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- 俳句庵 2020年08月 優秀賞発表
- 俳句庵 2020年08月 作品一覧
俳句庵
8月『立秋』全応募作品
(敬称略)
- 神奈川県 髙梨裕
- 立秋や裏木戸開けて青嵐待つ
- 立秋や風と離るる鐘の音
- 立秋や細るに足りる古希の足
- 立秋や姿見映る母の部屋
- 立秋やふと面影の江戸小紋
- 東京都 豊島 仁
- 立秋は残暑見舞を吹き飛ばし
- 歯磨きの少し沁入る今朝の秋
- 立秋の風やさしくて高き空
- 子規うれし根岸の里に今朝の秋
- 京都府 中村万年青
- 立秋や温き風来る年毎に
- 秋立つもマスクの熱や顔に汗
- 草むらに虫の声して秋に入る
- 東京都 伊藤訓花
- 愛染の暖簾を洗ひ秋に入る
- 今朝の秋猫まんまると深眠り
- 一輌の世田谷線も秋立ちぬ
- 秋来れば旅はエデンへ頁繰る
- 五線譜に木漏れ日揺れる今日の秋
- 千葉県 伊藤順女
- 立秋や吾の前を行く長き影
- 立秋の入日見ている橋の上
- 立秋と思ひつ洗ふ今朝の顔
- 今朝の秋いつものやうにカフェオレを
- 千葉県 伊藤博康
- 背後から追ひ越すやうに秋立ちぬ
- 秋立つや歌はブルース酒ロック
- 立秋の風柔らかく頬撫でる
- 立秋や屋根の上には雲一片
- 挨拶が聞こへぬままに秋立ちぬ
- 神奈川県 井手浩堂
- 秋立つや小町通りに栗鼠の来て
- 通勤の渡しの水脈や今朝の秋
- ビルの間に富士よく見えて今朝の秋
- 旅先の朝の歯みがき秋立てり
- 湖の面の雲の白さよ今朝の秋
- 徳島県 井内胡桃
- 今朝秋の一筋の風食卓に
- 立秋のミント色したスムージー
- 一輪の庭の花挿す今朝の秋
- 青石の白き紋様秋立り
- 立秋の田園わたる風の色
- 東京都 右田俊郎
- 立秋や間欠泉の噴き上ぐる
- 卵かけごはんの朝餉秋に入る
- カラコロと下駄音響く今朝の秋
- 立秋や感染者数日々増加
- 秋立つや眼下に蒼き相模湾
- 広島県 永野昌人
- 今朝秋の手に取るやうに厳島
- 真つ白なシーツ干しあり今朝の秋
- 風のいろ雲のかたちも秋はじめ
- 立秋や畳むシーツを丁寧に
- 愛媛県 アリマノミコ
- 立秋や朝のテラスにダージリン
- 立秋や珈琲豆を粗挽きに
- 立秋や殯の丘に星月夜
- 立秋や丸くなりたる猫の背
- 神奈川県 志保川有
- 秋立つや凛たる江差の男唄―江差追分
- 丹田へ清しき冷気秋立てり
- ほつとしてちょっぴり虚ろ秋の来ぬ
- 庭すみの胡瓜なり終へ秋の来ぬ
- ペコちゃんはオーバーオール秋に入る
- 千葉県 風泉
- 立秋の縁に一式カメラ干す
- 「りっしゅう」と筆先清し友の文
- TV消す窓へ遠音や今朝の秋
- 秋立つや蜘蛛の巣も又留守の風
- 東京都 岡本英太郎
- しみわたり疲れた体に今朝の秋
- しみじみと体にしみる今朝の秋
- 富山県 岡野 みつる
- 立秋や草の勢い弱まりて
- 立秋や一両電車軋み行く
- とりあえずネクタイ変えて今朝の秋
- 愛媛県 加島一善
- 教会の鐘の音澄て秋立ちぬ
- 立秋の風が運び来カレーの香
- 立秋や褪せたハイネの詩集読む
- 今年また何事も無く秋立ちぬ
- 立秋の忘れられたる指輪かな
- 富山県 加能雅臣
- 踏切の赤目の美しき今朝の秋
- 秋立ちて陽射しの端をつかむ子ら
- 神奈川県 海野優
- 秋立つやもの問ひたげな夢の母
- 立秋や帰り人との長話
- 手鏡にふと立秋の顔直す
- 前触れもなくて秋立つ思ひかな
- 東京都 韓祐志
- 秋に入る町に聞かれぬ金属音
- 寝ぼけまま開く新聞今朝の秋
- ふるさとへ支度整え秋に入る
- 秋来る妻に急かされバケーション
- ペタペタと草履は鳴れど秋に入る
- 埼玉県 岸保宏
- 秩父路や立秋の池赤く染め
- 立秋やスマホの緑変えてみる
- 立秋や風誘われて窓開ける
- 兵庫県 岸野孝彦
- 立秋が電車を降りる無人駅
- 立秋や河童を探す上高地
- 立秋や終息祈る関帝廟
- 立秋や善根宿の赤いバス
- 立秋の雨音抱く孤愁かな
- 東京都 岩崎美範
- 老妻の安堵の笑みや今朝の秋
- 猫の眼に生気の戻る今朝の秋
- 焼海苔に目刺二匹の今朝の秋
- 立秋の雨空仰ぐ靴磨
- コロナ禍の夜の街にも秋立ちぬ
- 東京都 岩川容子
- 検診の封筒届き秋に入る
- ひと雨に風生まれたる今朝の秋
- 立秋と気づかぬ今日の日差しかな
- 流木の打ち上げられし今朝の秋
- 愛知県 岩田勇
- 飼猫の遠く見詰める今朝の秋
- 老斑の貌を見詰めて今朝の秋
- 神奈川県 亀山酔田
- 祖父の駒ピシと音する今日の秋
- 立秋や息跡残る禅道場
- 立秋や秘仏の指を反らす御簾
- 秋立つや緩く着込んでデートする
- 秋立つや初老三人酌むばかり
- 茨城県 菊池風峰
- 秋立つやかな連綿の迷い筆
- 立秋や湯気の惑いし露天風呂
- 秋立つや暦に赤き二重丸
- 立秋や加速制御のはやぶさ2
- 立秋や灯落とす縁に夜の風
- 埼玉県 いまいやすのり
- 立秋や一つ度の増す老眼鏡
- 図書館に集まる子らに秋立ちぬ
- 立秋や日暮れに混じる喇叭の音
- 立秋や夕べのチャイム早まりぬ
- 秋立ちぬ雲の形もそれなりに
- 岐阜県 ときめき人
- 珈琲の女神の香なり秋立ちぬ
- 東京都 よしだ悠
- 立秋の沖へ去りゆく夏の海
- 立秋の大東京にロープ張る
- うかと踏む蝉のもぬけや今朝の秋
- 立秋や妻に持たされ万歩計
- 立秋や湖水に尖り八ヶ岳
- 神奈川県 みぃすてぃ
- 秋立つや詰めよの一手駒の音
- 秋立つや微睡む牛の放牧地
- 秋来ぬと三角に立つ猫の耳
- 秋来ぬとこころ変わりの波の音
- 秋立つや山の向こうの風さやか
- 千葉県 玉井令子
- 家族旅行二転三転秋来る
- いつもとは違う立秋登校日
- 秋立ちぬ球児の立たぬ甲子園
- 立秋が終業式の今年かな
- 秋に入るパンデミックの六か月
- ブラジル 玉田千代美
- 心外な事ばかり聞く今朝の秋
- 立秋や深き空あり鳥渡る
- 立秋や昨日に変はり空の色
- 立秋の寂しき日々や齢を取る
- 立秋やコロナウイリス街静か
- 新潟県 近藤博
- 立秋や庭木さわさわ風に揺れ
- 立秋やさざれ川奏づ水の音
- 空青く海また青く秋立てり
- 立秋や歳時記ひもとき句をひねる
- 立秋や豊旗雲のぽかり浮く
- 岐阜県 金子加行
- 立秋や書斎の住に戻りたき
- 立秋の風の野菜の並びたる
- 立秋のダイナミックの雲と見し
- 立秋や仕上に至るビル工事
- 立秋に足らぬ絵具を買ひ求む
- 神奈川県 原川篤子
- 犬二匹つれゆく海辺今朝の秋
- 秋に入る樹々に生まるる木の匂ひ
- 遠富士の絹雲動き秋たてり
- 子規庵を訪はむとぞ思(も)ふ秋立つ日
- 掛軸をわが書にかへて秋に入る
- 埼玉県 吉野 静
- 立秋の風をまとひし闊歩する
- 立秋や風の動きも変わりをり
- 食卓の色それらしく秋来る
- 脳トレのぬり絵する日々秋に入る
- 立秋に心も添ひし旅の宿
- 福岡県 戸澤孝一
- 立秋や山に一様霧かかる
- 立秋や松林にも風一つ
- 秋来る城内響く鳥の声
- 立秋や鱚はまだまだ近く居り
- 三重県 後藤允孝
- 流れゆく雲の軽さや今日の秋
- 新刊の匂いを開く今朝の秋
- 若者の街のファッション秋に入る
- 墨を磨る香りの中に秋立ちぬ
- 竹林の風笛となる秋来る
- 神奈川県 佐々木 僥祉
- 新しき戒名白き秋の立つ
- 逝く人は言葉をのこす秋の立つ
- 秋立つや手水に冷の差す錯覚
- 秋立つや月命日の青き花
- 大雪山の便りは早き秋の立つ
- 愛媛県 佐藤めぐみ
- 立秋や一駅先まで歩こうか
- 立秋の海辺のカフェでAランチ
- ドリップの泡ふっくらと今朝の秋
- 立秋や家族写真は十一人
- 愛媛県 砂山恵子
- ナプキンを立てたるグラス秋に入る
- 立秋や回転ドアの中に風
- 立秋の光を映すにはたづみ
- 音立てて広げるシーツ今朝の秋
- 木漏れ日にふと空仰ぐ今朝の秋
- 兵庫県 はなちる
- 立秋やマスクはずして深呼吸
- 砂浜の人肌恋し今日の秋
- 石畳下駄のひやりと今朝の秋
- 蝋燭の灯り惑わし秋立ちぬ
- 便箋の罫線薄く秋に入る
- 東京都 勢田清
- 立秋のレースカーテン風はらみ
- 立秋に届きし封書誰ならむ
- 立秋の木洩れ日動く庭静か
- 立秋や心の空虚ふと感じ
- 寂しさの兆し立秋日の光
- 東京都 笹木弘
- 立秋や柔らかくパン出来上がる
- 立秋の光を抜ける飛行船
- 立秋の浜に竜骨さらしをり
- 立秋や鏡に挑む己が猫
- 茶の色にネクタイ変へる秋立つ日
- 東京都 三隅昌人
- いずこへと心いざなふ立秋の雲
- 立秋に吹く風やさし白髪かな
- 立秋の風よそよそしくてすれ違う
- 碧空に立秋の心音動きけり
- 立秋や木漏れ日の彩顔にふり
- 神奈川県 三好康子
- 今朝の秋茶碗触れ合ふ音澄みて
- 秋立つやさつさつ弾む竹箒
- 秋立つや欅大樹の影太る
- 秋立つや靴新しき試歩の夫
- 秋立つやことさら清(すが)し朝茶の香
- 神奈川県 知草
- 立秋の太陽を抱く枕かな
- 立秋や秒針走る腕時計
- 靴紐を結び直して今朝の秋
- 立秋のポストに風の届きけり
- 立秋の海が見たくて観覧車
- 東京都 山本貴士
- 立秋や髭剃りあとを子の撫でる
- 子に教ふ秋立つ知らせ寛永寺
- 秋立ちて銀座で靴を買いにけり
- 秋に入る濃く紅引きし朝支度
- 秋立つやおにぎり三つ朝ごはん
- 山口県 山縣敏夫
- 犬の死に涙を誘う今朝の秋
- 初孫の泣き声に秋立ちにけり
- 愛犬の死から一年今朝の秋
- 今朝の秋始発電車が滑り出す
- 初孫の写メの背後に秋立ちぬ
- 島根県 寺津豪佐
- 立秋の風の吹き込む写経かな
- 逆上がりやうやう出来て秋に入る
- 秋立つや今日は本当は祭りの日
- 神奈川県 守安雄介
- 立秋や孫の砂城の崩れ去る
- 朝刊に立秋は八コロナ百
- 立秋や今日も読書で時稼ぐ
- 命とは言えぬウィルス秋立ちぬ
- 先見えぬコロナ汚染や秋立ちぬ
- 埼玉県 守田修治
- 米研ぐや水のすがしき今朝の秋
- 秋立つや良寛句碑の鬼ごっこ
- 團十郎襲名まだか今朝の秋
- 秋立つや一駅歩く朝のパン
- 名刹の鐘の音澄みし今朝の秋
- 埼玉県 小玉拙郎
- 豆腐屋の水ぬるきまま秋に入る
- 立秋や立ち食いそばをタヌキにし
- 旅立てぬ日々の連なり秋立つ日
- 立秋の「禾」に難あり書道展
- 茨城県 小松崎孝志
- 立秋や同窓会の知らせ来い
- 秋立つや雲の形の気配あり
- 秋立ちて球児の髪の伸びにけり
- 秋立つや香るシナモンロールパン
- 立秋や峠越えする今日の宿
- 東京都 松本佳明
- 立秋や歌い手交代虫の声
- 立秋や日暮れと夕刊徒競走
- 立秋や伸びる影との背比べ
- 立秋や日暮れに羽織るカーディガン
- 立秋や白秋偲び歌を詠む
- 神奈川県 松野勉
- 「いってらっしゃい」とベランダの妻秋立てリ
- 北海道 風花美絵
- 立秋や花咲き急ぎ名残惜し
- 立秋や膳を賑わす野菜たち
- 立秋や硯箱あけ筆をとる
- 静岡県 城内幸江
- 焼菓子の匂ひに溢れ秋に入る
- 立秋の街マネキンは白くなり
- 立秋や雲はちぎれて風となる
- 立秋を舐める肩車の少女
- 愛知県 新美達夫
- 形から学ぶ芸事秋立ちぬ
- 少年の語尾明瞭に秋立てり
- 道掃いて門に塩盛る今朝の秋
- 山梨県 森下博史
- 立秋の朝かけ直すおでん鍋
- 立秋やくんさきいかとチュー二杯
- 大阪府 森 佳月
- 立秋やこころの鍵は開かぬまま
- 立秋の海遠くゆくさんふらわあ
- 濃き雲に浅き雲あり今朝の秋
- 立秋や頬杖なじむ古机
- 雀の声愛しく聞こえ秋立ちぬ
- 福岡県 深町明
- 今朝秋の磨きぬいたる単車かな
- 立秋や色の落ち着く求人誌
- 立秋の下に帰休と書く暦
- 立秋のオリフィスの砂一縷なり
- 立秋や列島になほ未踏の地
- 神奈川県 水野伸一
- 立秋の夜風二の腕冷やしけり
- 塩むすび厨に並ぶ今朝の秋
- 立秋や帰りの早いガキ大将
- 立秋やネクタイの色少し濃く
- 秋に入る弓角投げる竿しなり
- 東京都 水野邦彦
- 秋立つやそつと頬そふ風愛し
- 立秋やおでこつけ合ひ子と笑ふ
- 白粥に醤油一滴今朝の秋
- 秋たちぬリードオルガン踏みしかば
- 味噌汁の底に雲立つ今朝の秋
- 大阪府 杉本義雄
- 立秋や机上に歳時記出番よし
- 立秋や軽き遺骨の妻を抱く
- 立秋や妻を誘ひて遍路ゆく
- 秘境の湯流れる星に秋立ちぬ
- 立秋や消灯前に読む見舞い
- ブラジル 西山ひろ子
- 思ひ出を運ぶ雲あり秋立ちぬ
- 聖堂の抜け去る風や今朝の秋
- 新涼や時の流れの止まりゆく
- 立秋や宇宙の病何時までも
- 家族みな体温違ふ今朝の秋
- 福岡県 西山勝男
- せせらぎの音も清かに秋立ちぬ
- 立秋の鍬の捌きもたをやかに
- 酔い醒の水をごくりと今朝の秋
- 罹る代は猶こんとんと秋に入る
- 上げ潮に潮の目しるき今朝の秋
- 福岡県 すがりとおる
- アオザイのスリット深し秋に入る
- その下の水琴窟や秋立ちぬ
- 立秋の風や透けゆく山頭火
- 埼玉県 水夢
- 秋立ちぬ棚引く雲や筑波山
- 秋立つや早くも薪を積み上げて
- 秋立つや寺へとつづく男坂
- 追分や別去れの句碑秋立ちぬ
- 立秋の雲押し上げる電波塔
- 宮城県 zazi
- 立秋や風呂の汗引く速さかな
- 立秋や子のない寝屋の独り言
- 秋の入り音の気になる夕支度
- 朝夕に気を鋭くし秋来る
- 地虫鳴く声が聞こえて秋に入る
- 千葉県 いなだはまち
- 孫の背のするりと剥けて秋立ちぬ
- ものいはぬ百葉箱や今日の秋
- 秋来るおらが俳句とファッション誌
- 立秋と聞くや御霊の身繕ひ
- 息災なうちの別居や今朝の秋
- 東京都 石井真由美
- 点高く青・青・青の今朝の秋
- 大阪府 石原由女
- 路地の奥曲がればそこに今朝の秋
- ボールペンつついてみれば秋に入る
- 蹴上路の人のまばらに秋立ちぬ
- 今朝の秋下駄音止めて風を聴く
- 東京都 石川昇
- 秋立つや腕を広げて深呼吸
- 秋来る孫にそれぞれマイブーム
- 外されし五輪看板今朝の秋
- 埼玉県 石塚彩楓
- 秋に入る腰に湿布の母の愚痴
- 秋立つや音楽堂に雨の音
- 立秋や朝の珈琲少し濃く
- 立秋のおとがひ支ふ左の手
- 立秋の夕空宇宙ステーション
- 大阪府 太田紀子
- 立秋や竹林過る風の音
- 立秋や活字大きなシニア本
- 立秋や朝粥のよき塩加減
- 立秋や天まで届く杉木立
- 栃木県 鹿沼 湖
- 秋立つや筆のはらひのゆるやかに
- 大阪府 佳代
- 立秋と聞けどマスクの蒸れ止まず
- 立秋や田んぼもうすぐ黄金色
- 立秋や数独母と悩んだね
- 立秋や母がよろけて我も転け
- 静岡県 大澤定男
- 公式ファンクラブ発足今朝の秋
- 一人ずつ業を煮やさず今朝の秋
- 仏壇の奥へ供える今朝の秋
- 風見鶏何に驚く今朝の秋
- 兵庫帯のしどろもどろや今朝の秋
- 奈良県 平松 洋子
- 調子良く歩幅広めに秋に入る
- 立秋やせめて前髪整える
- 吊されし服は見るだけ秋に入る
- 埼玉県 哲庵
- 山の字に山際立てり今朝の秋
- 膝少し痛み出したり今朝の秋
- 立秋の窓に藍染め筑波山
- 秋立つや空一枚の蒼硝子
- 秋立つや老々介護と言う言葉
- 神奈川県 竹見 かぐや
- 庭師去り一樹の蔭に秋立ちぬ
- 立秋や猫足ソファーに身を沈め
- 今朝の秋南部なまりの行商人
- 前垂れを替へし地蔵の秋に入る
- 襟なしの鎖骨さびしき今朝の秋
- 東京都 中田ちこう
- 青い道風まつすぐに今朝の秋
- 徳島県 白井百合子
- 立秋や猫タワーから尻尾振る
- 立秋や小雨の好きな猫のちび
- 立秋や介護ベッドを注文す
- 立秋の地球儀の音軋みがち
- 立秋やお裾分けにと小茄子漬
- 神奈川県 猪狩 千次郎
- しんしんと眠る関取秋に入る
- せせらぎをじつとみつめて秋に入る
- 秋立つや鱗一片くちびるに
- 今朝秋や物干し竿の一雫
- 秋立つや雀の覗く縁の先
- 東京都 長岡馨子
- ステイホームの坪庭に秋来る
- 茨城県 長洲研志
- 立秋や将来の夢建築家
- ボサノバをリモートで吹き秋に入る
- 影法師背伸びする子ら秋に入る
- 王位戦四戦目から秋に入る
- 1年がはじまらぬまま秋に入る
- 千葉県 長谷川ぺぐ
- ベランダの豆の楽しみ秋に入る
- 大阪府 津田明美
- 立秋や富士に揺るがぬ立ち姿
- 生駒嶺に秋立つ風のうすさかな
- ひそやな魔女の吐息か秋立ちぬ
- 立秋や命の水の喉を過ぐ
- 透かし見る秋立つ水の光りかな
- 神奈川県 塚本治彦
- 立秋や洗ひ残しの外厨
- 立秋や猫の瞳のエメラルド
- 秋立つや鏡に皺の深き顔
- 秋立つや獲物変へたる釣りの宿
- 秋立つやいよいよ白きお白石
- 山梨県 天野昭正
- 立秋の都会の熱や靴の底
- 大仏や秋立つ頃の大日照り
- 秋立つも鰯になれぬ雲ばかり
- 秋立つや分譲の旗ひるがへる
- 大仏に立秋の山影伸びて来し
- 福岡県 多事
- 忘れそな冷蔵うなぎ立秋来
- 立秋や吊り革抜くる朝の風
- 濁りよりバス喰らひ出て秋の立つ
- 秋の入り妻と喰ひをる牛の舌
- 子規の句の彼岸得心秋立ちぬ
- 千葉県 渡邉竹庵
- 立秋や赤べこの首揺り止まぬ
- 陸奥へ白河越へや秋立つ日
- 東京都 胡翔
- 立秋や星占いの本を買い
- 立秋や無人販売今は無く
- 立秋を駆け抜けていく受験生
- 空見れば立秋色の雲に会ふ
- 秋に入る各駅停車の空席
- 大阪府 藤田康子
- 立秋や波音聞きに舞子浜
- 立秋や空を横切る飛行機雲
- 東京都 内藤羊皐
- 立秋のめめ絵馬鳴れる梅照院
- 幼子と影踏みあうて秋来る
- 秋立つや白刃宿す波頭
- 高千穂の空遥けきて秋に入る
- 立秋や処方されたる抗うつ剤
- 東京都 二川昌弘
- 立秋にパンパスグラス飾りおり
- 立秋に災厄去りて祝う酒
- 千葉県 入部和夫
- 畦道に足許濡らすけさの秋
- 戦後七十五年なり秋立つ日
- 立秋の子馬の駆ける牧場かな
- 道楽に現をぬかす秋に入る
- 犬と美人に出会ひけり今朝の秋
- 北海道 飯沼勇一
- 秋立つやリュック10ほど無人駅
- 秋立つや聞けば男と別れたと
- 選局を変へればショパン秋に入る
- 信濃川海へ注いで秋に入る
- 秋来たる嶺に渚に吾の胸に
- 埼玉県 飯塚璋
- 箒目を雀のつつく今朝の秋
- 立秋や伸び放題の髭を剃る
- 立秋や杉の皮剥ぐ鎌と篦
- 東京都 尾田 一郎
- 立秋や厠の外は虫の声
- 秋立ちて夜明けの目覚め母憶ふ
- 面取りてほっと一息秋立ちぬ
- 立秋や人肌恋し社会距離
- 秋立てば稽古は佳境蕎麦のあじ
- 千葉県 柊二
- 遮断機の竿さす海や今朝の秋
- 群馬県 武藤洋一
- 立秋や炊きたての飯かぐはしき
- 三重県 平谷富之
- 立秋といふ二文字に心地よく
- 東京都 平野 哲斎
- およびなき思ひの果てて今朝の秋
- 山里の細道おぼろ秋来たる
- 銅像の貌影深め秋立ちぬ
- 秋立つやよべの灯火消えし刻
- 立秋やピッチカートの古時計
- 千葉県 峰崎成規
- 藍暖簾翳の濃きまま秋に入る
- 秋に入るジョギングぐつと前のめり
- 今朝の秋コーヒーの香は垂直に
- 電子音炊き上げ奏で今朝の秋
- 立秋や町家透き抜く細き風
- 神奈川県 芳賀 順一
- 立秋の暦の変わる八幡宮
- 秋立つや奥の歯妙に痛みだし
- わだかまり捨つる夫婦や今朝の秋
- 東京都 豊宣光
- 立秋を月命日の墓前にて
- 立秋や余熱の残る夕の空
- 風の色白く変わりて秋立ちぬ
- 立秋の文字に暑さを忘れけり
- 感染者減ることなしに立つ秋ぞ
- 兵庫県 檀凛凪
- 窓開けて鼻の奥澄む今朝の秋
- 秋立つや大人は遠くに行けるもの
- ネクタイの色を濃くして秋に入る
- 隣の子声変わりして今朝の秋
- 夕飯の塩気減らして秋立つや
- 三重県 北村英子
- 立秋の家事は続くよどこまでも
- 今朝の秋何も変はらぬやうな空
- 霊を見る芸人の目に今日の秋
- 珈琲とマフィンの香より秋立ちて
- エクセルの数字の列と秋に入る
- 奈良県 堀ノ内和夫
- 立秋や野菜売場の賑はうて
- 立秋や浅間の麓訪ね見む
- 群馬県 堀越浩子
- 初秋や笹の葉揺れる風の音
- 秋初め散歩の耳によぎる風
- ヴェルレーヌの詩集を読みぬ秋初め
- 朝日子に色なき風や今日も生き
- 小窓より一陣の風秋立ちぬ
- 東京都 安藤ゆき子
- 秋立つや金糸雀唄へ夜想曲
- 秋立てば昨日より濃くハイボール
- 秋立つや夕風追ひて海賊船
- 愛知県 木下澄枝
- 立秋や歩幅大きく踏み出せり
- 遠山の雲離れゆく今朝の秋
- 味噌汁の匂ひに目覚め今朝の秋
- 橋なかばにて立秋の風の音
- 口すすぐ水の切れ味秋に入る
- 長野県 木原登
- 燈台も鷗も白く秋に入る
- 存分に馬の嘶く今朝の秋
- 秋立つや「山のあなた」を口ずさむ
- 白樺に秋立つ風のありにけり
- ちんぐるま露をしとどに秋に入る
- 大阪府 木山満
- 道の辺に脱け殻転(まろ)び秋は来ぬ
- 末枯れし四片(よひら)いとしや秋立ちぬ
- 秋立つや蜩はまだ健在なり
- 銀杏はまだ堅くして秋立ちぬ
- 弱々し風鈴の音や秋立ちぬ
- 神奈川県 矢神輝昭
- 立秋や無用の用と心せよ
- 秋立ちて寄合忙し祭事かな
- 顧みて立秋のこと疑いぬ
- 立秋や銘酒談義で梯子酒
- 立秋の節子の姿風立ちぬ
- 山口県 ひろ子
- 立秋やカジカは喉に笛を持つ
- 分譲地増えてはためく秋の風
- 神奈川県 龍野ひろし
- 秋立てり木屑の匂ふ木工所
- たつぷりと紅茶にミルク秋立てり
- 秋立つや街にヒールの音高し
- 秋立つや頬に優しき今日の風
- 秋立てり枯山水の砂の渦
- ブラジル 林とみ代
- コロナ禍の終熄見えず秋立ちぬ
- 立秋の便りしたたむ一行詩
- 立秋の髪かきあぐる微風かな
- 秋立つや孫十五歳大人びて
- 立秋の里の風景懐かしき
- 宮城県 林田正光
- 珈琲か紅茶か迷う今朝の秋
- 立秋や推理小説読む時間
- 秋立つ日奥の細道尋ねけり
- 凛として生きねばならぬ秋立つ日
- 立秋の自身の影の長さかな
- 大阪府 鈴木三津
- 上り框踏みし足裏の秋はじめ
- 草原の濡れてきらめく今朝の秋
- 今朝の秋腓返りに覚まさるる
- 今朝秋の高原ホテルミルク濃し
- 今朝秋のはや炉を焚きぬ上高地
- 大阪府 鈴木千年
- 白妙の一椀の粥今朝の秋
- 真先に松韻に秋立ちにけり
- 今朝秋の一水に歩を遊ばせて
- 白描の達磨を拝む今朝の秋
- 立秋と聞けば水琴窟の音も
- 兵庫県 髙見 正樹
- 立秋や気持新たに朝歩き