる
胸元にハンカチ覗かす紳士をり
岐阜県     金子加行
新しいハンカチ持ちて次の恋
自分史を畳むハンカチ五六枚
風の来ぬ地下やハンカチ人を待つ
ブランドのハンカチなりて顔拭かず
ハンカチに包む錠剤旅の空
奈良県     中谷 ひとみ
ハンカチのあれもこれもを干している
ハンカチの柄美しく初対面
ハンカチの売り場の角で待ち合わす
ハンカチが物言うこともあった頃
ハンカチで顔拭く人と結婚す
神奈川県     守安 雄介
ハンカチの角を揃えて合コンに
ハンカチを洗って返し縁を得る
思い出の柄のハンカチ選びけり
カタカナで記す手拭ハンカチーフ
筒袖をハンカチとする庭いじり
北海道     江田三峰
園児らのハンカチ落し遊びをり
ハンカチを振って別れの連絡船
泣きし子にそつと渡しぬハンカチーフ
ハンカチを涙で濡らし恋一句
ハンカチの手品自慢の子供かな
宮城県     石川みつばち
ハンカチで隠せり猫の爪のあと
東京都     杉本 とらを
膝の上にハンカチ握る別れかな
涙拭くための真白きハンカチーフ
泣かなひと決めてハンカチ持たぬ夜
ハンカチにはみ出す妻の御居処かな
ハンカチに包みし指輪出しにけり