| 気が置けぬ客のもてなし餅を焼く |
塩粒の残りしままのきな粉餅 |
| 新庄や優勝祝い餅を食む |
風邪寝して餅の溶け合う土鍋粥 |
| 焼餅の香りを食べて二度食べる |
いつもそう来る日も来る日も餅ばかり |
| 餅二つ逢瀬なきまま溶けにけり |
鏡餅供えて歳の終わりけり |
| 餅といふ伸縮自在と遊びをり |
黄粉餅食べて黄粉の顔となり |
| 餅の子や膨れっ面がもう笑ふ |
餅食べて静かに聴き入る除夜の鐘 |
| チャリティーの餅つき人垣七重八重 |
お年玉胸膨らませ餅を焼く |
| 故郷は遠くにありて餅を食ふ |
幼には一口に切り寒固め |
| 40年過ごしこの国餅飾る |
餅焼けば不思議不思議と猫見入る |
| 餅焼けば初夢大きく膨れけり |
汁粉煮る甘き誘いや鏡割 |
| 餅切るや心に定規押し当てて |
餡餅の吹き出す餡をつまみ食い |
| 焼餅のやきもちわくは幼子恋 |
故郷の大地の匂い寒の餅 |
| 故郷を偲ぶよすがの豆の餅 |
鏡餅割って正月終わりけり |
| 幼児が座って餅焼く父の膝 |
おさな児の頬の柔らのゆべし餅 |
| 餅焼くや百人一首詠みながら |
トランプを終えて餅焼く夜更けかな |
| 長火鉢家長の指揮で餅を焼く |
歳の数餅を食べたと子の自慢 |
| 餅搗や杵の間(あい)の手息合へり |
子の机ミニ鏡餅鎮座する |
| 餅食えば故郷自慢の花が咲き |
幼子が立って見せたる餅の延び |
| 膨れゆく餅を見詰める火鉢かな |
やきもちを二人でやいて焼き餅だ |
| 逆さなる石臼起こし餅搗唄 |
餅を焼く電子レンジの言うごとく |
| 餅搗機買ふて売りたる石の臼 |
餅を切る四角四面の六十路なり |
| 搗きたての餅大根に絡みけり |
神棚に新餅供え旅に出る |
| 餅焼いてまた読み返す年賀状 |
大銀座路地を曲れば磯部焼 |
| 嫁ぎたる子も今餅を焼きをらむ |
餅を搗くハッピ姿の市長かな |
| 餅焼いてしみじみ語る三日かな |
餅を搗く園長先生真中に |
| 角餅の焼かれて丸くなりにけり |
餅焼けば餅それぞれの個性かな |
| 餅に黴生えて羨む我が頭 |
腹一杯食べたる頃のお餅かな |
| 餅焼いて夜なべの妻に差し入れる |
幼子のおねだりほほは膨れ餅 |
| 子のデートふくらむ餅を待ち切れず |
帰る子の鞄の隙に餅入るる |
| 餅三日そろそろ茶漬が欲しくなり |
餅食べて母餅肌を自慢せり |
| 幼には一口に切り寒固め |
餅つきの風物となる相撲部屋 |
| 餅焼けば不思議不思議と猫見入る |
故里の誰彼の顔雑煮食ぶ |
| ひと回り違う夫婦や飾り餅 |
餅切りは父の出番や年用意 |
| 丸火鉢囲んで一家餅を焼く |
もうもうと噴く蒸篭や餅筵 |
| 網の上水餅焼けず焦げにけり |
民宿の五平餅焼く囲炉裏端 |
| 餅つかず臼打つ杵の天の邪鬼 |
餅焼けて豊かな気持ち膨らみし |
| 農場の日の出を背なに餅をつく |
餅食べて昔話のきりもなし |
| 年老いし母の作るる蓬餅 |
切りもちのパックから出て呼吸する |
|