| 寒い日に焼藷買って暖を取る |
窓越しに手渡しをする焼芋屋 |
| やきいものつつむあたたかくいやしぬ |
焼藷や少年の手の老い易き |
| 焼藷にこだはる父の火の加減 |
焼芋に温もりもらふ寒さかな |
| 石焼藷割れば黄金の湯気放つ |
ビル外の焼芋売りの声を見る |
| 焼藷は美容によろしお嬢さん |
焼芋の声染み通る路地の奥 |
| 焼藷や昔ながらの引き売り屋 |
焼き鳥で藷焼酎を自棄に飲み |
| シスターのそつと焼藷買ひにけり |
常連を待って止まりし焼芋屋 |
| 焼芋屋寂しき声を売ってをり |
焼芋屋軍手の色も焦げにけり |
| ピアスして焼藷なんぞを買おうとは |
見たような石焼いもの紙袋 |
| 誠実な男の香り石焼藷 |
あつあつの焼薯抱ふ小猿かな |
| 焼藷の出前が届く始発駅 |
焼芋に故郷自慢盛り上がる |
| 焼芋といふ楽しさの落葉焚き |
焼藷を三人姉妹戦中派 |
| やきいも屋声が少なくなる時代 |
焼藷の香り漂ふ更衣室 |
| 熱熱の焼藷転び(まろび)膝熱し |
焼き藷の心あたたく母譲り |
| 焼藷を包みて英字新聞紙 |
焼芋屋けふも帰宅の足を止め |
| 焼藷を抱へ懐あたたかし |
新聞紙焼藷くるむ衣装なり |
| 焼藷の阿弥陀くじで買いにけり |
焼芋を買って母さん甘くなり |
| 売り声の路地練り歩く焼芋屋 |
陋巷や石焼芋の匂ひあり |
| 焼芋を食べて戦後を偲びをり |
焼藷の熱さ昭和に戻しけり |
| 駅の裏リヤカー引いて焼芋屋 |
落葉焚き芋焼けるのを子は待てず |
| 焼芋が好きと含羞む少女かな |
焼きいものぽっくり割れてゆげ立ちぬ |
| 焼芋屋いつもの角で止まりけり |
焼芋や順序正しく流しをり |
| 焼藷の煙の匂い売る車 |
焼藷を包む新聞地震ニュース |
| 焼芋の誘いに負けしダイエット |
焼芋を掌に転がして暖をとる |
| 焼藷を買ひに十三階降る |
焼藷を核の紙面に包み込む |
| 焼芋屋女房孝行並びをり |
やきいもを頬張る娘天下取る |
| やきいもの灯の揺れる日暮れかな |
焼藷の立前遠くなりにけり |
| 焼いもの漂う匂い十三里 |
夜なべする灯に声かけ焼芋屋 |
| 焼芋を買えば隣もお向かいも |
焼藷屋自動改札真ん前に |
| 焼藷や息を荒げて食べる声 |
戦時下を思い出させる焼芋かな |
| 郷愁を買ふ気にさせて焼芋屋 |
風呂焚きも楽しかりけり芋を焼く |
| 焼芋を半分妻より分けられし |
掘って楽し 食べては楽し 焼藷かな |
| 焼芋屋井戸端会議に顔を出し |
木枯しや焼芋の声切れ切れに |
| 学ぶ子に焼芋渡し父の去る |
焼藷屋いつも来ている公園前 |
| 焼芋を食べて天下を論じをり |
焼藷を買ひにエレベーター降りる |
| 焼藷を分かちて熱き二人かな |
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