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- 俳句庵 2015年02月 優秀賞発表
- 俳句庵 2015年02月 作品一覧
俳句庵
2月『白魚』全応募作品
(敬称略)
- 愛媛県 清水星凜
- 白魚のするりと喉を通りけり
- 水底に棹さし進む白魚舟
- 白魚の黒目ばかりが動きたる
- 胎内をすっかり見せて白魚かな
- 彼の人と来しこともあり白魚膳
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 白魚や夜景に霞むクリスタル
- 白魚の空に隠るる氷粒
- 白魚や婆が好物の揚がりたる
- 白魚や久方振りの千葉の叔父
- 白魚や勲章小さき祝賀会
- 神奈川県 猪狩 千次郎
- むつかしきこというなかれ白魚鍋
- 白魚や佃に残るみをつくし
- 白魚や今じや聞かれぬべらんめえ
- 両の手をこすり合すや白魚鍋
- 追憶や奥歯に沁むる白魚和
- 東京都 安西 信之
- 一寸に目玉三分のしらをかな
- 満々と杓にあふるるしらをかな
- 白魚の一寸の身に七分の尾
- 舟底に雑魚寝の親子白魚漁
- 白魚汁椀のなかにも群れてをり
- 東京都 石見 光夫
- かき揚げに白魚の目の犇めきぬ
- 白魚の網高高と白い雲
- 岐阜県 ときめき人
- 白魚や生まれ変われる人生ぞ
- 埼玉県 小玉拙郎
- 白魚という命群れくる夜明け前
- 白魚はいくら獲れても市の隅
- 黒々と白魚ありと書く亭主
- 朝の海掬えばそれが白魚に
- 東京都 蘭丸
- 白魚の百の鼓動を目で追ひぬ
- 目の合ひし距離まで待ちぬ白魚網
- 千葉県 鈴木麗門
- 白刃のごとき白魚南無阿弥陀
- 白魚や売り物じやねえと漁師言ふ
- 白魚や粋な女将の困り顔
- 江戸切子跳ねて白魚口の中
- 千葉県 江里口 泰一
- 白山や白魚漁の四つ手網
- 民宿の美味白魚の卵とじ
- 白魚や片足杭に名ぜりふ
- 大阪府 永田
- 縁談の首尾上々や白魚汁
- 神奈川県 小賀 勲
- 白魚や今日も長崎晴れ渡る
- 白魚や大吟醸にグラス酒
- 白魚のおどり食いとは殺生や
- 北海道 飯沼 勇一
- 白魚汲み老は退院したばかり
- 待つことは慣れてをるなり白魚漁
- 白魚を透かして染めし網走湖
- 白魚の指が白魚掬いけり
- 白魚の眼の奥に脳あるらしき
- 大阪府 太田 紀子
- 塩を振り白魚さらに白くなり
- 白魚の黒き瞳に見つめらる
- 四手網掬ふ白魚みずみずし
- 東京都 鈴木 眞由美
- 白魚や下駄の焼印章々と
- 許せよと醤油たらせるしらおかな
- 白魚の何百といふ心の蔵
- 栃木県 長浜 良
- 両の手に掬ひ在所の白魚汁
- 三匹の白魚明らか朱塗椀
- 東京都 岩川 容子
- 名台詞いざなう夜の白魚漁
- 白魚網さばく漁師の若からず
- 白魚の舌をくすぐるおどり食い
- 白魚を炊いて佃の名を残す
- 埼玉県 守田 修治
- 引退の力士見送る白魚めし
- 接待の力士は無口白魚めし
- しゃべくりも口べたもいて白魚めし
- 床上げの本日大安白魚汁
- 白魚のかき揚げ待つ間 赤児抱く
- 東京都 北川 京子
- 故郷の 河畔で食す 白魚や
- 白魚を 青磁の鉢に 泳がせり
- 白魚の 一尾一尾を 味わえり
- 白魚を 揚げてサクサク 軽やかに
- 神奈川県 塚本 治彦
- 白魚や京の舞妓のおちよぼ口
- 舟でゆく湖畔の宿や白魚飯
- 舟桶に白魚の目の泳ぎけり
- 茹で上がりしらうを白き魚となり
- 上げ潮の満ちて瞬く白魚火
- 群馬県 クズウ ジュンイチ
- 川水を飲んで白魚透けにけり
- 眼を残し白魚水に溶けにけり
- 白魚や籠へ盃盛られをり
- 神奈川県 長瀬 正之
- 葉三つ葉の散らす陰あり白魚汁
- 白魚の通り過ぎ行く喉仏
- 目瞑りて白魚一匹おちょぼ口
- 白魚やビニールの笹緑濃し
- 東京都 水野 二三夫
- 海神の与ふ色なり白魚汲む
- 白魚を透くまさびしき海の色
- 白魚のまなこに深き海の青
- 海の碧超え此の世へと白魚来
- 白魚の黒きまなこをあはれとも
- 東京都 森 清
- 白魚の命ひかれり桝の内
- 白魚の桝一杯の命かな
- 白魚に白魚走る網の中
- 湖の草をまとひ汲まれし白魚かな
- 白魚や汲まれて川を離れたる
- 大阪府 津田 明美
- 水底の影が影呼ぶ白魚かな
- 無骨なる掌を無垢にして白魚汲む
- 東京都 村上 ヤチ代
- 白魚や吉三の歯切れ良き台詞
- 東京都 丸山清子
- 澄む水に白魚の命洗ひけり
- 白魚や青き海見た目のふたつ
- 埼玉県 哲庵
- 葦立野の川に白魚戻りけり
- 惜別の膳にのりたる白魚汁
- 白魚網金剛石を撒き散らす
- 白魚船赤水門をくぐり行く
- 仏前に父好物の白魚飯
- 東京都 三浦 靖男
- どんぶりを埋める白魚いい素顔
- 白魚や金目を供に泳ぐ夢
- 白魚の舟くしゃみして浜で待つ
- 白魚を喰いに江ノ電夫婦旅
- 白魚やどこに潜むか隅田川
- 埼玉県 長澤 千鶴子
- 白魚の腸透けて川の旅
- 白魚に黒目に映える夕日かな
- 白魚や奥の細道宿の膳
- 白魚や素直に泳ぎ続けをり
- 兵庫県 山地 美智子
- 白魚の一匹づつの黒目かな
- 白魚を水ごと足して魚市場
- 白魚の稚魚の如くに群れいたり
- 神奈川県 矢神 輝昭
- 白魚や秘め事持てぬ身の定め
- 白魚や殺生詫びて喉仏
- 白魚の群れに引かれて打瀬船
- 西浦や白魚群游雲の映え
- 優顔で白魚危む踊り食い
- 埼玉県 米田 哲
- 白魚や東雲の海まなかひに
- 白魚や人無き河岸の舫綱
- 白魚や糴人溢る築地河岸
- 白魚や普き日射す船溜り
- 福岡県 幻草
- 白魚の目玉ばかりの泳ぎけり
- 白魚の命まるごと啜りけり
- 埼玉県 柏木 晃
- 網の上跳ねる白魚掬う網
- 白魚の心の透けるような味
- 白魚の喉で味わう食文化
- どんぶりの白魚水に同化する
- 広島県 永野 昌人
- 白魚舟萩雁島の橋の下
- 白魚や河口の先は日本海
- 白魚に目あれば我が子泣くばかり
- ひらがなの散らばつてをり白魚汁
- 白魚の生きて過ぎたる喉仏
- 埼玉県 玄次郎
- 跳ね逃ぐる白魚丼を掻つ込むる
- 白魚を飲み干す椀にあと一尾
- 釜揚げの白魚食ふや苦味あり
- 千葉県 隼人
- 白魚の瑞々しきや皿の上
- 石川県 浅妻 明徳
- 冬の海 白魚泳ぎ 朝日かな
- 酒の友 白魚食べて ほろ酔いで
- 白魚は 生き生き泳ぎ 冬の朝
- 網の中 白魚跳ねて 豊漁
- 白魚を 天ぷら揚げて 酒の友
- 神奈川県 野川 喜一郎
- 手ですくい小皿に盛れる白魚汲む
- 刺網で眼だけ確り白魚汲む
- 白魚を買うて食べおり陽だまりで
- 白魚を織に袋に詰めてお土産に
- 白魚を買うて今宵の晩酌に
- 山口県 山縣 敏夫
- 白魚やジタバタするな踊り食い
- 白魚の舟が揺れるや里の堰
- 白魚の澄まし汁吸う今朝の膳
- 白魚漁舟頭歌う訛り良し
- 白魚のかき揚げ食うて杯交わす
- 神奈川県 井手浩堂
- 黒々とそびらの山や白魚網
- 白魚を光もろとも掬ひけり
- 白魚の数かぞへるに黒目玉
- お通しの小皿にすする白魚よ
- 白魚を言葉少なにすすりけり
- 兵庫県 岸下 庄二
- 白魚のひくひく動く心の蔵
- 白魚のひと際目立つ黒眼哉
- 白魚の透ける命をいただきぬ
- 神奈川県 佐藤 博一
- 白魚漁見張る眼も透き通る
- 四手網四隅に集め白魚漁
- 白魚に喉三寸の奈落かな
- 白魚やいのち透かせて身一寸
- 水よりも水になりたる白魚かな
- 埼玉県 岸 保宏
- 白魚を離したくなる凪の海
- 児の指にさえもかからぬ白魚や
- 白魚や桶を宇宙に泳ぎけり
- 東京都 岩崎 美範
- 白魚や椀にほのかな湖水の香
- 白魚の眼に宿る湖の色
- 白魚網春の息吹を掬ひけり
- 透くる身の黒眼愛しき白魚かな
- てのひらに掬へば踊る白魚かな
- 愛媛県 近藤 秀美
- 踊り食い白魚舌で踊ってる
- 東京都 直木 葉子
- 四手網の大きくしなふ白魚舟
- 白魚の右往左往のしづまりぬ
- 神奈川県 川島 欣也
- 白魚の群れ細波に見失い
- 掬われて白魚影を見せにけり
- 一滴の醤油白魚を染にけり
- 白魚の目と目と合うや一気飲み
- 水質の改善進み白魚くる
- 愛知県 岩田 勇
- 白魚や舟津屋までは海七里
- 白魚のはらりと崩る椀の汁
- 白魚にうぶてふ文字を重ねけり
- 白魚の大山盛りの鮮魚店
- 白魚や魚類世界のヘゲモニー
- 山梨県 天野 昭正
- 白魚や水に紛れて仕舞けり
- 白魚の群れて微塵の光りかな
- 漣を掬ふが如し白魚漁
- 白魚の水より澄て掬われる
- 白魚の命を啜り酒を汲む
- 静岡県 池ヶ谷 しょうご
- 白魚をすくう漁師の手は優し
- 白魚や喉の澱を払いけり
- 白魚を骨まで飲んで透き通る
- 清らかに白魚泳ぐ小皿かな
- 釣り銭を白魚の手にお買徳
- 長野県 木原 登
- 白魚は徹頭徹尾透けりけり
- 白魚の切なく大き目なりけり
- 白魚にしかと腸ありにけり
- 白魚の夢のごときを啜りけり
- 白魚を啜りかなしさふやしけり
- 東京都 石井 真由美
- 白魚を五感で味のオノマトぺ
- 白魚の黒目を皿に汲まれをり
- 一寸の白魚透かすガラス椀
- 白魚の器であわれ黒目なり
- ぐい飲みに白魚放ち吟醸酒
- 兵庫県 岸野 孝彦
- 大川や芭蕉は一人白魚飯
- 幾万の命は軽し白魚舟
- 白魚の命は澄みし光る海
- 白魚の命弾けて日も昏れて
- 白魚や赤い器で海想う
- 山口県 ―
- 四方網乾され白魚すくわれし
- 北海道 江田三峰
- 白魚の躍り喰ひまで喰はずとも
- 白魚の頃に思ひぬ疎開先
- 白魚や父母のふるさと千種川
- 白魚や歌舞伎踊りの阿国かな
- 白魚や枡で量られ売られけり
- 新潟県 近藤 博
- 寄せ鍋や白魚えらむ夫婦箸
- 椀に浮き透ける白魚可憐なる
- 白魚や湯がけば白によく名づけ
- 白魚の透け透けたるを酢味噌和へ
- 白魚の酢味噌肴に酒杯とす
- 岐阜県 金子加行
- 白魚のいのち眩しく掬はれる
- 白魚のはらわたの朱も透き通る
- 水汲みにあらず白魚掬はれる
- いけにへの白魚呑みて宴始む
- 上品に白魚鮨に三四匹
- 熊本県 貝田 ひでを
- ひかりより風よりかろき白魚汲む
- ワシワシと白魚丼喰ふ漁師
- 白魚汲む河口は風の寄るところ
- いらうおの目玉ばかりを呑み込みぬ
- 奈良県 和田 康
- 白魚や楔のごとくゐたりけり
- 白魚の透かしの先に尖り口
- 白魚の九腸の肌輝けり
- 白魚や覇者家康も嗜めり
- 白魚の八方睨み目と目と目
- 神奈川県 守安 雄介
- 白魚の命転がる舌の上
- 白魚の目玉の睨む卵とじ
- 白魚や煮られ「し」の字に品作る
- 白魚や神の忘れし色衣
- 白魚の汁に三つ葉の香りけり
- 茨城県 山縣 孝子
- 白魚や影かとも見し水明り
- また一つ灯点しごろの白魚舟
- 白魚の生きて胃の腑へ躍り行く
- 初物の白魚ぞ酒まだ来ぬか
- 白魚やバリの土産の塩散らす
- 北海道 藤林 正則
- 白魚の黒目を凝視する黒目
- 省略の極み白魚ありにけり
- 校長は自称江戸つ子白魚汁
- 白魚を啜る真赤なルージュかな
- 白魚の華奢を丸ごと掬ひけり
- 京都府 中村 万年青
- 白魚や透けたる色の美しき
- 白魚や海より出し素のままに
- 白魚の踊り食ひとや浅ましき
- 白魚や吊皮つかむ白き指
- 白魚や海の中こそ我が住処
- 大阪府 堀之内 古潭
- ひかる海分厚き海苔の干してあり
- 妻在りて主夫忙しや海苔の飯