- 山本海苔店トップ
- 俳句庵
- 俳句庵 2014年10月 優秀賞発表
- 俳句庵 2014年10月 作品一覧
俳句庵
10月『渡り鳥』全応募作品
(敬称略)
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 渡り鳥教ゆる父の若かりし
- 乗っ越しの風強かろう渡り鳥
- 東京都 安西 信之
- 渡り鳥群れて水面の重たかり
- 燈台は白亜の墓標鳥渡る
- 待たすより待つ方が好き鳥渡る
- 合宿の朝鳥渡る洗面所
- 長旅の車窓朝焼け鳥渡る
- 茨城県 坂場 俊仁
- 筑波峰は愛しき目印鳥渡る
- 十重二十重なるしがらみや鳥渡る
- 愛知県 石川 順一
- 渡り鳥木々に群がる詐欺師たち
- 鳥渡る我は一指も動かさず
- 金輪際鳥渡る報告するなかれ
- 渡り行く鳥のさよなら風が吹く
- 日が陰り渡り鳥の数増して行く
- 千葉県 横井 隆和
- サヨナラと読めなくもなし渡り鳥
- ヒマヤラの壁を眼下に渡る鳥
- 故郷へ視線鋭く渡り鳥
- 埼玉県 哲庵
- 鳥渡るスカイツリーを袈裟切りに
- 介護士の指さす先に渡り鳥
- 熔け歪む原子炉建屋鳥渡る
- 開け放つホスピスの窓小鳥来る
- 公園の思い出ベンチ小鳥来る
- 三重県 平谷 富之
- 新天地向かって我も渡り鳥
- 千葉県 水立日月
- 秋雨を たたえし庭に 羽は触れ
- 家の軒に 往復切符の 巣は残り
- 木霊する 雁鳴く声は 葉を紅に
- 渡り鳥 萌ゆる暮れ雲 従えて
- 渡り鳥 集またひとつ 減りにけり
- 東京都 蘭丸
- 渡り鳥暫し留まり湯屋の跡
- 鐘声の滑らかな空鳥渡る
- ブラジル 林 とみ代
- 行くあてのある幸や渡り鳥
- 殿を行くは老いたる鳥渡る
- 住み慣れた国を残して鳥渡る
- 原発の国は避けろよ渡り鳥
- 又の逢ふ瀬約束しつつ渡り鳥
- 東京都 岩川 容子
- 渡り鳥駅弁売りの訛りかな
- 鳥渡る誰も降りない木の駅舎
- 渡り鳥老人ホーム見て歩く
- 捨てられぬ生家の重み鳥渡る
- 埼玉県 小玉 拙郎
- 海峡を越えて群れ解く渡り鳥
- 渡り鳥下校の列の上を行く
- 渡り鳥バラバラバラと千枚田
- 人の居ぬわけを知らずや渡り鳥
- 映画ではギターを持った渡り鳥
- 東京都 丸山 清子
- はらはらと文の届くや渡り鳥
- 北海道 澤野 まひる
- 朝焼けを吉と飛び立つ渡り鳥
- 埼玉県 守田 修治
- 利根川に遊び下手なる渡り鳥
- 泳ぐでも飛び立つでもなく渡り鳥
- 啄木が泣いた浜辺に鳥渡る
- 出勤の人と目が合う渡り鳥
- 還らざる北方四島鳥渡る
- 千葉県 隼人
- 雲をぬく吾国は眼下渡り鳥
- ふるさとに降り立つ香り渡り鳥
- 大阪府 太田 紀子
- 面光る溜め池三つ渡り鳥
- 淀川の彼方のビルや渡り鳥
- 渦潮の海に灯台鳥渡る
- 神奈川県 相模太郎
- 先達の着水さすが渡り鳥
- 有明の月を隠して渡り鳥
- 鎮まるる歴史の海や渡り鳥
- 戦なき空に安んじ渡り鳥
- ざわざわと千羽の着地渡り鳥
- 東京都 若木
- 又来いよ尾根道越える渡り鳥
- 御巣鷹に見上げてご覧渡り鳥
- 渡り鳥去って尾瀬沼風が舞い
- 渡り鳥温暖化日本いつ帰る
- 上目線ふところ肥やす渡り鳥
- 東京都 石見 みつを
- 空仰ぐ新婚夫婦渡り鳥
- 気流に乗りヒマラヤ越ゆる鶴の列
- 東京都 紫候
- 渡り鳥 一糸乱れぬ 協調性
- ビザ取らず 旅券も持たず 鳥渡る
- 東京都 紫渡
- エッシャーの 騙し絵如く 鳥渡る
- 鳥雲は 夕日と交わる 情(こころ)なし
- 東京都 紫漂
- 鳥風へ 思いを馳せし 籠の鳥
- 鳥雲や 時空切り裂く 流線形
- 東京都 小江戸紫
- 種々(くさぐさ)の雲を横切り渡り鳥
- 夕映えの四つ木橋かな鳥渡る
- 夕映えの首都高はるか鳥渡る
- 京都府 短夜
- 渡り鳥 根の生えた我 本の中
- 揺り椅子に 我ありながら 渡り鳥
- 渡り鳥 大根刻む 空の上
- まな板を 干しに出たれば 渡り鳥
- 渡り鳥 アンテナ聳ゆ 空をゆく
- 神奈川県 川島 欣也
- サンクチュアリー鳥来て帰るエアポート
- 小鳥来て旅を語らふ国訛り
- 親離れ子離れの旅鳥渡る
- 渡り鳥道なき道を知ってをり
- 鳥渡る遮るもののなかりけり
- 栃木県 長浜 良
- 茜さす雲の彼方へ渡り鳥
- 大いなる杜の産土鳥渡る
- 故郷に山河在りけり渡り鳥
- 窓開きし山の分校渡り鳥
- 東京都 鈴木 眞由美
- 渡り鳥いつかは戻る彼の地かな
- 鳥渡るこれよりふたり異邦人
- 鳥風や貨車の量感いま過ぐる
- 缶切のいらぬ鮭缶鳥渡る
- 東京都 村上 ヤチ代
- 渡り鳥眺め背伸びと深呼吸
- 埼玉県 沼崎 和子
- 鳥渡る一直線のひかりかな
- 分校の運動場や鳥渡る
- 東京都 森 清
- 坂鳥やいくつこぼしてオホーツク
- 鳥風にシベリアの白かくしをり
- 鳥渡る金色の雲ひきながら
- 灯台の空を残して鳥渡る
- 鳥渡る急ぐ秩父の落葉かな
- 岐阜県 ときめき人
- 伝えたき言葉を残し渡り鳥
- 一点に前しか向かぬ渡り鳥
- 兵庫県 山地 美智子
- 点々と湖上に増ゆる渡り鳥
- まだ先へ行くか月下の渡り鳥
- 同窓会みんなで仰ぐ渡り鳥
- 山荘の丼飯や鳥渡る
- 国境があること知らず渡り鳥
- 福岡県 幻草
- 高々とひたすら鳥の渡りけり
- 伸び縮みして群れをなす渡り鳥
- 鳥渡る孫は就職活動中
- 神奈川県 井手 浩堂
- 灯台に灯ともる空を渡り鳥
- 湖に一陣二陣渡り鳥
- 渡り鳥いつしか瓢湖せまくなり
- 岡山県 八木 五十三
- 渡り鳥ふわりと重き覚悟かな
- ためらひをひとはばたきし鳥渡る
- 遠き島鳥疑はづ渡りけり
- 大阪府 津田 明美
- 渡り鳥道の駅なと置いてやろ
- 友去りし空を濁して鳥渡る
- 蒼穹の点塗り残し渡り鳥
- 埼玉県 岸 保宏
- 編路地に沿うて群れ飛ぶ渡り鳥
- 休息に古墳選びし渡り鳥
- 蛇行する川をなぞらう渡り鳥
- 山口県 山縣 敏夫
- 渡り鳥廃線敷きの空を往く
- 日曜日棚田の嶺を鳥渡る
- 朽ち果てた校舎の上を鳥渡る
- 珍しやシャッター街に渡り鳥
- 里山の駅舎の上に渡り鳥
- 東京都 花泉
- 電線の上に電線鳥渡る
- 帰心早や旅の岬に鳥渡る
- 東京都 直木 葉子
- 故郷の変はり果てたり渡り鳥
- どの家も代替はりして小鳥来る
- 北の海夜を日に継ぎて鳥渡る
- 大阪府 永田 よう子
- すべき事すべてなし終へ鳥渡る
- 千葉県 長谷川 公二
- 庄内の平野に鶴の渡り来る
- 鳥渡る電波時計の狂ひけり
- 渡り鳥住所氏名を言いなさい
- デジタルの一眼レフや渡り鳥
- 鳥渡る中に標識見つけけり
- 東京都 かつこ
- 渡り鳥スマホの電波オフにして
- いきいきと羽の光や渡り鳥
- 山口県 ―
- 町民もデコイも待ちし渡り鳥
- 首長くして待つ鳥のデコイかな
- 福岡県 平山 なな子
- 渡り鳥 どこまで飛んで 行くのやら
- 真っ直ぐに 群れて飛びゆく 渡り鳥
- 渡り鳥 貴方について いけたなら
- 渡り鳥 体内時計 持っている
- 渡り鳥 空の高さを 知っている
- 大阪府 都女
- ゆく夏に 池から巣立つ 鷭一羽
- 口移し 水草を食む 鷭親子
- 畦遠く 羽繕いする 番い鴨
- 岐阜県 あさり
- 翻り土蔵に別れ渡り鳥
- 群れなして光の中や渡り鳥
- 故郷の遠き道のり鳥渡る
- 渡り鳥老婦しずかに見送りて
- 下校時の校庭賑わし鳥渡る
- 愛知県 岩田 勇
- 戦の止まぬ時なし鳥渡る
- 先頭をリーダーといふ鳥渡る
- 超高層ビルの真下や鳥渡る
- 里山の池面に移る渡り鳥
- 鳥渡る果ては何処や大八洲
- 大阪府 黄山木
- Vの字に託す応援渡り鳥
- 涯のなき空の広がり鳥渡る
- 鳥渡り茜の空の影絵かな
- 東京都 大槻 実
- 渡り鳥 行き着く先に 幸願う
- 懸命に 羽ばたき進む 鳥と君
- 優しき目 ナビ持つ様な 渡り鳥
- 渡り鳥 何処から来たか 尋ねたい
- 日本の 居心地どうか 渡り鳥
- 神奈川県 矢神 輝昭
- 立つ波に涙紛らせ渡り鳥
- 鳥渡る一座の無事を見送りて
- 空の道風にまかせて渡り鳥
- 渡り鳥未練残これど汽笛鳴る
- 渡り鳥死闘の旅や波の果て
- 神奈川県 佐藤 博一
- 鳥渡る空に国境無かりけり
- 駄菓子屋は子らの故郷小鳥来る
- 鳥渡る故郷遠くなるばかり
- 鳥渡る空にレーダーある如く
- 地球儀のどこも正面鳥渡る
- 広島県 安冨 正則
- 行き先を選ぶ自由や鳥渡る
- 愛知県 斉藤 浩美
- 鳥渡る廃炉の町を眼下にし
- 鳥渡る次の時間を空に得て
- 鳥渡る空の機嫌を知り尽くし
- おもて裏地球にありて鳥渡る
- 渡り鳥船には船の掟あり
- 山梨県 天野 昭正
- 屋上に暫し眺むる渡り鳥
- 何処から何処に行くや渡り鳥
- 大航海時代の如く鳥渡る
- 東京の空は夕焼け渡り鳥
- 海を来て鎌倉を行く渡り鳥
- 佐賀県 平吉 俊郁
- 渡り鳥晴天待ちてV飛行
- 渡り鳥天の動きを知り尽くす
- 青森県 笹原 郁子
- 鳥渡る無人灯台開放日
- 海峡に白波増えて鳥渡る
- 鳥渡る階段国道登り切り
- 兵庫県 岸下 庄二
- 千里来て千里南下す渡り鳥
- 渡り鳥蹼広げ着水す
- 行き違ふ雲間に見ゆる渡り鳥
- けふ来るかあしたは来るか渡り鳥
- 国境を俯瞰しながら鳥渡る
- 大阪府 ドルちん
- 端境の野菜と燕姿消す
- シベリアンエキスプレスの白い群れ
- 歌川の水面を発ちて月に雁
- ラムサール束の間やまとのおもてなし
- 浪花鳥キタへミナミへ日は西へ
- 岐阜県 金子 加行
- 鮮明な富士背景に渡り鳥
- 迂回するスカイツリーや渡り鳥
- 佐渡空路すれ違ひたる渡り鳥
- 渡り鳥帰る日友の減り知らず
- 槍ヶ岳富士標識に渡り鳥
- 東京都 岩崎 美範
- 安産を宮に祈れば鳥渡る
- 再生のみちのく平野鳥渡る
- 私にも翼ください鳥渡る
- 母の棲む終の楽園鳥渡る
- 人知超ゆ自然の摂理鳥渡る
- 大阪府 高塚 政宜
- 渡り鳥事もなしげに降りにけり
- 猛禽の眼の隙間鳥渡る
- 長野県 木原 登
- 海峡の暗きを待ちて鳥渡る
- 天上に友をり鳥の渡るなり
- 渡り鳥見やる縄文土偶かな
- 花巻のイギリス海岸鳥渡る
- 身一つ海山越えて小鳥来る
- 福島県 小野 和宏
- 白河の関を跨ぎて鳥渡る
- 岐阜県 後藤 恵美
- 渡り鳥Ⅴ字の様を見続けり
- 塾向かふ子の遥か上渡り鳥
- 灰皿を持ちいて庭へ渡り鳥
- 渡り鳥風の中なる父のこと
- 兵庫県 岸野 孝彦
- 病なる母は翔ばずや渡り鳥
- 渡り鳥一期一会の越後獅子
- 生きるとは飛ぶことばかり渡り鳥
- 幾山河国境越えし渡り鳥
- 渡り鳥後悔知らず飛ぶばかり
- 埼玉県 ―
- なりたいな うまく世間を 渡る鳥
- 神奈川県 川村 均
- 道如く谷戸を抜け行く渡り鳥
- 渡り鳥冬は越せなき者同士
- Vの字に鳥駆けいよよ秋深し
- 蹴散らしてみたきVの字渡り鳥
- 北海道 江田 三峰
- 渡り鳥空真黒の六万羽
- 渡り鳥北の大空おもふまま
- 知床の五湖の楽園渡り鳥
- なにもなき襟裳岬に鳥渡る
- 指呼にして北方領土鳥渡る
- 熊本県 貝田 ひでを
- 鳥渡る湖に黒々逆さ富士
- 点点と干潟に人や鳥渡る
- 指で開く鯖の缶詰鳥渡る
- 鳥渡る宇宙は今も膨張中
- 鳥渡る番小屋に打つ五寸釘
- 新潟県 近藤 博
- 棲み適ふ湿原求む渡り鳥
- 渡り鳥空を曇らせ群をなし
- 大空を我が物顔に鳥渡る
- 上空を追いつ追われつ鳥渡る
- 空を鳴き渡り来る鳥仰ぎけり
- 神奈川県 守安 雄介
- 渡り鳥神の投網は洲掬う
- 鳥風を吸いて大木姦しい
- 明日の糧求めて吾も渡り鳥
- 初嵐渡海の翼の尖がりけり
- 佐賀県 古賀 由美子
- 渡り鳥かすかに風が動き出す
- 渡り鳥見上ぐる君の白き首
- 病棟の子らのつぶやき小鳥来る
- 鳥帰る何処にいても異邦人
- 渡り鳥腕(かいな)広げてわれも飛ぶ
- 京都府 中村 万年青
- 渡り鳥遠き国より夢乗せて
- 鷹渡り運動会を見納めぬ
- 夕暮れの梢に宿る渡り鳥
- 渡り鳥「いざ帰りなん」故郷へ
- 唐の国の子等無事だろか渡り鳥